シリア視点で中東を読み解く 「アサド 中東の謀略戦」(パトリック・シール著 時事通信社)

先日イスラエル行ったのですが、何気なくゴラン高原をバックに写真撮影したりして、ここが米国が認めたイスラエル領土かー、と呑気だった自分が情けない。訪問前にこの本読んでおくべきでした。

「アサド 中東の謀略戦」(パトリック・シール著 時事通信社)は、現在のアサド大統領の父であるハーフィズ・アル=アサド前大統領の一代記ですが、20世紀後半の中東情勢を理解する=現在の中東を読み解くうえで必読の決定版的内容で非常におすすめです。アラウィ派、バース党、アラブ民族主義といくつもの顔を持つシリアはなかなか理解しにくい国で、そこにイスラエルとのゴラン高原をめぐる衝突、イスラエルに関するエジプト、ヨルダン、パレスチナ、レバノンとの駆け引きが加わり、更に当時は米ソ冷戦のさ中ということで状況は複雑を極めるわけですが、この一冊でかなりすっきりと頭を整理することができます。

その他にもあからさまにイスラエルへの利益誘導を図るユダヤ系であるヘンリー・キッシンジャー米大統領補佐官との交渉や、世界を当惑させた革命イランとの連携、東の隣国イラクのサダム・フセインとのせめぎ合い等、国債政治や地政学という観点で知りたかったたくさんのことが一気に学べて大満足です。

意識しないと欧米視点でのインプットが多くなる点は自分の物差しを歪めないために注意せねばと改めて考えさせられる一冊。

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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