今年の夏は金沢散策と湯涌温泉!①

このブログでも何度か書いておりますが、毎年夏に友人Aさんご夫妻と1泊で温泉旅行をする企画も今年で3年目となりました。伊豆、郡山ときて、今年は遂に王道の観光スポットで、誰に聞いても評判の良い金沢に行き先を定め、テンションmaxで当日を迎えました。例年通り、Aさんご夫妻とは東京駅の新幹線ホームで待ち合わせ、久々の再会を喜びつつ近況を話しているうちに8:11発のかがやき号が入線、一路金沢へ向けて出発いたしました。

事前に金沢とは所縁の有る五木寛之先生の「五木寛之の金沢さんぽ」(講談社)や「金沢殺人事件」(内田康夫著 講談社)は読んで臨んだものの、情報不足は否めず、これを補うべく車中で更なる読書を試みるも瞬殺で爆睡してしまい(汗)、気付けばうっすらと長野、富山に停車した記憶だけを残して目的地間近という状況でした。東京を出て僅か2時間半で金沢駅に到着し、駅前に出た第一印象は東京より湿度が低くて快適というものでしたが、この印象は後に書き換えられることになります。その後、トヨタレンタカーにてプリウスを調達、車高の低さ故におっかなびっくりのAさんの運転にて、先ずは腹ごしらえと観光の一石二鳥がいきなり叶う創業300年の歴史を誇る近江町市場へ向かいました。隣接の駐車場に車を停め降車すると、いきなりお魚を焼く香ばしい香りが漂ってきて、否が応でも期待感が高まりました。市場内は日曜日で観光客が多いこともあって活気に満ちており、それぞれのお店の方言交じりの独特の口上も耳に心地よく、北陸は金沢までやってきた実感を噛みしめました。新鮮で美しい魚に加え、立派なカニやエビが店頭に並ぶだけでなく、焼きたて・揚げたての食材をその場で食べられるお店も多く、大いに食欲を刺激されました。金沢初心者である我々は、なんでもござれのフードコート的なお店に4人分の席を見つけ、食券の買い方もわからずまごつきつつも何はともあれ一息つきました。入店した時点では空席が有ったのですが、お昼時が近づくとすぐに満席となり、その人気ぶりに改めて驚かされました。お隣のテーブルでは浴衣を着た外国人ガイドと思われる方が西洋人の観光客に全てのメニューを英語で説明されていて、我々には常識のベーシックな知識もゼロから解説されていたからかもしれませんが、ガイドさんがしゃべくり漫才のペースでお昼の時間中ずっとしゃべり続けても説明しきれぬメニューの豊富さで、日本人の我々もなかなかに目移りする充実ぶりでした。悩んだ挙句、最終的に超王道のミニ海鮮丼、金沢おでんに加え、ホタテとエビを焼いたものをいただいたのですが、新鮮な魚介が乗りまくった丼もさることながら、エビの出汁が濃厚過ぎるお味噌汁のコクと甘みが抜群のおいしさで感動しました。おでんの方も、車麩や卵焼きなど金沢ならではのネタが斬新で、薄味の味付けが非常によくマッチした満足の逸品でした。昼食後にAさんがアジの佃煮を買っていて我々夫婦もどうするか悩んだものの、お土産は二日目にしようと我慢したのですが、この佃煮は今後Aさんを苦しめ続けることになります。まだ超序盤ですが、紙幅の都合上今回はこのあたりで。次回以降も読んでいただけますと嬉しいです。(今年の初夏の温泉旅は未踏の地福島!前編後編、読書家金次郎、文豪にあやかる初夏の伊豆行 前編中編後編

さて今回は前回に引き続いて直木賞候補作の紹介です。「乱歩と千畝」(青柳碧人著 新潮社)は怪奇、探偵小説の巨匠江戸川乱歩こと平井太郎と、大戦中のリトアニア駐在時に本国の意向に背き多くのユダヤ人にビザを発給することでその命を救い、後に名を馳せることになった外交官の杉原千畝の友情を描いた感動作です。青柳先生といえば、「浜村渚の計算ノート」シリーズや「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」シリーズなどのカジュアルなミステリーが有名ですが、本作は日本の探偵小説の黎明期をその担い手たちに触れながら描いた歴史小説で、これまでの作品とは全く違う新境地の内容に驚かされました。同じ愛知五中から早稲田大学に進んだという縁で奇妙な友人関係となった乱歩と千畝それぞれの視点で描かれる構成の本作は、意図せずにお互いが影響を与え合い刺激し合いながら、悩みつつも自らの才能や美点を活かし、天命を知りそれを全うしようとする二人の姿が時にコミカルに、時にシリアスに表現されていて引き込まれます。また、乱歩側では横溝正史との心の深い部分での繋がりや、将来文壇を背負って立つことになる山田風太郎や松本清張といったビッグネームの青年期に、乱歩やその作品が及ぼした影響についても描かれており、ファンにはたまらない内容です。千畝側でも、広田弘毅や松岡洋右といった歴史に名を残した人物たちとの交流や対立が戦中期のきな臭さと共に描かれており、なかなか臨場感に富む内容でした。乱歩の奇矯さの中のさっぱりとした明るさや、折れない心の強さ、千畝の誠実さと優しさが印象的ですが、そんな気難しく不器用な二人を支えた女性たちのおおらかな包容力も読みどころの一つと感じました。

こちらも直木賞候補作ですが、「Nの逸脱」(夏木志朋著 ポプラ社)は物語の進展に伴って、登場人物に対する印象が目まぐるしく入れ替わる、どうにも落ち着かない気分にさせられる新感覚の短編3作を収めた一冊です。ペットショップ店員の金本篤が、店長の行動や〈ある男〉の意図などについて世界認識を揺さぶられ続け、結局信じられるのは自分自身の正直な気持ちだけだと気づくプロセスを描く「場違いな客」、生徒からのいじめに遭い精神的に追い詰められた数学教師の西智子が、感情のリミットが振り切れた後に見せる生真面目さゆえの奇矯な振る舞いが現代社会の生きにくさを象徴する「スタンドプレイ」は何れもぞわぞわさせられながらの一気読みでした。少し長めの「占い師B」は、ベテラン占い師の坂東イリスに弟子入りしてきたずれまくっていてどんくさい秋津の変人ぶり失敗ぶりをフィーチャーしたコミカルな話かと思いきや、能力が無かろうが生き辛かろうがとにかく生きていくしかないという人生の意義について問いかけてくる、〈深い〉ような気がする(笑)迫力の有るストーリーでした。人間の深層心理に潜む〈逸脱〉願望に焦点を当て、ありがちな日常と地続きの非日常を際立たせる手法に何とも言えぬ味が有る秀作だと思います。夏木先生の逸脱の世界に浸りたい方には「ニキ」(ポプラ社)がおすすめです。

金次郎の53歳の誕生日が近づいて参りました。先日のお客様との会食で、年次は違いつつも6人中4人が同じ歳という珍事が発生しましたが、全員気持ちは40代前半で時間が停止しているという話になりました。広がる一方の実年齢と精神年齢のギャップが最近とても怖いです(汗)。

読書日記ランキング
読書日記ランキング

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA