金次郎の中学校の同級生で同じ陸上部に所属していた友人のS君(あだ名はブーヤン)が中学卒業と同時にお相撲さんになりました。そんな進路が有るのかと当時とても驚いたのを覚えていますが、そういうことが大好きだった母と共に新聞の地元力士の星取表を見たり、時にはテレビ観戦で声援を送ったりと、他人にあまり興味が無かった自分としては珍しく気にして応援したりしておりました。しかし、残念ながら彼は関取にはなれず20代前半で惜しくも引退されたのですが、入門以来ずっと場所の度に番付表を、そして年末には大相撲カレンダーをかれこれ30年以上律義に送り続けてくれていました。いつも宛名も手書きで丁寧に書いてくれていて、相撲界の背負っている伝統もさることながら彼の真面目な人となりを想い、その間一度も会いに行っていない自分の不義理を反省しきりでした。すると最近になって、彼の所属していた部屋の師匠である尾車親方(元大関琴風)が65歳の定年を迎えられるにあたり、番付表とカレンダーの送付は初場所で最後となる旨のこれまた丁寧な手書きの封書をいただき、遂に何もお返しすることができなかった後悔と合わせ、卒業間近の3月に我が中学校まではるばる彼を迎えにきた尾車親方の大きさと迫力が鮮やかに思い出され、万感胸に迫るものが有りました。人生の残り時間が潤沢というわけでもない年になってきましたので、こういう後悔をしないようにどんどん思い立って果たすべき義理を全うしたり、伝えきれていない感謝の思いを伝えたりしなければな、と感じた出来事でございました。S君、いやブーヤン、長い間どうもありがとうございました。
最近売れている本に「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」(福井県立図書館 講談社)というものが有りまして、福井県立図書館の司書さんが実際にレファレンスで遭遇した笑えるタイトルの覚え違いを一冊にまとめた内容となっています。有り得ないようなものも含まれてはいますが、確かにそれは間違えるかも、と思える納得感の高いものも多くなかなか楽しめました。例えば、ドラマにもなった「下町ロケット」を「下町のロボット」と間違えていたり、朝井先生の出世作である「霧島、部活やめるってよ」を「おい霧島、お前部活やめるのか」と空気の読めない先輩ふうのタイトルで探してみたりと本当に人間の記憶というのは不確かなものだなと思いました(笑)。中でも印象に残ったのは、コンマリ先生の大ベストセラーである「人生がときめく片づけの魔法」を、特に具体的には何も生み出さなそうな無意味タイトルの「人生が片づくときめきの魔法」と間違っていた例と、敗戦後の日本人を描いた名著であるジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」を「大木を抱きしめて」と環境保護活動家を意味するtree huggers的な感じに間違っていた例ですかね。ボリュームも少な目で一瞬で読めるのでご興味の有る方はぜひ。