2024年は新たに22語の日本語がオックスフォード英語辞典に登録される!

去年の訪日外国人の数は3600万人を超えたようですが、相変わらず東京ではどこに行っても多種多様な外国の方を目にします。外国人が日本の文化に触れる機会が増えたためか、日本語が初めてオックスフォード英語辞典に登録された1577年から2023年までの約450年間に英単語となった日本語が僅か500語超であったのに対し、2024年には一気に22語が登録されたようです。日本の豊かな食文化を背景としてか食べ物関連の言葉が多く、karaage(唐揚げ)、onigiri(おにぎり)、okonomiyaki(お好み焼き)、takoyaki(たこ焼き)、udon(うどん)、katsu(カツ)、tonkatsu(とんカツ)、katsu curry(カツカレー)、wagyu(和牛)等が新たに加わっています。

中でもkatsuはそもそも英語のcutletが語源のカツレツの短縮形ですので、1周回って戻ってきたという意味で非常に面白いと思いました。その他で興味深いのはmangaka(漫画家)、tokusatsu(特撮)で我が国のサブカルの影響力を感じますが、それなりに流行のジャンルではあるもののisekai(異世界)がここで入ってきているのには驚かされました。そんな食い気味の採用が有る一方で、この段階でtsundere(ツンデレ)が入っているのも若干流行遅れ感が否めず面白いです。日本文化への興味からか、kagome(籠目)、kirigami(切り紙)、kintsugi(金継ぎ)、shibori(絞り染め)といった日本人でさえそこまで頻繁には使わない言葉も入っています。日本古来の刃物と洋風の刃物が融合したsantoku(三徳包丁)が入っており、ちなみにこれはbunka(文化包丁)と同義のようで勉強不足の金次郎は恥ずかしながら知りませんでした(汗)。悔しかったので、三徳とは魚も肉も野菜も切れる万能性にその名前が由来しているといううんちくを心に刻むことといたしました(笑)。その他にはfan service(ファンサ)、omotenashi(おもてなし)、donburi(どんぶり)に加え、今更感は有りますがyakuza(やくざ)も入っております(汗)。さて、歴史上2番目から10番目にオックスフォード英語辞典に登録された日本語を眺めてみると、非常に馴染み深く納得感に溢れております。昨年大ヒットしたドラマのタイトルでもあるshogun(将軍)やsamurai(侍)からは戦国時代の雰囲気を感じますし、geisha(芸者)、kimono(着物)、tatami(畳)、sake(酒)からは外国人が芸者遊びで異国情緒に触れた様子がイメージできます。これらに続くのもzen(禅)、最近よく盗まれているらしいbonsai(盆栽)、haiku(俳句)となり、皆さんのイメージとも整合的かと思います。では、1577年に最初に登録された日本語は何かと言いますと、さすがは貴族の国イギリスの辞典だけのことは有り、当時は戦国時代で全く力を持っていなかったと思われるにも拘わらずkuge(公家)が真っ先に採用されていて何となく心に沁みました(笑)。当時実権は持っていなかったとはいえ、tennou(天皇)がshogunやsamuraiはさておき、geishaはおろかtatamiより後の11番目の登録というのはどうなのかなと思いました(笑)。外国人などには拝謁の機会が全く無かったために天皇の存在そのものが認識されるのが遅かったということかもしれません。

今回は海外の作品を中心に本を紹介します。「ザ・ロード アメリカ放浪記」(ジャック・ロンドン著 筑摩書房)は、19世紀後半のアメリカで当時流行していた〈放浪〉について、「野生の呼び声」などの作品で有名となった著者が若かりし頃の経験を振り返って綴ったロードストーリーです。土地にしがみつきがちな農耕民族である日本人には理解しづらいですが、フロンティアスピリットを信条とするアメリカ人にとって放浪者の身分となることは全く恥ずべきことではないのだそうで、貧しく食べる物が無くても知恵を絞って逞しく移動を続ける姿にはやや言い過ぎかもしれませんが気高さすら感じました。できるだけ面白いほら話をして食事をめぐんでもらったり、刑務所に入れられてもめざとく権力者に取り入ってそれなりの生活をエンジョイしようと試みるというのはしぶといの一言に尽きますが、とにかくその移動手段である貨車へのタダ乗りに対する執念は圧巻です。走行している貨車に飛び乗る、あるいは捕まらぬよう飛び降りるのは日常茶飯事ですし、タダ乗りを阻止しようと躍起になる車掌や乗務員とのいたちごっこの記載は実体験に裏打ちされたリアリティが感じられ、命懸けの深刻さとそれにそぐわぬおかしみも相まって大変引き込まれました。貨車の連結部分は勿論のこと、貨車の屋根の上や車輪と貨車の間という危ない場所に身を潜めてどうにかタダ乗りを果たそうとする放浪者(=ホーボー)の命懸けの執念は、正に凄いとしか言いようが有りません。著者のロンドン自身がマッチョなヒーロー的キャラでなく、ホーボーの象徴であるハックルベリー・フィン的な性格なのも微笑ましく親近感が湧きました。後にロンドンはアザラシ漁をしながら明治期の日本に辿り着いたり、ジャーナリストとして日ロ戦争の取材で日韓など極東地域を訪れたりもしたようです。根っからのホーボーとして太平洋到達で消失したアメリカ人のフロンティアへの見果てぬ夢を、太平洋の向こうの極東に託した彼の精神に思いを馳せると、東京の片隅でせこせこ暮らしている自分のスケールの小ささに悲しい気分になりました。

「失踪」(ドン・ウィンズロウ著 KADOKAWA)は5歳の女の子の行方不明事件の担当となった腕利き刑事のデックが、女の子の母親との「必ず連れ戻す」との約束を果たすために文字通り全てを擲ってアメリカ中を捜索し最終的に驚くべき真相に辿り着くというサスペンス小説です。失踪から時間が経過するにつれどんどん生存確率が下がっていくというデータに背を向け、あくまで生きて連れ戻すことに拘るデックの執念は凄まじい一方で、彼が何故この事件にそこまで肩入れしたのかが今ひとつ判然とせず若干腹落ち感には欠けたものの、僅かな手がかりがぎりぎりのところで次の謎に繋がっていく展開は非常にスリリングでサスペンスの王道という感じで楽しめました。後半にどんでん返しが一気呵成に連続する展開が前半のもどかしい流れと対照的で、フラストレーションが急激に解消される感覚がカタルシスを生み出す構成の妙にも唸らされました。

「ファイナル・ツイスト」(ジェフリー・ディーヴァー著 文藝春秋)はアメリカ西海岸を舞台に失踪人や逃亡犯を見つけて懸賞金を稼ぐことを生業とするコルター・ショウを主人公とする3部作の完結編です。著者は車椅子の上から緻密な科学捜査を指揮し明晰な推理を披露するリンカーン・ライムシリーズで有名ですが、諜報員であった父親からサバイバル術を徹底的に叩き込まれ、その〈べからず〉リストの教えに従い巧みにリスクを回避しながらアクティブに巨大組織の闇に迫る本シリーズのコルターとのキャラが正反対で興味深いところです。本作ではコルターが追いかけてきた父アシュトンの死の謎と100年前の失われた文書に関連したカリフォルニアを牛耳る巨大企業の陰謀が絡み合うのと並行して、行方不明女性捜索の依頼も片付けるという手に負えない事態となる中で、彼が意外な人物に助けられる展開はなかなかに興奮いたしました。このブログでシリーズ作品の「ネヴァー・ゲーム」(同)、「魔の山」(同)を紹介できていなかったのは痛恨の極みです、すみません(汗)。

最後に簡単に。話題となっている「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」(小原晩著 実業之日本社)を読んでみました。上手くいかない日常も、何の変哲も無い一日も、人間関係の難しさや辛い別れでさえも振り返って細部に光を当ててみるとかけがえの無い瞬間の集積であったと気づかされる、金次郎が上京してきた34年前をじんわり思い出させてくれるエッセイ集でした。平板な日々に絶望しそうになっている方は(勿論そうでない方もw)必読です!

誰しも見て見ぬふりをしながら騙し騙しやり過ごす日々の微妙な不便感をお持ちだと思いますが、暖房便座の故障により毎日ヒートショックになりかかっていたので、年末に思い切って修理しに来てもらったところ、日常のストレスが激減し世界が見違えました(笑)。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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