金次郎、台湾でアカペラ熱唱を披露する

このブログでも、コロナ禍以降ほぼ6年にわたってカラオケに行っていないことを何度か書きました。あまりにも歌っておらずすっかり声を出すために必要なカラオケ筋が衰えてしまい、老人のような歌声しか出せなくなってしまう事態を懸念し、現場復帰に向けて8月中にはどこかで久々に歌いに行こうと思い立っておりました。少しは新しい歌にも挑戦しないと楽しめないのではと、妻に最近のJ-POPの大きなトレンドを確認するなどして新レパートリーの選曲に頭を悩ませつつ、先ずは現状でどの程度声が出るのだろうかと、恐る恐る風呂場で少し歌ってみました。すると、正に歌を忘れたカナリア状態で、どこに力を入れればいい声が出るのか分からず途方に暮れることになりました。

そんな折に仕事で台湾に行く機会が有ったのですが、昨年の出張時の2匹目のドジョウとして、激うまパイナップルケーキをお土産にいただけるのではと密かに期待していたものの、今回のお土産はより高額な超高級茶で、大変感激しつつも一抹の寂しさを禁じ得ませんでした。会議も終わりお土産もいただいて後は会食を残すのみとなったのですが、この会食がなんと24人掛けの大円卓での大宴会となり、やや怖気づきつつのスタートとなりました。とにかくテーブルが大きすぎて隣の人としか会話ができず、最初は厳かな雰囲気で静かに始まったものの、少しずつ酒が入るにつれ場が荒れてきたところで、いきなり参加メンバーの一人が指名を受けたかと思うと、アカペラでワンコーラス歌うという余興が何の前触れも無く始まってしまいました(汗)。この方は台湾のカラオケ大会でチャンピオンになった経験が有るという強者で、そのずば抜けた歌唱力に拍手喝采となったのですが、その後は読者の皆さんのイメージ通り両社の主要メンバーが順番に歌うという恐ろしい展開に突入することとなりました。まだカラオケ筋のリハビリが全くできていなかった金次郎は声が出るかどうかも不安でしたし、そもそも大人数の中年台湾人を前にして妻と候補曲として選んでいた最近のJ-POPを披露するわけにもいかず、頭が真っ白になりました。半ばパニック状態で金次郎がヤケクソで選んだのが尾崎豊の♪I LOVE YOU(笑)。ワンコーラスだけでいいというのを心の支えに、どうにか記憶の中から歌詞を引きずり出して、萎縮したカラオケ筋を最大限酷使して、日本を背負う気持ちで全力で歌い上げ、ファルセットもぎりぎりクリアして、全く予期していなかった復帰初戦をやり切ることができました。不思議なことに1曲歌い終わった後には身体が昔の記憶を取り戻したのか、当社チームで歌った♪真夏の果実はそれなりに声が出せたので少しだけ自信回復となりました。23人を相手にして人前で大きな声を出すことや、Mrs. GREEN APPLEのようには全く操れないものの、最近の曲には必須のファルセットも実戦経験できましたので、期せずして8月のカラオケ復活に向け非常に良い機会となりました。しかし、なかなかにハードな会でした(笑)。

さて、本の紹介です。「人質の法廷」(里見蘭著 小学館)はいわゆる〈人質司法〉の問題に焦点を当て、警察、検察、世間、報道、容疑者、弁護士それぞれの視点から冤罪が生み出される構図を非常に緻密に描いたリーガルサスペンスです。荒川河川敷で発生した女子中学生連続死体遺棄事件の容疑者となった増山は、長期の勾留と刑事の恫喝により無実の罪を自白してしまいます。駆け出し弁護士志鶴が起訴有罪率99%の壁にいかに挑むかが読みどころですが、駆け出しにしては辣腕過ぎてこの部分にはややリアリティが欠けており、作品全体を通じ細部にまで拘った描写が素晴らしいのでやや残念でした。また、結構グロい表現の多い真犯人パートの位置づけがやや中途半端で、読むのが辛い内容をわざわざ組み込んだことの意義がもう少し明確になる工夫が有れば尚良かったと思います。冤罪のリスクはいつ何時自分に降りかかってもおかしくないという怖さが有り、仮にそうなってしまった際に最も重要なパニックにならないという心構えができただけでも読んだ価値は有ったと思います。いみじくも、これを書きながら眺めていたテレビで大川原化工機の冤罪事件のニュースをやっていて何とも言えぬ気持ちになりました。

「ライアーハウスの殺人」(織守きょうや著 集英社)は期せずして多額の遺産を相続した主人公の彩莉が、孤島にギミックを凝らした館を建てクローズドサークルを構築してミステリー小説ばりの殺人計画の実行を企てるという内容です。殺害される予定の二人も含め館に招かれる客は何れも曲者揃いで、それだけを見てもストーリー展開が一筋縄では行かないであろう雰囲気は序盤から出まくっていますが、そんな想定をはるかに超える驚きの展開の連続で多くのレビューで書かれている通り二度読み必至の秀作でした。金次郎は伏線、嘘そして整合性に留意しつつじっくり再読しようと思います。

「料理通異聞」(松井今朝子著 幻冬舎)は、江戸を代表する料亭であった〈八百善〉の主人であり、我が国初のプロ料理人による料理本「料理通」を著した実在する栗山善四郎の成長と成功を描いた歴史小説です。火事や飢饉などの災害、田沼意次から松平定信への権力移行に伴う人々の混乱など辛いところも有りますが、特に文化文政期の物心両面での江戸の豊かさがよく表れた料理の描写にはなんだかパワーをもらえた気分になりました。相手のためになろうと全力を尽くすことを通じて少しずつ高みに上っていく善四郎の成長も読んでいてわくわくしますし、善四郎と当時の著名人たちとの交流も史実をイメージしながら読むと大変楽しめました。

「アフターブルー」(朝宮夕著 講談社)はそれぞれが屈託を抱えた5人の納棺師たちが、様々な死と対峙し、絶対に辿り着けない死者の真意に少しでも近づこうともがきながら、残された遺族の気持ちに向き合う姿を描いた連作短編です。そもそも激しく損壊した遺体を修復する納棺師という仕事の存在を知らなかったので、最初はやや面食らいましたが、通常の死でないことの生々しさが、人の死という現実を読者に鋭く突き付けてくる迫力が有り新人とは思えぬ筆力だと感じました。身近な人の死を乗り越えようとする遺族だけでなく、納棺師たちも悩みながら進むべき道を見つけていく展開で、読後に二重の爽快感を味わえる点も評価できる一冊だと思います。

台湾から帰国して、東京の方が圧倒的に暑いことに大変ショックを受けました。この酷暑はいつまで続くのでしょうか。。。皆さまどうかご自愛ください。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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