アリマンタシォン・クシュタールって何?今年一番の衝撃ニュースに金次郎夫妻呆然

セブン&アイ・ホールディングスがカナダに本社を置きサークルKブランドなどで世界各国でコンビニやガソリンスタンドを手掛けるアリマンタシォン・クシュタール社から買収提案を受けたというニュースはなかなかに衝撃的でした。このアナウンサー泣かせの社名ですが、アリマンタシォンは食品、クシュタールは夜更かしを意味するとのことでコンビニのイメージにぴったりで感心いたしました。買収報道後もセブン&アイ・ホールディングスでは不振のスーパー部門の中核であるイトーヨーカドーの売却や、セブン-イレブン・コーポレーションへの社名変更など大きな発表が相次ぐ中、恐らくこれら一連の流れの影響と思われる同社の方針が、金次郎家にシンガポールから帰国して以来最大の危機をもたらすこととなりました。

その突然のニュースの我が家にとってのインパクトは、金次郎のコロナ初感染やスマホへの買い換えをあっさり抜き去って今年の重大事件のトップに躍り出る威力で、金次郎夫妻の身体の組成が入れ替わってしまうほどの深刻な問題となりました。その事件とは、イトーヨーカドーのネットスーパーからの撤退です。近所に品揃えの充実した利便性の高いスーパーに恵まれておらず、夫婦揃って車の運転もしない金次郎家にとって、ヨーカドーのデリバリーは10年以上の長きに亘り正に生活に欠かせない大動脈となっており、同様のサービスを提供しているイオンやAmazonあるいは生協と比較しても品揃えの豊富さは勿論、注文変更のフレキシビリティーや細かいデリバリー時間の設定が可能などその使い勝手の良さは群を抜いた存在でした。そんな便利さに甘えているうちに、我が家の日用品や夫婦で日常的に食べている食料品の9割はヨーカドー様に持ってきていただいている状況となり、我々の身体はヨーカドーネットスーパー製品でできていると言っても全く過言ではありません。通常時は勿論ですが、コロナ禍や妻の股関節痛期間には文字通り我々の命を繋ぎ救ってくれたこのサービスが失われることは、大赤字事業でビジネス的にやむを得ない判断であるという事情は分かりつつも、何とかならないものかとついつい考えてしまいます。調味料やドレッシングを見る度にこれもヨーカドー、野菜や果物を食べていてもこれもヨーカドー、お惣菜や大好きな生春巻きもあれもこれもヨーカドーと溜息しか出ず、これらを定期的に最寄りのイトーヨーカドー木場店まで買いに行くなんて考えられないとヨーカドーネットスーパーロスに苦しむ妻の落胆ぶりを見るに来年2月末のサービス終了までに適当な代替策を構築できるのか非常に不安な状況です。

さて本の紹介です。「二月二十六日のサクリファイス」(谷津矢車著 PHP研究所)は2・26事件に関与したとして拘束された山口一太郎大尉の取り調べを任じられた憲兵の林逸平が、何故だか首を突っ込んできた戒厳司令部参謀石原莞爾の支援を得つつ二重三重に入り組んだ事件の深奥に迫りその背後に潜む陰謀を明らかにしていくストーリーになっています。橋本欣五郎を中心とした桜会の策動による三月事件、十月事件から皇道派と統制派の抗争と続き実際のクーデター未遂に至る流れが様々な登場人物の視点で描かれており、この本を読むことで事件の全貌をある程度立体的に捉えることができると思います。カジュアルで分かり易い記述が心がけられていてリーダビリティも高く面白いのは間違い無いのですが、やはり以前このブログでも紹介した松本清張先生の「昭和史発掘」の2・26事件の描写が素晴らしいという感想に改めて立ち戻る結果になったのもまた事実ではありました。

「雷と走る」(千早茜著 河出書房新社)は父親の仕事の都合でアフリカで暮らすことになった小学生のまどかが、番犬として譲り受けてきたローデシアン・リッジバックの犬たちと暮らす中でとりわけ稲妻のような模様を持つ〈虎〉と心を通わせていくお話です。人類と共に歩んできたその歴史が犬という種に宿命付けることとなった野性と忠誠の相克を、まだ幼いまどかに受け入れさせようとし選択を迫った父親は人間の身勝手の象徴のようでもありましたが、まどかが抱えることになった喪失はあまりにも大きく救いが無いと感じました。金次郎は犬を飼ったことが無いのでぜひ犬好きの方の感想をうかがってみたい一冊でした。

大型犬繋がりということで「凍える牙」(乃南アサ著 新潮社)も紹介しておきたいと思います。第115回直木賞受賞作である本作は、深夜のファミレスで突如人間が炎上するという奇怪な事件と天王洲で噛み殺されたかのような男の死体が見つかるという非日常的な事件が微妙に絡み合いながら展開していくサスペンス仕立ての小説です。そんなストーリーに狼と犬のミックスであるウルフドッグという希少種が関係してくるわけですが、その気高さや飼い主への忠誠、またずば抜けた運動能力には大いに興味を惹かれました。正直謎解きの部分は展開がもたもたしたり流れが不自然であったりと粗が目立つものの、当時は男社会の警察組織で肩身の狭い存在であった女性警察官の内面や差別に立ち向かう芯の強さのみならず、彼女の相棒となった超昭和なコンサバ刑事がそんな〈異物〉を仲間として受容するまでの葛藤を丁寧に描いた点が評価されての受賞であったと思われます。確かにヒロインの音道貴子はクールでかっこ良く、本作が複数回ドラマ化されているというのも頷けます。

乃南作品では近刊の「マザー」(講談社)が家族に縛られる〈母〉をテーマに5つの家庭崩壊を衝撃的に描いた短編集で面白かったです。「凍える牙」では伝統的価値観に悩みながらも毅然と立ち向かう女性が描かれていたのに対し、本作ではそんな伝統的価値観に従った結果として行き着いた先に待ち受ける破綻が鮮烈に描かれていて対照的です。そうした破綻を描くことで、〈立ち向かう〉ことすら不要であるばかりか有害ですらあるとして呪縛に苦しむ世の母親にエールを送るというこの30年の社会の変化を映し出す内容となっていて興味深いと感じました。5作の短編の中では、ありがちな話ではありますが、〈ちびまる子〉的な昭和のステレオタイプとされる家族像がいとも簡単に崩壊する「セメタリー」は思わず自分の実家の実態を検証しそうになる怖い作品でした(汗)。

季節の果物をひたすら食べ続けている金次郎ですが、大好きな梨はもう季節が終わったかなと落胆する度に新たな品種が次から次へと店頭に並ぶので諦めていた分嬉しさもひとしおです。また、品種毎にそれぞれジューシーさ、甘さ、食感など特徴が有って非常に楽しめる果物で改めて好きだなと感じております。今週は新美月という品種を食べてみて美味しかったですが、季節が進んでいるせいかやや林檎寄りの味わいでした。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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