今年の夏は金沢散策と湯涌温泉!②

先週はヨーロッパに出張しておりましたためブログをお休みしてしまいました。すみません。ベルギーとフランスに行ってきたのですが、20℃強の気温といつまでも沈まぬ太陽を満喫してまいりました。ヨーロッパ滞在時の出来事については別途書くとして、今回は金沢旅行記の第2弾となります!(今年の夏は金沢散策と湯涌温泉!①)初日の昼食を終えての観光一発目は、大戦中に空襲の被害を受けなかった金沢ならではの古い町並みを堪能しようということで、旧武家屋敷を訪問することとしました。

藩祖前田利家公以来の家臣であったとされる野村家のお屋敷は、甲冑が入口に鎮座するという定番構造でしたが、屋外の暑さを感じさせない涼しさと落ち着きが印象的な佇まいでした。中でも特筆すべきはお庭の風情の素晴らしさで、縁側に座り流水の音などを聞いていると雑事を忘れリラックスした気分になり、雑事まみれの金次郎としてはうちにもこんな庭が欲しいと叶わぬ願いを持ったりもいたしました。館内の鬼川文庫では野村家ゆかりの様々な文化遺産が展示されており、明智光秀直筆の書状や沖田総司も佩用したとされる刀工加州清光作の刀剣にはなかなか趣深いものが有りました。そんな武家屋敷を出る頃には、金沢ちょっと涼しいかも、という到着直後の第一印象が吹き飛ぶほどの暑さとなっており、熱中症が懸念される中年4人組の我々としては大事を取って、近隣に立ち並ぶ古いお屋敷を改装した和カフェに入って涼を取ろうということになりました。どうせならということで、趣深そうな細い路地のカフェに入ろうとした際に、店員さんからの第一声が「うちにはかき氷は有りませんよ」との謎コメントで若干面食らいました。更に、店内は多数の人形が鎮座していて金沢所縁の泉鏡花の作風を思わせるおどろおどろしい雰囲気で、違和感に拍車がかかり一同ややびびりました(笑)。ところが、非常に個性的なべっこう眼鏡のおじさんによるワンオペから繰り出される名物抹茶オレは、意外にもと言うと失礼ですが(笑)大変美味しく、抹茶の風味と穏やかなミルクの甘味にかなり癒されました。ただ、Aさんは、少しかき混ぜてから飲むようにとのべっこう眼鏡さんからの指示に素直に従ってぐるぐると混ぜていたところ、かき混ぜすぎ!と注意をされていて、どことなく不思議なお店の雰囲気にぴったりなやり取りに一同ニヤっといたしました。べっこう眼鏡さんは、自ら「お節介ですが」と宣言する開き直りからの金沢愛に溢れた観光地案内を連続的に繰り出してきて、我々は大変金沢に詳しくなり有難かったのですが、目の前の野村家をややディスり気味に「寺島蔵人邸の方が圧倒的にいい」と宣伝されていたのには驚きを禁じ得ませんでした(笑)。非常な暑さとおじさん疲れに削られた我々は、予定していた犀川散策を早々に諦め、今回の旅の目的地である金沢の奥座敷とされる湯涌温泉の〈百楽荘〉に向かうことといたしました。金沢駅周辺から10数キロしか離れていないにも関わらず、湯涌温泉はすっかり山中という感じで、美人画で有名な竹久夢二が彦乃との逃避行で訪れたというのも頷ける場所でした。宿の建物は予約時に見たHP写真よりきれいな上に、スタッフの皆さんの対応も親切かつ丁寧で心地よく、チェックインの段階から期待が高まりました。到着直後に和菓子アフタヌーンティーのサービスが有り、白味噌のプリンなど魅力的なスイーツが並びましたが、メインイベントの豪華ディナーが食べられなくなるとの危惧から、泣く泣く量を減らしました。こちらもHPより数段良く見える客室に入室後は早速かけ流し露天風呂に飛び込みましたが、大変広々としていてリラックスでき、低刺激の弱アルカリナトリウム泉は保温効果抜群でかなり長い間身体がポカポカしていて疲れが取れました。今回も紙幅の都合でここまでといたします。いつ書き終わることやら(笑)。

さて本の紹介です。「村上海賊の娘」(和田竜著 新潮社 )はずっと読みたいと思っていた本でしたが、上下巻合わせてほぼ1000ページというボリュームにびびって着手できずにおりました。ところが一旦読み始めると、さすがは2014本屋大賞受賞作だけのことはありページをめくる手を止めることができずほぼ一気に読み終えてしまいました。時は戦国、織田信長による包囲に苦しむ石山本願寺が西国の雄である毛利家に兵糧の支援を申し入れるところから物語は始まり、その後の第一次木津川口の戦いを中心にある程度史実に沿った構成で描かれています。タイトルからも分かる通り、毛利家から助力を請われた村上水軍の棟梁村上武吉の娘である景(きょう)が主人公で、男勝りで破天荒な言動や、日本人離れした外見でとにかく目立つ彼女が縦横無尽に暴れ回る痛快さを楽しむ王道のエンタメかと思いきや、死生観にも触れる人間ドラマに加え、彼女が骨太に成長していく様子が描かれる想定外に重厚な内容にいい意味で裏切られました。西国と泉州での女性の好みの違いや(現代で言うところのミックス的な見た目の景は西国では全く相手にされないが泉州武士には大人気)、戦国武士と本願寺の対立など正面からぶつかって相容れない価値観の相克が印象的に描かれる本作ですが、ややステレオタイプではあるものの既存価値の破壊者としての織田信長の存在がなかなか象徴的で良い効果を上げていたと思います。また、敵役の泉州海賊である眞鍋七五三兵衛の鬼神のような強さと魅力的な人柄も物語に没入させられた一因で、とにかく終盤はもう誰も死なないで欲しいと叶わぬ願いを抱いてしまいました(笑)。能島村上氏、因島村上氏、来島村上氏の所謂〈三島村上氏〉についてもしっかり勉強でき、世界有数の造船業のメッカである四国への出張に臨場感をもたらす一助となりました(笑)。

「私の最後の羊が死んだ」(河崎秋子著 小学館)を読みました。直木賞作家となられた河崎先生が専業作家になる前に羊飼いをされていたというのは有名な話ですが、本作はそんな河崎先生が羊肉の美味しさに魅了され、良質な肉を顧客に届けたいとの一心で牧羊に取り組んだいきさつを、時にユーモアを交えつつ淡々と綴ったエッセイです。一念発起して牧羊の世界に飛び込む経緯やニュージーランドでの修行のあれこれ、徐々に羊が増えビジネスとして成り立つようになるプロセスなども勿論面白いのですが、一年中気を張っていなければならない畜産業の大変さの一端を垣間見ることができ、いつもいただいているお肉の有難みを改めて実感いたしました。河崎文学の通奏低音である命に対する透徹した姿勢のルーツが、そんな生き物と日々真摯に向き合う生活の中に在ることがよく分かりました。しかし、作家としてのサクセスストーリーは凄いの一言で、当たり前ですが才能が無いと直木賞は取れませんね(笑)。「銀色のステイヤー」(同 KADOKAWA)は競馬産業の光と影を馬主、騎手、調教師、牧場スタッフそれぞれの視点から描いた競馬好きにはたまらない作品でこちらもおすすめです。

最後に簡単に。「嗤う被告人」(前川裕著 新潮社)は、紀州のドン・ファン事件を下敷きに、事件の背景や真犯人、動機などについての著者独自の仮説を提示したなかなか興味深いミステリー仕立ての小説でした。老資産家を殺害した罪に問われた若妻が、拘置所の中から若手弁護士を翻弄し操る姿には柚木麻子先生の「BUTTER」(新潮社)に匹敵する怖さが有りました。

7月16日が発表日であった第173回芥川賞・直木賞は何れも該当作品無しという27年ぶりの残念な結果となりました。特に直木賞は候補6作全部読んだのでちょっと寂しいです。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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