【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2021予想対決の結果を発表!

振り返ると学生時代は勉学に打ち込んだり、陸上競技に励んだり、友人と異性を取り合ったりと、何かと順位や勝敗を意識し、結果に拘りながら日々を送っていたように思います。

ところが、だんだんと年を重ね、五十路が目前に迫る近頃では、気持ちに折り合いを付けて身を処す術も覚え、流れや長いものに身を任せつつ、日々淡々と早寝早起きしたり、踏み台昇降運動をしたり、PCのキーボードを消毒したりしながら、穏かにのんびりと時を過ごす隠者のような生活を送っており、常に気持ちは平常心で風の無い日の湖面のようにどこまでも平たんで乱れの無い状態を保っております。

最近は、久方ぶりに出社するようになり、後輩とコーヒーを飲みながら他愛もない雑事について語り合う時間にこの上ない幸福を感じ、サラリーマン生活終盤も捨てたものではない、と慮外の充実すら感じている今日この頃です。

読者の皆さん、もう気付かれましたか。はい、避けています。今日どうしても触れなければならないその話題を。そうです。その通りです。金次郎は負けました。去年に引き続き二連敗です。また金の栞を三菱マテリアルで買わなければなりません。本当に本当に悔しいです。Mが意気揚々と連絡してきた瞬間は、心がリアス式海岸みたいにギザギザになりましたし、シンガポールのマラソン走るおじさんから「負けた?」とメールをもらった際は、もう一生本屋で本を買うものか、という気分になりました(笑)。会社の同僚の皆さんにもブログを紹介して読んでいただいたので恥ずかしい限りです。

ということで気持ちの整理をする必要が有り、ブログ更新がやや遅れてしまい申し訳ありませんでしたが、気を取り直して結果発表&反省&言い訳です。

【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2021順位予想対決!

【本屋大賞2021結果】

大賞:「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ著 中央公論新社)

(金)3位・(M)大賞:発表直前にニュースでヤングケアラーという家事や介護をやらされる子供の問題が取り上げられておりまずいと思ったのですが、悪い予感的中でMが大賞を的中させてしまいました。Mは2年前も当てており、3年で2回的中は敵ながら天晴。金次郎の敗因は、本屋の皆さんの〈世に出ていない作家を推したい欲〉を過小評価した点と反省し来年に活かします。町田先生は我が故郷である福岡在住であり、もう少し故郷愛を出せば良かった。。。あー悔しい。

2位:「お探し物は図書室まで」(青山美智子著 ポプラ社)

(金)5位・(M)6位:こちらも「52ヘルツ」同様確かに王様のブランチBOOKコーナーでも取り上げられた話題作ではありましたが、正直ここまで上位に来るとは思いもよりませんでした。〈世に出ていない作家を推したい欲〉恐るべし。また、本屋さんのこの物語の主役である司書さんのようになりたい気持ちが共感を生んだのだと思いました。人生をふとしたきっかけで前向きに変えられる、ありふれているけどぐっとくる人間ドラマ系の上位進出は2年前の小野寺史宜作品の再来です。分かっていたならそう予想すべきでした。。。

3位:「犬がいた季節」(伊吹有喜著 双葉社)

(金)6位・(M)3位:こちらもMの的中です。思えば金次郎が勝手に平成を振り返る作品を読み漁って飽きていただけで、候補作の中にはそういうものは無かったですね。全然心が動かなかった「少年と犬」(馳星周著 文芸春秋)がワンコのおかげで直木賞を取った事実をもっとよく考えるべきでした。

4位:「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎著 集英社)

(金)8位・(M)10位:今回の反省点としてもう一つ大きなものは、〈本屋さんは有名作家に弱い〉という当たり前の事実でした。でも昨年は伊坂作品もちゃんと低い順位になっていたのでそれは違いますね。ちょっと3度目読んでこの本の面白さを探してみます。金次郎は「砂漠」(実業之日本社)が好きな伊坂作品です。

5位:「自転しながら公転する」(山本文緒著 新潮社)

(金)10位・(M)7位:ここは大きく外して金次郎の敗因の一つとなった作品です。負け惜しみでも何でもないのですが、読んだ直後は6位ぐらいに置いていたのに、レビューを書く段になってどんどん順位が下がり、最終的に10位まで落としてしまったというのは、やはり愛着が湧かなかったのだと思います。「金色夜叉」を読んでなかったせいかなー。ベトナム人のお金持ちが出てくる必然性が未だに全く理解できません。やっぱり10位です!

6位:「八月の銀の雪」(伊与原新著 新潮社)

(金)7位・(M)8位:こちらは結果的に妥当な予想となりました。金次郎はレース鳩のお話が結構好きでした。Mも書いていますが、本作にもクジラの声がモチーフになっている話が有り、「52ヘルツ」と読み比べてみると、一つの題材が違った物語に仕上がる比較ができて楽しいです。「八月の銀の雪」に出てくるベトナム人学生には必然性が有ると思います(笑)。

7位:「滅びの前のシャングリラ」(凪良ゆう著 中央公論新社)

(金)大賞・(M)5位:金次郎にとって痛恨の一撃とも言える大外しでした。著名作家でなかった凪良ゆうの「流浪の月」と、本屋大賞作家としての凪良ゆうの本作では、下駄のはかされ方が違ったということでしょうか。今にして思うと、殺人をやや安易に扱った点は減点ポイントだったかもしれませんが、それでもやっぱり面白かったです。

8位:「オルタネート」(加藤シゲアキ著 新潮社)

(金)4位・(M)4位:二人揃って仲良く外しました。やっぱり本屋さんは天邪鬼で、既に十分過ぎるほど話題になっている本は推さない、ということなのでしょう。金次郎は逆に話題に踊らされた感が有りますが、登場人物をあと二人減らせてストーリーの引力を維持できる筆力が付けば、次作以降でもっと上位に入る可能性は有ると思います。芸能人作家としては、又吉直樹、尾崎世界観、そして加藤シゲアキに今後もバイアス無しに注目していきたいと思います。

9位:「推し、燃ゆ」(宇佐見りん著 河出書房新社)

(金)2位・(M)2位:こちらも仲良く本屋気質を読み切れず外しています(笑)。いや、そういう気質を理解して2位にしたのに、まさか9位まで落とすとは。本屋恐るべし。思い返せば、同じく芥川賞作の「コンビニ人間」(村田沙耶香著 文芸春秋)も本屋大賞2017ではそんなに上位に入らず9位だった事実が一瞬頭をよぎった直感に素直になれなかった自分が憎い。しかしながら、9位にはなりましたが、本当に文学作品として優れていると思いますし、短くて直ぐに読めるのでぜひぜひ手に取って頂きたい一冊です。

10位:「この本を盗む者は」(深緑野分著 KADOKAWA)

(金)9位・(M)9位:金次郎として、今回予想と内容の評価がそれなりに的中したのは本作だけだったかもしれません(涙)。基本的に深緑先生は「戦場のコックたち」(東京創元社)や「オーブランの少女」(同)など素晴らしい作品を世に出してこられているので、次回作は勝負の一冊になると思いますが、ぜひあっと驚くものを期待したいところです。

悔しさのあまり色々書きましたが、この企画は本当に楽しく1~4月はとても充実した読書生活が送れて生活にメリハリも出るので、まだ来年もドイツ在住が続くMさん、弱すぎてつまらないのでもう勝負しない、と言わず来年もお付き合いいただけますようお願いします。このブログを読んでいただいている方々も、懲りずに引き続きお付き合い下さいね。どうもありがとうございました。

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA