金次郎、エルレの配信ライブで大感動!

8月は猛暑日が過去最多と言われてもほぼ外に出ないので実感無しで、PCとトイレを行き来するだけの単調で低刺激の毎日が淡々と過ぎる今日この頃、飲み会も無し、美味しいものも気軽には食べに行けずでややストレス溜まり気味でしたが、先日なかなかにスカッとする出来事が有りました。それは・・・、8月28日に無料配信されたELLEGARDENのアコースティックライブ!シンガポールから帰国した後もNHK視聴癖を引きずり見ていたサラリーマンNEOで流れた「Space Sonic」のカッコ良さに衝撃を受け、そこからしばらく聴いていましたが2008年に活動休止となった後、カラオケで歌えぬ難易度も災いし(笑)、すっかりエルレの存在を忘れてしまっておりました。本当にごめんなさい。

2018年の活動再開もなんとなく知ってはいたのですが、読書に明け暮れる中フォローすることもなく、当日もエルレ好きの妻が観るというので、どんな曲が有ったかなと朧気な記憶を辿りつつ観始めたのですが、そこからあっという間の1時間半強、トイレにも行かずトークとライブに集中した大感動のひとときでした。上記の通りファンとも呼べないレベルであった金次郎でさえこの盛り上がりだったので、エルレ推しの方々にとっては狂喜乱舞の至福時間だったと思います。20万人以上がこのライブを視聴したスーパーバンドであるにも関わらず、とにかくライブ演奏を楽しむおじさん達の姿がとんでもなく自然体でそこがまたカッコいい。活動休止中にメンバーそれぞれが腕を上げてきた、というのも印象的でしたし(確かにパフォーマンスも凄かった!)、金次郎と同学年のヴォーカル細美さんが「50歳からもうひと暴れするために、それまでに心と身体を太くしておく」的なコメントをされたのですが、心の底からトイレPCシャトルしている場合じゃないと思いました(笑)。48歳金次郎も負けずにもうひと頑張りしようと思います!夫婦でティッシュを握りうるうるしながら鑑賞し終え、「カッコ良かった」しか言葉が出ずバカみたいな感じになりましたが、本当に最高のライブで、そのおかげもありグッスリ睡眠できました。コロナも有るし、チケット競争は激しいと思いますが、ツアー再開の暁には必ず夫婦で参戦しようと心に誓った夜でした。

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金次郎、数十年ぶりに「ロビンソン・クルーソー」を読んで感心

早速ですが、先日読んだ「マイク:Mike」(アンドリュー・ノリス著 小学館)はちょっと変わった内容のなかなか興味深い児童書で、テニスの錦織選手を目指す実力が有るにも関わらず、さかなクン先生の人生を選ぶイギリス人少年の物語です。イギリスジュニアテニス界で順調に実績を積み上げ、将来のウィンブルドン制覇も夢ではない実力を身に着けたフロイド少年にだけ突然見えるようになった謎の男マイク。やたらとテニスの邪魔をしながら、フロイドの将来についてアドバイスと呼べる程には明示的でないサインを送り続けるこの男は何者なのか、という謎で読者の興味を引きつつ、苦悩と葛藤の果てにフロイド少年が手に入れた幸福を描く感動ストーリーになっています。大人は子供の将来という難しい問題にどういうスタンスで臨むべきか、という答えの無いテーマに挑戦しているチャレンジ精神は大いに評価できますが、そもそも錦織>さかなクン、という価値基準を一般化するところから全てが始まってしまっているのが必ずしも適切とは言えない点が気になります。また、本当にやりたいことを突き詰めれば社会的にも成功し充実した人生が送れる筈という精神論的ご都合主義のせいで、自らの心の声をしっかりと聞き、自分の信じられる道を進むことが、社会的な評価とは無関係に幸福な人生を送る上で重要な指針であるとの主要かつ大切なメッセージがシンプルに伝わりにくくなっているところが惜しい(笑)。アンハッピーエンドは児童書向きではないですし、金次郎も好きではないですが、やはりこの作品には一般化され過ぎたステレオタイプのハッピーエンドを持ってくるべきではないと思います。あ、けなしているわけではなく、それなりに楽しめた上での感想ですので誤解なきようにお願いします^^

そんな錦織選手もコロナに感染してしまいましたが、コロナと言えば最近プール式PCR検査に関連した記事を複数目にしました。日経新聞にも出ており皆さんご存知とは思いますが、非常に合理的だなと思いましたので、読書とは何の関係も有りませんが紹介しようと思います。この〈プール式〉とは、被験者から複数のサンプルを採取し、数人分の唾液検体を混ぜた上でPCR検査を行う方法のことで、市中感染率が低い感染症のPCR検査を無症状の人を中心に大規模に実施するのに適しています。市中感染率を仮に0.1%、PCR検査コストを3万円/回とすると、従来のやり方だと一人の陽性を見つけるのに1000回の検査で3千万円かかる計算となります。これを複数人(例えばここでは4人とします)一組のプールでまとめて検査する〈プール式〉で行うと、確率的には250回の検査で249グループは陰性とわかるので、陽性となった1グループ4人それぞれに検査を行えば合計254回の検査で済み、762万円でOKということになります。慎重な検体のハンドリング等の高い検査技術が求められる点と偽陰性の問題もクリアすべき課題ではありますが、一つのボトルネックとなっている検査キャパとコストの問題を解決できる合理的な方法と感じました。

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友人に薦める〈爽やか〉な〈夏〉小説!

このところ金次郎家もドラマ「半沢直樹」の高視聴率に貢献しており、毎度劇的な展開をなかなか楽しんで観てはいるのですが、リアリティの無さはまぁ良いとして、あまりにも単純化された二項対立の構図を(金次郎家も含め)視聴者が求めているというのは、やはりコロナの時代にストレスを感じずに毎回きちんとスカッとしたいという社会の要請ということなのでしょうか?そうだとすると、やはりNHK大河は苦戦するでしょうし、「白い巨塔」や「不毛地帯」のような重厚な長編小説を趣深い連続ドラマに仕立てる挑戦は近い将来には見られないのだろうなと思いちょっと寂しいです。某メガバンクに半沢のモデルとなった方が実在されていると何かの記事で読みましたが、グループのトップを争われているとのことなので、ドラマのような大立ち回りでコンプライアンスに引っかからぬようくれぐれもご注意頂きたいと思います(笑)。

さて、今回は会社の同僚でありこのブログも読んでくれているTHKさんからの、〈爽やか〉、〈夏〉、〈人が死なない〉小説を紹介して欲しい、とのリクエストにお応えいたします。先ず、既読本のリストをざっと眺めてみたのですが、驚くほど人がバタバタ死ぬ上に、とても爽やかとは言えない小説の比率が高く、自分の趣味の偏りに強い危惧を感じました(苦笑)。貧弱なリストからかき集めたものだけでは足りないので、恥ずかしながら色々調べてみて、良さそうな本を読んで比較した結果のトップ3が以下となります。テーマがテーマなので、どうしてもスポ根、中高生関連が中心になっちゃいますね。ちょっとTHKさんの好みとは違う気もしますがあしからず。

3位 「DIVE!!」(森絵都著 講談社 ):サラブレッド天才ダイバー富士谷要一、類まれな素質の持ち主である坂井智季、伝説の高校生ダイバー沖津飛沫を中心に、多感な少年たちの葛藤と成長を描いた王道スポ根小説です。ライバルとの切磋琢磨、様々な大人の事情への反発、などのお約束な部分も良いですし、何より自分の枠を超えて行こうとチャレンジする姿が素晴らしい。ジャッジや採点に縛られたくないという思いと、所詮人生はルールと評価に縛られるものという達観のせめぎ合いは、簡単に善悪や是非を決められない、二項対立で片付けられない難しさ故の深みが有りますね。三人のメインダイバーだけでなく、サブキャラたちが非常にいい味を出しているのもこの小説の特徴で物語に立体感が出ています。金次郎はサラブレッドでも天才でもないですがクール&ビッグマウスの要一が押しキャラです。スーパーマイナースポーツと言ってよい飛込みに少しだけ詳しくなれたのも収穫でした。【爽やか度★★★★ 夏度★★★】

 

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直木賞作である「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」を読む

アンジャッシュWさんの問題で、美味しいものを食べに行くのが好き(=グルメ)と何となく胸を張って言いづらい世の中になってしまいましたが(苦笑)、かつては金次郎も無難な中の上ぐらいのグルメを自負しておりました。ただ最近はコロナ騒ぎの再燃でお気に入りのお店に行けず不義理をしてしまっており、非常に心苦しい状況です。特に仕入れのリスクが大きいお寿司屋さんはどうされているのか心配なのですが、行く予定も無いのに「調子どうですか?」と電話もかけづらく悶々としております。最近全くお小遣いを使っておらずお財布に少しだけ余裕が有りますので、感染状況が少し落ち着いたら少人数早帰りベースで週一ぐらいはひいき店巡りを始めたいと思います。なんだか先日のケーキの話もそうですが食べることばかり書いている気がします(笑)。

さて、ずっと気になっていた昨年の直木賞作である「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(大島真寿美著 文芸春秋)をようやく読みました。本作は人形浄瑠璃(文楽)作者である近松半二の人生を通して、虚実入り乱れる人間世界の形を結ばぬ曖昧さ、時空を超えて流れる魂の表出としての物語、といった著者が一貫してこだわり続けてきたテーマを描く内容になっています。文楽や歌舞伎の世界で多くの演題が伝統芸能の垣根を越えてリメイクされ続けている事実や、創作活動がゾーンに入った状態では具体的に表現せずとも共同作業の中でイメージを共有できるといった描写からは、この世界に流れている〈念〉によって作者は動かされ物語を表現させられている、という著者の思いがよく伝わってきます。主人公の半二が近松門左衛門の硯を受け継ぐ者、という設定もなかなかにくいですね。半二のライバルである弟弟子の屈託の無さや、半二が〈浄瑠璃はもっと良くなる〉の一心で素直に創作することを通じて成功する様からは、著者のクリエイティビティの源泉についての強い思いが感じられます。

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