あまり思い出したくないので多くは書きませんが、6月22日の未明から新型コロナを発症し、予定していた帰省はキャンセルになるわ、ブログの更新は滞るわで多くの方にご迷惑をお掛けする事態となり改めて申し訳ございませんでした。体重を落とそうとかなり身体を追い込んでいたため、若干の倦怠感は有ったものの蓄積疲労のせいだろうと楽観していたところ、ワクチン接種の際に感じる皮膚のピリピリというかチリチリ感が出てきたのでまずいかもと思っているうちにみるみる体温が上昇し大変なことになりました。体温計すら手に取れない程の辛い状況が少し落ち着いたと思って熱を測ったところ38.8℃でピーク時にはいったい何度出ていたのかと怖い気分になりました。
解熱剤で騙し騙し過ごす高熱期が2日、その後ノド全体に口内炎が大量発生したかのような有り得ないノドの痛み期が約2.5日継続した後漸く症状は落ち着きましたが、噂に聞いていた通り嗅覚をほぼ失ってしまい、味覚は有るも繊細な風味はやはり感じ取れず、しばらくは自称グルメを返上です(涙)。7月は誕生日などイベントが結構有り、美味しいものを食べに行く計画が目白押しで、しかも少し前のブログにも書いた通りメロンの食べ比べを堪能する予定だったので非常に残念です。ただ、家庭内隔離が機能して妻にうつさずに済んだことはもっけの幸いでございました。
さて、先週に引き続いて「隠蔽捜査」シリーズ作の紹介です。本シリーズは現場の刑事でなくキャリア官僚が中心の警察小説ですので、キャリア官僚を知る上で「警察の階級」(古野まほろ著 幻冬舎)、「警察官僚 0.2%未満のキャリアの生態」(同 祥伝社)が大変参考になりましたので、じっくりと味わいたい方はこちらを先に読まれることをお薦めします。
◆「自覚 隠蔽捜査5.5」(今野敏著 新潮社、以下同じ):竜崎の部下である大森署幹部達の視点で描かれた短編集。副署長、刑事課長、生安課長らがそれぞれあれこれと思い悩んでいる難事が、竜崎の相変わらずの原理原則思考であっという間に魔法のように解決してしまう爽快感を堪能いただけると思います。特に貝沼副署長が主役の短編は、メインテーマである隠蔽がポイントとなっていて、このシリーズの魅力の源泉を再認識させられる内容です。
◆「去就 隠蔽捜査6」:このシリーズを読んでいて知りましたが、警視庁が管轄する東京は10の方面本部に分けられ、それぞれに方面本部長が置かれ管轄の警察署を管理しているのだそうです。そんな方面本部からの無理難題にもいつもの通り淡々と対応する竜崎はその求めに応じタイトな人員の中から大森署のストーカー対策チームを選抜します。そんな折、大森署内でストーカー事案に関連していると思われる略取誘拐事件が発生し、早速対策チームがその捜査に投入され、竜崎もこれまで同様現場の最前線で指揮を執るのですがその際の言動が特別監察の対象となってしまいます。筋を通した竜崎が勝つのか、はたまた方面本部長の意地悪が竜崎を窮地に追い込むのか、最後まで目が離せません。
◆「棲月 隠蔽捜査7」:日常の出来事として見落としてしまいそうな私鉄の遅延とメガバンクのシステム障害とを直感的に結び付け、独自の捜査を進める大森署署長の竜崎に、縄張りを侵されたと憤る警視庁本体から様々な横槍が入ります。そんな圧力をものともせず相変わらず淡々と事件解決に向け必要な手を打ち続ける竜崎にこのところくすぶっていた人事異動の話が現実的なものとして持ち上がります。あらゆる感情を排し原理原則に従って身を処してきた竜崎であったにも関わらず、大森署を去る実感が増すにつれ彼がその職場に強いシンパシーを感じるようになっている点が非常に感動的な内容です。
◆「清明 隠蔽捜査8」:大森署長から警視長という本来の官職にふさわしい神奈川県警刑事部長に栄転となった竜崎は、場所は変われど相変わらずの取り付く島もないシンプル思考で周囲を戸惑わせます。警視庁に優るとも劣らない神奈川県警の形式主義ぶりに辟易としているところに東京と神奈川の県境付近で殺人事件が発生し、そもそも犬猿の仲の警視庁と神奈川県警の間に緊張が走ります。それぞれ刑事部長で同格となった竜崎と伊丹の同期コンビがどのように機能するのかも含め、竜崎の独自の発想と、神奈川らしく横浜中華街が絡んでくる展開が際立つ異色の一作で楽しめると思います。神奈川県警の佐藤本部長が非常にチャラくていい味を出しているのが笑えます。
◆「探花 隠蔽捜査9」:横須賀署管内で発生した殺人事件は米軍関係者が関与した疑いが生じたため、米軍や警視庁にも気を遣いながらの面倒な捜査となるものの竜崎はいつもの調子で淡々と指示を出し続けます。そこに、竜崎や伊丹と同期で警察庁入庁試験の結果が受験者トップだったことを鼻に掛ける嫌な奴キャラの八島警務部長がしつこく絡む展開で中盤は気分が悪いですが、福岡県警や千葉県警をも巻き込んだ事件も最後は鮮やかに解決を見ます。伊丹が2位、竜崎が3位という入庁試験の順位も面白いですが、竜崎が全くそんな小事を気にも留めていないのが痛快です。本シリーズはだいたい竜崎の家族がトラブルに巻き込まれるのですが、今回は息子の邦彦が海外で逮捕されるというヤバい展開で、こちらがどう動いていくかも乞うご期待です。
◆「審議官 隠蔽捜査9.5」:竜崎の家族やその周辺の人々の視点で描かれた短編集。常に「国のために働きなさい」と竜崎を叱咤する竜崎の妻冴子はカッコいいのですが、「内助」ではそんな冴子が大活躍します。息子邦彦がとんでもないトラブルに巻き込まれる「荷物」はシリーズ第1作を彷彿とさせる展開で緊張します。個人的には強盗事件で捜査本部の設置に異を唱える刑事と竜崎のやり取りが痛快な「専門官」が好きでした。
◆「一夜 隠蔽捜査10」:著名作家の誘拐事件が発生し、その事件捜査に被害者の友人と称するミステリー作家が絡んできて竜崎と共に知恵を絞るというこれまでに無い展開です。佐藤神奈川県警本部長や伊丹刑事部長はそれぞれ推しの作家がおり、彼らに会えるとなると舞い上がるのですが、フィクション及び作家そのものにも全く興味を示さない竜崎の唐変木ぶりが本編でも炸裂しています(笑)。ただ、内容的にはやや中だるみ感が有り、次作に期待という印象です。
「商社マン、エルサルバドル大使になる」(樋口和喜著 集英社)は、某総合商社のスペイン語スペシャリストとして長くメキシコに駐在していた著者が、定年を間近に控え転職先を探す中で、青天の霹靂でエルサルバドル大使に任命され、民間と役所の仕事の進め方のギャップや、思うに任せない日エ外交での苦心に加え、あまり馴染みの無い大使の任命式から公務の内容に至るまでを詳述してあるなかなか面白い本でした。天皇・皇后両陛下への拝謁の様子や、眞子内親王(当時)との面談のルポは、眞子さん自らお茶を運んで来られた等の実際に体験した人でないと書けない非常に興味深い内容が盛りだくさんでした。また、他国大使との社交場での雰囲気や各国大使の振舞からそれぞれの国の外交上の優先順位を類推しながら読んでみても、他の本では味わえないリアリティが感じられわくわくいたしました。更に、とにかく前例・慣習・事なかれ主義に満ち溢れた大使館業務の様子がよくイメージできたと同時に、同じ商社マンとして著者の課題認識やそれらへの対応策についていちいち共感するところ大であった点が読んでいて気持ち良かったです(笑)。エルサルバドルは残念ながら国際経済という視点ではあまり見るべきところの無い国ですが、今後しばらくは金次郎の情報アンテナに引っかかり続けそうです。
最近また金次郎のマンションの隣のビルで鳩をよく見るようになりました。妻がダイソーで水鉄砲を買ってきたので、狙撃で上手いこと追い払えれば良いのですが。
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