「ユーラシアの双子」(大崎善生著)を読んで海外旅行を疑似体験

本日は人間ドックに行って参りました。感染対策がどうなっているのか等やや不安でしたが、若干密ではあったものの、不安を感じる場面はなく、非常にスムーズに完了しました。驚いたのは、胃カメラ用に真ん中に穴が開いたマスクが用意されていたことで、正直誰の何を守っているのか微妙ではありましたが、気持ちは伝わりました(笑)。おかげさまで、結果もそこそこで、悪玉コレステロールの微増以外は大きな変化無し。ただ、こんなに外食してないのに微増といえ増えているのはちょっと困ったなという感じです。そして、一年間楽しみにしていたドック後の昼食についている、絶品のフルーツソースがけヨーグルトが業者変更により無くなってしまっていたのがたいへん残念で、やけになり帰りにラ・メゾンドショコラでチョコレートを購入してしまいました。悪玉コレステロール。。。

さて読書ですが、最近は海外出張も旅行も機会が無いので、「聖の青春」(講談社)で大感動した大崎善生先生の「ユーラシアの双子」(講談社 上巻下巻)を旅小説と思い読んでみることに。ところが、旅は旅なのですが、最愛の娘を自殺という形で失い、その責任を感じ悩み続けて人生の目標を見失った五十男の石井が、旅先での出会いや経験、シベリア鉄道内の閉鎖空間での内省、そして娘同様鬱病に苦しみ自殺を決意し偶然にも石井と同じくリスボンを目指すエリカとの関わりを通じ暗闇の中に一条の光を見出す再生の物語というかなり重い内容でした。ユーラシア大陸横断の旅の中で、多様な人々、歴史、芸術や食文化に触れ、朝から晩まで浴びるように酒を飲み続ける石井が、外部からの刺激と深い内省によって自己の境界線も曖昧となる混沌の中から自分自身を再構築して行く過程は、同年代の金次郎にはたいへん刺激的であると同時に、将来の可能性への希望ともなりました。ただ、焼酎、ウォトカ、赤白ワインそしてたくさんのローカルビールと絶え間なく飲み続ける石井さん、再生の前にアル中が心配になります(笑)。

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〈知の巨人〉佐藤優を読んで相変わらず傷心+楡周平のビジネス小説を読む

コロナ禍でみなさん大変かとは思いますが、金次郎は用心しながら少しずつ夜の会食を再開し始めております。感染対策がそれなりに整ったお店に少人数で行くことを励行しておりますが、行きつけのお寿司焼き鳥イタリアン和食のお店がしっかりと対策をされ、元気に営業されている姿を見ることができて本当に良かったと嬉しく思っております。しばらくは頻度を上げるのは難しいですし、忘年会という感じでもないですが、地味にgo to eatと言うかgo out to eatしようと思います。

こじつけと思われるかもしれませんが、はい、こじつけです(笑)。「食王」(楡周平著 祥伝社)は食をテーマにした新しいビジネスモデルを世に問う内容となっていますが、オーナー企業や老舗料亭、築地仲卸を取り上げながら〈後継者問題〉にも焦点を当てる構成となっています。エンタメ小説としてそれなりに面白く読めるのですが、既に懐かしい外国人観光客へのB級グルメも含めた地方の売り込み、復興が進まない津波被災地の問題等も欲張って盛り込んでしまったために、本題のビジネス部分がややぼやける結果となりちょっと残念でした。あと150ページぐらい紙幅が有ればもう少し練られた感じが出せたのに。

さて、蔵書量が数万冊と圧倒される佐藤優先生は、著書のかなりの部分が参考文献からの引用という一見省エネ作家ですが、数万冊の中から文脈に沿って適切に抜き書きし、自分の主張を伝えるだけでも十分に凄いので、私は佐藤先生を〈知の巨人〉とリスペクトしております。かつてヨーロッパでは自由七科を入り口に哲学、神学とステップアップするのが学問を究める王道だったわけですが、神学部卒の佐藤先生による宗教関係の本は非常に勉強になる一方、当然ですがレベルが高すぎて理解できない部分が多く、自らの教養不足に頻繁に悲しい気持ちになります(苦笑)。今回読んだ「宗教改革の物語 近代・民族・国家の起源」(佐藤優著 KADOKAWA)もまさにそういう本で、頑張って500ページ以上も読んだのに打ちのめされる結果となってしまいました。14世紀から15世紀にかけて、分裂時代のカトリック教会、教皇の在り方を批判し、信仰に基づく見えざる教会、聖書至上主義を掲げ、最終的には異端として処刑されたチェコ人ヤン・フスの思想に焦点を当て、聖書を中心に様々な文献を引きながら、カトリックとプロテスタントの違いや、共同体の中に埋め込まれ、その後19世紀に芽吹くことになる民族国家の源流について解説しているこの本は、宗教改革と言えば1517年のマルチン・ルターによる95か条の論題に端を発すると勉強した金次郎世代にとってはなかなかにショッキングな内容です。ポストモダンと言われますが、依然として近代は続いているという立場で、寧ろプレモダンの視点で近代的現象である民族主義の動きを捉え直し、そこから現代起こっている事象への示唆を得ようとする見方は佐藤先生の一貫した姿勢であり、大いに参考になるとも言えますし、ちょっと意味が分からないとも言えます(笑)。ローマ教皇の生前退位の戦略性についての言及はなかなか興味深かったですね。

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ある意味フランスを代表する作家であるミシェル・ウエルベックの最新刊を読む

以前ブログでも紹介したストロベリーナイトシリーズのドラマ版で姫川玲子役が本当に素晴らしかった竹内結子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。悲しい気分にまかせて、本日はどちらかと言うとネガティブな気分になる本ばかりを集めて紹介します(苦笑)。

「その日、朱音は空を飛んだ」(武田綾乃著 幻冬舎)はスクールカーストという単純な言葉では全く表現しきれない高校生の込み入った人間関係を描きつつ、他人同士が分かり合うことの難しさを突き付けてくる、かなり怖い気分にさせられる青春ミステリーです。なぜ怒っているのか、なぜ悲しんでいるのか、実際に他人の心の底は分からない中で、相手を思いやることの本質についても考えさせられます。自分が高校生の頃は何も考えずに楽しく過ごしたと朧気に記憶していますが、無神経に多くの人を傷つけたのではと冷や汗ものです。女子高生の飛び降り自殺というモチーフは「冷たい校舎の時は止まる」(辻村深月著 講談社)と重なります。

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いつの間にか読書の秋が始まり、慌てて文学女子に本を紹介

金次郎がまだ若かりし頃、政界ではYKK(山崎拓・小泉純一郎・加藤紘一)が新世代のリーダーとしてもてはやされておりました。それがいつの間にかNが増えてNYKKになったので、Nこと中村喜四郎代議士とはどんな人なのか、と興味を持ったことを覚えています。その後彼は若くして建設大臣となり、建設族のプリンスとして将来の総理候補と目されるまでになったのですが、突然のゼネコン汚職スキャンダルで逮捕、起訴され、最終的には有罪が確定して服役の憂き目を見るというアップダウンの激しい半生だったと記憶していました。

金次郎はその後政治に興味を失ってフォローしていなかったのですが、最近中村喜四郎の名前をちょくちょく見るなと思い調べるとなんと未だ連続当選中で、無所属で国会議員を続けられていると知り驚きました。そこで、昨年刊行された「無敗の男 中村喜四郎 全告白」(常井健一著 文芸春秋)を読んでみたのですが、中村代議士の政治に拘り続ける執念がとにかく凄くて圧倒されました。格差是正を掲げて70歳を過ぎても打倒自民党を目指して野党共闘を働きかける意気軒高ぶりや、自らバイクで地元を走り回る〈選挙の鬼〉の姿は故田中角栄を彷彿とさせ印象的です。人のいないところを選んで辻説法するとか、組織的な選挙活動はしないなど、選挙に関する逆張りの理論もなかなか面白いと思いました。

また、ロッキード事件前後の田中派の状況や、当時の小沢一郎との確執など政局についての裏話も盛り込まれており、最近の話では特に恩讐を越えた小沢一郎への働きかけの場面はなかなか迫力が有って引き込まれますし、逮捕取り調べ時の140日間完全黙秘で名前すら名乗らなかったエピソードや、刑務所暮らしでどう自分を保っていたかの話などは本当に凄みを感じます。最近めっきり少なくなった〈政治屋〉に思いを馳せ、令和の時代の政治について改めて考えるきっかけとなる本でした。

さて、ちょっと前まで暑かったのに、最近めっきり過ごしやすくなり、もう秋じゃないか、と慌てて恒例のお薦め本企画です。文学女子ABさんは中学生となり部活でお忙しいようですし、金次郎がE美容師に紹介した本をEさんに先んじて美容室図書館からレンタルされているとのことなので(笑)、今回はそれらを外して六作品選んでみました。楽しんで頂けると嬉しいです。

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金次郎、エルレの配信ライブで大感動!

8月は猛暑日が過去最多と言われてもほぼ外に出ないので実感無しで、PCとトイレを行き来するだけの単調で低刺激の毎日が淡々と過ぎる今日この頃、飲み会も無し、美味しいものも気軽には食べに行けずでややストレス溜まり気味でしたが、先日なかなかにスカッとする出来事が有りました。それは・・・、8月28日に無料配信されたELLEGARDENのアコースティックライブ!シンガポールから帰国した後もNHK視聴癖を引きずり見ていたサラリーマンNEOで流れた「Space Sonic」のカッコ良さに衝撃を受け、そこからしばらく聴いていましたが2008年に活動休止となった後、カラオケで歌えぬ難易度も災いし(笑)、すっかりエルレの存在を忘れてしまっておりました。本当にごめんなさい。

2018年の活動再開もなんとなく知ってはいたのですが、読書に明け暮れる中フォローすることもなく、当日もエルレ好きの妻が観るというので、どんな曲が有ったかなと朧気な記憶を辿りつつ観始めたのですが、そこからあっという間の1時間半強、トイレにも行かずトークとライブに集中した大感動のひとときでした。上記の通りファンとも呼べないレベルであった金次郎でさえこの盛り上がりだったので、エルレ推しの方々にとっては狂喜乱舞の至福時間だったと思います。20万人以上がこのライブを視聴したスーパーバンドであるにも関わらず、とにかくライブ演奏を楽しむおじさん達の姿がとんでもなく自然体でそこがまたカッコいい。活動休止中にメンバーそれぞれが腕を上げてきた、というのも印象的でしたし(確かにパフォーマンスも凄かった!)、金次郎と同学年のヴォーカル細美さんが「50歳からもうひと暴れするために、それまでに心と身体を太くしておく」的なコメントをされたのですが、心の底からトイレPCシャトルしている場合じゃないと思いました(笑)。48歳金次郎も負けずにもうひと頑張りしようと思います!夫婦でティッシュを握りうるうるしながら鑑賞し終え、「カッコ良かった」しか言葉が出ずバカみたいな感じになりましたが、本当に最高のライブで、そのおかげもありグッスリ睡眠できました。コロナも有るし、チケット競争は激しいと思いますが、ツアー再開の暁には必ず夫婦で参戦しようと心に誓った夜でした。

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金次郎、数十年ぶりに「ロビンソン・クルーソー」を読んで感心

早速ですが、先日読んだ「マイク:Mike」(アンドリュー・ノリス著 小学館)はちょっと変わった内容のなかなか興味深い児童書で、テニスの錦織選手を目指す実力が有るにも関わらず、さかなクン先生の人生を選ぶイギリス人少年の物語です。イギリスジュニアテニス界で順調に実績を積み上げ、将来のウィンブルドン制覇も夢ではない実力を身に着けたフロイド少年にだけ突然見えるようになった謎の男マイク。やたらとテニスの邪魔をしながら、フロイドの将来についてアドバイスと呼べる程には明示的でないサインを送り続けるこの男は何者なのか、という謎で読者の興味を引きつつ、苦悩と葛藤の果てにフロイド少年が手に入れた幸福を描く感動ストーリーになっています。大人は子供の将来という難しい問題にどういうスタンスで臨むべきか、という答えの無いテーマに挑戦しているチャレンジ精神は大いに評価できますが、そもそも錦織>さかなクン、という価値基準を一般化するところから全てが始まってしまっているのが必ずしも適切とは言えない点が気になります。また、本当にやりたいことを突き詰めれば社会的にも成功し充実した人生が送れる筈という精神論的ご都合主義のせいで、自らの心の声をしっかりと聞き、自分の信じられる道を進むことが、社会的な評価とは無関係に幸福な人生を送る上で重要な指針であるとの主要かつ大切なメッセージがシンプルに伝わりにくくなっているところが惜しい(笑)。アンハッピーエンドは児童書向きではないですし、金次郎も好きではないですが、やはりこの作品には一般化され過ぎたステレオタイプのハッピーエンドを持ってくるべきではないと思います。あ、けなしているわけではなく、それなりに楽しめた上での感想ですので誤解なきようにお願いします^^

そんな錦織選手もコロナに感染してしまいましたが、コロナと言えば最近プール式PCR検査に関連した記事を複数目にしました。日経新聞にも出ており皆さんご存知とは思いますが、非常に合理的だなと思いましたので、読書とは何の関係も有りませんが紹介しようと思います。この〈プール式〉とは、被験者から複数のサンプルを採取し、数人分の唾液検体を混ぜた上でPCR検査を行う方法のことで、市中感染率が低い感染症のPCR検査を無症状の人を中心に大規模に実施するのに適しています。市中感染率を仮に0.1%、PCR検査コストを3万円/回とすると、従来のやり方だと一人の陽性を見つけるのに1000回の検査で3千万円かかる計算となります。これを複数人(例えばここでは4人とします)一組のプールでまとめて検査する〈プール式〉で行うと、確率的には250回の検査で249グループは陰性とわかるので、陽性となった1グループ4人それぞれに検査を行えば合計254回の検査で済み、762万円でOKということになります。慎重な検体のハンドリング等の高い検査技術が求められる点と偽陰性の問題もクリアすべき課題ではありますが、一つのボトルネックとなっている検査キャパとコストの問題を解決できる合理的な方法と感じました。

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友人に薦める〈爽やか〉な〈夏〉小説!

このところ金次郎家もドラマ「半沢直樹」の高視聴率に貢献しており、毎度劇的な展開をなかなか楽しんで観てはいるのですが、リアリティの無さはまぁ良いとして、あまりにも単純化された二項対立の構図を(金次郎家も含め)視聴者が求めているというのは、やはりコロナの時代にストレスを感じずに毎回きちんとスカッとしたいという社会の要請ということなのでしょうか?そうだとすると、やはりNHK大河は苦戦するでしょうし、「白い巨塔」や「不毛地帯」のような重厚な長編小説を趣深い連続ドラマに仕立てる挑戦は近い将来には見られないのだろうなと思いちょっと寂しいです。某メガバンクに半沢のモデルとなった方が実在されていると何かの記事で読みましたが、グループのトップを争われているとのことなので、ドラマのような大立ち回りでコンプライアンスに引っかからぬようくれぐれもご注意頂きたいと思います(笑)。

さて、今回は会社の同僚でありこのブログも読んでくれているTHKさんからの、〈爽やか〉、〈夏〉、〈人が死なない〉小説を紹介して欲しい、とのリクエストにお応えいたします。先ず、既読本のリストをざっと眺めてみたのですが、驚くほど人がバタバタ死ぬ上に、とても爽やかとは言えない小説の比率が高く、自分の趣味の偏りに強い危惧を感じました(苦笑)。貧弱なリストからかき集めたものだけでは足りないので、恥ずかしながら色々調べてみて、良さそうな本を読んで比較した結果のトップ3が以下となります。テーマがテーマなので、どうしてもスポ根、中高生関連が中心になっちゃいますね。ちょっとTHKさんの好みとは違う気もしますがあしからず。

3位 「DIVE!!」(森絵都著 講談社 ):サラブレッド天才ダイバー富士谷要一、類まれな素質の持ち主である坂井智季、伝説の高校生ダイバー沖津飛沫を中心に、多感な少年たちの葛藤と成長を描いた王道スポ根小説です。ライバルとの切磋琢磨、様々な大人の事情への反発、などのお約束な部分も良いですし、何より自分の枠を超えて行こうとチャレンジする姿が素晴らしい。ジャッジや採点に縛られたくないという思いと、所詮人生はルールと評価に縛られるものという達観のせめぎ合いは、簡単に善悪や是非を決められない、二項対立で片付けられない難しさ故の深みが有りますね。三人のメインダイバーだけでなく、サブキャラたちが非常にいい味を出しているのもこの小説の特徴で物語に立体感が出ています。金次郎はサラブレッドでも天才でもないですがクール&ビッグマウスの要一が押しキャラです。スーパーマイナースポーツと言ってよい飛込みに少しだけ詳しくなれたのも収穫でした。【爽やか度★★★★ 夏度★★★】

 

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直木賞作である「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」を読む

アンジャッシュWさんの問題で、美味しいものを食べに行くのが好き(=グルメ)と何となく胸を張って言いづらい世の中になってしまいましたが(苦笑)、かつては金次郎も無難な中の上ぐらいのグルメを自負しておりました。ただ最近はコロナ騒ぎの再燃でお気に入りのお店に行けず不義理をしてしまっており、非常に心苦しい状況です。特に仕入れのリスクが大きいお寿司屋さんはどうされているのか心配なのですが、行く予定も無いのに「調子どうですか?」と電話もかけづらく悶々としております。最近全くお小遣いを使っておらずお財布に少しだけ余裕が有りますので、感染状況が少し落ち着いたら少人数早帰りベースで週一ぐらいはひいき店巡りを始めたいと思います。なんだか先日のケーキの話もそうですが食べることばかり書いている気がします(笑)。

さて、ずっと気になっていた昨年の直木賞作である「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(大島真寿美著 文芸春秋)をようやく読みました。本作は人形浄瑠璃(文楽)作者である近松半二の人生を通して、虚実入り乱れる人間世界の形を結ばぬ曖昧さ、時空を超えて流れる魂の表出としての物語、といった著者が一貫してこだわり続けてきたテーマを描く内容になっています。文楽や歌舞伎の世界で多くの演題が伝統芸能の垣根を越えてリメイクされ続けている事実や、創作活動がゾーンに入った状態では具体的に表現せずとも共同作業の中でイメージを共有できるといった描写からは、この世界に流れている〈念〉によって作者は動かされ物語を表現させられている、という著者の思いがよく伝わってきます。主人公の半二が近松門左衛門の硯を受け継ぐ者、という設定もなかなかにくいですね。半二のライバルである弟弟子の屈託の無さや、半二が〈浄瑠璃はもっと良くなる〉の一心で素直に創作することを通じて成功する様からは、著者のクリエイティビティの源泉についての強い思いが感じられます。

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今年読んだ本の中で一番のおすすめ「遺伝子―親密なる人類史―」を紹介

先週発表された直木賞作の「少年と犬」(馳星周著 文芸春秋)を早速読んだのですが、選考委員の宮部みゆき先生も「動物ものはずるいよー」と仰っていた通り、ノアールの巨匠馳先生の作品としては若干微妙な内容だったかなと思います。犬の多聞を軸にした連作短編なのですが、それぞれに描かれる〈死〉に必然性が無く、それは大震災の犠牲者の方々が直面したであろう理不尽な〈死〉が意識されているのだろうとは思うものの、どうもつながりが見えにくい。。。犬と大震災を描く、というところから発想された物語で、上手く落とせなかったという感じですかね。「三つ編み」に続いて新井賞を取ったレティシア・コロンバニ先生の「彼女たちの部屋」(早川書房)が未読なのでこちらを楽しみにすることにします。

「遺伝子―親密なる人類史―」(シッダールタ・ムカジ著 早川書房 上巻下巻)はグレゴール・メンデルとチャールズ・ダーウィンに始まる遺伝学の歴史、現在遺伝子について解明されていることと遺伝子関連技術を使ってできるようになったこと、そしてこの技術の将来の可能性と課題について書かれた最高に面白い科学ノンフィクション作品です。これまで何冊か本を読んで断片的に頭に入れてきた遺伝子の構造や機能、それが作用する仕組みについて、統合的に理解するための軸を通してくれる内容で今年読んだ本の中で最も役に立つ一冊でした。ビル・ゲイツ絶賛というのも頷けます。と偉そうに言いつつ、よく理解できない部分も有り二度読んだのですが(苦笑)。

 

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〈心の闇〉の宇佐美まこと先生と〈こじらせ〉の寺地はるな先生を読む

妻の趣味が音楽ライブ鑑賞や関連する音楽DVD視聴ということもあり、金次郎宅のテレビは、ちょっと悲しいですがオリンピックに向けて開発されたと思われるややハイスペックモデルを奮発して設置しております。この週末はライブイベントが中止となり振替的に行われた配信ライブを夫婦で視聴してそれなりに盛り上がり、音質的にもテレビ変えて良かったなと実感したところです。このテレビにして気づいたことは、番組やCMによってサウンドの質が全くばらばらに違うという点です。正直この宣伝にそんなクオリティは不要だろうと思うようなCMの音がものすごく重厚感に溢れていたりしてギャップを感じることが結構多く驚きます。一番ビクっとするのは、NHKの「ダーウィンが来た!」で、7時のニュースが終わって気を抜いていると、突然の轟音に心臓が止まるかと思ったこともたびたび。そもそも世界中のいきものの珍しい生態を紹介するどう考えても映像中心のこの番組、オープニングの音楽やヒゲじいのダジャレを最高の音響で届ける意味がよく分かりません(笑)。

 

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スウェーデンの傑作「ミレニアム」シリーズ完結

先日、金次郎のプレ誕生日祝いということで、名店エーグルドゥース@目白のケーキを妻と共に食べまして、その美味しさにただただ二人で感動いたしました。看板モンブランはイートインのみ(たぶん)のようで、妻が買ってきてくれたのがいちごショートケーキ、チーズケーキ、チョコレートケーキなど6点!二日に分けてちびちびと味わいましたが、どれもバランス良く上品で至福の時間を過ごしました。イデミ・スギノ@宝町の方が極限までたくさんの素材の調和を追求しているという点ではエッジが立っていますが、エーグルドゥースの最高級オーソドックスも全く負けておらず甲乙つけ難い仕上がりです。

さて本の話です。2017年に一気に読んだミレニアム・シリーズは本格ミステリー、ハードボイルド、政治的陰謀、圧巻の法廷対決などなど盛りだくさんで読み応え十分の傑作でした。全編を通してかなりリベラルな内容ですが、ジャーナリズムのあるべき姿への信念、女性の強さへの敬意が溢れていて素晴らしい。主役のミカエル・ブルムクヴィストは40代のジャーナリストですが、とても若々しく活躍していて好感が持てました(笑)。残念なことに著者のスティーグ・ラーソンさんは初期三部作を世に出した後心筋梗塞で急逝されてしまったのですが(享年50)、この作品の凄いところは、別の作家が次の三部作を同じ主要登場人物、設定で引き継いだ点です。今回読んだ第二部の著者のダヴィド・ラーゲルクランツさんは元々ノンフィクション作家ということで、どんな内容になるのか少し心配でしたが、昨年完結した三部作も全く違和感無く読み進められてたいへん満足できました。ストーリーの軸足がドラゴンのタトゥーを背負ったスーパーハッカーであるリスベット・サランデルの生い立ちとその宿業に少しずつ移り、ミカエルから主役の座を奪う展開ですが、リスベットも葛藤を抱えるたいへん魅力的なキャラクターであり、これはこれで良しだと思います。六作合計で一億部を突破しているというのは本当に凄い。ミステリー好きとしては、とにかく「ドラゴン・タトゥーの女」をぜひ読んで頂きたいところです。

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金次郎、中学生になった文学女子への本の紹介に挑戦

先週は三日出社だったのですが、毎日会社に行って時々飲み会して、時には客先訪問をしたり出張に行ったりしていた日々が幻だったのではないか、と思うほどかなり疲労してへとへとになりました(笑)。今後徐々に慣れて行くのか、それとも加齢により元には戻れないのか、慎重に様子を見なければと真剣に思った一週間でした。

土曜日にE美容師を訪問し髪の毛をさっぱりと切り、ダイエット中というE美容師にはやや酷だったかなと後で思った「難事件カフェ」(似鳥鶏著 光文社)、「難事件カフェ2 焙煎推理」(同)を紹介しておきました。どうして酷かと言いますと、このミステリーには至る所に超美味しそうなスイーツの数々がそれにぴったりと合う珈琲や紅茶と共に登場し物語に彩を添えており、空腹に耐えながら読むのは不可能な内容になっているためです。もやし食べて頑張っているEさん、ごめん。

さて、このブログでお馴染みの文学少女への本紹介シリーズは、ありがたくも多くのviewを頂いておりますが、今回も晴れて入学式を済ませ中学生となった文学少女改め文学女子A&Bさんに僭越ながらいくつか本をお薦めいたします。東野圭吾、村上春樹といった著名作家の作品を読み漁られているということで、あまり制約無しに会社で隣に座っている同僚に紹介する感じでやってみますので忌憚のない感想を頂ければと思います。お恥ずかしながら、うちの同僚よりA&Bさんの方が読書はたくさんされていますね(苦笑)。。。

(これまでの紹介記事はこちら)

金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む

金次郎、本の紹介を頼まれてないけどまた紹介+直木賞作「熱源」を読了!

金次郎、本の紹介を頼まれる+2019年4~5月振り返り

【金次郎から文学女子ABさんへのおすすめ作品9選】

「カディスの赤い星」(逢坂剛著 講談社):初版は昭和60年ぐらいだと思うのでちょっと古い本にはなりますが、とにかくページをめくる手が止まらなくなるストーリー展開の吸引力、スペインにも飛ぶ大きなスケール、最後に驚かされるミステリーとしての完成度、とどれを取っても傑作と言って良いクオリティです。金次郎が、面白いミステリーを紹介して下さい、と頼まれた際に必ず候補になる作品で楽しめること間違い無しです。

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猫エッセイを読んだことによる道草で「新宿鮫」をほぼコンプリート

前回のブログ(金次郎、久々に出社して中途覚醒が改善)では、「おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。」(真梨幸子著 幻冬舎)を読んでしまった結果、真梨ワールドにはまってしまい予定していた読書計画が大幅に狂ってしまったというようなことを書きました。これを書いている今も「殺人鬼フジコの衝動」(真梨幸子著 徳間書店)を読んでおりますので、その影響は継続しているのですが、ここに辿り着くまでにも大きな山が有りました。

「おひとり様~」では、真梨先生も二冊持っていて参考にしているという「小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない」(大沢有正著 角川文庫)という本が紹介されており、ちょっと前のブログで物語を書く難しさを痛感した金次郎は、どうしても興味が湧いてしまいこの本も読んでみる誘惑に勝てず。

エンターテイメント小説界の大御所である大沢先生が惜しげもなく面白い小説を作り上げるための心構えと技術を提示して下さっているこの本は、悩める小説家志望の生徒へのダメ出しで溢れていて、少しだけ金次郎のサラリーマン駆け出し時代を思い出します(笑)。

力の有るキャラクターを細部の設定まで練り上げること、どのポイントで読者の心を動かそうとするのか、そのために必要な謎とトゲを物語にどう折り込むのかを考えること、主人公を苦しめてその人生に変化を与えること、破ってはならないフェアネスのルールなど、たいへん興味深い内容が盛りだくさんですし、これまで読んで面白かったと思う作品を振り返ってみると、やはりこれらの要素がきちんと充足されていたなと改めて感心したりもしました。

まぁ理屈はそれなりに理解したとしても、実際に創作しようとすると凡人の金次郎にはイケている文章は全く思いつかないわけですが、中でもとりわけ難しいと思うのが、やはり〈視点〉の問題だと思います。基本的なものとして、一人称の私小説、三人称一視点、三人称多視点という選択肢があるわけですが、物語のテーマが最も効果的に読者に伝わるものを選べと言われても、分かるのは一人称だと読者が感情移入し易い代わりに直接体験しか描けない制約が有ることぐらいで、それぞれの効果がどう違うのかを明確に区別して理解するのが難しい。更に、視点が決まったとしても、その視点をぶらさぬように矛盾を排除し客観性を保ちながら物語を進めるとなると、もはや完全にギブアップで、世の作家の皆さんは本当に凄いと脱帽いたします。

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7-9月期TVドラマはどうなるのか?+「21lessons」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読む

いよいよ6月から本格的にwithコロナを意識した生活に移行することとなりますが、ふと「ハケンの品格」や「半沢直樹」などの人気作が予定されていた4-6月期の春ドラマはどうなるのだろうと思う一方、7-9月期のドラマ撮影にあたってはコロナ有りの生活様式をベースにするのか、それとも何事も無かったように〈マスク無し〉、〈密〉の世界でリアリティ無しの作品となるのか、かなり気になってきました。そういう面倒な設定を気にしなくていい〈昭和もの〉やいっそ時代劇がたくさん製作されたりするとちょっと笑えます。この話は小説にも当てはまるわけで、作家さんたちは舞台設定に頭を悩まされていることと思います。

〈今晩は避密コンである。自宅で夕食を済ませ、自作ハイボールをいつもより数杯多く一気に飲み干して、念入りに酔っぱらった状態で午後時に家を出た。ちなみに避密コンというのは読んで字のごとく、三密を避けての〈コロナ時代の合コン〉である。店に入ると、店と言っても所謂会議室なのだが、だいぶ間隔を空けて男女名が既に着席していた。皆同様に既に酩酊状態かつマスク&フェイスシールド着用である。マスクで顔の半分以上が見えない上に、何人かはフェイスシールドも曇ってしまっているためもはや個人の識別が難しい。さすがにそれでは情報不足過ぎて相手選びに支障をきたすので、とりあえず皆ルールに従い顔写真を表示したスマホを首からストラップでぶら下げている。なんとも異様な光景である。いや、今日は特別な日、異様さにひるんでいる場合ではない。この、酒無し、食事無し、だんだん酔いが覚めて行く避密コンで半年間練りに練ったゲームプランを確実に遂行しなければならないのだ。あいつの無念を晴らすために。〉

素人的にはこんな感じのヘタクソ文章となりますが、プロの先生方がこの状況をどう乗り越えるのか、今後出版される新作が楽しみです。

さて、本日は「21 lessons 21世紀の人類のための21の思考」(ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社)のご紹介です。「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」(同)、「ホモ・デウス」(同)で一気に著名学者の仲間入りをした、〈知の巨人〉ハラリ先生による、遠い過去でも未来でもなく人類の現在とこれからに焦点を当て、それぞれが関連し合う21の重要かつ壮大なテーマについて鋭い現状分析と、我々はどう生きるべきかについてのヒントを与えてくれる作品です。

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金次郎、中途覚醒症状に苦しみつつ読書は継続

これまでもちょこちょこ書いておりますが、5月に入ったぐらいから不眠というか中途覚醒というか、まともに夜寝て朝起きる、というリズムが乱れ、2~3時間眠ってはパッチリと眼が冴えるというやや辛い状態になる日が時々発生していました。

日光に当たっていないせい?、運動不足?、知らぬ間のストレス?、などと原因に思いを巡らせて、散歩をしたり、暑いのを我慢してカーテンを開け放ったり、呼吸法を試したり、眼が冴えても頑張って布団の中で羊ではつまらないので、学生時代の部活を思い出して、走り幅跳び1本、走り幅跳び2本‥と100本ぐらいまで数えてみたりと試行錯誤してみたものの、結局徒労に終わりました。走り幅跳びカウントはなんだかとても疲れた上に眠れないので最悪でした(苦笑)。

そうこうしているうちに、5月も終盤となり、この症状がもう1か月も続いており、このまま悪化したらどうなってしまうのだろう‥とやや不安になりましたが、なんとなく最近長めに眠れるようになってきた感じなので原因は結局不明ですが一安心です。ご心配をお掛けしました。ちょうど異動の時期と重なっているので、まさか緊張?、とも思いましたが、さすがにそれはないかな。でも、自分のことはよく分からないというのがたくさんの小説で語られている事実なので、そういう自分もいるのかも、と思ってストレスをいつの間にか溜め込んでいるような事態にならぬよう気を付けます。

さて、そんな不規則な生活の中、朝の2~4時ぐらいに読書をすることが多かったのですが(苦笑)、中途覚醒と戦いながら読んだ本をいくつか紹介します。

「コンビニチェーン進化史」(梅澤聡著 イースト・プレス)は、我々の暮らしに欠かすことのできない存在となった、ビッグ3に代表されるコンビニエンスストアの起こりから現在に至る産業史をコンパクトにまとめて解説している内容で、コンビニの歴史と金次郎の人生がほぼ重なることもあり、非常に興味深く読めた一冊でした。

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「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング著)は「ハエ男の恐怖」とは違った!、そして「危機と人類」(ジャレド・ダイアモンド著)を読了

緊急事態宣言がどんどん解除される方向となり、残るは東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県そして北海道となりました。どうでもいいですが、この地名の並びで考えると、東京や神奈川に対応するのは北海道でなく北海になるべきと思いますが、そうなっていない理由は元々「北海道」で一つの地名だからなんだそうです。ネットで調べると色々書かれていますが、どうせなら北海道県にしてもらった方が統一感有って良かったのにな、と思いました。

さて本題。こちらも色々な本で引用されることの多い作品で、かねてから読もうと思っていた「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング著 集英社)をコロナ不眠症で夜中にどうにも眼が冴えて眠れないので、その機会を捉えて読んでみました。

ストーリーのイメージは映画の「The fly」だったので、全く結び付かない珊瑚礁の無人島から始まる穏やかな物語にやや当惑気味でしたが、読み進めて行くうちに、こんな夜中に何というディープな作品に取り掛かってしまったのかと後悔するはめになりました。

同じ無人島サバイバルをモチーフとしていても、小学生の頃に読んだ「十五少年漂流記」(ジューヌ・ヴェルヌ著)のような少年漫画的なプロットのハピエン話では全くなく、恐ろしいことに誰もが心の内に飼っている〈内なる悪〉を残酷に描き出す内容で、コロナストレスで世界の皆さんが正気を失ってしまわぬことを願わずにはいられなくなりました。

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海外文学について外国人と語るのは難しい

外国人と読書の話をしていてとても困ることは、「どんな本読んだの?」と聞かれて、海外有名文学作品のタイトルが直ぐに英語で浮かばないことです。映画のタイトルもそうですが、結構意訳されていることが多く、直訳して伝わらないと、内容を英語で説明するはめになり、これにはかなり手こずらされます。

前回のブログで書いた(→引きこもりのGWに「風と共に去りぬ」を読了)「風と共に去りぬ」は「Gone with the wind」なので比較的知らなくても行けそうですが、間違って「Left with wind」みたいになるとなんとなく〈風の左翼〉みたいになって意味不明となってしまうリスク有ります。

ちょうど読了して近日中に感想を上げる予定の「すばらしい新世界」(オルダス・ハクスレー著 講談社)はSFの超名作なのですが、「Wonderful new world」ではなく「Brave new world」ですし、チャールズ・ディケンズの「大いなる遺産」も「Great inheritance」ではなく「Great expectations」で、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」に至ってはもはや訳もできませんが「Wuthering heights」が正式タイトルです(苦笑)。

原題はロシア語ですがドストエフスキーの後期五大長編のうち「Crime and punishment」は分かりますが、「白痴」は「The idiot」、「悪霊」は「Demons」と微妙に会話中には直訳で正解に辿り着けなさそうなタイトルが続きます。

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引きこもりのGWに「風と共に去りぬ」を読了

唐突ですみません。先日大阪府が提示した休業要請解除の基準の中に「陽性率7%以下」が一週間継続、というのを見たのですが、この数字は何かの役に立つものなのかとちょっと疑問に思いました。

この数字が意味する、かかりつけ医などの診察の結果検査が必要と判断された人や、明らかに濃厚接触していて感染が疑われた人のうち、どのくらいの割合の陽性者がいたか、というのは、つまりは「コロったかも?(by自分)」、「あなたコロってるかもしれませんよ。(byかかりつけ医)」の見立てがたまたま正しかった割合を表しているだけで、この数字が下がるというのは1.単純にPCR検査基準を緩めた(=上記見立てをもっと適当にした)、2.コロナに似た症状のかぜ患者が増えた、ことが示されているに過ぎず、コロナウイルス感染の広がり具合とか深刻さとかを代表している数字とは思えません。

「陽性率」を指標とするなら、無差別抽出した人にPCR検査をして、そのうちどの程度がウイルス保持者か、の比率を追いかける方が実際的と思うのですが如何でしょうか?

さて、水曜日でGWの5連休は終わってしまったのですが、この「妻と共に籠りぬ」だったお休みはひたすら「風と共に去りぬ(Gone with the wind)」(マーガレット・ミッチェル著 新潮社 全5巻)を読みふけっておりました。ダジャレですみません(苦笑)。

アカデミー賞受賞作の映画も見たことがなく、合計2000ページ超という大長編であることにも尻込み気味だったのですが、とにかくこれまで読んだ多くの本の中にヒロインであるスカーレット・オハラの人となりや物語の内容がたびたび登場するので、この本を経験しておかないと今後の読書が深まらないという問題意識の下、今回覚悟を決めて挑戦してみたところ、このところ興味を持っていたアメリカ史の最重要イベントの一つに数えられる南北戦争時代の社会がしっかりと描かれており、スカーレットの過激な性格には面食らいましたが、文学作品としては勿論のこと、歴史小説としても想像以上に興味を惹かれる内容で時間的には結構かかったものの気分的にはあっという間に読了した感覚です。

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〈軟禁生活〉を軽やかにやり過ごす「モスクワの伯爵」に感銘を受ける

以前このブログで紹介しました趣味がマラソンの友人はシンガポール在住で、「人権より検疫」、「自粛しないと粛清」のお国柄の下、軟禁生活にストレスを溜めている模様です。(関連はこちら→ダイヤモンドプリンセスは呪われているのか?

日本もそこまでは厳しくないものの、それなりに不自由を強いられ、やりたいことが存分にできない環境ですので、ある意味軟禁に近い状態とも言えると思います。

そこで、世界中でマラソンレースも中止となっていて活躍の場が無く可哀そうなランナー友人(しかもありがたくもご夫婦でこのブログを読んでくれている)にエールを送る意味も込め、フィクションではあるものの、気の遠くなるような〈軟禁生活〉を大らかに、明るく、そして前向きに過ごした元ロシア貴族を描いた小説をご紹介します。

「モスクワの伯爵」(エイモア・トールズ著 早川書房)では、貴族の身分で名門ホテルであるメトロポールの最高級スイートの宿泊客であったアレキサンドル・ロストフ伯爵が、革命後に堕落した階級としてそのホテルの屋根裏部屋に押し込められ、32年にわたって軟禁生活を送るストーリーになっています。

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金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む

依然としてアベノマスクが届かない我が家では、SHARPがマスクの製造・販売を始めたことが話題になり、妻が獲得競争に参戦の意を示しましたので、「SHARPのマスクは液晶でできてるらしいよ。」と言ってみたところ、「え?!かっこいい!」と真に受けられ、SHARPマスクが買えてしまう事態を恐れおののく毎日です。あ、これ読まれたらバレますね(笑)。

さて、折角の新中学生だったのに休講となり可哀そうな我が弟子文学少女ABさんに、少しでもヒマつぶしになればとまたもやおすすめの本を紹介させて頂きます。読むペースがとても速いので、紹介できる本のストックが減ってきているのは気になりますが、今回はちょっと多めの7冊です!このところ共にお世話になっているE美容師のところにも行けておらず、金次郎は髪の毛ボサボサの金田一的な感じになりつつあります。。。

(これまでの紹介記事はこちら)

金次郎、本の紹介を頼まれてないけどまた紹介+直木賞作「熱源」を読了!

金次郎、本の紹介を頼まれる+2019年4~5月振り返り

【文学少女ABさんへのおすすめ本7選】

「しゃべれどもしゃべれども」(佐藤多佳子著 新潮社)

感動作品の大家である佐藤先生による、不器用・頑固・意地っぱりと、どうにもこじらせて上手く行かなさそうな登場人物たちの何とも言えないハーモニーがぐっと来る名作です。ABさんもこれから色々悩むことも有ると思いますが、そういう時に思い出して手に取って読み返して欲しい作品です。

「夏の庭 The friends」(湯本香樹実著 徳間書店)

感動小説ランキングに常に入る名作なので既読かもしれませんが、大人が読んでも考えさせられる少年たちの成長物語です。〈身近な人の死〉に接し、それを受け入れて、なんとか消化し乗り越えて行く過程で変わってゆく少年たちの姿を通して、おぼろげにでも人生の意義について思いを馳せてもらえたら、という余りにもおじさん臭い推薦文ですみません(笑)。

「さよならドビュッシー」(中山七里著 宝島社)

前回紹介した中で「カラスの親指」が一番面白かったという程のミステリー好きで、しかもピアノもやっているということなので、それならこの作品しか無かろう、と自信を持っておすすめします。名探偵かつ名ピアニストである岬洋介シリーズは何冊か出ているので、興味が湧けばそれらも読まれるといいですね。

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