金次郎、文学女子ABさんに受験勉強の疲れを癒す本を紹介

最近お客さんの前でプレゼンをする機会がちょくちょく有りまして、序盤に自己紹介をするスライドを入れ込んでいるのですが、そこにアイスブレイク的な意味も込めて唯一無二の趣味である読書について年間350冊が目標と記載しており、読んで面白かった本についても軽く触れる構成にしております。あくまで気を遣ってくださってのご好意だとは分かりつつも、読書についての質問をいただいたりするとテンションが急上昇し調子に乗って喋りまくってしまい、本編が始まる前に先方を疲弊させるというプレゼン失敗の典型パターンにはまり毎回焦っております(汗)。そして冒頭の自己紹介で時間を使い過ぎた結果、その後のタイムマネジメントにも支障をきたすこととなり、パニック状態で、うけ狙いの過激発言やくだらな過ぎるダジャレが口をついて出そうになるのを毎回必至で堪える展開が続いております(笑)。有難いことに建設的な質問を沢山していただけるので、質疑応答の時間も含めると合計でだいたい2時間弱話し続けることになり、プレゼンが終わるといつもヘロヘロになるのですが、やっぱりこういう仕事は楽しいなと充実感を感じている今日この頃でございます。

さて、受験シーズン真っ盛りですが、このブログで金次郎が読書の師匠として本を紹介している文学女子双子のABさんも中3の受験生です。

受験生に面白い本は毒と思い昨年の6月以降紹介企画を差し控えておりましたが、そろそろ読書を楽しみに受験に向けた最後の追い込みをしてもらうのも良かろうということで久々に紹介本を見繕ってみました。金次郎夫婦と同じ美容室に通っているABさんは一度もお会いしないうちに春から女子高生になるとのことで、最初は小学生だったのにという光陰矢の如し感に当惑を隠せず、一体Z世代のJKにはどんな本が適当なのか五里霧中度合いが留まるところを知りませんが、以下中年としてベストを尽くして選出した7冊となります。

(最近の紹介企画はこちら:⑨金次郎、時々訪れる神宮外苑の再開発に興味を持つ

【文学女子へのおすすめ本7選】

「合理的にあり得ない 上水流涼子の解明」(柚月裕子著 講談社):美貌の元弁護士探偵である上水流涼子が頭脳明晰な助手との最強バディでクールに依頼を解決していく連作短編集です。各短編のタイトルが「確率的にあり得ない」、「戦術的にあり得ない」のように少し変わっていてインパクトが有り物語に入り込みやすい工夫にもなっていて印象的な一冊です。未読なら「孤狼の血」や「盤上のひまわり」で有名な柚月作品の導入としても適当と思い選出しました。

「百万のマルコ」(柳広司著 集英社):ジェノヴァの牢獄に収監されたマルコ・ポーロが元のフビライ・ハンに仕えた自らの冒険譚を同じく囚われの身となっている囚人たちに語って聞かせるのですが、そのたくさんのホラ話に毎回必ず意味不明の謎が含まれていて、そのタネ明かしに唸らされ続ける構成の短編集です。脳トレクイズ的な雰囲気も有るので、これを読んでぜひ受験勉強で疲れた頭を柔らかくしていただければと思います。

「文学少女対数学少女」(陸秋槎著 早川書房):これは完全にタイトルで選んでしまっている感が否定できませんが、ミステリーの世界を一つ上の視点から考察するメタミステリー的な内容も含む連作短編集となっていて、ちょっとマニアックで面倒なところも有りますがなかなか斬新で面白い作品だと思います。また、典型的なガール・ミーツ・ガール作品である点も少しイマドキかなと中年の勝手な判断をさしはさんでの選出です。

「フクロウ准教授の午睡」(伊与原新著 文藝春秋):大学で研究を継続するという選択肢の険しさを印象付けてしまう内容なので、将来に無限の可能性が有るお二人への紹介を若干躊躇しましたが、それは紛れもない事実ですし面白いミステリーということで選出いたしました。ABさんが文系か理系かすらも知りませんが、伊与原作品は理系的な分野や発想に興味が湧く内容のものが多いので、比較的ハードルの低いこの本がお気に召すなら、今後の進路を検討する上での参考として他の著書も読まれることをおすすめします。

「アリバイ崩し承ります」(大山誠一郎著 実業之日本社):浜辺美波さん主演でドラマ化もされていますが、おじいさんから受け継いだ時計店の店主である美谷時乃が刑事によって持ち込まれる事件のアリバイの謎をほぼ一瞬で解いてしまうというやや情緒に欠ける内容となっております(笑)。ただ、「ビブリア古書堂~」シリーズ、「コーヒー店タレーラン~」シリーズと同じく女性探偵が活躍するパターンで人気が出るのも頷けます。金次郎は続けて続編の「時計屋探偵の冒険」(同)も読んでしまいました。

「ラブクラフト全集1」(HPラブクラフト著 東京創元社):いつもうけないと分かりつつどうしてもねじ込んでしまう謎の海外作品を今回も意地になって入れました。幻想小説、怪奇小説の源流となり後世の様々な作品に多大なる影響を与えた代表作である「インスマウスの影」が収録されている短編集となります。全編不気味な雰囲気と得体のしれない恐怖にどっぷりつかる内容ですが、現実と似て非なる世界を創造するラブクラフト大先生のフィクションの才能に感服しKY承知で選出しました(笑)。

「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」(川内有緒著 集英社インターナショナル):タイトルからもお分かりの通り、障害というものの捉え方、アートや多様性など様々なテーマについて、とにかくこれまで拠って立ってきた常識をぶち壊されて頭の中を強制リセットさせられる衝撃の一冊です。居心地の良い狭い世界に安住していてはいけないという金次郎の後悔をABさんには感じて欲しくないと思い選出してみました。

最近読んだ本の紹介も少しだけ。直木賞作の「しろがねの葉」(千早茜著 新潮社)は戦国時代末期の岩見銀山を舞台に、銀(しろがね)に魅せられ捉われた人々の哀切に満ちた人生を物悲しく抑制された筆致で描き切った秀作であり、千早先生が新境地に踏み込んで一段上の高みに進んだ記念すべき作品だと思います。銀を掘る穴である間歩で日中の大半を過ごす坑夫特有の病は「銀山のおなごは三たび夫を持つ」という言葉通り主人公ウメの愛する夫や息子など大切な人々の命を次々と奪っていきます。にもかかわらず、幼い頃から天才山師である喜兵衛に付き従い山中や間歩を駆け巡る生活の中で生きる意味を見出すことができたウメにとって、銀山を離れる生き方は選択肢とはなり得ず、哀しみと共に在ることが運命付けられた生涯を、様々な葛藤や苦悩を乗り越え歯を食いしばりながら引き受けていくウメの強さがとにかく感動的な作品でした。日本の伝統的宗教観と結びついた血の穢れの発想が女性差別につながっている様子も描かれていて、この国におけるジェンダーギャップの根の深さに改めて我々の生活様式や発想に忍び込んでいるアンコンシャスバイアスを強く意識せねばと感じました。

日本橋三越のバレンタインフェアで家チョコを大量に購入し2月中ずっとチョコを食べていますが(笑)、金次郎はこの時期しか手に入らないスイスのステットラーのとろける食感がお気に入りです。オバマ大統領がホワイトハウス訪問者にお土産で渡していたという塩キャラメルチョコは塩がかなり強くみたらし団子のレベルまでしょっぱい方向に寄っていて意外でした。


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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

「金次郎、文学女子ABさんに受験勉強の疲れを癒す本を紹介」への4件のフィードバック

  1. 金次郎さん、こんにちは。
    ABさんは受検勉強真っ盛り、21日が都立入試日です。じゃあ真っ盛りなのかというと、相変わらず本を読む日々。新しいものを買っても借りてももらえないため、既読のものを順繰りに読んでいます。「やっぱりラプラスの魔女は面白い」だの「村上春樹はどうして穴にもぐりたがるのか」だの好き勝手三昧。こんなことで本当に第一志望の高校に合格できるのか?と私だけが胃が痛くなる毎日です。
    ご紹介、ありがとうございます。喜ぶ、と思います。泣いても笑ってもあと2日の辛抱なので、それまで黙っておきます。直後に学年末考査が控えているのですが、きっと『実力だけで勝負』するのでしょう。

    1. 恵子さん、こんにちは。少しお返事が遅れ機を逸した感は否めませんが、受験の最後の追い込み頑張ってください、基い、受験お疲れ様でした。あとは結果を待つのみですので、私もお二人のサクラサクを毎日祈っておきますね。
      相変わらずZ世代の気持ちは全く分かりませんが、モチベーションの上がる企画でもありますので、懲りずに高校生になったABさんにも本の紹介を続けさせていただければと思います。引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。(ご迷惑になる場合はご遠慮なくご連絡くださいね。)

      1. お陰さまで、ABちゃん揃って第一志望の都立高校に合格できました。学校名はEさんに報告しましたので、ご興味ありましたらご確認ください。学年末考査も昨日終わり、これで心置きなく読書の日々だと思います。
        取り急ぎ報告でした。

        1. 恵子さん、ご連絡いただきありがとうございます!そして、ABさん志望校合格おめでとうございます!読書ばかりしていた印象でしたが揃っての合格ということでやっぱり賢いということなのでしょうね。師匠としても鼻が高いです(笑)。弟子に負けぬようこちらも頑張ります^^
          暫くは心置きなく読書をお楽しみください!

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