フルーツ好きの金次郎、キウイの赤、黄、緑に注目する

先日もマンゴーについて書きましたが、金次郎は四季折々のフルーツを楽しむことを趣味としております。最近では夫婦共に大好きな桃が出始めておりこれから食べるのが楽しみでなりません。実は、このブログでもお馴染みのK子シェフから強い推薦を受けた岡山産の清水白桃をお取り寄せしており早く届かないかなと毎日待ち焦がれている状況です。そんなフルーツフリークの金次郎も、キウイだけはその酸っぱさからあまり得意としてこなかったのですが、調べてみると意外にも奥が深いことが分かり、これからは次の旬である秋口に向け周到に準備して希少品種を入手しようと考えております。

そもそも、若かりし頃の金次郎に苦手意識を植え付けたのは、当時まだ珍しかったことから母親が自慢気に出してきた緑色のキウイで、恐らく最もメジャーなヘイワードという品種だったと思われます。ビタミンCが多く体には良いのですが、食後のデザートとしていただくには梅干し級の酸っぱさは好きになれず、そこから何となく敬遠しておりました。ところが、無知でお恥ずかしいのですがキウイにはもっと甘い黄色のものが有るようで、イエロージョイ、ゴールデンキング、ゼスプリゴールドなどの品種は緑のものより糖度がだいぶ高く食感ももう少し柔らかめのようです。ニュージーランド産のゼスプリゴールドの旬は春ということで終了しており、国産のものが出始める秋口に狙いを定めて試していきたいと思います。そして更に、その上級品種として赤色のキウイというものが存在しており、国産では静岡産が有名なレインボーレッドや、名前の通り香川産のさぬきエンジェルスイート、ニュージーランド産ではゼスプリルビーレッドなどが有名で、糖度はなんと17と高くフルーツの王様ドリアンやバナナよりは甘くないものの、マンゴー、メロン、リンゴなどとは遜色ない水準で、あのどうしても食べながら渋面になってしまう緑キウイのイメージとかけ離れていて驚きます。近々予定している香川出張でさぬきエンジェルスイートを入手できるかもとテンションが急上昇しましたが、こちらも旬は秋口からということで心の底からがっかりいたしました。とにかく、絶対にそのタイミングを逸することの無いよう、定期的に地元や三越のフルーツ店をストーカーばりに覗き続けたいと思います。全く関係ありませんが、この赤・黄・緑という組み合わせはアフリカの国の国旗に多く、エチオピア、ガーナ、マリ、セネガルなどをイメージいただければ良いかと思います。信号機みたいだなと軽く考えていましたがとんでもない話で、なんと赤は独立時に流された血の色なのだそうで(汗)、自然の緑と富と豊穣を表す黄と合わせてアフリカを象徴する色の組み合わせになっており、キウイについて調べたおかげで、伸び行くアフリカ市場開拓に向け地雷を踏んでしまうリスクを予め回避できてほっといたしました。

さて本の紹介です。来月発表される直木賞の候補となっている「踊りつかれて」(塩田武士著 文藝春秋)は、過去にSNS上で誹謗中傷を行ったりゴシップ週刊誌で無責任な記事を書いたりした〈加害者〉たち83人の個人情報詳細が突如ネット上でさらされ、激しい社会的制裁を受ける〈被害者〉の立場に転落するさまを描く前半でがっしりと心を掴まれ、最後まで一気に読まされてしまうサスペンス小説です。ターゲットとなった83人は不倫を叩かれて自殺したお笑い芸人の天童ショージと、根も葉もない噂をばらまかれて芸能界から消えた歌姫の奥田美月への暴露や誹謗中傷に関わった人々ですが、何気ないネットへの書き込みが重大かつ致命的な結果を引き起こす現代社会のリアルな怖さには背筋が寒くなりました。また、天童と奥田の人生を主人公の弁護士久代奏の視点で丁寧に辿ることで、一人の人間の人生には当たり前ですが様々な喜怒哀楽や家族をはじめとした周囲の人々の思いが詰まっており、安易に、無責任に、アンフェアに葬られるべきものではないとの塩田先生の切実な思いが伝わってくるように感じました。事件を引き起こした音楽プロデューサーである瀬尾政夫の美月の人生への一途なリスペクトにも心を打たれる秀作でした。

こちらも直木賞候補の「逃亡者は北へ向かう」(柚月裕子著 新潮社)は大震災直後に不幸が重なり殺人の罪を犯してしまった亮が、自らの人生が道を外れることになった根本原因を知ることを通じてやり場の無い気持ちに整理を付けるため、ある人物に会おうと北への逃避行に踏み出すところから物語は始まります。一方、刑事陣内は自らの家族も被災し、自分と家族の未来を思い描けない苦悩の中で、そんな現実から目を背ける逃避の意識もあいまって県警の境界を越え、福島から岩手へと一心不乱に亮を追い続けます。大きな不運や不幸に見舞われ、どうしようもない無力感に囚われた人々が、今この瞬間を生きようとひたむきにもがきあがく道程の先に、少しずつ前を向く力を取り戻すさまを描く迫真のクライムサスペンスでした。震災そのものは珍しいモチーフではありませんが、そこに逃亡者と刑事という視点を導入することで、家族を失った刑事と家族の無事を確認した刑事の間に流れる微妙な空気や、被災者間の気持ちのすれ違いなどをこれまでに無いアングルで切り取った意欲作だと思います。

「熟柿」(佐藤正午著 KADOKAWA)はささいな不注意から老婆をはね、ひき逃げの罪を犯して服役したかおりが栃木刑務所の中で息子の拓を出産するという不幸しか想定できない雰囲気で始まります。息子をひき逃げ犯の子供にしないために死んだ母になってくれと夫に嘆願され、離婚を了承したかおりでしたが、出所後に息子に会いたい一心で園児連れ去り事件を起こしたり、小学校の入学式に参列を試みたりとまともな判断ができない状況に陥ってしまいます。行き場を失ったかおりは場当たり的に西へ西へと移り住むのですが、その度にひき逃げ犯であることが周囲に知られたり、同居人に騙されたりと不運が続き、流れ流れてとうとう九州は福岡に辿り着くことになります。贖罪とまだ見ぬ我が子のためだけに身を捨てて生きてきたかおりでしたが、そんなひたむきな暮らしの中で、正に渋柿が熟して甘くなるように彼女の内面が変化し、それにつれて周囲の人々からも少しずつ受け入れられていくさまが、地味ながらも印象的に描かれているじんわりくる感動作でさすがは佐藤先生と唸らされました。

フルーツ好きを公言しているおかげで、旅先から地元の果物を贈っていただくという嬉しいご厚意にあずかることがしばしばあります。ところが先日、いただいた夕張メロン2玉のうち1玉が、僅か一日目を離した隙に信じられないほどカビに覆われるという悲劇に見舞われました。心底切なく、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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