金次郎家のリビング、真っ暗闇になる

金次郎夫婦が今の家に越してきてからかれこれ12年が経過しており、経年劣化や老朽化に起因して次々と発生するトラブルにもぐら叩きのように対応する日々が続いております。特に家電の故障については、洗濯機や電子レンジでの経験から得た「不調になったらすぐに買い換えないと危険」、「だましだまし使い続けるのは絶対NG」といった教訓を全く活かせず、またもや深刻な事態に直面することとなりました。妻がリビングに2か所有るシーリングライトの光量が両方とも落ちているのではないかと気にし始めたのが2か月ほど前だったと思うのですが、今どきのLEDライトは蛍光灯のように簡単に取り換えることができないのを言い訳に、見て見ぬふりをし、だましだまし毎日を送っておりました。

更に、妻が片方のライトからバチバチと音がするという明らかに状況の深刻化を示すサインに気付き指摘していたにもかかわらず、まぁそういうことも有るよねと現実から目を背け無かったことにしておりました。すると、ある朝バチバチ音がしていた方のライトが突然うんともすんとも言わなくなり、いきなり後が無い状況に追い込まれてしまいました。しばらく片肺運転となり薄暗くなって嫌だなと思っていた矢先に、数日置かずに生き残っていたライトもバチバチ音からご臨終というプロセスを一気に経て機能を停止し、金次郎家はリビング真っ暗館となってしまいました(涙)。妻は最初のバチバチ音の後さすがにまずいと感じ交換をすべく検討を開始していたようなのですが、想像を上回る事態の悪化ペースに呆然とするばかりでした。慌ててシーリングライトのショールームを見回り、気に入ったものを注文することはできたのですが、コスト高はともかく、在庫確認から設置まで数週間を要することが判明し、他の部屋から漏れる微かな超間接照明での生活を余儀なくされるという、日の出とともに起き日の入りと共に寝る昔の人の生活を当面送ることになりそうです。最近ではライトにもBluetoothが備わっており、音声の指示でオン・オフができたり、地震などによる停電対策で無線の電源で30分程度光り続けるようなオプション機能も有るようなのですが、それよりもとにかく故障しそうになったら「買い換えなさい!」と数週間前からアラートを出してくれるような機能を希望いたします。まぁ寿命が10年(保証は5年)とされているので、面倒がらずに早め早めに交換するのが王道ですね、すみません。今日帰宅したらリビングのテーブルの上に小さなランタンが置かれていて、それはそれで風情を感じました。

さて、本の紹介です。「ネアンデルタール」(レベッカ・ウラッグ・サイクス著 筑摩書房)は何かと偏見の多いネアンデルタールについての研究の現在地を、その生活ぶりを想起させる短いストーリーと共に解説している非常に面白い本でした。恥ずかしながら金次郎は、ネアンデルタールは上手く声を出すことができず、故に高度なコミュニケーションを取ることが難しかったために、獲物の少ない氷河期にマンモスなどの大型哺乳類の狩猟の際に、声を自在に操るホモ・サピエンスに後れを取ることとなって絶滅の憂き目を見たとの認識でした。ところがこの本を読むと、コミュニケーション能力においてネアンデルタールとホモ・サピエンスの間に優劣の差は無く、ネアンデルタールの絶滅の理由は未だ解明されていないことが分かり、誤った説を色々な人に吹聴したことを大変恥ずかしく感じました(汗)。更に、現代人の遺伝子には数%から5%程度ネアンデルタール由来のものが含まれており、複数回の交配の痕跡が残っているということで、厳密にはネアンデルタールが絶滅していないという事実に驚かされました。また、ユーラシア大陸全体に広く分布していたとされる、全く聞いたことの無かったデニソワ人という人々の遺伝子も我々の中に痕跡を残しているということも分かり、研究の進歩が遠い昔の人類の歴史を書き換え続けている事実に感銘を受けました。とにかく科学的な分析精度の向上が凄まじく、同位体を用いて考古学的な年代を細かく特定できるだけでなく、洞窟の壁のすすの跡から地表に遺された塵の細かな成分まで徹底的に分析することでネアンデルタールの生活実態が詳細に浮き彫りになるなど思いもよらないレベルです。歯についた細かな瑕の分析から何を食べていたかを特定できるそうで、そこまで分かるのかとちょっと怖くなりました。ただ、やはり最も進んだのは遺伝子解析の領域で、ネアンデルタールの全ゲノムが特定されたことで、どの系列の人々が時代毎にユーラシア大陸のどの辺りで生活していたかまで分かってきており、人類の歴史の更なる解明が期待される内容でございました。

「百年の時効」(伏尾美紀著 幻冬舎)は昭和49年に発生した一家惨殺事件を中心に、昭和に始まり令和まで引きずった犯罪の因縁を描いた大河警察サスペンスです。現代の都会の片隅でひっそりと亡くなった老人の遺品から少しずつ過去の事件との繋がりが明らかになる展開ですが、事件捜査を通じて描かれる、真相を追求する刑事たちの執念や矜持が世代を超えて受け継がれる様子が大変印象的です。特殊な状況で時効が停止する設定が時間的な広がりを生み、満州や北海道をも舞台とする空間的なスケールの大きさもあいまって、節目の昭和100年に当たる今年に解決を見るという構成と上手く相乗効果が出ていたと思います。意外な真相に驚かされるストーリーに加え、時代を彩った様々なエピソードや、科学捜査発展の歴史など興味深いテーマが散りばめられた読者を飽きさせない上質のエンターテインメントでおすすめです。乱歩賞作の「北緯43度のコールドケース」(講談社)も面白かったですし、最近読んだ「最悪の相棒」(同)もよく練られたミステリーとして楽しめましたので、今後伏尾作品は注目していきたいと思います。

最後に簡単に。「足利将軍たちの戦国乱世」(山田康弘著 中央公論新社)は応仁の乱の後、戦国時代の群雄割拠の中で影響力を失ったとされ、歴史の教科書ではほぼ顧みられることの無い9代義尚から15代義昭までの足利将軍たちの治世を振り返り、彼らの意外にもしたたかな闘争と諸大名との関係の中に〈将軍〉というものの果たしていた役割と存在意義について解説する内容となっております。確かに歴史では8代義政の東山文化の後は、15代義昭が信長と結んだ後に対立し信長包囲網を築くも成就せず、という感じでざっくりと記載されるのみですが、この本を読むと、その間の将軍たちも細川氏や三好氏らの有力大名にいいように利用されるだけでなく、それなりにしっかりと統治のグリップを握っていたと分かり、やっぱり歴史は面白いと感銘を受けました。

今週はもはや恒例となってしまった感の有る、人間ドックに向けた減量がたたっての体調不良で運動もできずさんざんでした。世界陸上の出場選手はトレーニングしつつコンディションのピークを当日に合わせていて本当に凄いと思います。あと1週間で追い込んでもう少し体重を落とします!

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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