金次郎、またもや不思議の国ペルーの神秘に遭遇する

以前このブログでペルーでメディシンマンになることを目指し修行しているアメリカ人英会話講師について書きました。その謎のアメリカ人にはそれ以来お目にかかっておらず、どのような成長を遂げられているか非常に気になるところですが、今回また新たにペルーに魅せられた強者が登場したので紹介させていただきます(笑)。彼もアメリカ人で同じくペルーのアマゾン川流域の奥地に住んでおり、やはり先述のメディシンマン見習い同様にうつ病の治療のために彼の地にやってきたとのことでした。

自称将来有望なアメフト選手だった彼は残念なことにMMRワクチン接種後に激しい副反応を経験し、更に悪いことに摂食障害の後遺症が発症してしまい、ワクチン接種前まではこれまでに無いベストコンディションだったところから長引く不調に苦しんだ挙句、最終的には引退を余儀なくされたとのことでした。多くのストレスに晒されたためか、気の毒なことに精神的に不安定な状態となってしまい、一般的な治療も上手く行かず、遂に最後の手段として藁にも縋る思いでペルーの奥地まで足を運んで伝統療法に賭けたとのことでした。彼はそこでクランデーロ(シャーマン)の指導の下現地のツル草を煮詰めたエキスと何かの混合物を飲み、それを何度も吐く行為を繰り返す中で、何と〈第三の目〉が開く体験をしたそうで、深く自らを見つめ直す思索の中で、不安定だった精神状態は見違えるほどに改善しすっかり元気になったとにこやかかつ力強く語っておられました。どうやらこれはアマゾン植物療法として知られるアヤワスカを用いたセラピーのようで、彼のようなうつ症状の人には一定の効果が有るそうなのですが、アヤワスカか一緒に飲むエキスのどちらかに麻薬に似た成分が含まれるため幻覚を見たりすることもあるとのことで若干危険なニオイがいたしました。更に悪いことに、その療法で末期ガンが治るとか死にかかった人が元気になるという噂を聞いたことも有る、と如何にも危い方向のプロモーションを激しい勢いでされたため、急激に眉唾感が金次郎の心を占有してしまいました(汗)。ただ、彼はアマゾンの奥地とはいえそこそこ広めの土地を購入済みとのことで、そこにアヤワスカセラピーセンターを設立して不調の人を治療しながら毎週1000ドルずつ収益を上げるという夢を熱く語っており、他人の夢を悪く言うのも憚られたためとりあえずグッドラックと伝えておきました。しかし、こんな不思議がいっぱいの国ペルーには、そういう治療を試すかどうかは別として、当面ブログを書くのに困らずに済むだけのネタを収集できる予感も有り、一度行ってみる必要が有りそうです(笑)。

さて本の紹介です。「風のマジム」(原田マハ著 講談社)は、今は祖母と母がやりくりしている家業の豆腐屋をいずれは継ぐのかなと何となく思いつつ、派遣社員として淡々とではあるもののそれなりに充実した日々を送っていた主人公まじむが、ある時カリブ産ラム酒の味わいに出会いその芳醇さ、爽やかさに惚れ込むところから物語が動き出します。このラム酒はさとうきびの搾りかすである糖蜜からではなく、絞り汁を水と混ぜて発酵させ最後に蒸留して作るお酒とのことで、那覇在住のまじむは南大東島の強い風に吹かれて育った沖縄産さとうきびを原料に特別なラム酒を造ることを思い立ち、この企画を社内ベンチャー制度に応募することにしました。酒造工場用地や原料さとうきびの確保と自治体の協力取り付け、パッションと技術を併せ持った酒の作り手の選定と説得といった数多のビジネス上のハードルや、社内の派遣社員に対する嫌がらせを乗り越え、まじむは夢に描いた沖縄産ラム酒製造事業を実現できるのか、実話を下敷きにしているからこそのリアリティにどんどん読まされる原田先生初期の秀作だと思います。ネットで調べると、このプロジェクトから生まれたラム酒は今も実際売られており、お酒が弱い上にコロナ罹患後飲酒を控えている金次郎ではありますが、少し飲んでみたいと思わされる程に魅力的でパワフルなストーリーでした。ちなみに沖縄で〈まじむ〉というのは真心という意味なのだそうです。

「暗殺」(柴田哲孝著 幻冬舎)は衝撃的なニュースであった安倍元首相の銃撃殺害事件をテーマに、本能寺の変で羽柴秀吉や徳川家康に加え足利義昭から朝廷、イエズス会に至るまで様々な黒幕の存在が議論されているのと同様に、宗教団体、右翼団体、米CIA、政治上のライバルなど多種多様な〈影の真犯人〉の存在についてかなりのリスクを取って仮説を提示した問題作だと思います。それぞれの仮説に一定の納得感が有り唸らされますが、中心となるシナリオは結構怖い話で、事情を知り過ぎた関係者が次々と自殺に見せかけたような不審死を遂げるにも関わらず全く警察が動かない状況も信憑性が増して怖いです。しかし、柴田先生のことなので綿密に取材をされていると思われ、実際に過去発生したテロや事件性無しとの判断に疑念の残る事例も多々挙げられており、題材がタブー的かつ生々しいこともあいまって、どこまでがフィクションでどこからがノンフィクションなのかの境界を考えることすら恐ろしいというぞくぞく感満点の内容で陰謀論好きな方のみならず、ホラー小説好きの方にもお楽しみいただけるかと思います。身体の中で溶けて無くなり痕跡を残さない銃弾が本当に有るのか非常に気になるところです。

最後に簡単に。「あけくれの少女」(佐川光晴著 集英社)は1970年生まれの主人公真記が当時の家族観やジェンダー観に正に翻弄されながらも、不器用ではあるものの真っ直ぐにひたむきに生きる中で少しずつ自己を確立し、自分らしい家族と幸福を掴み取るまでを描く青春小説です。実家が貧しくて親戚の養子に出されそうになったり、奨学金をもらいながらの東京での苦学生活すら親の破産で続けられなくなり、そこから病院の清掃員スタートで学生から准看護師を経て漸く看護師になるという苦心惨憺ぶりに、同時代を生きた金次郎は自分が如何に恵まれていたかを改めて思い知りました。途中で出てくる豪華客船に乗船看護師として乗り込んでのハワイまでの航海はなかなか楽しそうではありました。

うちのマンションに定期的に訪れる鳩との闘いの時期がやってきておりますが、妻がヘビの形のおもちゃを置いておくと鳩が来なくなるらしいという情報を聞きつけたようで、早速ヘビが何匹か小ベランダに置かれておりました。いやいやいや、と思っておりましたがその日からぱたりと鳩が来なくなりました(笑)。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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