金次郎夫婦、肉の聖地金竜山を1年ぶりに再訪

諸事情により前回から間が空いてしまった至高の焼肉店・金竜山訪問がこの度約1年ぶりに実現することとなり、そわそわしつつ朝食にそうめんを軽く食べただけの腹ぺこ状態で午後4時の予約に向け家を出ました。絶対に遅刻するような失礼があってはならないとの意気込みで早めに出発したところ、もう何度も通っているというのになんとほぼ30分前に到着してしまい炎天下で開店を待つという初心者に逆戻り状態に陥りました(笑)。ただ、さすがに一番乗りでしたので、4時に向け肉を求める強者どもが白金高輪の住宅街の一角で存在感を放つ聖地に集結する様子を観察しつつニヤニヤできたのは思わぬ収穫で良かったです。

今回は残念ながら無言で肉を口に運び続ける習性から〈肉食いからくり人形〉の異名を持つ宿敵Mが都合つかず涙を呑んでの欠席となったため、ホストであるM男さん・K子シェフ、金次郎夫婦、肉食獣Tと初参加のパートナーS氏、そしてこちらも金竜山では初めてご一緒するK医師の7名が参加しての肉の宴となりました。S氏は巨漢ながら非常に謙虚な方との印象、K医師は全国を講演で飛び回っている情熱溢れるお医者さんとのことで、金次郎夫婦の平民ぶりが際立つ中、妻は緊張感を高めておりました(笑)。さて、M男さんの指導により炭の状態を整えつつ、ほぼ無意識のうちに前菜のキムチやサラダを腹に納めた後、遂に肉を焼き始めることに。今回も最初に登場した相変わらず絶品の特製上塩タンの旨さに一同大興奮し、噛んだら無くなってしまう、でも噛まずにはいられないという状況で、しばし咀嚼音のみが響くというゾーンに入ったような不思議な状態となりました(笑)。そんなタンの興奮冷めやらぬ中、お次は定番のサイコロ状生レバーの出番で、さっと炙るだけというK子シェフの指導の下、皆で目をつぶってとろけるような食感を味わい尽くしました。通常はここでカルビのようなこってり肉に移行するパターンなのですが、今回は肉の旨味と爽やかな脂の重層感がハンパでない最強ハラミが供され、呆然とした金次郎は肉のタレをドボドボと卓上にこぼしまくるという醜態を演じてしまいました(汗)。上質な脂の透明感は抜群で、胃に入った際のずしっと重いもたれるような感じを一切覚えない軽やかさは金竜山ならではといつもながら感動いたしました。このあたりで肉食獣Tは恒例の滂沱の涙状態だったように思います。その後も、こってりとしているのに重くない脂がしっかりと乗ったカルビ、肉の味を堪能できるロース、味噌とのバランスが絶妙なミノと食べ進め、かなり大満足に近い満腹度合いとなりました。ここで終わっても全く悔い無しという状態ではありましたが、そこでグルメ&オシャレ&物腰柔らかという天が二物も三物も与えてしまったK医師が乾坤一擲の気合でヒレを追加注文され、我々もご相伴にあずかったのですが、これが前述のハラミとはまた違った肉と脂のハーモニーを奏でる逸品で、ただでさえ最高の肉宴がより素晴らしいフィニッシュとなりました。なんと1年近く先となってしまった次回予約での再会を約し、めでたく解散となりましたが、初対面のS氏にはその長いリーチに甘え、たくさんお肉を焼いていただきどうも有難うございました&お手数をお掛けしすみませんでした。(半年に一度のお楽しみ、肉の聖地金竜山訪問/チーム金次郎、肉の最高峰である金竜山を再訪/チーム金次郎、肉の最高峰である金竜山に登る(前編)/(後編)

さて本の紹介です。「白魔の檻」(山口未桜著 東京創元社)は前作の「禁忌の子」(同)で活躍した城崎医師が再び事件に挑むシリーズ続編です。デビュー作がいきなり本屋大賞でも4位に入るヒットとなったわけですが、ジンクス的には続編は期待外れに終わるケースも多く、期待値をコントロールしながら恐る恐る読み進めたのですが、そんな懸念は全くの杞憂で、本格ミステリーとしての練度、人間ドラマ、社会性、医療小説としてのクオリティのどれを取っても高水準の素晴らしい出来栄えで、山口先生の才能を確信させられる内容でした。北海道の過疎地の病院が毒ガスによってクローズドサークルとなるアイデアの斬新さ、そんな環境が謎や謎解きそしてストーリー展開に付加価値を付ける構造が素晴らしく、巧いと思わされっ放しの間に一気に読了してしまいました。著者の医師としての知見や日々の業務経験を通じての課題認識もしっかり物語のリアリティに繋がっていて、医師と作家の二刀流が相乗効果を生んでおり次作以降も非常に楽しみです。本作が本屋大賞2026の候補作にノミネートされたら上位に推してしまう気がしています。

「抹殺」(柴田哲孝著 光文社)は南スーダンでのPKO活動への自衛隊の参加における〈日報問題〉をモチーフに、非戦闘地域というまやかしや、憲法9条にがんじがらめになった自衛隊員の命の危険などを描きつつ、政府や自衛隊の奥の院への想像力を掻き立てる内容の軍事謀略サスペンスです。南スーダンの紛争において、政府側と反政府側の勢力が入り乱れる中、各国から派遣されたPKO部隊の内部でも足並みが揃わない状況で、日本国民を守るために奮闘する自衛隊〈特戦群〉の活躍には迫力が有りました。その後物語の舞台は日本に転じ、旧特戦群メンバーが不可解な死を遂げる中、その謎を追う風戸の前に南スーダンで助けた女性医師が突如現れストーリーは先の読めない複雑な展開を見せていきます。著者が「暗殺」(幻冬舎)で発揮した事実とフィクションを織り交ぜて読み手の想像力を刺激する技巧は本作でも健在で、ここで書かれていることはもしかして事実なのかもとの緊迫感を維持しつつ最後まで一気に読み通しました。ただ、特戦群がちょっと強すぎるところにはナショナリスティックな意図を感じ、若干リアリティも毀損していて玉に瑕かな、とは思いました。

最後に簡単に。「亀裂 創業家の悲劇」(高橋篤史著 講談社)は、カリスマ社長によって起こされ巨大企業にのし上がる成功譚に彩られた企業グループが、骨肉の後継争いに陥り凋落していく様子を、詳細な取材と丁寧な筆致で明らかにした経済ノンフィクションです。記憶に新しいところでは大塚家具の父娘抗争の舞台裏が明かされていますし、日韓をまたぐ対立構図となったロッテグループの確執についても非常に興味深く読みました。その他にも大戸屋ホールディングスやセイコーグループなど誰もが知る有名企業の欲得まみれの揉め事が暴露されていて面白いのですが、驚いたのは結構カリスマ経営者も古典的な詐欺に騙されている点で、カリスマ無しのサラリーマンである金次郎は、騙し取られるほどの資産は無いですが(笑)、気をつけねばと感じました。

このところ我が家の小ベランダがまたもや鳩に狙われており、妻の起床後最初の日課は鳩糞チェックという、どうにも気分の上がらない一日の始まりとなっています。物価上昇で忌避剤の値上がりも著しく、もはや何のために働いているのか疑問に思うほどのエンゲル係数ならぬピジョン係数の高さとなっております(汗)。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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