金次郎、夜中に謎の異音に恐れおののく

夜中に突然目が覚めて、何だか聞き慣れぬ〈パチパチ音〉が鳴っているぞと気になりだし、雨でもなく、風でもなく、虫でも切れかかった蛍光灯でもなく、一体何の音なのかなかなか判明せず猛烈に気になり全く眠れなくなってしまいました。妻も起こして異音の正体をしばらく捜索したところ、まさかここからという感じで運転していないエアコン内部からドラマでたまに見るスタンガンを使用した時のような〈パチパチ音〉が発生しているとの結論に至り、エアコンのコンセントを抜いてみたところ音はピタリと止みました。

音が止まってホッとしたのも束の間、空気の乾燥で火花でさえ火事に繋がりかねないと気づき、もう今年は大きな出費は無いだろうと安心していたところに、チップ不足とインフレで値上がりがヤバ過ぎるとされるエアコン購入という突然の出血やむ無しの状況に追い込まれ夫婦で呆然といたしました。家電リサーチ隊長の妻が早速ビックカメラで情報収集してくれたところによると、運良く狙っている3大メーカー(ダイキン・三菱電機・日立)の売れ筋主要商品の在庫はまだそれなりに有り、購入から設置までに1か月を要するようなひどい状態ではないようですが、とにかくどの機種も高い(涙)。感覚的にはかつての市況感より一声5割ぐらい上がっているイメージで、パチパチエアコンと同時期に買ったもう1台も10年超となり買い替え時とのことで、都合2台の新規購入となりお財布へのダメージはかなりのものです。更に、出張設置費用、室外機を配置する棚の費用、既存エアコン撤去費用などが情け容赦無く請求されるとのことでこちらも恐ろしいコスト増要因となっております(号泣)。しかし、最近の機種には本当に様々な機能が付加されていて、どれを選ぶか絞り込みに難儀しておりますが、金次郎家では換気機能と空気清浄機能は夫婦揃っての花粉症であることも考慮し重視することといたしました。加湿機能はちょっとカビが怖いので慎重に検討することにしましたが、室外から取り込んだ空気を冷やしてそこから加湿器で使う水分を補給するというなかなか凄いシステムが搭載されているようで驚きます。一方、体温のみならず脈拍まで計測して、複数の送風口から住人それぞれの好みや状態に応じた心地よい風を送ってくれ、時には緩んだ気分に喝まで入れてくれるという(笑)AIセンサー機能は、本体から不気味に突き出たカメラも含めいつも監視されているようで余りにも薄気味悪いため不要ということにいたしました。次の買い替えは10年後となりますが、いったいどんなエアコンに進化していることやら末恐ろしいと感じる今日この頃です。

さて、本の紹介です。「猿と人間」(増田俊也著 宝島社)は「シャトゥーン ヒグマの森」(同)で最強の陸上動物の一角を占めるヒグマのスピード、パワー、知能そして獰猛さに為す術無く圧倒される無力な人間を描いた著者が、今度は異常繁殖した猿と人間との闘いの描写に緊迫感を途切れさせぬその筆力を遺憾無く発揮した恐るべきパニックサバイバル小説です。90キロの巨体を持つ群れのボスであるクロザルに率いられた850頭の凶暴化した猿の群れが、狩猟目的で人里離れた消滅集落にやって来た父子と、猿研究のためにその集落を訪れた東農大の研究チームに襲いかかります。序盤は父子のぎくしゃくした関係が次第にほぐれていく心温まるファミリーストーリーが展開し、今作は同著者による「七帝柔道記」のような感動路線かと気を緩めた隙を突かれ、想像をはるかに超えて凶暴化した猿の一気呵成の襲撃により、いくつもの伏線がきちんと指し示していた恐怖路線にいきなり引き戻され、それこそパニックで心がついていきませんでした。更に中盤からラストにかけては全く気が抜けないと言うか猿の猛威に恐怖で吐きそうになる場面が続きますが、自分だったら一瞬でやられてしまうと諦めざるを得ない猿の知能、凶暴性、執念に恐れおののくばかりでした。しかし、主人公の高校一年生である英輔の運動神経とサバイバルセンスがちょっと高校生離れというか人間離れしていてややリアリティに難有りの点はご愛敬ということで(笑)。

いよいよシリーズ第9作となる「邪魅の雫」(京極夏彦著 講談社)まで到達いたしました。昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と見つかり、連続殺人かそうでないのかも含め、公安が怪しげな動きをする中で警察も捜査の手をこまねいており、なかなか事件の真相が見えてきません。更に、謎の画家、正体不明のストーカーに加え、前作で描かれた長野の事件で心に傷を負い警察を辞めて逐電した元刑事の大鷹が掴みどころの無いキャラとして絡んでくるという相変わらずのカオス展開も加わって、かなり話の筋を追うのに苦労いたしました。刑事青木や探偵見習いの益田が主要脇役として活躍する珍しい構成は新鮮ではあったもののインパクトにやや欠ける印象は否めず、どうやら恋愛絡みでいつもの奇天烈ぶりを全く発揮できない榎木津にも拍子抜けと、待望されて前作から3年ぶりの新作発表となったものの、流石にネタ切れなのかシリーズ全盛時のキレが無く、この後17年続編が出なかったことにも頷ける少し残念な内容でした。意図的だとは思いますが、文中に〈邪〉の文字が不必要に多く使われていたのが鼻につきましたし、とにかく京極堂登場の必然性の欠如とうんちくの弱さが消化不良でございました。まだ未読の最新刊を読むのがちょっと怖くなりましたが年末年始のお休みの間にでもじっくり読んでみたいと思います。

「孝明天皇毒殺説の真相に迫る」(中村彰彦著 中央公論新社)は慶応2年12月25日に崩御した孝明天皇の死因にまつわる〈病死説〉と〈毒殺説〉間の論争を検証し、芥川賞作家である著者が〈毒殺説〉を支持する根拠に加え毒殺実行犯までも明らかにする歴史エッセイです。崩御の直前に孝明天皇が疱瘡(天然痘)に罹患していたことは事実のようですが、一旦快方に向かった病状が急激に悪化し死に至ったことから毒殺の疑念はくすぶり続けるも、歴史学会では疱瘡の中でも劇症のものの症例に無理矢理当てはめての病死との見解が定説となっていたようです。本作では、著者が先行研究も参考にしつつ、天皇の症状の変遷、疱瘡並びにヒ素中毒患者の症例を具に検証し、定説を覆すべく論陣を張るという内容で考察の筋が通っていて納得感も高く興味深い内容となっています。この他にも、幕末の新選組と多摩地域の関係について、武田家滅亡の際の武田松姫(信松院)の八王子への逃避行、徳川家康による武田家浪人の厚遇による佐幕意識の醸成、信玄に猿楽師として仕えた大久保長安による武田遺臣をベースとした八王子千人同心の保護、会津藩の祖である保科正之と信州との浅からぬ縁を結びつけて説明している論稿も収録されていて非常に面白かったです。

うちの前に新しくできた賃貸専用のマンションは中国人のお金持ちが一棟買いしたと噂の物件ですが、ネットで入居者を募集し続けている様子から、完工から2か月ほどが経過した現在でもどうやら入居者が殆どいないようです。ゴーストマンションにならなければ良いのですが。。。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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