松本清張先生の「昭和史発掘」、素晴らしいの一言に尽きます

本日は掃除や買い物の合間にこれまで読み進めてきた「昭和史発掘(新装版全九巻)」(松本清張著 文春文庫)を遂に読み終えました。

福岡の実家で父の本棚の真ん中に威圧感を放って並んでいたこの本、今読み終えて、もし若かりし頃これを手に取っていたら私の人生は変わっていたかもしれない、と大げさでなく感じる圧巻の内容です。莫大な資料とその行間から事実とその背景を浮かび上がらせようとする著者の執念が凄まじい。全く書ききれませんが、以下、1~3巻、4~5巻、6~9巻に分けての感想です。また妻にディスられる、真面目かつ固い内容となってしまいましたが、この本についてはもうしょうがない。

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W川上先生の話題作を冬休みの課題図書にし、早速読了しました

昨日で仕事納めとなり、これから九連休です。とは言え、年賀状が手付かず、小掃除や買い物とそれなりにやることが有り、なかなか思うように読書が進まないのが年末年始ですが、今年はこのブログを始めたこともあり、重厚な積読を片付け、真面目、固い、あなたの良さが出ていない、との妻からの辛辣な批判を跳ね返す、面白い記事を書こうと意欲満々です(涙)。

先ずは、友人Mと取り決めた冬休みの課題図書を片付けるところから始めます。Mは本屋大賞順位予想で対決する読書ライバルで、このブログにもこれから度々登場することになると思います。

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あっと驚く叙述トリックのミステリーと、推理はおまけかな?の新感覚民主主義本格ミステリー

昨晩は学生時代の部活の集まりでお酒を飲んだため読書はお休みでした。50代を目前にした、それなりに責任有る立場の面々が繰り広げる無責任かつ不適当な会話の応酬は、まさに事実は小説より奇なりを地で行く感じで、本は読みませんでしたがフィクション感を堪能いたしました。ただ、飛び入り参加していた友人のご子息(14歳)の将来への悪影響が気がかりではあります。

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二年連続で本屋大賞受賞作を選出している王様のブランチbook大賞、今年は「線は、僕を描く」(砥上裕将著 講談社)!

一昨年は「かがみの孤城」(辻村深月著 ポプラ社)、昨年は「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ著 文芸春秋)を年末に選出し、見事翌年4月の本屋大賞受賞作を世に出した先見の明のブランチbook大賞、私の予想であった「いつかの岸辺に跳ねていく」(加納朋子 幻冬舎)はあっけなく外れ、今年はこれがデビュー作という「線は、僕を描く」(砥上裕将 講談社)が受賞となりました。

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古くて新しい農業について、先ずは歴史を学んでみることに

最近、農業関連の仕事が増えていて、当たり前なのですがこの領域の歴史の古さと幅の広さ、それに対する自分の知識不足、というかほぼゼロ、に悩む毎日です。千里の道で済むかどうかも分かりませんが、とりあえず一歩からということで手当たり次第に農業関連本を読んでみることにしました。

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シリア視点で中東を読み解く 「アサド 中東の謀略戦」(パトリック・シール著 時事通信社)

先日イスラエル行ったのですが、何気なくゴラン高原をバックに写真撮影したりして、ここが米国が認めたイスラエル領土かー、と呑気だった自分が情けない。訪問前にこの本読んでおくべきでした。

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あの木村拓哉が風間公親をどう演じるのか興味有り!

2020年新春ドラマで気になっていた「教場」をやるとのことで、先ずはとにかくシリーズ全作読んでみました。熱い思いを完全に内に秘め、静かに淡々と相手を追い詰める風間教官を演じきれれば、存在感が売りの木村さんも一皮むけるのではと放送が今から楽しみです。

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今年8月に88歳で亡くなったノーベル賞作家トニ・モリスンを偲ぶ

ちなみにこのブログは書き溜めた感想メモを基に書いているものも多く、短期間でこの量を読んでいるわけではありません。念のため。

黒人差別問題に正面から取り組んだ偉大な作家の作品をこの機会に読んでみようと思い立って挑戦してはみたものの、読解力と社会的文化的背景の認識不足により、以下のような薄い感想となってしまいました。まだまだ修行が足りません。

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朝井まかて先生の「落陽」(祥伝社)を読み、2020年は明治神宮鎮座100年と知りました

「落陽」(朝井まかて著 祥伝社)は、忘れがたい古の都を離れ、近代日本発展のために馴染みの無い東京を拠点とされた明治天皇の思いと、その志への敬慕の念を示すべく、永続的な神宮の杜を作ろうとした人々の熱意がシンクロする、筆致爽やかな歴史小説です。

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アメリカ社会の陰の部分を描き出す出色のノンフィクションを二冊!

私はレイモンド・チャンドラーやジェームス・エルロイが結構好きなこともあり、時代を問わずアメリカの裏社会ものをよく読みます。中でも特に印象に残っている作品をご紹介します。勿論チャンドラーやエルロイ作品についてもどこかで書きます。

「ヤバい社会学 一日だけのギャング・リーダー」(スディール・ベンカテッシュ著 東洋経済新報社)は、インド系アメリカ人のおたく大学院生がシカゴの団地に形成されている貧しい住民、ホームレス、売春婦、ヤク中、自治会長、警察、ギャングの微妙なバランスの上に成り立つエコシステムに入り込み、そこで得た日の当たらない社会のあれこれを綴ったノンフィクションです。

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家母長制ってなに?世界は広い! フェニミズム小説「三つ編み」と共に

「女たちの王国:結婚のない母系社会 中国秘境のモソ人と暮らす」(曹惠虹著 草思社)は家父長制の象徴たる華僑系の一族に生まれたシンガポール女性である著者が、法曹界での最高のキャリアから早期退職した後に、中国雲南省に今も残る母系血統を中心に家母長制を維持する村での生活を通して、その稀有な世界観に深く共感して書かれたルポです。

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これぞラテンアメリカ文学! マジックリアリズムのガブリエル・ガルシア=マルケスを3冊

有名だけど読み通した人はそんなにいないという意味ではトルストイの「戦争と平和」に匹敵する「百年の孤独」でノーベル文学賞を受賞したガルシア=マルケス、作品ごとに違う文体に挑戦できる才能はさすがで他の作品も一読の価値有りです。

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おじさんにも若者の気持ちが少しだけ分かった 「Life Shift(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著 東洋経済新報社)

売れていたのは知ってたものの、ちょっと乗り遅れてしまい寝かせていた「Life Shift(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著 東洋経済新報社)を遂に読了。無形資産の積みあがっていないおじさんがライトノベル読みふけっていていいのかと焦る一方、いや若々しさと柔軟性が重要だからそれも必要!、と自分を無理やり納得させた読書体験でした。

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