2020年新春ドラマで気になっていた「教場」をやるとのことで、先ずはとにかくシリーズ全作読んでみました。熱い思いを完全に内に秘め、静かに淡々と相手を追い詰める風間教官を演じきれれば、存在感が売りの木村さんも一皮むけるのではと放送が今から楽しみです。
「教場」、「教場2」(長岡弘樹著 小学館)は警察学校という舞台設定がまず珍しく読む気にさせます。警察官になるための’ふるい’にかけられている学生たちの極度の緊張とストレスが、非常に厳格で一切の遊びや妥協を許さない校内の雰囲気とあいまって、人間心理の奥底が露わに描き出される構造になっていて、単なる謎解きに焦点を当てたミステリーとは一線を画す深みのある内容になっています。
そして、とにかく風間教官の超人ぶりが凄まじい。気配を消して音もなく近づき、相手の心中を手に取るように洞察し、二歩も三歩も先を読んで学生たちを指導し、時に処断する。ま さに、’’あの人には何も隠せない、目を付けられたら逃げられない’’の境地です。
「教場0 刑事指導官風間公親」(同)では警察学校の教官となる前の風間公親が指導役の刑事として登場します。どこにいても、やはり超人は超人です(笑)。ミステリーなのであまり内容に触れられないのが残念ですが、オリジナルを読んで気に入った方は2→0と読み進めるのが良いと思います。「群青のタンデム」(同 ハルキ文庫A)も同様の連作短編ですが、伏線回収とラストがとにかく素晴らしい。