新年あけましておめでとうございます。今年もためにはならずとも少しは足しになる内容とすべく、頑張ってこのブログを書き続けていこうと思います。引き続き読んでいただけると嬉しいです。ことのほかあっという間に過ぎ去った印象の2025年は、前年からの積み残しも含め年初に定めた目標のうち、Aさんとの国内旅行継続、カラオケ再開、悪玉コレステロール減少は達成できたものの、それ以外の課題はほぼ手つかずという不甲斐ない1年となってしまいました。夫婦揃っての出不精がたたり、海外旅行は計画すらできないというひどい状態、洋書の原文での読了という目標も年初に少し読んだだけで挫折しこちらも達成度ほぼ0%の体たらくでした(汗)。
このブログの新企画も全く打ち出すことができず、だらだらと書いてしまっていて申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、生成AIによる検索頻度上昇のためかブログのPV自体は結構増えており、人気ブログにのし上がるためにもこの機会を逃さず内容の充実を図っていきたいと思います。何はともあれ2月6日には本屋大賞2026のノミネート10作品が発表されますので4月の大賞発表に向け、渡欧した宿敵Mとの順位予想対決に先ずは全力で臨みたいと思います。そんな目標に届かずじまいの2025年の中で、唯一頑張ったと言えそうなのはこのブログの本分である読書量で、読了冊数は403冊となり遂に大台の400冊を初めて突破することができました。2018年に300冊を超える324冊を読んで以降、340冊、374冊、392冊、379冊、375冊、384冊と毎年それなりに安定した読書量を維持しておりましたが、去年は仕事が少し立て込んでいた時期が有り、読書時間を確保するために会社の昼休みの一部を読書に充てることを習慣付けたのが幸いし過去最高を叩き出すことができました。そんな読了本の中でも特に印象に残っているものを挙げると、高野秀行先生の「イラク水滸伝」(このブログで紹介済み)は、悠久の人類史のリアルを感じさせてくれる素晴らしいノンフィクションでした。また、こちらも紹介済みですが、齋藤ジン先生の「世界秩序が変わるとき」はこの混沌とした世界を自分なりに理解し、不透明な将来に向けた判断をしていく上での重要な示唆を与えてくれる大変有用な本でした。「受け手のいない祈り」(朝比奈秋著 新潮社)は、自分が死ぬか患者が死ぬかという限界をとうに超えた医療現場の今を描き、そんな究極の状況に放り込まれた医師が体感する生々しく、そして無機質でもある〈生〉というものの実態を直視させられる非常に重厚な作品で印象に残りました。その他には、こちらも紹介済みの「叫びと祈り」(梓崎優著)も読みごたえ十分でしたが、未だ消化不良で紹介できていない「記憶の対位法」(高田大介著 東京創元社)は面白いとかためになるとかではなく、とにかく凄いの一言という本でしたので、近いうちに再読してじっくりご紹介したいと思います。
さて本の紹介です。前回のブログでは芥川賞関連で少し書きましたが、先月11日に第174回直木賞についても候補作品が発表されております。今回は、前述の通り来月に控えた本屋大賞順位予想対決に向けた準備運動として、今月14日に決定する直木賞の大胆予想に挑戦してみたいと思います。
【第174回直木賞候補作】
◆「カフェーの帰り道」(嶋津輝著 東京創元社):大戦を挟んだ大正から昭和にかけての時代に、東京上野の片隅のカフェー西行で働いた〈女給〉たちの物語。時代や社会の圧を受け、如何ともし難い不幸や苦難に見舞われながらも、器用ではなくとも自分らしく生きようとした彼女たちの生きざまを通じて日々を生きる勇気と力をもらえる作品でした。ある意味時代を映す鏡である〈女給〉を描くことで、当時の世相や市井の人々の生活を表現した筆力には唸らされました。
◆「白鷺立つ」(住田祐著 文藝春秋):比叡山延暦寺で、失敗即自害という激烈な修行である〈千日回峰行〉を満行し大阿闍梨となることを目指した師弟の生きざまを描いた重厚な作品。修行そのものの描写は勿論ですが、比叡山の社会的位置づけ、天台宗内の利害欲得が絡んだ人間模様、主人公二人が抱える因縁と葛藤などもしっかりと描き込まれていて、深山の清冽な空気感と共にそれぞれの人物像が鮮やかに立ち上がってくる筆力は素晴らしいと感じました。
◆「神都の証人」(大門剛明著 講談社):未だ民主的な司法制度が存在しない戦中期に、正義をなすべく奔走する弁護士と、殺人の罪に問われ収監された父親の無実を訴える少女が出会うところから始まる壮絶な大河リーガルミステリー。冤罪を生み出しかねないこの国の司法制度の構造問題は、大門先生が一貫して描き続けているテーマですが、本作はそんな法律家の矜持のみならず、事件に関わる人々が紡ぐ人間ドラマを数世代にわたり丁寧に描き出した点でこれまでの作品とは一線を画す出来だと感じました。
◆「家族」(葉真中顕著 文藝春秋):2011年に発覚した〈尼崎連続変死事件〉をモチーフに、ヤバいおばさんである夜戸瑠璃子がいかにして他人の家族に入り込み、支配と搾取の構造を作り上げ、最終的に13人もの変死に関与するに至ったかについて詳細に描いた、限りなくノンフィクションに近い犯罪小説です。家族というものの定義が実は曖昧であることに付け込み、疑似家族と言い張るだけで、容易に〈民事不介入〉の防護壁を築き警察の捜査の手から逃れられるという瑠璃子の手法には、そのシンプルさ故の背筋が寒くなる怖さが有りました。家族や愛情についてだけでなく、人間の心の脆さやマインドコントロールの怖さについても再認識させられる一冊でした。
◆「女王様の電話番」(渡辺優著 集英社)紹介済み:内容は以前の投稿を読んでいただくとして、ジェンダーやセクシャリティーといった現代的なテーマを取り上げつつ、あらゆる線引きから自由になることが新たに突き付けてくる、人間関係における根源的課題について世に問う意外と深いお話でした。
以上、いずれ劣らぬ秀作揃いの候補5作品でしたが、「カフェーの」は連作短編的な形式なので仕方がないのですが、視点人物が入り乱れ過ぎてやや感情移入が難しかった点が減点要因、「家族」は大迫力だったものの、時系列を行き来する筋運びが著者の目論見ほどには効果を発揮せず読みにくさが気になり、いずれも落選としました。「白鷺」は読ませる作品だったものの、主人公2人が〈千日回峰行〉に拘る背景がもう一段表現されていれば、ストーリー全体の納得感が更に上がったであろう点が若干残念で惜しくも落選といたしました。前回の第173回は受賞作無しでしたので、著者の既刊作と方向性は似ているものの作品からにじみ出る凄みが増したと感じる「神都の証人」と、難しいテーマをしなやかに柔らかく描いた「女王様の電話番」の2作が直木賞受賞するものと僭越ながら予想させていただきます!
大晦日は例年通り紅白歌合戦を全編ばっちり視聴しました。紅組ではアイナ・ジ・エンドの迫力満点の歌声が素晴らしく、前半はリードしているかと思いましたが、後半は誰が何組かもよく分からないごちゃごちゃの展開の中で、我らが玉置さんすらかすませてしまう永ちゃんに全て持っていかれてしまい、よく分からんが白組の勝ちという流れになりましたね(笑)。今年の年末の紅白はレジェンド色はやや薄まるとは思いつつ、紅組はAdo、宇多田ヒカルぐらいしかカードが残っておらず、昨年のミセス級の超新星の台頭でもない限りは勝利のチャンスは無いかもななどと、随分先のことを考えた年末でした。
読書日記ランキング