今年の初夏の温泉旅は未踏の地・福島!(後編)

前回のブログでは、東北地方リラックスオブザイヤーを受賞したことも有るおとぎの宿米屋(福島県郡山)の素晴らしい雰囲気と最高の食事について書きました。福島産コシヒカリが非常に美味しかったとも書きましたが、各部屋の冷蔵庫に常備されている水質抜群の地下水がこの上なく美味であり、福島は水に恵まれてお米をはじめとした食べ物のクオリティが高いのだなと再認識いたしました。

勿論朝食でもそんなお米を堪能しましたが、バラエティ抱負で食べきれないほどのおかずが並び、その場で焼いて食べるお餅まで出てきて、コロナで苦しんだご褒美として折角減った体重が完全にリバウンドしてしまう恐怖すら感じました(笑)。やき餅を酸っぱく味付けしたキャベツと一緒に食べるのが福島の一部地域で好まれている食べ方とのことで、ローカル食ならではの驚きと刺激をじっくり味わって楽しみました。名残惜しい米屋を10時過ぎにチェックアウトした一行は、一路日本で4番目に大きな湖とされる猪苗代湖での観光に向けて出発いたしました。山肌を幾つかのスキー場に削り取られた会津磐梯山を右手に眺めながら猪苗代湖を目指すも、行けども行けども観光地的な賑わいに全く行き当らず、人通りはおろか車通りもまばらな道路をひたすら走って辿り着いたのが湖水浴場という聞き慣れぬ場所でした。確かに海ではなく湖で泳ぐから湖水浴場と言われるとその通りなのですが、雨天で少し涼しかったこともあってか黒砂の浜辺には我々4人しか存在しておらず、湖畔に佇む廃墟のような閉店レストランの寂寥もあいまって、本当にさびれの極みという雰囲気で美しい湖水の透明さが物悲しい情緒を醸し出しておりました。観光に淡泊でやや食い意地の張った我々はそんな砂浜で数枚の写真を撮った後にはすぐに昼食の話題となり、色々と検索を繰り返した挙句に郡山駅に比較的近い有名そば店である隆仙坊に行ってみることとしました。打ったそばが売切れ次第店じまいと聞かされ、食いっぱぐれの恐怖に怯えつつ何とかお店に辿り着いてみると、ラッキーなことに我々は同日ランチ営業の最後のお客として滑り込みセーフの入店となり全員のテンションが爆上がりいたしました。正に古民家そのものの佇まいの店内には様々な有名人訪問の痕跡が飾られ、郡山随一のそばという評判にふさわしい繁盛ぶりを見せつけられ若干ひるみました。ところが、注文やお運びで対応いただいたおばあさんは丁寧で感じも良く驕った雰囲気が皆無で、名店らしからぬ謙虚さに大変好感を持ちました。肝心の食事については、かき揚げや枝豆の天ぷらは質量共に満足できる水準で、そばも通常の更科そば、粗挽き平打ちのフィットチーネ風田舎そば共に風味豊かで非常に美味しかったです。と言うか、コロナ後遺症で嗅覚60%の金次郎には繊細なそばやお料理の風味を論じる資格なしですね、すみません(汗)。皆満腹になり満足して帰路に着いたわけですが、金次郎は前のブログに書いたお土産で二度と無精をしないという誓いを守るため、日本三大饅頭に数えられる柏屋の薄皮饅頭をその本店で80個購入し、紙袋の持ち手を指に食い込ませながら東京まで持ち帰りました。郡山駅では道中なかなか巡り会えなかった福島のソウルドリンクとされる酪王カフェオレを漸く見つけて飲むこともでき、楽しかった旅の良い締めくくりとなりました。前回同様今回の旅でもご一緒いただいたAさんご夫妻に何から何までお世話になりっぱなしの金次郎夫婦の為体に申し訳無い気分なのは勿論ですが、とにかく楽しい旅の道連れになっていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。Aさん、どうも有難うございました!来年はもう少し貢献できるよう頑張ります(汗)。さて、どうにか東京駅に帰り着いてみると外は土砂降りの雨で、相変わらずこしあんのみっちり詰まった饅頭80個を抱えた金次郎は雨に濡れそぼりながら日本橋口でタクシーを捕まえようとあくせくしておりましたが、何度か乗車拒否をされた後漸く拾ったタクシーを謎の外国人観光客に奪われそうになり、饅頭で手一杯の金次郎は絶望的な気分になりました。ところがそこで、いつもは温厚かつ英語を話せない金次郎妻が力強くウィーウェイトファーストとキレ気味に文句を言うという奇跡が起こり、その気迫が通じたのか外国人の方はすごすごと引き下がっていかれました。少しだけオーバーツーリズムの脅威を感じた瞬間でした(笑)。さて、そんな思いをしてまで持ち帰った薄皮饅頭は、なんと日本橋高島屋でも、日本橋三越でも、そして同じく日本橋に有るらしい福島県アンテナショップでも簡単に買えると戻ってきてから知り愕然といたしました(涙)。でも、必死に饅頭を運んだ金次郎の思いが届いたのか、会社の同僚は皆美味しいと褒めて下さったのでこれはこれで良かったと思うことにいたしました。

本の紹介に参ります。「spring」(恩田陸著 筑摩書房)は演じ手、観客、舞台音楽担当それぞれの視点から、天才バレエダンサーにして振付師でもある萬春(よろず・はる)の表現者としての類い稀な才能を余すこと無く描くことで、バレエという総合芸術の持つ魅力を最大限引き出すことに成功した傑作です。恩田先生の「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎 )で発揮された音楽を文章に載せていく手腕は並外れたものが有りましたが、本作では踊りの身体感覚とそれが観客にどう見えるかに止まらず、音楽や振り付けといった演出側の視点でもバレエというものを表現しきっており、とにかく凄いの一言に尽きる作品でした。本当に奥の深いバレエの世界について、些末なところでは専門用語に始まり、踊りや演出の真髄からその興行の仕組みに至る細部まで研究を重ねた恩田先生の苦労が偲ばれ、構想期間が10年に及んだと聞いても全く違和感無しでした。また、最終章が天才とされる春の視点で描かれており、彼についての印象を関係者が語る形式となっているそれまでの章では明らかにならなかった春の思いが明かされ、読みながら自分の中で上手く整理できず散らばっていた色々なピースがきちんとはまる快感を得られるプロットも素晴らしく、読後の満足感が非常に高い一冊でした。アート全般に詳しくもなく、強い興味を抱いてもいない金次郎でも感動しましたので、少しでも関心をお持ちの方にとっては必読の書だと思います。ほぼ無関係ですが「天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎」(長谷部浩著 文藝春秋)は相次いで世を去った名歌舞伎役者である中村勘三郎と坂東三津五郎について、その二人の交流や切磋琢磨の様子と共に描く内容になっています。中村勘三郎という人物を知ることで天才というものが少しはイメージできるようになると同時に、若くして彼を失ったことが歌舞伎界にとってどれほど大きな損失であったかがよく分かります。

最後に簡単に。「ハーレム・シャッフル」(コルソン・ホワイトヘッド著 早川書房)は「地下鉄道」(同)で逃亡奴隷の姿を描き一躍有名になった著者の近刊です。60年代ニューヨークのハーレム地区の発展や活気と共に、日常の中に厳然と存在した黒人差別の実態を鮮やかに描き出した秀作だと思います。誠実な表の商売だけでは差別の壁を越えられないと悟った主人公カーニーが、言わば必要に迫られる形で裏社会への関与を深めていく様子が生々しくそして瑞々しく描かれており、10数年前に観光で訪問したハーレム地区の記憶と重ね合わせながら読んでいるうちにどんどん没入してしまいました。同じく60年代を舞台にした「ニッケル・ボーイズ」(同)は少年院ニッケル校での想像を絶する暴力と虐待を生々しく描いて話題になりましたが、こちらはちょっと暗いです。

メロン食べ比べを趣味にした直後に嗅覚異常となり活動を停止しておりましたが、今が旬の桃から活動を再開いたしました(笑)。アップルマンゴーも旬のようなので次はこれを食べてみようと思います。フルーツと共に季節の移り変わりを感じるのが楽しくなってきてじじいになったなと痛感しておりますが、先日52歳となりました(笑)。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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