金次郎、アニメ「葬送のフリーレン」を熱く語る

金次郎夫婦はテレビドラマのみならずアニメも結構観ておりまして、最近では「呪術廻戦」や「SPY×FAMILY」などのメジャーどころを録画して楽しんでおりました。1月スタートの冬アニメは秋アニメから続いている「薬屋のひとりごと」や、待ちに待った「キングダム」の新シリーズを堪能しているところです。しかし、今我々の中でとにかく熱い作品は少し前のブログでも書いた「葬送のフリーレン」で、毎週金曜日の放送を楽しみに待ってしまう始末で情けないですがそのエモさ故にどうしようも有りません。超人気作品なのでご存知の方も多いとは思いますが、魔族が跋扈する中世ヨーロッパ的な世界を舞台にしたファンタジーで、基本的には仲間と共に旅をするロードストーリーなのですが、その面白さを伝えつつ内容を簡単にまとめるのが非常に難しい、とにかくその世界観に触れないと良さが実感できない作品だと思います。

下手くそな整理で作品世界の美観を棄損することを恐れず無理矢理説明すると、見た目は少女なのに実は1000年以上生きている長命種エルフのフリーレンは100年近い昔に魔王を倒したパーティの一員で、史上最も魔族を倒した存在として〈葬送〉の二つ名を持つ凄腕の魔法使いなのですが、彼女がかつて共に戦った勇者ヒンメルの死に際し感じた、彼のことを何一つ理解していなかったとの後悔から、人間と言うものを探求しつつ彼との思い出を辿り、その魂との再会を目指し旅をするという内容です。寿命が極端に長いエルフの視点を導入することで、フリーレンの回想場面を通じて何世代にも亘る時間軸を自由に行き来することが可能となり、かつて旅した道程を現在の仲間との旅でなぞりながらヒンメルの内面に思いを馳せ、その理解を深めていくプロセスに多くの感動ポイントが埋め込まれているという大変唸らされるプロットになっています。しかも現代においては本来魔法使いでリーダータイプでないフリーレンが、魔法使いフェルンと戦士シュタルクを従える不慣れなリーダーすなわち勇者ヒンメルのポジションで旅をしているという設定が上述の共感を通じた理解に深みとリアリティを与えているのみならず、ずぼらなフリーレンの性格と勇者という役割のギャップから生じるおかしみという魅力も加わりエモさの加速度的な膨張に繋がっていると思います。ヒンメルをはじめかつての仲間である戦士アイゼンや僧侶ハイターの魅力的なキャラは勿論、フリーレンの底知れぬ魔力のオープンエンドな潜在性も1000年を生きて尚内面的な成長を示す可塑性もいいのですが、何よりエルフと人間との寿命の差故に運命づけられた現在の仲間との別れが〈葬送〉という二つ名のもう一つの含意によって常に想起させられる点が、観る側の気持ちにそこはかとない陰影を刻むサブリミナルな効果を生み、感情のひだを刺激され続けるというエモさの源泉になっていて憎いです。miletさんのエンディングテーマである♪Anytime Anywhereが作品の世界観とマッチしていてこの曲が脳内で繰り返される間ずっとその余韻が響き続けることに加え、「SPY×FAMILY」で元気で可愛いアーニャ役を好演されている種﨑敦美さんの、アーニャと同一人物とは信じられない淡々とした心に染み入るフリーレンの声が本当に素晴らしい。

読書ブログとは思えぬアニメ絶賛の内容となってしまいましたが、本の紹介もいたします。金次郎の大好きなミステリー作家である井上真偽先生の「アリアドネの声」(幻冬舎)は、事故で兄を亡くし、その責任を感じ自分を責め続けるハルオが、誰かを助けられればと習得した災害救助ドローンの操縦術を駆使し、大地震で地下の施設に閉じ込められた被災者を救おうと知力と技術の限りを尽くすというストーリーを軸に、著者お得意のサスペンスミステリー的な味付けが加わった新感覚の作品でした。この話の凄いところは、地下で救助を待つ被災者が目も見えず耳も聞こえないというハンデを抱えた女性で、最新技術と想像力をフル活用して彼女を遠隔操作のドローンで何とか安全地帯まで誘導するという一見不可能なタスクに挑戦するところです。勿論手に汗握るスリリングな展開もさることながら、巧みな伏線とその回収、最終盤のどんでん返しも最高のクオリティで満足いただけること請け合いのお薦め作品でした。続けて井上作品ですが、「ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編」(小学館)と「ぎんなみ商店街の事件簿 Sister編」(同)は、昔ながらの商店街に住む四兄弟探偵(Brother)と三姉妹探偵(Sister)が次々と発生する3つの事件をそれぞれの視点で別々に捜査し、双方が筋の通った推理を組み立てながらも異なった結論に辿り着くという読み比べmustの斬新なミステリー作品です。時間軸も舞台もその他登場人物も完全に共通な上に、兄弟と姉妹の間に事件の推理とは無関係の交流が有ったりもするという、とてつもなく精緻な設計図を必要とするこんな作品を生み出せる井上先生の才能は本当に凄いと感嘆いたしました。

「八月の御所グラウンド」(万城目学著 文藝春秋)は京都を舞台にしたじんわり切なくて感動する2編の短編を収めた作品です。「十二月の都大路上下ル(カケル)」は全国高校女子駅伝にピンチランナーとして出場することになった途方も無く方向オンチな女子陸上部員のお話で、チームメイトやライバル選手との青春っぽい交流が何とも言えず沁みる内容でした。短い紙幅の中で多くのキャラを瑞々しく描き分け、起承転結のしっかりしたストーリーを紡ぎだす著者の筆力を見せつけられる思いで読みました。表題作は、今ここにいる筈の無い人が存在するというファンタジーなのですが、八月と言えば思い浮かぶ終戦やお盆という日本人の精神の原風景に触れてくる内容なので、想定外にリアリティを感じさせられ不覚にも強く感動してしまいました。主人公の空っぽだった心に情熱の火が灯るベタな青春ぶりにすんなりと感情移入させられる筆力はシンプルに凄いと思いました。と丁度絶賛しているところに本作の直木賞受賞のニュースが飛び込んできました。万城目先生おめでとうございます!

「江戸が東京になった日 明治二年の東京遷都」(佐々木克著 講談社)では、幕末から明治維新に至る混乱の中で、京都から江戸(東京と改称)へどのような関係者の思惑とプロセスで事実上の遷都が実行されたのかについて詳説されていて非常に面白かったです。大阪遷都というのもかなり現実的な案として検討されていたというのは話には聞いていましたが詳細が分かり知的好奇心が充たされました。大久保、岩倉といった維新の元勲が千年の都である京都やそこに住まう人々にできる限りの配慮をしつつも、革新・改革を第一目標に伝統的慣習やそれを支える公家層とはかなりドラスティックに折り合いを付けながらなし崩し的に政治の中心を東京に移した様子が臨場感を伴って実感される内容でした。最初は明治天皇が京都と東京を行き来する計画であったものが費用と手間の莫大さ故に断念されていたり、その移動が陸路であるべきか海路であるべきかで議論が戦わされていたりという話は古式ゆかしく興味深かったですし、何故東京を首都とすることがどこにも明文化されていないのかという謎についても一定の解が与えられているのですっきりした気分になりました。しかし、幕府崩壊から事実上の東京遷都確定までの間は殆どの武士が領国に戻ってしまったために、当時世界一の人口を誇る都市であった江戸の町が極めて短期間で廃れてしまっていたという話にはぞっとさせられました。

前回のブログで洋書を英語原文で読了するという目標を立てましたので、ちょっと調子に乗ってスコット・フィッツジェラルドの「The Great Gatsby」を読み始めたのですが、最初の1ページから全く読み進むことができず途方に暮れております(涙)。もっと子供向けの本にすれば良かった。。。どうなることやら。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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