【アフター4読書二周年】今年の人気記事ランキング発表!

先日会社の若者から、前半のよもやま話の引き出しが多くて驚きます、とお褒めの言葉をいただきました。読めばそれなりに書ける本の紹介と違って、よもやま話は自分の中に有るもののうちからネタを絞り出して書かねばならず、この作業は自分の薄っぺらさと向き合うことを余儀なくされるので、内容の緩さにそぐわぬ必死の形相になりながら毎回どうにかこうにか紙面を埋めており(涙)、これまでも多くの方に面白いと言っていただきましたが、やっぱり何度褒められても嬉しいですね。

そうこうしながら、このブログを始めてからはや丸2年が過ぎました。たまたまですが、コロナ禍で飲み会が激減したタイミングと完全に期間が被っていたことがどうにかここまで続けられた大きな要因だと思います。今後少しずつ生活が通常モードに戻っていくと想定される中、読書&ブログの時間をどう捻出するか2022年はチャレンジの年になりそうです。いい区切りなので、振り返りも兼ね前回のランキング発表からの約1年間(2020年12月~2021年12月)に読んでいただいた回数が多かった記事のランキングをまとめてみました。(カッコ内は前回の順位です。)

第10位(-) 瀬尾先生の新作長編「夜明けのすべて」とやはり犬は泣ける伊吹先生の「犬がいた季節」を読む(2020年12月22日):この記事はまだ一回の充電で走行できる距離が100km程度だった10年前のEVドライブ珍道中の完結編で、結構たくさんの方に面白かったと褒められて嬉しかった記憶が有ります。読書と無関係な部分の分量が多すぎるのが少しだけ気になりますね(笑)。

第9位(-) 金次郎、福岡県出身のブレイディー・ミカコ先輩を再認識+30年前の思い出を語る(2021年1月13日):30年前の若気の至りのエピソードは非常にしょうもない話なのですがやっぱり懐かしくて自分でもたまに読み返してニヤニヤしています。後半の新自由主義がもたらしたイギリス社会の歪についての真面目な感想とのギャップがゴーストライターがいるのではと疑われかねない激しさで笑えます。

第8位(-) いよいよ本屋大賞2021ノミネート作品発表!(2021年1月26日):やはり人気の高い本屋大賞関連投稿です。読み返してみると、本当に自分がこれを書いたのかと一瞬自信が無くなるぐらいなかなか簡潔に候補作を紹介していてちょっと自画自賛してしまいました(笑)。

第7位(-) 期待通り面白かった染井為人先生の「正体」を紹介!(2020年12月8日):10位にも入ったEV珍道中の第一回(全3回)ですが、存外金次郎の昔の面白い思い出は人気が高いことが分かります。引き続き記憶を絞りに絞って思い出シリーズを充実させてビューを稼ぐことを検討してみたいと思います。人生50年の区切りとして自分史的な感じにしてもいいかもしれません。かすんでしまっていますが、「正体」も面白い本ですのでぜひご一読下さい。

第6位(-) 文学女子とその母上に冬休みにじっくり読める本を紹介(2020年12月28日):引き続き人気のこの本紹介企画ですが、最近お薦め本リストが枯渇気味という難題に直面しております(笑)。文学女子ABさんも来年は受験生ですので面白い本を紹介し過ぎるのもどうなのかと悩みつつ今後のこの企画の在り方について考える今日この頃です。

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金次郎、長らく積読であった話題作、「人新世の『資本論』」を遂に読了

いよいよ冬が本格化してきた感じですが、気温の低下もさることながら空気の乾燥がひどくなっていることにも非常に気が重い今日この頃です。なぜかと言いますと、ただでさえルーチンでやらねばならないことが多い日常生活に乾燥対応のケアが加わるためで本当に面倒臭い。ということで、読者の皆さんにとって、心の底からどうでもいいことだとは分かりつつも、あまりにも書くことが無いために、金次郎の身体のケアについて書かせていただきたいと思います。すみません。

先ず起きてから最初にやるのは当然洗顔です。その後化粧水、乳液、クリームとフルに塗り込むのですが、気分によって妻の化粧品の中から安価なものとそれなりに高価なものを選んで使わせていただきます。出社する際には今や当然の日常ではなくなった出勤への気持ちを高めるために更に高品質なものを妻の目を盗んでこっそり使う場合も有るのですが、ちなみにそれはノエビア化粧品の最高級ラインの商品でお値段はとても恐ろしくて口に出せません(苦笑)。これまたどうでもいい話ですが、匂いフェチな金次郎はその日の気分でメゾン・フランシス・クルジャンのアクアユニベルサリスかジェントルフルイディティゴールドのいずれかのフレグランスを選びます。前者は爽やか、後者は甘いバニラの香りでかなり気分が上がります。ただ、会社でそれをいい匂いと言ってくれたのが、同じく中年のおじさん同僚(通称ミッツ・マングローブさん)ただ一人というのが気にはなりますが。。。

そして、朝のルーチンの最難関は点眼薬3本の時間配分で、目薬を差した後は1分ほど目を閉じてじっとしていないといけないし、それぞれの点眼の間も少なくとも5分は空けねばならないことから、朝の時間の無い時にちょっとでもミスるとそれなりにリカバリーに時間を要するので本当に面倒です。夜は夜で、洗顔からクリームまでのプロセスは同様ですし、時々妻から毛穴が汚いとクレンジングやパックをさせられるケースも有りこれはかなり手間と時間を要します。更に頭皮のマッサージにヘアオイルの塗り込みと続いた上に、なんと夜は点眼薬が4本となり更に煩わしさが増し増しとなります(涙)。これに加えて冬になると乾燥のために二の腕の発疹とかかとのガサガサが発生するため、これまたノエビアのクリーム1(薬用SDローション)とクリーム2(薬用SDクリーム)を塗り込む必要が生じ、特に足はクリーム後素足でベタベタ歩けないので、クリーム1・2と靴下を持って家の中をうろうろせねばならず、自分は何をやっているのだろうという気分になります(苦笑)。ただ、このクリームは一体どんな謎成分が配合されているのだろうと疑念が湧くほどに効果てきめんで、ガビガビになったかかとや足の裏、親指の側面などが塗り始めてから数日で赤ちゃんのお肌のような状態に戻り、かなり達成感が有るのは事実です。仕事ではいつもルートコーズ(根本原因)を見極めて対処しなさいと指導している立場としては、本来は床暖房をやめて足の裏を乾燥させ過ぎない、ちゃんとした加湿器を購入して室内の湿度を適切に保つ、などの対応をすべきなんだろうと思いつつ行動に移せていない言行不一致のダメ人間です(涙)。

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金次郎、たそがれ研修を受け定年後について考える

先日会社で研修を受け、一日半みっちりグループワークなどを通じて色々と考える良い機会となりました。どんな研修かと言いますと、あなたこのまま何も考えずに定年を迎えたらヤバいことになりますよ、という内容で、会社員生活の終わりがぼんやりと見え始める50歳前後で受けるため〈たそがれ研修〉と社内では呼ばれております(笑)。定年後あなたはだいたい17年生きる、あなたが死んでから奥さんは更に10年以上生きる、よっていくら必要になるが年金だけだとこういう感じになってゆとりの有る生活を送るにはこれだけ足りない、というようなシビアな話を突き付けられます。少し前に話題となった退職時に2000万円貯金が必要か否かという問題と基本的には同じような話なのですが、そもそも金次郎家が毎月どれくらい支出しているのかよく分かっていない体たらくにてスタートラインにすら立てていない不安感は否めません。

そして、ちょうど先日電話した際に父親も言っていたのですが、うまい具合にビンゴ的にきれいに金を使いきって死ぬのは不可能なために、常に預金が減っていくことへの恐怖と向き合わねばならず、それを避けるためにはやっぱりぎりぎりまで収入を得続けた方が良い、という当然の帰結となり、悠々自適の読書&ブログで余生を過ごそうと思っていた金次郎にはやや暗雲の切ない内容となりました。60歳過ぎでの再就職のハードルが高いというほぼ脅迫(笑)の説明を受け、将来を見据えた学び直しや準備を計画的に少しずつでも意識して実際に動き始めるべきタイミングと実感いたしました。ただ、働き続けるにしても、今の会社で40年前後がむしゃらに勤務した後の選択ということもあり、少しくらいは自分のやりたいことに寄せたいなと思い、研修でもさんざん問われましたので、改めて自分がハッピーだと感じるのはどういう瞬間かと自らを振り返ってみることとしました。こっ恥ずかしい自分探し作業でしたが、あれこれ考えているうちにこれまでの人生を通じて公私問わず仕事でも遊びでもオリジナリティのある金次郎らしい発信をして、それに対し面白かったやためになったなどのポジティブなフィードバックをもらった際にとても嬉しい気分になることを再確認することができ、そういうことならと、難易度は非常に高いと理解しつつも、現段階の夢として、このブログあるいはそれに類する発信を皆さんに楽しく読んでいただき、そこで僅かばかりでも稼げればいいな、とパイプドリームを掲げてみることにしました。研修では更に一歩進んで、その実現に向けた具体的なアクションも設定せねばならないということで、①ブログのみならず今後発信プラットフォームとなり得るsocial mediaについて行ってこれを活用できるようデジタルリテラシーを上げる、②このブログの文章をより分かり易く、読み易くてかつ面白いものにすべく心掛ける、③できるだけたくさんのことを経験すべく妻と色々なところに出かける、④もっと幅広く、かつ深い読書を意識する、そして⑤定年までの限られた時間にできるだけ密度の濃い経験を積めるよう、全力かつより広い視野で仕事を頑張る、という当たり前のステップを設定しました。先ずはとにかく妻の治療が最優先ですが、暫く時間が経過しても①~⑤ができていないぞ、とお気づきの際は是非叱咤激励いただけますようお願いいたします(笑)。

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金次郎、海外の文学賞についても少しだけ調べてみる

前回のブログに妻のことを少し書きましたが、読んでいただいた皆さんからたくさんの有用な情報をいただきました。お心遣いに大変感謝しております。どうもありがとうございました。できるだけ早くポジティブなご報告ができるよう夫婦二人で治療を頑張って参ります。

さて、海外の作品を読もうとして候補作の紹介文を眺めていると、○○賞受賞!という記載をよく目にします。そういった賞がたくさんあって何が何だか分からなくなりがちなので、思い立ってここで軽く整理してみたいと思います。(日本の文学賞についての説明はこちらで)

ノーベル文学賞は作品でなく作家に贈られるため奥が深すぎてここでの説明から除外しますが(苦笑)、その他の賞で最も目にする機会が多い印象なのはやはりブッカー賞でしょうか。イギリス連邦+アメリカの作家による長編小説が対象となるこの賞は厳正な審査が有名で様々な分野から選出された選考委員が多数のロングリスト作品を全部読んで、ショートリストした6作品の中から最終的に受賞作を選ぶ流れとなっているようです。賞金は5万ポンドとなかなか高額で、優れた作品を選ぶというコンセプトから芥川賞や直木賞と違って複数回受賞する作家も存在しています。金次郎は少なくとも以下の受賞作を読んでおり、いずれ劣らぬ面白い作品ばかりですので今後もこの賞は信頼して翻訳が出たらなるべく早めに読みたいと思います。

「日の名残り」(カズオ・イシグロ著 中央公論新社)1989年/「昏き目の暗殺者」(マーガレット・アトウッド著 早川書房)2000年/「パイの物語」(ヤン・マーテル著 竹書房)2002年/「グローバリズム出づる処の殺人者より」(アラヴィンド・アディガ著 文芸春秋)2008年/「七つの殺人に関する簡潔な記録」(マーロン・ジェームス著 早川書房)2015年(本ブログで紹介済み)

珍しいところを簡単に紹介しますと、「パイの物語」は本賞を取ったからか映画化もされています。16歳のインド人少年ピシル・モリトール・パテルが3歳のベンガルトラと7か月以上太平洋を漂流するという奇想天外なストーリーで、何と言っても狭いボートの上でのトラとの共生が生み出す極限の緊張状態がこれまでのサバイバル小説と一線を画していて新鮮です。漂流は第二部で描かれているのですが、一見意味の無さそうな第一部の内容が後になって非常に重要になってくる構造はなかなか手が込んでおり、クライマックスの第三部では人間性の限界が見事に描かれています。

「グローバリズム出づる処の殺人者より」はインド社会の現実と闇を、なんともリアルに描き出している秀作です。語り手の、淡々と皮肉っぽく悟ったような語り口が究極の格差社会の壮絶さを際立たせていて本賞受賞も納得です。気持ち悪いところも有りますが、読み始めたら止まりません。とある人がインド出張中に肥溜めに落ちたという話を思い出してぞっとしました(笑)。

このブッカー賞がお手本にしたというか、真似をしたとされるのがフランスのコンクール賞でフランスの作家による独創的な小説に贈られる賞です。こちらは賞金が10ユーロというのが笑えます。金次郎は、「地図と領土」(ミシェル・ウェルベック著 筑摩書房)2010年(本ブログで紹介済み)「天国でまた会おう」(ピエール・ルメートル著 早川書房)2013年、を読んでおり、どちらも独特の雰囲気の有る作品で印象に残っておりました。「天国で~」は戦争で下顎を失った悲しい男の物語です。

この他にもよく話題になるのはアメリカの報道、写真、小説、音楽など21部門で選出されるピューリッツァー賞かと思います。色々なメディアでこの賞のことを目にする機会が多いのはやはり21部門も有って濫発されているからでしょうか(笑)。電気屋さんなどでよく見かけるグッドデザイン賞が応募数の約30%に授与されるというのを少し思い出しました。ピューリッツァー賞のフィクション部門にはあまり縁が無く、調べた最近の作品では「地下鉄道」(コルソン・ホワイトヘッド著)2017年(本ブログで紹介済み)しか読んでおりませんでした。一方、ノンフィクション部門にはなかなか興味深い作品が多く、「石油の世紀」(ダニエル・ヤーギン著 日本放送出版協会 )1992年(本ブログで紹介済み)、「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド著 草思社 )1998年、「病の皇帝〈ガン〉に挑む 人類4000年の苦闘」(シッダールタ・ムカジー著 早川書房 )2011年(本ブログで紹介済み)「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」(スティーブン・グリーブラッド著 柏書房)2012年と読んでおりました。中でも「一四一七年~」は、馴染みの無い年号が気になって読んだだけだったのですが、古代ローマの詩人ルクレティウスによって紀元前に著され、1000年の行方不明期間を経てブックハンターによってドイツの修道院でたまたま〈発見〉された「物の本質について」が世界に与えた影響を描くという笑えるほど壮大な内容でした。この〈発見〉がその後に起きる宗教改革、ルネッサンス、自然科学の進歩と深く結びついていたと知って、歴史の運命的なつながりはやはり奥が深いと思いました。トマス・ジェファーソンも愛読していたようで、独立宣言の〈幸福の追求を支援~〉の部分はこの本の影響だそうです。

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衝撃タイトル「まだ人を殺していません」で新感覚カタルシスを堪能

突然で恐縮ですが、実はこのところ金次郎夫婦にちょっと辛い出来事が発生しており、家族ファーストということで読書はややお留守となっております。それでもこれまでが読みすぎだっただけで、日本人の平均ぐらいは読んでいるかなと思いますが、しばらくの間少し紹介ペースが落ちたり、ブログの中身のクオリティがやや低下するかもしれない点、ご容赦いただければと思います。詳細には触れませんが、妻が股関節の不調に起因する痛みや全身のしびれ症状に苦しんでおり、もしそういう症状の治療に明るい整形外科医院や整体・鍼灸治療院などご存知の方がいらっしゃいましたら情報を共有いただけますと大変助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。しかし、自分の知識の範囲外のものを全てストレスやメンタルのせいにして片付けようとする反知性主義の整形外科医にはうんざりしますね。

さて、そんな金次郎夫婦が気晴らしも兼ねてはまっているドラマが日テレ日曜夜の「真犯人フラグ」です。秋元康企画のドラマで、家族円満、マイホーム建設中と幸せいっぱいだった相良凌介(西島秀俊)ですが、突然妻真帆(宮沢りえ)と子供二人が謎の失踪を遂げ、その後も長期に亘り行方不明になるという不幸に見舞われる展開で、お定まりの周囲の誰もが疑わしく見えるというパターンの中にも、めまぐるしく攻撃対象を変えるネット世論や陰謀論を語る動画生配信チャンネルなど現代的な要素がかなり盛り込まれていて目が離せません。相良が入りびたるバー「至上の時」は金次郎の未踏地帯である中上健次先生の「地の果て 至上の時」(インスクリプト)に由来すると第一話で明かされ、相良も読書好きであることから、読書うんちくが鏤められる展開を大いに期待しましたが、その後読書ネタはほぼ登場せず、この点は少しがっかりしています。

第七話終了現在、「真犯人フラグ」を立てられてしまった相良以外の全員が怪しい状況ですが、第一話で明らかにこれ以上無い幸せ家族演出で所謂「死亡フラグ」が立った状態となった妻真帆がフラグ通り帰らぬ人となるのか、フラグの常識を覆しハピエンとなるのか、はたまたこれまたドラマで定番の最終話に詰め込み過ぎ、つまらないセミナー後のアンケートのように回収されず残る伏線に納得感ゼロの結末となるのか、過度には期待せずこのまま観続けようと思います。

役者陣では、あのクールで強そうな西島さんがちょっと抜けていてずれている頼りないおっさん相良を好演されているのが目につきますし、若干関西弁は厳しいところもありますが、演技に定評のある芳根京子さんも相良を完璧にサポートするスーパー女子でいい味を出されていますし(今後はどうなるか微妙)、元乃木坂の生駒里奈さんもヤバい人を怪演されていてイメチェン気味でなかなか面白いです。謎のキャラが香里奈さんではないかとの疑惑の審議も気になります。ちなみに、うちの妻は佐野勇斗さんが好みだそうです(笑)。

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