金次郎のズームイン!!朝!に映り込んだ青春の思い出

先週の四十九日法要の際に久しぶりに東京メトロ有楽町線に乗ったのですが、麴町駅に停止したところでふいに30年以上前の記憶が蘇りました。それは、金次郎と同年代の方にはお馴染みのテレビ番組であるズームイン!!朝!のオンエア中に徳光さんがしゃべっているスタジオの背景に映り込むことに挑んだ若気の至りの記憶です(笑)。福岡にいた頃から同番組をよく観ていた金次郎は、上京した暁には一度は全国ネットに登場してやろうという野望を抱いており、きっかけは忘れてしまいましたが当時学生ハイツで共に暮らしていたカメラマンの卵男子のOちゃんとギター職人見習いのKくんと連れ立って一念発起その野望を叶えることといたしました。

ただ、単に映り込むだけでは芸が無さ過ぎるので、何かしら目的が必要ということになり、ちょうどこの企画を思い立った日の翌日が同じくハイツの住人であったWくんの何かの試験の追試の日であったことから、若干悪ノリ気味に彼を応援することを我々チームの使命と定めることといたしました。思い立ったのがかなり遅い時間であったために、「Wくん追試がんばれ」という横断幕を完成させるのに深夜までかかり、かなり寝不足状態でほぼ始発に乗り笹塚から麴町に向かったことを覚えています。当時どうしてそんなことになったのか全く経緯不明ですが、応援メッセージをしたためた模造紙を何故だかその辺に置いてあった簾に貼り付け、それをくるくると巻いて日テレまで持って行くことにしたまでは良かったのですが、この簾が意外と重く持ち運ぶのに往生したのが懐かしく思い出されます。ようやく現地に到着してみると、流石は全国ネットだけのことはあり、日テレ近辺は同じことを考えた競合で溢れ返っており、我々はこの競争を制しWくんに何としてでも気持ちを届けようと皆で決意を新たにいたしました。放送が始まったところで、重い簾を3人で抱え左右に動いてみたりジャンプしたりしながら映り込みのチャンスを狙うものの今ひとつ手応えが感じられず、このままではWくんが落第してしまうという危機感を抱いた我々は現場で絶対にやるなと言われていた肩車を敢行することといたしました。金次郎がOちゃんの肩にまたがりややたわんだ横断幕を掲げ持ち、スタッフさんに激しく注意されるまでWくんの進級を心から願っていた数十秒の時間はキラキラした青春時代の思い出として胸に焼き付いております(笑)。怒られはしたものの、やり遂げた充実感に浸りながらまだ午前中の早い時間にハイツに戻った我々は早速Wくんに番組を見たかと確認したのですが、落第の瀬戸際で追試を受けていることを実家に伝えていなかったWくんの〈何てことをしてくれたんだ〉という表情での無言の非難も今となっては忘れられない良い思い出です(苦笑)。

さて本の紹介です。先日の「華麗なる一族」に続き、山崎先生の代表作である「白い巨塔」(山崎豊子著 新潮社 )を読破し、山崎作品の有名どころはそこそこコンプリートとなりました。国立浪速大学第一外科助教授であり、食道噴門癌手術の名手として名高い財前五郎の栄達への飽くなき野心を描く本作では、教授選挙、学術委員選挙、医療ミスとそれに起因する法廷闘争を描く中で彼の傲慢さやこれでもかという自己中ぶりが際立つ構成になっています。財前の義父である又一や学長の座を狙う医学部長の鵜飼教授は特にあくが強いですが、彼らも含めほぼ全ての登場人物が私利私欲にしか興味が無い中にあって、内科医里見の悩みながらも医療の果たすべき役割を見失うことなく真摯にその本分に向き合おうとする姿勢が印象的であり、俗物である財前との清濁のコントラストは見事でした。まぁ、「華麗なる一族」の大介と鉄平父子の関係と同じといえば同じですね(笑)。社会派である関口弁護士の医療過誤を巡る訴訟での奮闘も本作の重要な読みどころで、原告圧倒的不利とされる医療過誤訴訟の鉄壁の守りを丁寧に根拠を示しながら理詰めで突き崩そうとする仕事には引き込まれるだけでなく勉強にもなりました。当時は普及していなかった癌告知や抗癌剤使用などについても議論の中心テーマとなっており、他作品を読んでいても感じる山崎先生の先見性には驚かされるばかりです。財前が旧西ドイツの学会に参加するくだりは欧州出張中に読んだのですが、財前がフランクフルトを通過する場面をちょうどフランクフルト乗り換え時に読むこととなり、不思議なご縁を感じました。

「依頼人」(ジョン・グリシャム著 新潮社 )は少し古い作品ですが、主人公の少年マークがある重大な秘密を知ってしまったことから質の悪いマフィアに命を狙われる展開となり、公権力と裏社会の狭間で気丈に奮闘するマークと彼を助ける女性弁護士レジーのバディぶりが大変印象的でした。この作品の大きな魅力の一つは、マークの中に同居する子供らしさと大人顔負けの賢さのコントラストですが、彼がFBI捜査官、検事、判事などと繰り広げるウィットに富む会話はなかなかに読み応えが有りました。また、かつて心に傷を負う体験をしたレジーが母親の支援を受けながらその過去を乗り越え、弱い立場の人々を守るために献身的に闘う姿勢にも感銘を受けました。スーパーウーマンでなく様々な制約の中で悩みながら依頼人に寄り添う彼女の人間臭さにも好感が持てます。その他にも、90年代の米国テネシー州メンフィスの雑踏が目に浮かぶ描写や、秘密について証言すればマフィアに消されてもおかしくないマークを巡る司法当局内の駆け引きなども読みどころかと思います。映画化され興行的にも成功を収めたことにも頷ける力作でした。

「エレファントヘッド」(白井智之著 KADOKAWA)はややグロテスクな描写を含むのでそういう表現が得意でない方にはおすすめしませんが、それが大丈夫であればかなり楽しめるミステリーだと思います。とにかくパラレルワールド系の特殊設定がよく練られていて唸らされますし、一旦納得させられた推理が直ぐに完全否定され、新たな推理が提示されるというプロセスが繰り返される構造には自らの思考力を何度も否定される辛さとクリアな謎解きにスカッとする快感を連続して味わう新感覚を体験できると思います(笑)。冒頭にショッキングで有り得ない出来事が起こるのですが、そんな事件の辻褄が後半に入りきっちり整合してくるところは読んでいて驚かされました。

先日またまた日本橋の鶴屋吉信に夫婦で行き、ぜんざいと抹茶白玉あんみつをいただきました。ぜんざいは、甘過ぎないのにコクが有る小豆と香ばしい焼餅のコラボが見事であり、あんみつの方も抹茶アイス、つぶあん、寒天そしてそれら具材のハーモニーの何れも文句無い逸品でした。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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