2019年の12月に軽い気持ちで始めたこのブログですが、気付けばなんと丸5年も続いてしまっておりました。その間コロナ禍期間を挟んだり、会社では2度の異動を経験したりとそれなりに変化は有ったものの、金次郎(2024年6月)、その妻(同11月)がそれぞれコロナで倒れた週以外は基本毎週1回のペースを守って投稿し続けられたことはほぼ奇跡と我ながら感心しております。今後も出張に行ったり、寄る年波で体調を崩したりと困難に見舞われるとは思いますが(汗)、楽しみに読んで下さっている読者の皆さんの期待に応えるためにも頑張って書き続けたいと思いますので応援よろしくお願いします!まぁ、出張に行ったり病気になったりするとネタが増えて実はブログにとってはプラスだったりもするのですが(笑)。さて、5年間でだいぶ投稿の数も増えてきておりますので、今回はビュー数の多い上位20投稿を一挙公開することといたします。古い記事の方がビューが多いのは当たり前ではあるのですが、以下の上位投稿のかなりの部分が最初期である2020年に書いたものになっていて、歳を重ねているにもかかわらず今一つ進化できていない自分が少し悲しいです(涙)。投稿したそばからどかんと読んでもらえるような面白い内容とすべく来年は更にインプットのバラエティを増やしていきたいと思います。
第20位:「面白いほどわかる たんぱく質の新常識」を読み、たんぱく質について学び直す(2023年6月2日)
第19位:【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2022順位予想対決!(2022年4月3日)
第18位:〈軟禁生活〉を軽やかにやり過ごす「モスクワの伯爵」に感銘を受ける(2020年4月30日)
第17位:〈板垣死すとも自由は死せず〉の嘘!(2020年10月26日)
第16位:期待通り面白かった染井為人先生の「正体」を紹介!(2020年12月8日)
第15位:いつの間にか読書の秋が始まり、慌てて文学女子に本を紹介(2020年9月22日)
第14位:金次郎、福岡県出身のブレイディ・ミカコ先輩を再認識+30年前の思い出を語る(2021年1月13日)
第13位:金次郎、本の紹介を頼まれる+2019年4~5月ふりかえり(2020年1月23日)
第12位:「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング著)は「ハエ男の恐怖」とは違った!、そして「危機と人類」(ジャレド・ダイアモンド著)を読了(2020年5月22日)
第11位:金次郎、本の紹介を頼まれてないけどまた紹介+直木賞作「熱源」を読了!(2020年3月14日)
第10位:ダイヤモンドプリンセスは呪われているのか?(2020年2月21日)
第9位:【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2021順位予想対決!(2021年4月6日)
第8位:クリスマス前の洋菓子と言えばシュトーレンで決まり!(2023年12月2日)
第7位:金次郎、中学生になった文学女子への本の紹介に挑戦(2020年6月30日)
第6位:アメリカで500万部売れた「ザリガニの鳴くところ」を読む(2020年4月21日)
第5位:金次郎と宿敵Mによる本屋大賞2020予想対決!(2020年4月1日)
第4位:「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~前編(2020年4月12日)
第3位:金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む(2020年4月26日)
第2位:コロナの時代にカミュの「ペスト」とデフォーの「ペストの記憶」を読む(2020年4月6日)
第1位:「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~後編(2020年4月14日)
いかがだったでしょうか?ずっと1位を独走してきた「ペスト」が遂にその座を明け渡し、「興亡の世界史」がトップに立つというのは、我々がコロナを克服したことの証左である一方で、中東の混乱やトランプ新政権誕生等に象徴される地政学リスクの高まりの中で、改めて歴史に学び大局的な視座から世界を見つめ直そうという意識の表れではないかと感じております。というのは嘘で、このシリーズを全巻読破した上に全ての感想を書いている奇特な人がほぼいないために、日本のどこかの大学のニッチなゼミ等で1位の後編と4位に入った前編とセットで回し読みされているだけではないかと思います(笑)。しかし、このタイトルだけ眺めてみても、「正体」、「ザリガニの鳴くところ」、「ダイヤモンドプリンセス」は様々な形で映画化されており、手前味噌ですがいいところに目を付けているなと自画自賛です(笑)。
さて本の紹介です。「愚か者の石」(河崎秋子著 小学館)は北海道の樺戸集治監に国事犯として収監された瀬戸内巽が、獄中での自由の無さや懲役の厳しい労働に加え、後に移送された道東・標茶の釧路集治監での硫黄採掘という過酷な労役を耐えどうにか生き延びる中で、若さゆえの自己中心的な思考から少しずつ脱却し、仮釈放を経て内省的な視点を獲得するまでの10数年を描いた監獄小説です。獄中という極限状態にあっても筋金入りのほら吹きである同房の山本や、厳格な看守の中田の言動には信念や矜持の片鱗が垣間見え、それらが囚人同士あるいは囚人と看守という心を許し合えるわけではない関係の中でさえ、少しずつ巽の意識を変容させていく様が見事に描かれており、流石は直木賞作家の筆力と感嘆いたしました。いい加減でふざけてばかりの山本はある日突然火事のどさくさに紛れて姿を消すのですが、仮釈放後にふとしたきっかけで中田と共に山本の行方を捜すことになった巽は、彼の過去と彼が唯一大切にしていた石の由来を知るに至り、山本が背負っていた大きな闇と絶望を認識することになります。作中での巽のみならず読み手である我々の心にも、山本のちゃらんぽらんで無気力と思われた言動の一つ一つに込められた意味がじわりと沁みてきて胸の中がどうしようもない感情で満たされます。そんな茫然とする読後感を経て、生きるということの持つ重さや、生きることそのものが内包する業についても改めて考えさせられる素晴らしい内容でした。
「アーモンド」(ソン・ウォンピョン著 祥伝社)は本屋大賞2020の翻訳作品賞を取った作品で、扁桃体(アーモンド)の発育不全から他人に共感することができず感情を持てない少年ユンジェの物語です。家族を失い、学校ではその性格故にいじめられながらも、自らの感情の形を追求する徹底的な内省と、心に闇を抱えたもう一人の〈怪物〉であるゴニとの出会いを通じユンジェが少しずつ変わっていく姿にはかなり心が動かされました。作中にフロムの「愛するということ」が出てきますが、正に愛とは愛するという行動そのものであり、能書きや理屈でなく、相手を思いやり理解しようとする思いの発露としての行動こそが人の心を動かすのだと深く思い知らされる作品でした。一方、作中で描かれる学校でのいじめの様子は日本でも韓国でも大差無く、意地悪が国境を越えている事実に悲しくなりました。本書のテーマである〈共感の欠如〉が韓国では社会問題化しているとのことで、少子化や格差社会等の課題という意味では韓国は日本の先を行っており、我々もこの〈共感の欠如〉にいずれ向き合わねばならないのかと陰鬱な気分にもなりました。
「ミスター・チームリーダー」(石田夏穂著 新潮社)は非常にストイックなボディビルダーである主人公の後藤が、大会で良い結果を出そうと、見えない相手と自らの肉体とのイメージ比較を繰り返し、全力で過酷な減量に取り組むうちに次第に周囲の状況が見えなくなっていく様子をコミカルにそしてシリアスに描く内容です。管理職として自らが率いる組織の仲間に対し、時間やカロリー摂取にルーズな部下を組織にとって不要な脂肪と断じ、自身の体脂肪率の低下とシンクロさせるかのように組織から切り捨てていく姿は大真面目であるが故に滑稽ですらあります。日々の生活や接待の場でのカロリー摂取をコントロールしようとする後藤の涙ぐましい努力には、ダイエット継続中の金次郎として共感できる部分も多々有りますが、一方で美学というものの周りを見えなくさせる魔力にはよくよく注意せねばと肝に銘じるきっかけとなった一冊でした。
年始には恒例となっております、2024年に読まれた投稿ランキングも発表いたしますのでそちらもぜひご覧いただければと思います!
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