いよいよ本屋大賞2024ノミネート作品発表!

今年もこの季節がやって参りました。金次郎と宿敵Mによる本屋大賞予想対決のキックオフとなるノミネート10作品発表が2月1日(木)に行われ、読書家のプライドを懸けた2か月強に亘る長い戦いが始まりました。今年は宿敵Mが会社の予算作成作業に忙殺されると見込まれる上に、その他にも色々と多事でいらっしゃるようなので、早くも圧勝の予感が漂います(笑)。4月10日(水)の結果発表を睨みつつ、恐らく4月1日(月)辺りに設定することになる順位予想締め切りに向け気を抜かずに全集中していきたいと思います。以下ノミネート作品となりますが、既読はたったの3冊のみで、これから7冊もの未読作品を堪能できるかと思うと楽しみでなりません。

ジンクスに従って王様のブランチBOOK大賞の「黄色い家」が順当に勝利するのか、まさかの昨年受賞作「汝、星のごとく」の続編という二匹目の泥鰌で凪良先生が本屋大賞を食い物にするのか、はたまたダークホースが大賞をさらうのか、(いつも言っていますが)今年は特に順位予想の難易度が高く腕の見せどころかと思います。

【本屋大賞2024ノミネート作品】

「黄色い家」(川上未映子著 中央公論新社):既読。普通に行けば大本命の本作ですが、果たして人気、実力、国内外での知名度いずれも抜群という本レースでは大きなハンデとなる悪条件を乗り越えて川上先生が初受賞となるか注目です。

「君が手にするはずだった黄金について」(小川哲著 新潮社):未読。昨年は「地図と拳」で直木賞受賞、「君のクイズ」で本屋大賞ノミネートと乗りに乗っていた小川先生ですが、今年も勢いは衰えず本作で連続ノミネートとなりました。作風がやや難解な点が敬遠され下位に沈むのか、それとも本作ではある程度大衆側に歩み寄って上位進出となるのか、とにかく読んでみないことには分かりません(笑)。

「水車小屋のネネ」(津村記久子著 毎日新聞出版):未読。谷崎潤一郎賞受賞作であり非常に前評判が高い本作は金次郎の積読リストで常に第1位の注目作でした(負け惜しみ)。「つまらない住宅地のすべての家」、「現代生活独習ノート」と最近立て続けに印象に残る作品を読んで予想には禁物の推し心がくすぐられていますが、冗談ではなく知名度と実力のギャップという点では上位進出も充分有り得ます。

「スピノザの診察室」(夏川草介著 水鈴社):未読。タイトルに診察室と有るので医療ものだとは思うのですが、医師として多くの同ジャンル作を手掛けられている夏川先生が、「神様のカルテ」以来のノミネートで果たしてこの名作を超えられるか期待大の一冊です。

「存在のすべてを」(塩田武士著 朝日新聞出版):未読。フィクションもノンフィクションも自在にこなす塩田先生の折り紙付きの筆力が最も発揮されるであろうサスペンス作品ということで、暗くなり過ぎてマイナス評価にさえならなければ上位も充分狙えると思います。

「成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈著 新潮社):既読。デビュー作でもあり、魅力的な主人公のキャラがうけて既に続編も出版されているということで、ある意味予想通りの候補入り。ただ、初読では金次郎評はさほど高くなく、再読でどこまで加点ポイントを見つけられるかが鍵となります。

「放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件」(知念実希人著 ライツ社):未読。万年8位と本屋大賞では苦戦続きの知念先生が久々の登場となった本作。ややマイナー出版社から出ている点から知念先生がやりたいことを全力でやったのではとの期待感が高まって調べてみると、なんとこの本児童書なのだそうです!20回目となる本屋大賞史上初めてノミネートされた児童書をどう評価すべきか、今から割れるほど頭が痛いです。

「星を編む」(凪良ゆう著 講談社):未読。まさかの続編でご自身3度目の大賞受賞できるほど本屋大賞は甘くなく、川上先生以上の人気と知名度も間違いなくハードルになると思うものの、このレースへの抜群のフィット感を誇る凪良先生だけに油断禁物を肝に銘じてバイアス抜きに読んでいきたいと思います。

「リカバリー・カバヒコ」(青山美智子著 光文社):既読。読者に寄り添おうと階段を相当降りてきた結果のダジャレ連発ではないと思いますが(笑)、青山先生が本作で悲願の大賞に届くのか、じっくりと再読して加点ポイントを探していこうと思います。

「レーエンデ国物語」(多崎礼著 講談社):未読。昨年の「ラブカは静かに弓を持つ」同様に寡聞の金次郎の不勉強ゆえの初読著者によるファンタジー作品。既に続編が2作も出ている破壊力は侮り難しということで、好みでないファンタジーを割引評価し過ぎぬよう心して読まねばと考えております。

勿論本の紹介もいたします。先日王様のブランチBOOKコーナーで湊かなえ先生、呉勝浩先生、新川帆立先生という超豪華な今をときめく個性派ミステリー作家による鼎談企画が放送され、なかなかお目にかかれないレアな機会でしたので10分間ひたすらテレビにかじりついておりました(笑)。企画テーマは、お三方それぞれがイチ推しのミステリーを紹介するという読書好きにはたまらないもので、改めてこの番組の読書に対する情熱を再認識し大感謝いたしました。さて内容ですが、新川先生は「弁護側の証人」小泉喜美子著 集英社)を挙げていて、湊先生もこの本を読まずしてミステリー作家を名乗ることはできないと別格の扱いでしたし、呉先生も世界が揺らぐ感覚を絶賛しておられました。その衝撃の内容については、何を書いてもネタばれになるのが悩ましいところですが、財閥の放蕩息子に見初められ結婚した元踊子の漣子が、これまでの生活と180度違う環境に順応できず苦しんでいるところに、その財閥の当主が殺害されるという事件が起こります。読み進めながら、もうあまり紙幅が残ってないけどこの話ちゃんと終わるのだろうか?と不安になったところに切れ味抜群のどんでん返しを食らう衝撃にただただ驚嘆するばかりの評判通りの傑作でございました。呉先生のお薦めは「屍人荘の殺人」(今村昌弘著 東京創元社)で鮮烈なデビューを飾った著者によるホラーミステリーの「でぃすぺる」(文藝春秋)でした。主人公である小学6年生のユースケが自らのオカルト趣味を形にすべく〈掲示係〉に立候補してクラスの壁新聞にオカルト関連の記事を書こうと目論むのですが、何故だか優等生で合理主義者のサツキも同じく〈掲示係〉に加わります。そして、もう一人のメンバーで常に淡々としているミナを含めた3人で、6つしか無い〈奥郷町の七不思議〉の謎を解くべく奮闘するというストーリーになっています。この〈七不思議〉はサツキの従姉妹で1年前に亡くなったマリ姉のパソコンに遺されていたもので、7つ目の不思議を知った者は死ぬというおどろおどろしさ満点の設定も効いていて、どんどん読まされているうちに物語世界にのめり込んでいくことになります。小学生に探偵役を担わせるにはやや謎がヘビー過ぎる気もしますが、そういう細かいことを軽々と置き去りにして、とにかく7つの謎を真っ直ぐに解いていこうという無骨さがかえって良かったと感じました。呉先生に「そこまでやるか今村」と言わせしめた、小学生に最後までオカルトをやり切らせた今村先生のぶれない筆致に拍手を送りたいと思います。ちなみに湊先生は最早説明不要の不朽の名作「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ著 早川書房)を挙げておられました。

最近ミステリーばかり紹介している気もしますが、「米澤屋書店」(米澤穂信著 文藝春秋)では古今東西の短編・長編ミステリーを米沢先生が独断と偏見で選別し紹介しまくるという構成になっています。先生は自らを読書家ではないと謙遜されていますが、有り得ないほど読んでいないと絶対こんなに大量かつ詳細にお薦めの本を紹介できる筈もなく、読書家としてのレベルの差に圧倒的な敗北感を感じさせられた一冊でした。先生のイチ推し作家は泡坂妻夫先生なのだそうで、絶賛の「煙の殺意」(東京創元社)を読んでみたところ、収められている8編の短編何れもがミステリーとして素晴らしいのは勿論のこと、人間と人間ドラマが見事に描かれていて、確かに米澤先生のご紹介の通り推理小説の枠を超越した短編とは思えない深みの有る内容に感動いたしました。金次郎は伏線回収がぐさっと刺さる「歯と胴」、物語全体に漂う薄気味悪さから目が離せない「紳士の園」、そして予想もできない展開に唸らされる表題作が特に気に入りました。

先日NHKのクローズアップ現代になんと〈知の巨人〉佐藤優先生が非常に珍しいテレビ出演をされていました。あの短い尺では先生の博覧強記ぶりの1%程度しか伝わらなかったものの、とにかく語り掛けてくる迫力が本当に凄かった。普通に相手をしている桑子アナも凄いけど(笑)。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

「いよいよ本屋大賞2024ノミネート作品発表!」への2件のフィードバック

  1. いつもありがとうございます。家内と見ておりましたが、佐藤優先生の迫力は、人物が発する言葉が、こんなに人に迫ってくるのを久しぶりに感じました。本屋大賞頑張ってください。

    1. コメント有難うございます。さすがは佐藤優、ただ者ではない迫力が画面から溢れ出てましたよね。私も少しでも近づけるよう頑張ります。勿論予想対決も必勝の気持ちで臨みます。また旅行の件ご相談させてください!

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