金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む

依然としてアベノマスクが届かない我が家では、SHARPがマスクの製造・販売を始めたことが話題になり、妻が獲得競争に参戦の意を示しましたので、「SHARPのマスクは液晶でできてるらしいよ。」と言ってみたところ、「え?!かっこいい!」と真に受けられ、SHARPマスクが買えてしまう事態を恐れおののく毎日です。あ、これ読まれたらバレますね(笑)。

さて、折角の新中学生だったのに休講となり可哀そうな我が弟子文学少女ABさんに、少しでもヒマつぶしになればとまたもやおすすめの本を紹介させて頂きます。読むペースがとても速いので、紹介できる本のストックが減ってきているのは気になりますが、今回はちょっと多めの7冊です!このところ共にお世話になっているE美容師のところにも行けておらず、金次郎は髪の毛ボサボサの金田一的な感じになりつつあります。。。

(これまでの紹介記事はこちら)

金次郎、本の紹介を頼まれてないけどまた紹介+直木賞作「熱源」を読了!

金次郎、本の紹介を頼まれる+2019年4~5月振り返り

【文学少女ABさんへのおすすめ本7選】

「しゃべれどもしゃべれども」(佐藤多佳子著 新潮社)

感動作品の大家である佐藤先生による、不器用・頑固・意地っぱりと、どうにもこじらせて上手く行かなさそうな登場人物たちの何とも言えないハーモニーがぐっと来る名作です。ABさんもこれから色々悩むことも有ると思いますが、そういう時に思い出して手に取って読み返して欲しい作品です。

「夏の庭 The friends」(湯本香樹実著 徳間書店)

感動小説ランキングに常に入る名作なので既読かもしれませんが、大人が読んでも考えさせられる少年たちの成長物語です。〈身近な人の死〉に接し、それを受け入れて、なんとか消化し乗り越えて行く過程で変わってゆく少年たちの姿を通して、おぼろげにでも人生の意義について思いを馳せてもらえたら、という余りにもおじさん臭い推薦文ですみません(笑)。

「さよならドビュッシー」(中山七里著 宝島社)

前回紹介した中で「カラスの親指」が一番面白かったという程のミステリー好きで、しかもピアノもやっているということなので、それならこの作品しか無かろう、と自信を持っておすすめします。名探偵かつ名ピアニストである岬洋介シリーズは何冊か出ているので、興味が湧けばそれらも読まれるといいですね。

「夜のピクニック」(恩田陸著 新潮社)

少し年上の高校生のお話ですが、夜を徹して80キロを歩く〈歩行祭〉というイベントを通して、卒業を控えた登場人物たちが気持ちを整理して区切りを付けたり、勇気を出して前に一歩進んでみたり、友人や自分自身の違った一面を発見したり、と様々な形で成長する姿を鮮やかに描いた青春小説です。学校に行けない中、青春気分を味わってもらえると嬉しいですね。

「アクロイド殺人事件」(アガサ・クリスティ著 新潮社)

ミステリー好きにはたまらない、クリスティ作品中でも特に評価の高い傑作です。解説不要と言うか解説できない作品なのでとにかく読んでみて下さい。この後クリスティ作品を読み漁るもよし、叙述トリックものに挑むもよし、広くて深いミステリー世界の扉を開く作品です。

「ぼくたちは国境の森でであった」(ダリア・B・コーヘン著 祐学社)

いつも調子に乗って海外小説をリストに入れてやや外し気味ですが(笑)、世界で起こっている色々なことに少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいとの金次郎による自己満足推薦本です。読書感想の課題図書みたいなチョイスになったと反省(苦笑)。

「舟を編む」(三浦しをん著 光文社)

言葉を極める辞書編纂のお話で、言葉を大切にして一言一句にこだわり抜く姿勢の素晴らしさにぜひ触れて欲しい作品です。ABさんは小さいころから読書を確りされているので、金次郎の周囲にもたまにいる日本語が苦手でコミュニケーションに苦労する大人にはならないとは思うものの、念のため(笑)。

通常の読書も順調にこなしておりまして、いつも愛読している楡周平先生の「終の盟約」(集英社)を読んでみました。

本作は、多くのビジネス小説を手掛ける著者による、〈死生観〉を問う社会派小説です。 人格を大きく変えてしまうケースも有る認知症の怖さ、家族による介護の大変さ、誰が介護するのか、施設を活用する場合は資金はどう手当てするのか、という、やや目を背けがちな、現実的な問題から始まり、最後は安楽死の是非という重いテーマに至る、誰もが直面する老いについての様々な論点が提示される内容で結構考えさせられます。文中にも有りますが、まさに極論であっても世に問うことで、有識者や関係者だけでなく、広く国民全体を巻き込んだしっかりした議論がなされることが重要、というのはその通りと思います。

ついでに、楡先生の作品で先見の明を感じたものを二冊紹介します。

「デッド・オア・アライブ」(光文社)は、EV対FCVの将来像もさることながら、自動車のスマホ化と言うか家電化に伴う、垂直統合系列モデルから水平分業モデルへの転換の産業全体に与える影響の大きさを実感します。産業構造の変化、企業内の新旧対立、新たなビジネスモデルの提示まで描ききる楡先生はさすがです。 しかし、商社人は相変わらずゴルフしてワイン飲んでばかりで脇役です(苦笑)。

「ドッグファイト」(KADOKAWA)で提示された配送代行サービスのビジネスアイデアは「砂の王宮」(集英社)で既出でしたが、 amazonがモデルとなっているネット通販大手への対抗策として このサービスを活用するストーリーとなったことで、戦略が破壊力を増し、良質なビジネス小説となっています。なかなか勉強になりました。

本日も長い小説を読み終えましたので、次回のブログで紹介したいと思います。今月も目標の25冊は達成できそうです!

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

「金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む」への9件のフィードバック

  1. 「夏の庭」、名作ですよね。梨木香歩「西の魔女が死んだ」と双璧を成す、“子供向けに買ってきたら思わず大人が熱中してしまう”小説ですね。

    1. コメントありがとうございます!次回の紹介本リストに入れさせていただきます!

    2. 金次郎さん、こんにちは。新しいご紹介ありがとうございます。ブログは拝見していたのですが、相変わらず飯炊きに追われ、さらにこの日常でテンションだだ下がりでやる気も起きず。つまらない言い訳でしたね。
      こんな日常なのにA&Bはあまりストレスも無い模様。もしや、ひまに任せて本が読めるから?
      いまは本屋さんにも行けず図書館もクローズ、これはもしかして電子的に読みなさいという思し召しか?と思ったのですが、口に出す前に「本は紙をめくって読みたいよねー」と12歳に言われました。古風です。
      そんな二人の大人の本の入り口は、星新一さんでした。公文の教材で紹介されたものが、その出合いです。3年生?4年生?くらいでした。そのあとはまったのは村上春樹さんです。村上春樹を読む小学生(笑)
      そして去年、我が家に東野圭吾さんブームがきました。とある日、「マスカレード・ホテル」と「ラプラスの魔女」と、ついでに「ナラタージュ」を買わされまして。それから図書館で東野圭吾さんを借りる、のかと思ったら、途中から並行して何故か木村拓哉さん方向にもシフト。「検察側の罪人」や「教場」など。ついでにテレビで「グランメゾン東京」も観ていました。
      …長くなりましたので、2回に分けます。

  2. 続きを失礼します。
    3月のうちは図書館が開いていたので、ご紹介いただいた本を借りたり、ジャニーズ方向で「謎解きはディナーのあとで」シリーズを読んだり。本屋さんで私が有川浩さんの「阪急電車」を手にとったら…以前、沿線に住んでいたもので…ついでに「フリーター、家を買う」を買わされたり。
    そういえば以前、これも公文で影山民夫さんの「遠い海から来たCOO」が紹介されていて、うちにあった影山民夫さんを数冊読んでいました。
    時系列がかなり乱れておりますが、思い出すままに…
    4月になっていよいよ本が手に入らなくなったのですが、通販で買えばいいという簡単なことに気づき、ついでなのでまとめて購入。「カラスの親指」が面白かったので「ソロモンの犬」を読み、「風が強く吹いている」が面白かったので「まほろ駅前」を読み。
    先日、ご紹介いただいた本も通販しました。一応勉強もしながら、楽しく読み進めているようです。
    ここまで数日かけて書いたところで、宣言が解除されて学校が始まりそうな気配が出てきました。いよいよ入学式があるかも、です。その前にモジャモジャ頭をEさんになんとかしてもらわねば。

    1. 恵子さん、コメントありがとうございます。お返事が遅くなってすみません。髪の毛がヤバい状態になり不要不急のレベルを越えたと判断し、ちょうど先週Eさんに整えてもらったところです。
      ABさんの読書歴拝見しました。ありがとうございます。改めて、①中1とは思えぬ落ち着き、②手加減不要なレベル感、を再認識いたしました。今後は師匠としての指導者目線ではなく、読書仲間として一緒に楽しめる本、を紹介させて頂こうと姿勢を正した次第です^^
      学校が始まったら忙しいと思いますが、また近いうちに何冊か紹介させて頂きますね。

    2. 金次郎さん、こんにちは。
      こちらこそ、遅くなり申し訳ありません。
      A&Bもボサボサになり、数日前にEさんのところへ行ってきました。前の前のサロンでアシスタントだった方と、Eさんの奥様&ご子息に会えるというオマケ付き! 一大決心をして都会へ行った甲斐がありました。
      そのとき、Eさんに「ライオンのおやつ」をお借りしました。Aはその場で読み終わり、Bも持ち帰って2、3時間ほどで読み終わったもようです。
      6/2についに入学式があり、明日5日がいよいよ登校日です。さっそく本を持参しなさいとなっているので、楽しそうです。
      まだまだ、師匠のレベルには遠く足下にも及びませんので、これからもご指導よろしくお願いいたします。
      ところで、睡眠リズムが思わしくないようですが、お加減いかがですか。短期的には、寝られないことを気に病まず、起床時刻を維持し続ければ自然に解消できることが多いですが。でも思うように寝られないと辛いですよね。
      あっ、まったく関係ありませんがシャープマスク当選しました!今日!!

      1. 恵子さん、こんにちわ。「ライオンのおやつ」はエロおやじが登場するのでお薦めしておりませんでしたが、今どきの中学生には問題無いレベルなのですね(笑)。遠慮なく幅広い候補から紹介させて頂きます!お気遣いありがとうございます。今は10時に寝て4時に起きる感じで朝活読書できているからまぁいいかな、と。でもあと1時間ぐらいは寝たいところです。うちはマスク当たらず、妻はまだシャープマスクは液晶と信じている、かも^^

  3. 師匠、お言葉の乱れが… エロおやじって笑 私も読みましたが、村上春樹さんを読むABにはまったく問題ないレベルです。
    ところでAちゃんの村上春樹ベストワンは「国境の南、太陽の西」だそう。何故そんなに惚れ込んだのかは不明です。

    1. お返事遅くなり恐縮です。安心しましたw 「国境の~」は確かに面白いですが、結構大人な内容ですし、骨持ってうろうろしたりするしw、どこがローティーンの琴線ポイントかは不明ですね。そろそろ紹介の記事書きます!

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