いよいよ金沢旅行記も今回で最終回となります。(今年の夏は金沢散策と湯涌温泉!①・②・③)最近東京でも35度越えの日が何日か有りましたが、身体が慣れていなかったことを差し引いても6月30日の金沢の体感温度はそんな東京よりも更に高かった印象で本当に耐えがたい暑さでした。しかも、酷暑にも関わらず兼六園傍の駐車場からひがし茶屋街までが中途半端な距離であったために、歩いて向かう選択肢しか無く、女川と呼ばれる浅野川を渡る頃には川のせせらぎを味わう余裕など微塵も無い、ほぼ熱中症状態となっておりました。朦朧としながらようやく辿り着いた紅殻格子の町家や多くの和カフェが立ち並ぶ茶屋街の風情は素晴らしく、芸妓さんのお稽古の雰囲気は感じ取れなかったものの、江戸期の花街の趣を堪能することができました。
また、漆器や九谷焼などの工芸品を販売しているおしゃれなお店も多く、そんなお店で涼を取りつつ落ち着いた気分に浸っていると不思議なことに熱中症の症状も夫婦揃って和らいで一息つくことができました。お礼というわけではないですが、金次郎夫婦はお揃いの白漆塗りのお箸と九谷焼の茶碗を、Aさんご夫妻は九谷焼らしい黄色が鮮やかな一輪挿しをそれぞれ手に入れて旅の思い出といたしました。若干時間に余裕は有ったものの、ゆるい旅好きが身上の我々4人は、暑いしもうこの辺で良かろうと観光を終了し、後は美味しい物を食べてお土産を買って帰ろうということになり、初日のお昼はミニで済ませてしまった海鮮丼のフルを食べようと再び近江町市場に向かうこととしました。非常に入り組んだ市場内を迷いながらなんとか辿り着いたお目当てのお店は、なんと月に2日しか無い不定休の日に当たってしまい心が折れかけましたが、すかさず同じく市場内の「いきいき亭」に目的地を変更し、こちらは営業していることを確認しひと安心いたしました。少しお昼時を過ぎていたのが幸いしカウンター席に4人並んで座ることができ、小食の妻以外は地場のネタ全部乗せ的なフル海鮮丼を注文いたしました。空腹をこらえ海鮮丼を待っている間にカウンターで隣に座って食べていた若者カップルが会計をしたのですが、ふと耳に入った金額が目玉が飛び出るほどの高額で、いったい何をどう食べたのかとか、この若者はIT長者なのかなど邪推しまくりでしたが、目ざとく食べているところを観察していた妻に丼に大きなカニが乗っていたと聞き、金額的には納得いたしました。ただ、IT長者であったかどうかは永遠の謎ですが(笑)。我々の海鮮丼は高級カニ丼よりはかなりリーズナブルなお値段でしたが、新鮮な旬の海の幸がこれでもかと詰め込まれたその美味しさにすっかり気持ちを持っていかれてしまい、ほぼ誰も一言も話すことなくあっという間に完食しておりました。いや一言もというのは誤りで、各々小さな声で「これは旨い」、「美味しい」とつぶやき続けておりました(笑)。そんな大満足の食事を終え、レンタカーを返却して駅ビルでお土産を買うこととしたのですが、さすがはお菓子が有名な金沢だけのことはあり、ワンフロアを埋め尽くす土産店に圧倒され、この莫大な選択肢の中から数品を選ばなければならないのかと気が遠くなりました。結局、超名門である森八を中心に幾つか見繕ったのですが、森八を含め有名どころの商品は東京の百貨店やアンテナショップで買えてしまうのでレア感が出ないことには目をつぶらざるを得ず、お土産王を目指す金次郎としては忸怩たる思いでございました。物流網の発達とプロモーションの進展に伴い、東京をはじめとした大都市圏から地方に旅行しても〈珍しい〉お土産は簡単には入手することができず、かと言って幻のお土産探しに時間を空費するのも効率が悪く本当に悩ましいです。ちなみに和菓子の名店である森八は金次郎の会社から至近の神保町に東京店が存在することが分かり大変悲しい気持ちになりました(涙)。さて、前回の郡山同様駅ビルのカフェで一息ついて新幹線を待つこととしましたが、金次郎夫婦はこの旅の最強キャラであったべっこう眼鏡おじさんを偲んで抹茶オレで旅を締めくくりました。今回も車の運転をはじめ、至らぬ我々夫婦の旅行にお付き合いいただきAさんご夫妻どうも有難うございました。これに懲りず、来年もまたよろしくお願いします!
さて本の紹介です。「啓蒙の海賊たち あるいは実在したリバタリアの物語」(デヴィッド・グレーバー著 岩波書店)は、岩波らしい難解な内容で再読必至ではありますが、17~18世紀にかけてアフリカ大陸の東に位置するマダガスカル島の北東部に拠点を設けた海賊たちが、絶対王政最盛期の欧州にかなり先んじて、民主的・開明的な共同体〈リバタリア〉を築いたという風説について深掘りし検証するという内容の本です。海賊と言えば、いち早く新大陸航路を開拓したスペインの利権を奪う目的で、フランスやイングランド王家の勅許状を楯にカリブ海あたりで略奪を行う私掠船のイメージでしたので、インド洋のしかもマダガスカル島に海賊が一大拠点を構築していたとの史実に驚かされました。しかも、現地の女性と海賊たちの結びつきを通じて微妙なバランスの共同体統治が実施されていたという話は大変興味深く、再読の上でしっかり内容を理解せねばと考えております。しかし海賊史には人気マンガであるワンピースの登場人物を想起させる実在の人物が多数出てくるので非常に興奮します。まさに今テレビアニメのエピソードの主役であるバーソロミュー・くまはバッカニア族出身ですが、このバッカニアとは上述の私掠船や海賊を表す言葉なのだそうでまた一つ新たなうんちくを仕入れました(笑)。
「密やかな炎」(セレステ・イング著 早川書房)はアメリカ郊外の計画都市であるシェイカー・ハイツで裕福な暮らしを送る中流家庭であるリチャードソン家の邸宅が火事で燃えてしまうところから物語は始まります。秩序、倫理、良識を重んじる賢婦人エレナが仕切る一見何の問題も無いこの家でなぜ放火のような事件が起こったのか、行方が分からないミアとパールの母娘はどうして姿を消したのか、などの冒頭で提示される謎の答えを探すべく物語の舞台は過去に遡ります。破天荒でクリエイティブな芸術家のミアが抱える過去、新聞記者の仕事をしながら妻そして母としての誇りを持って生きるエレナが心の奥に隠す葛藤、20世紀後半のアメリカで作り上げられた、あるべき理想的な家族像と拭えぬそのお仕着せ感、養子縁組を巡る対立を契機に顕在化する狭量な家族観や根深い差別の問題など多くのテーマを含む内容で、大いに考えさせられました。また、巧みに配置された伏線の効果が抜群で飽きることなく読み進められるプロットも素晴らしく、アメリカで大ヒットとなっているのにも頷ける内容でした。文中ではパールのエスニシティへの言及が意図的に排されており、金次郎は白人女子をイメージしながら読んだのですが、ドラマ化作品では黒人女性が演じているということで、そうなるとまた違った読み方ができるなと早速再読したくなっております。
「鬼哭 帝銀事件異説」(鳴海章著 小学館)は昭和最大のミステリーの一つである帝銀事件の真相について、戦中の生物兵器の開発や人体実験で悪名高い731部隊との関連を示しながらスケールの大きな著者独自の仮説が展開される内容です。未だGHQの支配下にあった1948年に現在の豊島区長崎1丁目に在った帝国銀行椎名町支店で12人が毒殺された帝銀事件は、逮捕された容疑者が冤罪を訴え続けたことから真犯人の存在が常に取り沙汰され本のモチーフになることも多いのですが、青酸系の毒物を軸に満州731部隊まで発想を飛ばした本はこれまで読んだことが有りませんでした。ストーリーとしては興味深いですし、史実と整合的に描かれている点には著者の工夫が見て取れ評価できるのですが、いかんせん731部隊と言えば生物兵器なのに、事件では青酸系の毒物が使用されている背景の説明にはやや無理が有り減点要因でした。また、帝銀事件異説という副題に対し、紙幅のかなりの部分が苦しい戦時中の満州での出来事の描写に割かれていて、いつまでも帝銀事件が出てこない肩透かし感はリーダビリティの低さに直結していてこちらもマイナスポイントと言わざるを得ません。
ようやく待ちに待った清水白桃が13個も届いてほくほくです。一年に2週間しか出荷に適した時期が無い限定商品となっているこの桃のお味は、その甘さと果汁の量、そして果汁の透明感が素晴らしく、しかもコスパも結構良いので、来年もお取り寄せレースに勝利して清水白桃を楽しみたいと思います。
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金次郎さん 4回にもわたり旅の思い出を書いて頂いて、本当にいい思い出になりました。暑い暑い夏がまだ続きますが、奥様含めてご自愛ください。また行きましょう。A
Aさん、早速コメントいただきありがとうございます。旅程を思い返しながら改めて楽しかったと追体験しております。もろもろお世話になりまして有難うございました。またよろしくお願いします!それとは別に食事でもいきましょう!