金次郎、文学女子に緊急事態GWを楽しく過ごすための本を紹介

会社でかなり若手の同僚と何気なく昔住んでいた笹塚の話をしていた際に、以下のブログで紹介している通り、金次郎がかつて暮らしていた学生ハイツはパチンコ・カラオケ・サウナが揃った最強のビルの中に入っていたという話題となりました。

学生ハイツの話①

学生ハイツの話②

もう30年も前の話ですし、そのビルがまだ存在しているかどうかも自信が無かったのですが、なんと後輩はその建物を知っており、しかも有名だとのこと。どうやら、当時は非常に怪しげな空間と感じていたそのビルの上層階のサウナが、最近〈天上のアジト〉として意識の高いヤングエグゼクティブ(死語)の間で、心身の状態を整えるのに良い、とブームになっているのだそうです。トレンドは巡るといいますが、ここ数十年サウナブームが来た記憶は無く、一つのことを粘り強くやり続けることの力を垣間見たエピソードでした。

学生ハイツでの楽しかった思い出は後から後から浮かんでくるものの、どうもいざブログで詳細を書こうとすると不適切な内容を含むものが多く(笑)、マズい部分を削除してしまうと全然面白くないお話になってしまうので悩ましいところです。最近は女帝ゆりこをTVで見ない日は無いですが、都知事を見ると時々あの頃まだできたばかりの都庁の中にあったバーでバイトをしていた学生ハイツの仲間が持って帰ってくる豪華な残飯を晩餐会と称して賞味するのを毎週楽しみにしていたのを思い出します。学生時代ということで舌の記憶には自信が無いですが、それなりのクオリティだったとの印象で、やはりまだまだ世の中はバブルの只中だったのだなと思います。バブルと言えばトレンディドラマを連想してしまいますが、東京ラブストーリー後の織田裕二全盛期だった当時、俺は電車の中で織田裕二と何度も間違えられ声をかけられたと自慢気に語っていたハイツの先輩であるM本さんがジミー大西にしか見えなかったのを思い出して懐かしくなりました。すぐに裸になっていたM本さん元気かなぁ。

さて、前回のブログでの予告通り、駆け込みとなってしまいましたが、緊急事態宣言下のGWに向け、文学少女ABさんに本の紹介です。ABさんも中学2年生となり、そろそろ金次郎を含めたおじさん全般への嫌悪感が高まり始めるお年頃かと思いますが、そこは仮にも師匠ということで、他の一般おじさんとは一線を画したいところにて、師匠の威厳を保つためにも面白い本を紹介せねばとプレッシャーに負けそうです。

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コロナの時代に「美しき免疫の力」を読み免疫について学ぶ

読書家としての一大イベントである本屋大賞対決が終わり、しかも2連敗という結果となってしまい、やや燃え尽き気味でブログを書くモチベーションが高まらぬ中、勝者Mから以下のようなコメントが届きました。

“今年は1位と3位を当てたので私の完勝と言っても良いのではと思います(笑)。 金次郎さんの来年の捲土重来に期待しております!”

こんな普通のコメントをする者に負けるとは、臥薪嘗胆、不惜身命、一意専心で捲土重来したいと思います。

しかし、おかげさまでこの本屋大賞企画は皆さまにたくさん読んでいただいており、非常に速いペースで弱小ブログとしての第一目標である200PVを越えました。通常はそこまでいくのに早くても2か月程度はかかるので、2週間足らずで到達というのは非常に嬉しい結果です。読者の皆様どうもありがとうございます。

ついでに以前の記事のPV数を見直してみたところ、投稿当初はマニア過ぎたのか伸び悩んでいた「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を紹介した記事がいつの間にか400前後のPV数まで増えており、どこからビューが湧いてきたのか全く分からずかなり謎ではありますが、本当に興味深い内容のシリーズだったので、このブログが少しでも読者数増加に貢献できていれば嬉しい限りです。

「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~前編

「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~後編

さて、今週の紹介はずっと積読になっていた「美しき免疫の力:人体の動的ネットワークを解き明かす」(ダニエル・M・デービス著 NHK出版)です。この本だけだと難しいので、参考資料として「現代免疫物語beyond:免疫が挑むガンと難病」(岸本忠三著 講談社)も一緒に読んで力を借りました。

これらの本は、非常に複雑で精緻な機構を有する免疫システムの説明を、その解明と医療への応用の歴史と共に解説してある科学書です。未だ謎の部分も多い免疫システムについてその全貌を理解するのはそもそも不可能ですが、COVID19

のワクチン接種も始まったということで、なんとか基礎的な仕組みだけでも頭に入れたいと思いつつ行きつ戻りつしながら読み進めました。

しかし、先ず、免疫とは体内に侵入してきた細菌やウイルスのような異物を、自己と非自己、有害と無害に選別し、非自己・有害と認定したものに対して攻撃を仕掛ける機構と定義できるわけですが、その働きの95%を占める自然免疫と、しぶとく生き残った異物に対して発動する獲得免疫に分けられる、という初歩の初歩を知るところからのスタートなので正直道のりは険しかったです。

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【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2021予想対決の結果を発表!

振り返ると学生時代は勉学に打ち込んだり、陸上競技に励んだり、友人と異性を取り合ったりと、何かと順位や勝敗を意識し、結果に拘りながら日々を送っていたように思います。

ところが、だんだんと年を重ね、五十路が目前に迫る近頃では、気持ちに折り合いを付けて身を処す術も覚え、流れや長いものに身を任せつつ、日々淡々と早寝早起きしたり、踏み台昇降運動をしたり、PCのキーボードを消毒したりしながら、穏かにのんびりと時を過ごす隠者のような生活を送っており、常に気持ちは平常心で風の無い日の湖面のようにどこまでも平たんで乱れの無い状態を保っております。

最近は、久方ぶりに出社するようになり、後輩とコーヒーを飲みながら他愛もない雑事について語り合う時間にこの上ない幸福を感じ、サラリーマン生活終盤も捨てたものではない、と慮外の充実すら感じている今日この頃です。

読者の皆さん、もう気付かれましたか。はい、避けています。今日どうしても触れなければならないその話題を。そうです。その通りです。金次郎は負けました。去年に引き続き二連敗です。また金の栞を三菱マテリアルで買わなければなりません。本当に本当に悔しいです。Mが意気揚々と連絡してきた瞬間は、心がリアス式海岸みたいにギザギザになりましたし、シンガポールのマラソン走るおじさんから「負けた?」とメールをもらった際は、もう一生本屋で本を買うものか、という気分になりました(笑)。会社の同僚の皆さんにもブログを紹介して読んでいただいたので恥ずかしい限りです。

ということで気持ちの整理をする必要が有り、ブログ更新がやや遅れてしまい申し訳ありませんでしたが、気を取り直して結果発表&反省&言い訳です。

【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2021順位予想対決!

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【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2021順位予想対決!

いよいよこの日がやって参りました。今年は4月14日(水)に発表となる本屋大賞の順位を予想してしまおうという大それた企画を始めて3年目になりますが、さてさてどうなることやら。宿敵Mもドイツから予想を届けてくれましたので、今回はいつもより少し長いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい。昨年の予想ブログを読んでいただいた方から、作品毎の評価を読み比べたいとの要望が多かったので今年はそのような構成にしております。では、前置き抜きで早速予想です。

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いよいよ本屋大賞2021ノミネート作品発表!

金次郎と宿敵Mによる本屋大賞2020予想対決、結果発表!

金次郎と宿敵Mによる本屋大賞2020予想対決!

【金次郎の総評】

年間300冊以上の本を読み続ける中で、どんな本にでも面白さを見出す技術を期せずして磨いてしまった金次郎にとって、この本屋大賞予想対決は年に一度の楽しみであると同時に、一年を代表する候補作の数えきれない面白さを無理矢理カウントして順位を付けねばならないという意味で最大の鬼門イベントでもあります。

こんな言い訳から入らざるを得ないほど、今年は売れまくっている芥川賞作の「推し、燃ゆ」や昨年大賞を取った凪良ゆうの次作をはじめとした話題作が多数な上に、どうしても評価にバイアスがかかってしまうアイドル加藤シゲアキの「オルタネート」の候補作入りもあいまって、本当に難儀な予想作業となりました。中途覚醒症状の悪化が止まりません。

緩慢にフラストレーションが蓄積していくコロナ禍の社会で求められているものは何なのか、これまで読書に割く時間があまり取れなかった人も本を手に取ることが多くなったという変化を順位にどう反映させるべきか、などのポイントを真面目に考え、悩みに悩んだ結果、作品の質は勿論ですが、前向きな希望や救いの存在、ストーリーの分かり易さを重視して予想を組み立てることとしました。

そうして約一か月、考えて書いてつまずいて(♪スキマスイッチ「ボクノート」より)、並べた結果が紙クズとならぬことを祈りつつ、大賞には「滅びの前のシャングリラ」を推薦します!昨年大賞の「流浪の月」を9位と予想してしまった贖罪の気持ちはさて置き、舞台設定の面白さと、絶望の中で際立つ救いを描いた点を評価しました。悲惨な話を暗く描かないために時折配置されたセンス溢れるユーモアも大好きな作品です。

惜しくも2位となったのは「推し、燃ゆ」。本作が傑作であることには疑問の余地無しで、宇佐見りんの文章が放つ圧倒的な力は他の候補作を凌駕していると感じます。しかしながら、誰もがすんなり受け入れられる分かり易いお話かと問われれば否と答えざるを得ず、数十万部も売れた本を更に売りたいと書店員が推すかについても若干の懸念が残るため、作品の質というよりは順位予想というゲームの性格から次点としました。

3位は王様のブランチBOOK大賞に輝いた「52ヘルツのクジラたち」。希望、救い、分かり易さと三拍子そろった秀作ですが、少しだけご都合主義との印象が残り、どうしても許容したくない登場人物の多さもマイナスに働きこの順位となっております。

読書家の最大の敵ともいうべき偏見に囚われ、アイドルの書く小説なんてとこれまで敬遠していたことを正直に白状し、そんな自分の眼の曇りに気づかせてくれた加藤先生に感謝の念を表します。4位の「オルタネート」、エンタメ作品として非常に面白かったです。

【Mの総評】

今年で本企画3回目ですが、今までで一番悩みました。明確に生きづらさが増しているいまの世の中に真正面から向き合い、且つ文芸として高い水準でそれを結晶化させた宇佐美りん「推し、燃ゆ」が個人的最「推し」でしたが、「売り場からベストセラーをつくる!」という本屋大賞のコンセプトを考えると既に芥川賞をとり評判もついてきている同作が受賞は難しいかなと。

従い、次いで完成度が高いと思った町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」を1位としました。町田そのこはほかの作品は読んだことはないのですが、キャリア的にここで本屋大賞を取って一段上のステージに上がるという展開はあるような気がします。

伊吹有喜「犬がいた季節」は2年前に大賞となった瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」と同系統の、普通の生活の中の人間関係のあれこれを丁寧に描いた“ほのぼの感動系”で、過去の本屋大賞の傾向を踏まえると上位に食い込む予感がします。

何故か電子書籍化されておらず不承不承当地ドイツまで取り寄せた加藤シゲアキ「オルタネート」は案外好みでしたが(*送料はもとが取れたと思います。正直に言うと色物だと思ってました、すみません。)、直木賞ノミネート作品(&こちらも割と既に売れている)ということで4位。凪良ゆう「滅びの前のシャングリラ」は流石読ませる筆致でエンタメとして楽しめましたが、2年連続大賞受賞への書店員さんたちの心理的ハードルは高いと予想し、5位としました。が、1~5位はどれが大賞を取ってもおかしくはないと思います。

全体としては短編集・オムニバス形式の作品が4編もノミネートされていることが少し気になりました。たぶん、読者側に長編をこなす体力がなくなってきておりウケる小説の形も変容してきているのだと想像します。そんな中、山本文緒「自転しながら公転する」は、既に作家としてそれなりのキャリアがあることを加味して若干辛めの7位としましたが、だらだらと行ったり来たりする主人公の感情の波に振られ続けているといつの間にか読了していたというある意味”伝統芸能”的小説で、こういう長編もまだまだちゃんと世の中に出てきてくれると一読者として嬉しいなと思いました。

【金次郎順位予想】

大賞 「滅びの前のシャングリラ」

2位 「推し、燃ゆ」

3位 「52ヘルツのクジラたち」

4位 「オルタネート」

5位 「お探し物は図書室まで」

6位 「犬がいた季節」

7位 「八月の銀の雪」

8位 「逆ソクラテス」

9位 「この本を盗む者は」

10位 「自転しながら公転する」

【M順位予想】

大賞 「52ヘルツのクジラたち」

2位 「推し、燃ゆ」

3位 「犬がいた季節」

4位 「オルタネート」

5位 「滅びの前のシャングリラ」

6位 「お探し物は図書室まで」

7位 「自転しながら公転する」

8位 「八月の銀の雪」

9位 「この本を盗む者は」

10位 「逆ソクラテス」

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