GW突入、文学女子ABさんに本を紹介

金次郎夫婦が通うE美容師のヘアーサロンは東京の新スポットである都立明治公園のすぐ傍で、公園内には定番のスタバに加え、ハワイ発のサステナブルアイランドフレンチ料理のお店や、なんとうちの近くの堀留町で人気のパン屋さんの支店などが雰囲気の有るパークビューの立地に散在しており、今度カットのついでに行ってみたいところです。この公園も最近新しくオープンしたものですが、今後は外苑前も再開発されるようですし、32年には築地市場跡地でも東京ドームの移転を軸とした三井不動産による大規模開発が計画されており、当然現在の水道橋地域も大きく変貌を遂げるのでしょうから、古い部分を残しながらも不断に形を変え続ける東京という町には飽きることが無いなと上京34年目にしてつくづく感じております。さて、E美容師とくればお約束となっている文学女子ABさんへのお薦め本紹介企画も今回で第13弾となります。前回の⑫年末年始のお休みに向け、今回の文学女子への紹介本はミステリー祭り、に引き続き長い休暇の前に押し付けがましく本を紹介してみたいと思います。来年は受験生なので、聞くところによると学業はいつも余裕のABさんとはいえ、フルにGWをエンジョイできるのは今年までであろうということで、存分にお楽しみいただける作品を全力で厳選してみました。(⑪高校生になった文学女子ABさんに恐る恐る本を紹介

【文学女子ABさんへのお薦め本5選】

「梅雨物語」(貴志祐介著 KADOKAWA):おどろおどろしい内容に怖くてたまらないのに、どんどん先が気になって読まずにはいられない貴志先生の作風が遺憾なく発揮されたオカルトミステリー3編を収めた中編集です。「皐月闇」では俳句の解釈を手掛かりに作中人物の心象風景を類推しているうちに恐るべき真実が浮かび上がるというちょっと凝った展開で、前回紹介した俳句関連本にも意外と興味有りとのことでしたので面白く読んでいただけるのではないかと期待しております。「ぼくとう奇譚」は虫が嫌いなABさんには心の準備をした上で読んでいただかねばなりませんが(笑)、闇を抱える好事家が死を招くとされる黒い蝶に取りつかれていると気づきつつも、その呪いから抜け出すことができずどんどん深みにはまっていく様子の描写は迫力満点ですので是非我慢して最後まで読み通していただきたいところです。「くさびら」は茸類をテーマにした一風変わったミステリーで、どことなく不穏な一家を巡るミスディレクション連続の展開は、けばけばしい毒茸がやや気持ち悪いながらも先が気になりページをめくらずにはいられない秀作だと思います。

「田舎のポルシェ」(篠田節子著 文藝春秋):こちらも3編のロードノベルが収められた中編集です。田舎の閉塞感と濃密過ぎる人間関係に耐えられず実家を出た女性が、ひょんなことからマイルドヤンキーと共に軽トラックで故郷に向けた長距離の旅をする表題作、心ならずも長年勤めた会社を辞め、屈託を抱えながら人生をリセットすることになった二人のおっさんが、一方の愛車であるボルボに乗って遠く北海道へ旅する中でとんでもない事件に出くわす「ボルボ」、祖母の夢を叶えようとする孫が勤務先のロケバスを借り出し、コロナ警察にも負けずに長距離ドライブを敢行する「ロケバスアリア」のいずれもトラブル続出で楽しめた後にちょっとほっこりさせられる篠田先生の技巧が冴える内容になっています。車中という閉ざされた空間で長い時間を共有するうちに、登場人物達の人間関係が少しずつ変化していく様子がなんとなくコロナ時代を象徴しているようで、あんな時代も有ったねと振り返るのにも良い作品かなと思います。まぁこれからが本番のABさんの人生においては、我々中年のようにコロナ時代を振り返って懐かしんでいる暇は無いですかね(笑)。

「ツミデミック」(一穂ミチ著 光文社):舌の根も乾かぬうちに思いっきりコロナ時代を舞台にした作品をチョイスしてしまい恐縮ですが(笑)、未曽有の感染症蔓延時代の初期、中期、末期という時間経過に沿って人々が抱える問題の性格が少しずつ変わっていく様子も描きつつ、犯罪小説という形式を採りながらも人間関係の機微を繊細に捉えた一穂先生らしい短編集になっています。金次郎は父娘の軽妙なやり取りに笑わされながらも、親になる覚悟や代理母といった重苦しいテーマにしっかりと向き合った「祝福の歌」、他人の苦しみを勝手にジャッジすべきでないとの主張が心に刺さる「さざなみドライブ」が特に好みでした。一穂先生には時にすれ違い歪みがちな母娘の関係に注目した作品が多く、本作でも「違う羽の鳥」や「憐光」がそれに当たりますが、ABさん一家にはあまり関係無いですかね。

「アミュレット・ホテル」(方丈貴恵著 光文社):王様のブランチBOOKコーナーでも紹介された本作は、ホテルに損害を与えない、ホテル内で傷害・殺人事件を起こさないというルールを遵守する限りは犯罪行為し放題という犯罪者天国のアミュレット・ホテルを舞台に、ホテル専属探偵である桐生が次々と発生する事件を解決していく特殊設定本格ミステリーとなっています。金次郎としては上記のルールがプロットに効果的に作用していない点が若干消化不良ではありますが、ミステリー好きのABさんに興味を持っていただくためにこのジャンルから選ぶとなるとこの数か月間に読んだ作品の中ではこれが一番フィットしており選出となりました。

「バルセローナにて」(堀田善衛著 集英社):ABさんが生まれる遥か前の1980年代を中心にスペインに10年住んだ著者が、実体験を下敷きにして描いた紀行文的小説で、いつもの金次郎の変わり種チョイスとなります(笑)。三部構成となっていますが、「アンドリー村にて」では牛250頭、人間250人という小村でのユダヤ系住民との出会いを通じ、1492年のレコンキスタ完了と同時に推進されたユダヤ人の迫害・追放の歴史が描かれ、離散ユダヤ人の辛苦を体感しながら国家や国籍の本質について深く考えさせられるというやや重めの内容となっています。「グラナダにて」は、神聖ローマ皇帝であるマクシミリアン1世の長子でありその美貌で名を馳せたフィリップ美公と結婚し、カール5世の母となったカスティーリャ女王フアナの数奇で悲しい人生を辿りながら栄光のスペイン全盛期を語る内容となっています。ハプスブルグ家の統治の下で繁栄を極めたスペインにあって正気と狂気の間を行き来しながら数十年も軟禁生活を余儀なくされつつも夫公への思いを貫いたフアナの生き様が印象に残ります。「バルセローナにて」では、ユーラシア大陸の周縁部という地理的性格がもたらしたケルト人、ローマ帝国、イスラム教、バイキング、バスク人、カタルーニャ人といったスペインの持つ様々な特徴が町の住民との関わり合いの中で語られ、更に内戦、ファシズム、共産主義、無政府主義など近現代スペインの政治史についても触れられていて、歴史や政治の勉強になると同時に大いに考えさせられる内容になっています。とは言え、ABさんには肩に力を入れず、ユーラシア大陸の西の果てにはこんな複雑な成り立ちの国が有るのだなぐらいの軽い気持ちで読んでもらえれば嬉しい限りです。

先日会食でご一緒した取引先の方が、なんと金次郎の部活の先輩の教え子(しかも担任)だったことが分かり、世間の狭さを痛感すると共に、女子高では問題が起こるといけないのでイケメンの先生は採用されないとうかがい複雑な気持ちとなりました(汗)。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

「GW突入、文学女子ABさんに本を紹介」への3件のフィードバック

  1. 金次郎さん、こんにちは!
    気づけばGWはとっくに過ぎ去り、来週はもうABちゃんの中間考査です。
    春休みに両親を誘って、4年越し…コロナ始まりで断念した…函館旅行に行ってきました。ABちゃんは初函館でしたが、道産子である両親&私は何度目なのかわからない函館でしたので、ABちゃんのために定番を押さえつつもガイドブックからは外れた旅でした。その散歩途中、『撮影禁止』を持った警備員さんの群れに遭遇、いったいどんなアイドルが?と思いましたが、出会ったのはコナンくん&大泉洋さんでした。コナンくんに興味のないABちゃんは「洋ちゃんだねぇ」、母は「喋りすぎてうるさいのよね」。あああ、コナンくん&洋さんファンの皆さまごめんなさい。
    「田舎のポルシェ」、ボルボで我が母校登場か?と思いましたが登場はせず、残念でした…
    先日「コンビニ兄弟3」を読みましたが、みっちゃんがほとんど登場せず、これまた残念でした…

    1. 恵子さん、コメントいただきありがとうございます。ABさんのテストは上手く行ったのでしょうか?うちの妻は江別育ちで若干道産子ですが、私は北海道にはあまり縁が無く勿論函館にも行ったことが有りません。気温の快適ゾーンがかなり狭い夫婦なので針の孔を通す時期選定になると思いますが、コナンも観たし(笑)、一度は訪れてみたいと思っています。

      1. 江別といえば、大泉洋さんの出身地ですね。
        函館はこれからがベストシーズンです、梅雨もないし。が、近年は蝦夷梅雨が発生して油断禁物ですが。見どころがコンパクトにまとまっていて観光しやすいと思います。コナンくんの聖地巡礼も盛んなようで、混んじゃうのかなぁ…と心配ではあります。
        ABちゃんのテスト… 徐々に二人の差がついてきており、産まれたときから「比べてはいけませんよ」と言われていることを忘れてつい比較してしまいます。ので、成績については聞き流すことにしております。

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