全然涼しくならないので気分的にはまだ9月中旬ですが、早いものでもう10月に入ってしまっており今年も残すところあと僅かになりました。世の中はこれからハロウィン一色になるのでしょうが、我々夫婦が見据えているのはハロウィンのずっと先のクリスマスです。クリスマスと言ってもプレゼントを贈るとか旅行に行くとかいうキラキラなものではなく、単純に食い意地を満たす目的でのクリスマス活用を目論んでいます(笑)。あれを書いてからもう1年近く経つのかと光陰矢の如しに怯える気持ちはさて置き、夫婦揃って大好物の以前ブログで紹介したクリスマス限定洋菓子であるシュトーレン調達に全力を注ぐ気満々になっております。
新百合ヶ丘の名店リリエンベルグでは11月頃から大・小・ちびの3サイズが売りだされますので、勿論大サイズを長期保存も視野に複数調達することを計画していますが、何と言っても今年の目玉となるのは、去年は全く手が届かなかった日本のシュトーレン発祥の聖地である神戸の名店フロインドリーブの幻のシュトーレン確保です(商品名はシトーレン)。今年の販売分が10月1日の10時から電話とファックス及び店頭受付にて予約開始ということで、妻が全ての予定を調整し万難を排し注文票を手にコンビニのファックス機の前に9時50分からスタンバイするという不審者顔負けの勢いで臨みました。いよいよ10時となり、全く繋がらないことに苛立ちつつスマホで電話をかけ続けながら、回線が繋がってファックスが受け付けてもらえるまでファックス番号を打ち込み続けるという不審行為を約17分継続し、コンビニ店員の視線が厳しくなる寸前で漸く送信完了の表示が出て歓喜の声を上げそうになったようです。しかし、ふと我に返りファックス代50円の売り上げのみでは申し訳無いといたたまれなくなり、大量のコンビニ商品を抱えながら帰宅したとのことでした。その後はお店からの電話で注文の最終確認をしてようやく確定というプロセスになっていたのですが、一向に折り返しが無くひやひやしたものの、ようやく金次郎が帰宅した直後の18時頃に電話が繋がり無事我々の望みが達成され二人で大喜びいたしました。この日本中の食道楽達が殺到する幻のシュトーレンがいったいどれ程美味しいのか、到着予定日の11月22日が楽しみでなりません。また、ドイツに出張するという同僚が我々の情熱を意気に感じ(笑)、親切にも見つけたら本場ドイツのシュトーレンを買ってきてくれると申し出てくれたことから、今年はドイツ品、リリエン品、フロインドリーブ品を順番に楽しめるというシュトーレン天国の年末になりそうで楽しみです。しかし、紛れもなく砂糖の塊であるあのお菓子をそんなに食べるとこれまでのダイエットが無駄になるリスクは有るものの、まぁ10月予定の人間ドックを終えたご褒美ということで自分を甘やかそうと考えております。シュトーレン食べ比べの結果につきましては改めてレポートさせていただきます。
さて本の紹介です。「人事と権力」(軽部謙介著 岩波書店)は、日銀総裁人事を題材に、その選定にどのような思惑や力学が働いてきたかを明らかにすることを通じて、日銀やその総裁の役割、金融政策の独立性の是非などの興味深いテーマを掘り下げる内容になっています。日銀法改正から第二次安倍政権による金融政策のコントロール強化という一連の流れの中で、大蔵省の下部組織と位置付けられ総裁は大蔵次官の天下りポストであった日銀が、大蔵省(現財務省)の相対的な弱体化を契機に、政府の政策実行レバーとして政争の具となり果てた様子がよく分かり非常に面白く読めました。日銀金融政策決定会合での議論における政府の主導権を確固たるものとすべく、審議委員の顔ぶれを意に沿うメンバーで固めようとする政府の動きに対し、金融政策は政府方針に従うべきとしてこれを是とする主張と、多様な主張を有する審議委員を集め議論を尽くすことで重要な決定である金融政策が誤った方向に進むリスクをできる限り低減すべきという主張の相克にはなかなか考えさせられました。ちなみに政策決定会合のメンバーは総裁1名、副総裁2名、審議委員6名の計9名で、議決は多数決を以て行われます。またこれらメンバーは国会の承認を経て内閣が任命するという立て付けになっていて、国会の勢力図と内閣の方針次第では、本来独立しているべき日銀が立法府・行政府の影響下に置かれるケースも起こり得ることから、その在り方はしばしば議論の的となっています。また、時代が移り変わる中で日銀総裁に求められる資質も変化してきており、これまでほぼ大蔵省(財務省)出身者と日銀プロパーで順繰りに総裁ポストを回してきたわけですが、記憶に新しい植田現総裁(32代)の選定プロセスにおいて、経済理論への卓越した識見、グローバル金融のインナーサークルに受け入れられる英語力をはじめとしたコミュニケーション能力、日銀行内、財務省、政府の間を泳ぐことのできるバランス感覚がポイントになって高名な経済学者である植田氏が選ばれたと知り、当たり前ですがこれは大変なレベルの話だなと思いました。関係有りませんが、30代の白川総裁、31代の黒田総裁のいずれも金次郎と同郷の福岡県出身であることに気付きちょっと嬉しくなりました。
「人間の証明」(森村誠一著 KADOKAWA)は森村先生の代表作であり映画化もされた著名な作品ですが、恥ずかしながらこれまで未読であり、今般意を決して読んでみることにしました。物語は東京の高級ホテルの高層階で場違いにくたびれた様子の黒人青年が刺されて殺されるという衝撃的なシーンで始まりますが、時代も場所もばらばらの複数のストーリーの中で、多くの登場人物が好き勝手に振る舞っているように見えて、実は終盤にかけてある一点に見事に収束するというプロットの妙に唸らされる傑作でした。例によってミステリー故に内容には触れられないものの、重要な舞台として描かれている群馬県霧積温泉の寂れた雰囲気がたまりません。かつては避暑地としても賑わっており多くの著名人や政治家が訪れたとのことで、本作の重要なモチーフとなっている西条八十の「帽子」という詩でもその風景が描かれています。しかしながら、軽井沢との競合に敗れただけでなく、山津波に被災する不幸にも見舞われた結果、本作が書かれてから今に至るまで営業している旅館は1軒のみという文字通りの秘湯ぶりでいつか行ってみたいと強く思いました。そうかと思えば、このお話はその空間的広がりが当時はまだスラム的であったニューヨークのハーレム地区にまで及んでいて、今読んでも退廃的な雰囲気がびしびし伝わってくるので、初版時の昭和50年頃の読者にとってはかなり物珍しく遠いアメリカへの思いを掻き立てられる小説でもあったと思います。比較することにあまり意味は無いですが、細菌兵器や人体実験で悪評高い731部隊を題材に日本軍の暗部を連続殺人事件と関連させながら描いた「新・人間の証明」(同 上・下)は、主人公棟居刑事の正義感と情熱は買うものの、小さな謎の解決と次なる謎の提示という流れが一本調子でややご都合主義的な印象は否めず、テーマの重厚さに過度に依存する内容になっていてオリジナルは越えられなかったというのが正直なところでした。
10月には結婚記念日がやってきますが、このブログの焼肉編で登場する肉食獣Tさんとは結婚記念日が同年同日であったと後に知り奇縁を感じております。
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