この度、「え?まだガラケー?」という好奇の視線に晒されながら15年以上に亘り慣れ親しんできたプライベート携帯をスマホに買い替えるという一大決心をいたしました。近々海外出張に行く可能性が出てきた中、あまりに低機能なガラケーでは様々な状況に対応できない懸念が有るというのが決心の背景でしたが、環境変化に対応できないダメ中年としてはかなりの勇気が必要な決断でした。ドコモショップの店員さんに、〈折り畳み式携帯〉と丁寧かつリスペクトフルな呼称で呼ばれたガラケーですが、よくぞ壊れることもなく長い間機能し続けてくれたものだと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
しかし、世の中には上には上の強者がいるもので、ドコモショップで隣のブースにいたおばあさんは、不調となったガラケーの修理のためにやって来ていたようですが、店員さんから「あまりに多くの部分が壊れてしまっており電話として機能していることがもはや奇跡」と最上級の表現で買い替えを提案されたにも関わらず、特段気に留める様子も買い替えを検討するポーズも無いままにすっと席を立たれた姿に腹の座ったガラケー愛を感じ、完全に負けたと思いました(笑)。会社の携帯電話は既にスマホとなっており、純粋に初スマホというわけではないのですが、やはりプライベート携帯がスマホになると当たり前ですがこれまでできなかったことがたくさんできるようになり非常に嬉しい気分になりました。最近増えている音楽ライブなどのイベントで電子チケットのみ対応のものにも参加できますし、ガラパゴス島民丸出しでお恥ずかしいのですが生まれて初めてLINEを使い妻にメッセージを送って現代人の気分を味わってみたりいたしました。また、読書効率の良いオーディオブックを空き時間に自在に聞けるようになったのも重要な変化で、今後は電車での移動時や会社で飲み会前に時間調整している際などにも読書ができるようになり、仕事が変わって少し忙しくなりこれまでのようには本が読めなくなっていたストレスにも対処できて良いことだらけです。また、電車の中で高校生ぐらいの男子たちが口々に俺のギガ、お前のギガと言い合っていた状況も実感を伴って理解できるようになり、やはり変化することで自分の世界を拡げることができるのだなと改めて感じた次第です。ただ、勿論プラスが有ればマイナスも有り、薄々知ってはいたものの、実際にiPhone15のお値段を聞いてみると信じられない程高額で驚愕いたしました。基本料金もそれなりに上がってしまうので家計のシェイプアップは必須なのですが、ずぼらな我が家は金次郎がドコモ、妻がau、家のネットはソフトバンクと見事な三食だんごになっており、ドコモショップの店員さんからも、それはちょっと・・・(無駄ですね)と憐みの視線を投げかけられとぼとぼと家路に着きました。
さて本の紹介です。Netflixでドラマ化されて話題の「地面師たち」(新庄耕著 集英社)は巧妙な詐欺の手口で赤の他人の土地の売却話を持ち掛け、その代金をまんまと詐取する地面師たちの暗躍を描いたクライムサスペンスです。自らの父親が起こした放火無理心中により母親と妻子を失って感情と生きる意味を喪失した辻本は、たまたま出会った詐欺師ハリソン山中の徹底的な自己中パワーの磁力に引き寄せられ、流されるままに仲間になります。様々な理由で土地が欲しくてたまらない買い手の弱みに好条件を提示してつけ込み、なりすまし役をオーナーに見せかける訓練やノウハウと法令を知り尽くした文書偽造の技でまんまと土地代金をせしめる手際には隙が無く、金次郎は土地は持っておりませんがこんなやり口で仕掛けられたら普通に騙されるだろうなと思い少し怖くなりました。Netflixのドラマを観た家業が不動産屋という友人も身につまされる気分になったそうです。不動産取引は現物の移動を伴う売買ができないので、どうしても権利の売買が先行することになり、書類が巧妙に偽造されてしまうとひとたまりもない構造になっているところを巧みに突いてくる地面師たちですが、そのグループの中でも〈情報屋〉、〈手配師〉、〈法律屋〉、〈交渉役〉に加え、全体の絵を描く〈プロデューサー〉に偽造担当・デジタル担当と役割分担がしっかりできていてそれぞれがプロフェッショナルとして機能しているのがたちが悪いところです。ドラマ版では圧倒的に胡散臭く狂気を秘めたハリソン山中をトヨエツが、土地所有者になりすます役回りの人選を担うクセの強い麗子を小池栄子が演じるなど、個性豊かなガチ悪人である詐欺師の面々を実力派豪華俳優陣が熱演しているそうなので、観なくてはならないと言うか先ずはNetflixに入会せねばと強く感じました。
「兎は薄氷に駆ける」(貴志祐介著 毎日新聞出版)は人質司法の悪用から自白の強要そして冤罪へと繋がる警察及び検察制度の課題に鋭く切り込みながら、正に薄氷を踏むような繊細さで張り巡らされた伏線の妙が素晴らしい秀作ミステリーです。物語はネオクラシックカー愛好家が一酸化炭素中毒で死亡した事件の容疑者としてその甥が不当とも思える形で逮捕されるところから始まります。その捜査から裁判に至る過程で容疑者の父親が殺人の罪で有罪となった15年前の事件が絡んでくる展開となり、途中若干くどいものの基本的には先が読めないが故にどんどん読まされページをめくる手が止まりません。未だに本作で語られるような暴力的な取り調べが行われているとは思いませんが、心の弱い金次郎はやっていなくてもすぐに取調官の描いたストーリーを認めて「すみません、やりました」と言ってしまいそうなので、とにかく警察のご厄介にはならないよう最大限の注意を払おうと先ずはタクシーでシートベルトをきちんと締めるところから始めております(笑)。
「渚のリーチ!」(黒沢咲著 河出書房新社)はプロ雀士であり〈強気のビーナス〉や〈お嬢〉の通り名で知られる著者をモデルにした麻雀小説です。最近では女性で麻雀を楽しまれる方も増えているようですが、どうしてもおじさん・タバコ・ギャンブルというかなりネガティブなものになりがちな麻雀のイメージを一新しようと、爽やかに描くことが強く意識されているのが感じ取れる内容になっています。囲碁や将棋といった頭脳スポーツとの類似性を語りつつ、配牌やツモに代表される運に左右される麻雀の特性を強調して、それを運命や人生の美学といったものに結び付けようとした試みは一定程度成功しているように見えます。金次郎も福岡時代には高校の友人とよく徹夜で麻雀をやりましたが、麻雀の深淵というよりは明け方にハイになってどんなギャグでも爆笑できる精神状態の方が楽しい思い出として記憶に残っており、自分には麻雀の才能は無いと痛感しております(笑)。
先日高級フルーツ店をうろうろしていた際に、まだまだ高嶺のシャインマスカットを見て購入を躊躇しておりました。ところがそのお隣にレベルの違う高額商品が陳列されており、それこそが以前このブログでも高級品種第1位として紹介したルビーロマンというブランドぶどうでした。なんと一房4~5万円というヤバい価格帯であったことから、手ぶらですごすごと帰宅した金次郎はネットでサマージャンボ宝くじを購入いたしました(笑)。
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