金次郎、日本橋在住20年で初の〈七福神めぐり〉を実行

昨年は身内の不幸や妻の入院、度重なる家電の不調など大変なものから些末なものまでたくさんの良くないことが発生し、少しだけ気持ちがすり減っておりました。新しい年が始まったこともあり、この流れを刷新すべく、さほど信心深くない金次郎家ではございますが、このエリアに住み始めて20年目にして初の〈日本橋七福神めぐり〉をやってみることにしました。徒歩圏内に集中した神社のみで七福神へのお参りをコンプリートできるのは全国的にも珍しいとのことで、これまでやっていなかった怠慢を反省しつつ、いそいそと妻と共に出かけました。特に推奨の参拝順序が決まっているわけではないようなので、先ずは適当に久松警察署付近の笠間稲荷神社からスタートすることにしました。

日本三大稲荷に数えられる茨城の笠間稲荷の江戸分霊として牧野家下屋敷内に建てられたこの神社には、長寿や幸運、商売繁盛などのご利益が有るとされる寿老人が祀られており、願いをきちんと聞き届けていただけるよう、しっかりと住所氏名を心の中で念じながらお参りいたしました。そこから人形町通りの方に少し歩くと、勝負運、武運、厄除けなどを司るとされる毘沙門天を祀る末廣神社がひっそりと建っており、金次郎の2026年にはあまり勝負の予定が無いので(笑)、とりあえず健康を祈願しておきました。行きつけの喜寿司とかなりご近所なのにこれまで認識できていなかったことにお詫びいたします。少し北に向かって歩いたところの堀留公園のそばに建つ椙森神社は、柳森神社、烏森神社と共に東京三森に名を連ねる由緒正しいお社で、なんと創建から1000年以上経っているそうで、平安時代の風を感じるべく鼻をくんくんさせてみました(笑)。七福神の祭神は恵比寿神で、五穀豊穣や商売繁盛のご利益が有るようで、お米とビジネスについてお願いしておきました。次の茶ノ木神社は、人形町1丁目のお社で、金次郎家と同じ町内にて恐らくうちの氏神様にあたるのだと思います。旧佐倉藩の中屋敷内に建立されて以来、火事での消失を免れることが多く、〈火伏せの神〉として人々の信仰を集めていたそうです。火伏せの他には福徳円満、防災といったご利益が有るとされるこのお社には布袋神が祀られているのですが、この布袋神の合祀は昭和60年とのことで、日本橋七福神コンプリートのための企画ものという印象を禁じ得ません(汗)。5か所目は半蔵門線の駅名にもなっておりご存じの方も多いと思いますが、安産や子授け祈願で戌の日には特に賑わいを見せる水天宮です。九州の久留米藩有馬家が分霊したのが始まりなのだそうで、確かに近所には有馬小学校が有り、蛎殻町エリアは有馬家と所縁が深いのだろうと思われます。七福神としては弁財天が祭られており、ご利益は商売繁盛、学芸成就、芸能、弁論、財運とのことで、安産以外にもこんなにご利益が有ることにやや驚きました。その次は、新大橋通りと甘酒横丁の間のビルの1階の小さなお社である松島神社にお参りしたのですが、この近辺が鎌倉の昔には入り江に浮かぶ松林の島だったことにその名前は由来するのだそうです。なんとここには大黒天以外にも福禄寿と弁財天も祀られていて、一度の参拝で水天宮と小網神社をスキップすることが可能となり、タイパ重視の現代人には公的なワープスポットと言えるかもしれません(笑)。ご利益は、金運、仕事運、五穀豊穣とのことです。そして、トリとなるのがこのブログにも何度も登場している東京有数のパワースポットとしてゲッターズ飯田も認める小網神社です。その評判からか、年始の参拝客は有り得ない数で、1月前半はいつ見ても長蛇の列でとてもお参りできません。うちは近所の地の利を活かしていつも夜遅い時間に参拝するのですが、さすがに列は無いものの、結構遅い時間でもお参りする人は引きも切らずでその人気がうかがえます。神社の入口左側にかわいく置かれている福禄寿様は参拝者に触られまくってつるつるになっていますが、健康長寿、人徳・福徳・財徳の三徳という立派なご利益が期待できるならということで、金次郎だけでなく潔癖症で普通はそういうものを触らない妻でさえもぐりぐりと撫でさすらせていただいておりました。東京銭洗い弁天も祀られており、金運も上がるということで、せっかくご近所ですのでもっともっと通わねばと痛感いたしました。

さて本の紹介です。「テロルの決算」(沢木耕太郎著 文藝春秋)は1960年に日比谷公会堂で発生した、浅沼稲次郎日本社会党委員長暗殺事件について、犯人と被害者の人生が如何にして〈その一瞬〉に交錯するに至ったかの軌跡を鮮やかに描き出したノンフィクション作品です。浅沼の「アメリカ帝国主義は日中共同の敵」という発言が物議を醸し、右翼団体を中心とした激しい反発を招いたことから、事件当初から根強い組織的な謀殺説が取り沙汰されていました。しかしながら、17歳という若さで日本中を震撼させる重大事件を起こした右翼少年・山口二矢の孤独で思うままにならない人生を丁寧に追いかけた沢木先生は、この本の中で説得力の有る〈単独犯説〉を展開し歴史認識に一石を投じています。また、その巨躯、大声、バイタリティ、磊落な雰囲気から人気が高かった浅沼が実は心に抱えていた影の部分を、その複雑な生い立ちを描き、多くの人の証言を通じその人となりを立体的に示すことで浮き彫りにした沢木節の冴えはノンフィクション作家の面目躍如と感じました。

「オリガ・モリソヴナの反語法」(米原万里著 集英社)は、密告や強制収容が横行したスターリン統治下のソ連において人々が味わった耐えがたい苦しみと、そんな時代に必死に抗った女性の姿を描くノンフィクション的歴史小説です。プラハの日本人学校に通っていた語り手の志摩は、大人になってから小学生時代に印象に強く残る教師であったオリガ・モリソヴナの人生を辿り始めます。久々に再会したかつての親友と共にオリガの人生を少しずつ明らかにしていく過程で、魅力的ではあるものの悪態をついたり奇矯な振る舞いをする変人教師と捉えていたオリガの、〈伝説の踊り子〉という意外な一面のみならず、その悲し過ぎる過去を知るに至り、志摩はオリガの人生の途方もない奥行きに圧倒されていきます。あまりに苛烈な現実を〈反語法〉を用いてファンタジーやユーモアに転換し乗り越えようとした、オリガの絶望と健気なまでのひたむきさに触れ、金次郎も圧倒的な感動に浸りきることとなりました。

「図書館の魔女 高い塔の童心」(高田大介著 講談社)は、後に〈高い塔の魔女〉と呼ばれることになるマツリカの幼い頃の才気を、海峡地域の名手〈一ノ谷〉と潜在敵国である〈ニザマ〉の緊迫感溢れる謀略の駆け引きと共に描く本シリーズのスピンオフ的な一冊です。とはいえ、マツリカと〈高い塔の魔法使い〉と称される祖父タイキとの関係や、シリーズの主要登場人物であるハルカゼとマツリカの出会いのエピソードなども描かれておりファン必読の内容だと思います。とにかく、海老饅頭の味が変化したという些細な観測から、国際関係の大きなうねりにまで想像力の翼を広げられるマツリカの洞察の深さには羨望しか有りません。

会社の皆さんと神田明神に新年の参拝をしてきましたが、縁結び、商売繁盛、健康・知恵、勝負運・厄除けとかなりのマルチご利益ぶりで、この1か所で十分だったのではとの不都合な真実に気付いてしまいました(笑)。

読書日記ランキング
読書日記ランキング

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA