金次郎、加齢による記憶力の低下に苦しむ

歳のせいか最近は記憶力の低下が著しく特に人名の思い出せなさぶりには叫びだしたくなるほど悲しくなります。とりわけ苦手な分野である芸能人の名前は本当に出てこず、毎度辛うじてネットで検索せずに思い出すまでにかなりの時間を費やしており、今どきのタイパを考慮してテクノロジーへの依存度を高めるか、喝を入れる意味でも脳みそを搾り続けるか悩ましいところです。ほんの少し前までは覚えていた名前であっても、ふとしたはずみで思い出すきっかけを見失ってしまうとそこからは延々と脳内をさまよう無間地獄となりストレスが溜まります。例えば、妻とあの女優は地味顔界一の美女だよねと話したばかりなのに翌日には既にそれが誰だったか全く思い出せず往生し、有村架純さんに辿り着くのに何十回も川口春奈さんと高畑充希さんが脳内を行き来することとなりました。

同様の現象が頻発しているのが木村カエラさんで、あの瑛太の奥さんの歌手誰だったっけから始まって、シシド・カフカさん、土屋アンナさん、青山テルマさんが30周ぐらいしてからようやく思い出すという惨状です。申し訳ないですが、木村という苗字のありきたりさとカエラという名前の馴染みの無さのバランスが金次郎のシナプスを上手くすり抜ける構造になっているようで、彼女には何度も苦しめられています(汗)。もっと恐ろしいのが、長らく会っていない親戚の名前がかなり朧気になっている点で、年賀状の宛名印刷を妻に丸投げしてしまっていることのバチが当たっているのやもしれません。また、読書家を自称している金次郎ですので、数日前に読んだ本のタイトルが直ぐに思い浮かばない際は絶望的な気分となり、特に年間300冊以上を読むと自慢気に告げた直後に、最近読んだ本について聞かれて即答できない事態のいたたまれなさは本当に地獄です(涙)。しかし、52歳の今こそ脳を刺激してこの右肩下がりトレンドに歯止めをかけないとあっという間に更にまずいことになりそうなので、これからもネットに依存しない生活を心掛けるのみならず、記憶力を高める食生活なども取り入れていかねばと考えております。と言いつつ、早速ネットで〈記憶力〉、〈食品〉と検索すると(笑)、認知症に良い食品、のような項目が多数ヒットして気分が激しく沈みました。しかも、栄養のバランスに気を付ける、塩分や糖分を控える、緑黄色野菜を食べるのような50年前から言われ続けている常識が対策として並んでいて少々落胆しましたが、青魚に含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が効くようなので、やけくそ的にひたすら寿司を食べまくりたいと思います。

さて本の紹介です。「レコンキスタ 「スペイン」を生んだ中世800年の戦争と平和」(黒田祐我著 中央公論新社)は、西ゴート王国が滅ぼされた8世紀以降その全部あるいは一部をイスラム勢力に支配されたイベリア半島を再びキリスト教勢力の手に取り戻すという、簡略化された二項対立の図式で語られがちな〈レコンキスタ〉について、実はそんなにシンプルではないその800年の歴史を解きほぐして解説してある非常に面白い本でした。そもそもこの両勢力の対立は相手を殲滅するような類のものではなく、人頭税ジズヤや封建領主への上納を通じた共存が基本である点すらイメージできておらず、教科書で習う歴史を人々の実際の生活を想像するレベルまで掘り下げきれていないと反省いたしました。また、キリスト教側がカスティーリャ=レオン王国やアラゴン連合王国等の諸勢力に分かれており、必ずしも〈スペイン〉という明確な塊が存在していたわけではなかったのと同様に、イスラム側も後ウマイア朝からムラービト朝、ムワッヒド朝、ナスル朝と支配者層が移り変わるプロセスにおいて全く一枚岩ではなく、寧ろ激しい内部抗争が繰り広げられていたとの事実にリアリティを感じました。敵の敵は味方ということで、キリスト教側とイスラム教側で宗教の枠を越えた同盟関係が結ばれることも日常茶飯事であったというのも歴史認識をがらりと変えてくれる情報で非常に興味深かったです。これに加え、ユダヤ教徒、ユダヤ教からキリスト教に改宗したグループ、キリスト教からイスラム教に改宗したグループなどが入り乱れて相争うという正に複雑怪奇でモザイク的な社会が形成されていたというのが実態で、二項対立のような極度の単純化は確かに分かり易いものの実態とはかけ離れたフェイクにすらなり得るという危険性に改めて気付かされた読書体験となりました。

最近はまっている江戸川乱歩賞作乱読の一環で「誘拐児」(翔田寛著 講談社)を読んでみました。終戦直後の東京で5歳の男児が誘拐され、闇屋が立ち並ぶ有楽町カストリ横丁でまんまと身代金を奪われ迷宮入りした事件から15年、新たな殺人事件をきっかけに再び封印された誘拐事件が動き出すという展開のクライムミステリーでした。物語の筋とは関係無いのですが、現代から見ると、舞台となっている昭和21年も昭和36年も〈戦後〉と一括りにしてしまいがちですが、結構違う世相や人々の雰囲気がきちんと描き分けられていて著者の筆力を感じました。読んでいるうちに事件の構造や真犯人はうっすらとは予見できるものの、細部の辻褄が上手く合わせられず全体像を把握しきれぬうちに怒涛の終盤になだれ込む展開で、最後はしてやられたという思いと謎が解けた爽快感が混ざり合う良質のミステリーらしい読後感を堪能できました。

「誘拐児」が面白かったので、翔田先生最新刊の「二人の誘拐者」(同 小学館)も続けて読了いたしました。翔田先生は誘拐ものを得意とする社会派ミステリー作家のようで、本作でも10年前に誘拐された女児の白骨遺体が見つかるところから物語が始まります。ネットで話題となった少女のすすり泣きが聞こえるという心霊スポットの廃村で実際に遺体が発見されたことへの違和感を契機に、半ば迷宮入りしてしまっていた過去の事件を地道な捜査で掘り起こす日下警部補をはじめとした静岡中央署の刑事達の姿が渋すぎて泣けました(笑)。本作では、臓器移植を待つレシピエントとその家族の焦燥感が日本の臓器移植システムの複雑過ぎる実情と共に描かれており、社会派の面目躍如というところかと思います。誘拐事件の成功率が極めて低いのは、最近では防犯カメラの充実も寄与していますが、とにかく今も昔も身代金の受け渡しの難易度が非常に高いというのが最大の要因であるのに対し、この2作は警察の裏をかいた犯人のたくらみが見事に決まりまんまと身代金は奪われてしまう展開で、謎解きよりも何よりもこの受け渡しのアイデアが素晴らしい!と言ってしまうと褒めていないことになってしまうのでしょうか(笑)。

先日うかがった金次郎の心のオアシス寿司店である兼定が去る11月11日で40周年を迎えられたそうです!大変おめでとうございます!77歳でまだまだ元気な大将は「あと10年は絶対続ける」と仰っておられましたので、心身共に健康なうちに50周年を祝うべく青魚を注文しまくりたいと思います。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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