いよいよ本屋大賞2024ノミネート作品発表!

今年もこの季節がやって参りました。金次郎と宿敵Mによる本屋大賞予想対決のキックオフとなるノミネート10作品発表が2月1日(木)に行われ、読書家のプライドを懸けた2か月強に亘る長い戦いが始まりました。今年は宿敵Mが会社の予算作成作業に忙殺されると見込まれる上に、その他にも色々と多事でいらっしゃるようなので、早くも圧勝の予感が漂います(笑)。4月10日(水)の結果発表を睨みつつ、恐らく4月1日(月)辺りに設定することになる順位予想締め切りに向け気を抜かずに全集中していきたいと思います。以下ノミネート作品となりますが、既読はたったの3冊のみで、これから7冊もの未読作品を堪能できるかと思うと楽しみでなりません。

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「アガサ・クリスティー自伝」は最高に面白くておすすめ!

昨年2020年は後にミステリーの女王と呼ばれることになるアガサ・クリスティーが「スタイルズ荘の怪事件」(早川書房)でデビューし、〈灰色の脳細胞〉で知られるエルキュール・ポワロを世に出してから100年のメモリアルイヤーでした。

ポワロは、第一次大戦で荒廃した欧州大陸からイギリスに亡命してきたベルギー人の元刑事で50代という設定ですが、クリスティーもその後ポワロが50年以上も活躍するとは夢にも思わず、ひたすら小学一年生を続けながらストーリーが緩慢に進んでいく名探偵コナンばりの苦しみを味わうことになっています。クリスティー自身も、もっと若い設定にしておくべきだったと悔やんでいますね(笑)。

極めて大雑把な分析ではありますが、シャーロック・ホームズを情報収集重視のひらめきタイプ、エラリー・クイーンを緻密なロジック積み上げタイプの名探偵だとすると、ポワロは秩序を重んじ細部に拘る共感力タイプの名探偵と言えるかと思います。〈相棒〉の杉下右京はクイーンとポワロの間、明智小五郎はホームズタイプというイメージでしょうか。

そんなポワロものを中心に多くの作品を残したクリスティーは1976年没ということで、金次郎が4歳の頃までご存命だったことになり、親の世代にクリスティーは同時代の人気作家だったというのがちょっと実感が沸きません。偉大過ぎるからでしょうか。

そんなわけで、100周年を機に前から気になっていた「アガサ・クリスティー自伝」(アガサ・クリスティー著 同 上巻下巻)を読んでみたのですが、これが非常に面白い本で大変おすすめです。

クリスティーが15年かけて記したこの本は、クリスティー自身の人柄についてや、数多の名作が産み出された背景は勿論、当時のイギリス社会や大英帝国統治下の植民地の様子も垣間見え、ミステリーファンならずとも楽しめる一冊となっています。

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