今年も1年間アフター4読書を読んでいただきましてどうも有難うございました。あっという間に過ぎたとの感覚ですが、振り返るとコロナ罹患有り、異動有り、フランスでエレベーターに閉じ込められる事件有り、高級メロン食べまくり有り、ガラケーからの卒業で読書の幅が広がったりなど、それなりに心に残る出来事の多い退屈しない1年を過ごせたことは中年としては幸せなことなのだろうと感じております。ただ、このブログを継続するために、日々発生するどうでもいいことを針小棒大に論っているだけのような気もしますが(笑)。12月に入って、色々な部署の忘年会に呼んでいただき大いに楽しませてもらいました。
どの部署でもお店ときっかり2時間という取り決めになっているようで、5分間ご歓談をお願いしますのような詰め詰めのスケジュールになる場合が多いのですが、そんな制約が有りながらも幹事や進行を担当されている若手の皆さんが極めて高い忘年会運営力を発揮されていることにとても感動いたしました。時代の流れと共に、誰かをいじる、個人情報を暴露する、困ったら直ぐに脱ごうとする、食べ物を粗末にする、などの前世紀の定番であった宴会ネタが絶滅する中にあっても、色々な工夫を凝らして、良識の範囲をしっかり保ちながら面白くて楽しめる企画を案出されている皆さんは本当に凄いと思いました。事前の録画や組織内でのアンケートなど、しっかりとしたプロジェクトマネジメント能力無しには成立しない企画ばかりで、仕事にも活かせる経験になるのだろうなと感じたり、MBTI診断結果を絡めたクイズなど最近の話題も取り入れられていてアンテナの高さにも感服いたしました。そんな優秀な若者を見ていると、どうしても30年前のダメな自分と比較して悲しい気持ちになってしまいますが、ダメな例として金次郎の新人時代に同じ部署に配属された同期5人がゲームで勝負し、その結果を参加者の皆さんに予想してもらうという企画をやったことを思い出しました。我々5人が、生のにんじん1本、大盛のマシュマロ1皿、青汁1リットルを完食する速さを競うという単純なゲームでしたが、きちんと準備やテストをせずいい加減に臨んでしまったために、最初の関門であった生にんじん1本がそのあまりの固さ故に完食のハードルが高すぎて直ぐには誰も食べ切れず、ゲームが有り得ない程間延びして死にそうになった記憶が蘇りました。正に歯が立たないとはこのことで、生のにんじんをたやすく丸かじりする馬やうさぎは凄いと変に感心したのを覚えています。その他にも、自分が企画する側に回った際に、思い付きの面白半分で生きているうなぎをバトンにしたチーム対抗リレーをやったのですが、うなぎは本当にぬるぬるで激しく動く上に意外と力強く、全く掴むことすらままならぬうちにうなぎが床を這い回り始めて会場全体がパニックになる大惨事を引き起こしたことをこれを書きながら思い出しました。当時はまだ面白ければ何でも有り、という風潮でしたのでそんなことも許されましたが(許されてないかも)、時代の移ろいを感じずにはいられない今日この頃です(笑)。
さて本の紹介です。「法廷占拠 爆弾2」(呉勝浩著 講談社)は、前作の「爆弾」で掴みどころが無く気持ち悪いのに目が離せない不気味キャラとして注目されたスズキタゴサクが引き起こした連続爆破事件を裁く法廷が舞台のサスペンスです。法廷内の100人を人質にして立てこもりその様子を生配信する青年と、組織の威信をかけてこの籠城事件を解決しようとする警察の緊迫したやり取りにタゴサクのぬらぬらとした合いの手が入るというおぞましい展開でその予測不能さに全く目が離せません。実際は処罰感情も含め各人各様である筈の連続爆破事件の被害者遺族を、ともすれば「身内を殺された人々」という分類で安易に括ってしまうことがいかに現実と乖離しているかについて、呉先生の一人一人を際立たせる巧みなストーリーテリングを通じて改めて認識させられ、〈罪と罰〉について考えさせられる内容でもありました。しかし、単なる不気味な〈無敵の人〉であったスズキタゴサクの存在感がどんどん高まって信者まで表れている状況にそこはかとない危惧を覚えつつ、とにかく早く続編を書いていただきたいという気持ちでいっぱいになる読後感でした。
「奇岩館の殺人」(高野結史著 宝島社)は大変に凝ったプロットの妙を堪能できる新感覚ミステリーで非常に面白かったです。ミステリーは上質であればあるほど感想が書きにくいという難しさにいつも悩まされますが、本作は正にそんな作品でした。ある目的を持って孤島に立つ奇岩館にやってきた日雇い労働者の佐藤は、「注文の多い料理店」ばりに制約を課される〈割のいいバイト〉に精を出しますが、そんな折に古典ミステリーに見立てたと思われる殺人事件が発生します。佐藤の卓越した推理力も含めたキャラ設定の根拠がやや弱いような気はしますが、そんなことはご愛嬌と思える程に、騙し絵を見せられていたかのような読後感を堪能できる秀作でしたのでミステリー好きの方にはおすすめの一冊だと思います。
「恐怖を失った男」(M・W・クレイヴン著 早川書房)は元連邦保安官のベンが行方不明となっているかつての上司の娘を探すというミッションを与えられ、とある事情で身に着けた様々な戦闘能力を活用しながら情け無用のやり方で手がかりを追っていくうちに、非常にスケールの大きな謎の真相にどんどん迫っていくというクライムサスペンスです。タイトル通り脳機能の問題で恐怖を全く感じないというベンの特質が生み出すシチュエーションが、恐怖を感じずにはいられない我々読者を耐え難い緊迫感に晒し続ける構造がこれまでのサスペンスとは一線を画していて特徴的です。結構グロいバイオレンス描写が多く読むのが辛いという方もいらっしゃるかもしれませんが、金次郎は大量の読書の果てにそれこそ感覚が麻痺してしまっており、圧巻のアクションシーンを大いに堪能いたしました。アメリカ南部に広がる広大な砂漠地帯の雰囲気も殺伐とした物語のテイストによく合っていますし、敵役の〈黄色のスーツの男〉も含めキャラの立った登場人物や、終盤明らかになる真相の意外性など全体的に完成度の高い作品だと思います。
会社で新年のメッセージを書いてくれと言われ、色々考えてようやく2025が45の2乗であることに気付けたものの、これをメッセージに落とし込むことができず採用を断念、昭和100年にあたるというのもありきたりで昭和の宴会ネタのような不適切な連想しか浮かばずこちらも断念いたしました。結局エッジの無い内容になってしまいましたが、会社の皆さん、つまらぬ奴とお見限り無く、引き続きのお付き合いをよろしくお願いいたします(笑)。
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