チーム金次郎、肉の最高峰である金竜山を再訪

感動の訪問からはや半年、3月3日のひな祭りに前回と同じメンバーで焼肉の聖地〈金竜山〉を再訪して参りました。(チーム金次郎、肉の最高峰である金竜山に登る 前編後編)16時からの約1.5時間に全集中すべく、当然朝からほぼ絶食状態で万全を期し臨んだわけですが、金次郎夫婦と宿敵Mが同じ人形町エリア在住だったため、横着をしてタクシーを使ってしまったことにより思わぬ災難に見舞われることとなってしまいました。お気づきの方も多いと思いますが、当日は金竜山訪問が我々チーム金次郎にとっての一大イベントであったのと同様に、東京都にとっても東京マラソンという一大イベントの当日であり、都内は激しい交通規制の只中に有りました。

勿論そういう状況は認識しており、スタートから6時間が経過していたことから規制はそれなりに解除されている頃合いだろうとの判断でタクシーを選択したわけですが、やはり恐るべし東京マラソン、人形町と聖地の存在する白金高輪の間に横たわる死の谷である日比谷通りを越えるポイントを上手く見つけることが全くできません。タクシーのナビが交通規制を反映していなかったことも災いし、何度も日比谷通り越えにトライしては跳ね返されるを繰り返している間に時間はどんどん流れ、15分ほど余裕を見て出発したにも関わらずそんなのりしろは瞬く間に無くなり、16時に間に合わないどころか30分以上遅刻するかもしれないという絶望的な状況に追い込まれることとなりました。無情にも車中で迎えた16時の段階で、時間通りに現着されていたイタリアンシェフのK子さんや人間国宝級の寿司職人M男さん、そして金次郎の友人で肉に目が無い肉食獣Tをお待たせするわけにもいかず、泣く泣く「先に始めていてください」と断腸の思いで白旗宣言を出すに至りました。タクシー内の雰囲気はお通夜というよりは更に緊迫感をプラスした、家族が倒れたのに救急車が全く来ないというようないたたまれない惨状となってしまっておりました。日本一の肉を前にしたうきうき気分は無残に消失し、誰も一言も発しない虚無空間と化しておりましたが、物事というのは最悪と思った瞬間から好転するもので、突然の渋滞の緩和と宿敵Mの巧みな抜け道ナビのおかげで奇跡的に挽回し、ちょうど特製上塩タンが焼きあがる頃合いに15分遅れで到着するという大変偉そうな重役出勤にはなったものの、最悪の事態はぎりぎり回避できて良かったです。駆けつけ三杯ならぬ駆けつけ三枚で極上の塩タンをばくばくと堪能した後は、時間制限も有ったためそこから中カルビ、レバー、上ロースと立て続けにほぼ会話らしい会話をすることなく次々と肉を腹に納めていきました。焼肉は勢いが大事であり、本来100回は噛みしめて楽しみたいところを我慢して50回ぐらいでやめて止む無く呑み込んではいたものの、当然そのお味は充分堪能しており、今回特に感じたのは、肉の形容にはふさわしくない表現だとは分かりつつも、とにかく絶品の肉汁がフルーティーとしか言いようの無い爽やかさであったことでしょうか。肉を食べている間一秒たりとも油の悪さに起因する不快感を感じることなく、中年となりどんな高級品でも大量の肉を食べるのは難しくなってきていた金次郎にとっては奇跡的な出来事で、前回の至福体験により最高の位置にセットされていた期待値のハードルを軽々とクリアする得も言われぬ焼肉体験となりました。いつも饒舌な宿敵Mは面白いことなど言う気はさらさら無い様子で、ひたすら無言で肉を口に運ぶ肉食いからくり人形と化していましたし、肉食獣Tは肉の色の鮮やかさを見て泣き、口に入れて泣き、呑み込みながら無く、と織田信成さんや柴田理恵さん、あるいは徳光和夫さんにも匹敵する泣き上戸ぶりを発揮しておられました(笑)。宿敵Mも肉食獣TもシェフK子さんお気に入りの、肉1枚で色々な食感を楽しむために予め肉を折りたたんで焼く〈3D焼き〉を会得しようと必死でしたし、金次郎夫婦は相変わらず最高の職人であるM男さんがどんどん焼いて下さる至高の肉を食べる役に徹することができるという幸福を噛みしめた一日となりました。名店であるにも関わらず、お店の皆さんも相変わらず気さくかつ優しく接してくださり、トッポギのサービスなども出していただいて、最大の懸念であった遅刻による予約枠の喪失という事態にもならず、この幸せを再度8月に味わえる運びとなり言葉になりません。

さて、前置きが長くなってしまいましたので手短に本の紹介をいたします(本末転倒)。「小説経済産業省」(大下英治著 徳間書店)は実在の大臣や経産官僚の職歴と実績を辿りながら経済産業省という官庁の業務や役割を明らかにしている、どの辺りが〈小説〉なのかよく分からないほどリアルな、ほぼノンフィクションと思われる内容でした。省としてカバーする担当領域が広く、キャリア官僚が2年程度を目途に異動を繰り返すことになる経産省にあっては、集中して深く勉強することが前提とはなるものの、若手でもアイデアをどんどん出すことが奨励され、それがしばしば採用される非常に自由かつクリエイティブな組織であり、それが故にアイデアの官庁と呼ばれているというのがイメージとだいぶ違っていて驚きました。一方で財務省は主計局や主税局など同じ部署に長く在籍する官僚が多く、どうしても全ての実務において上席になればなるほど経験豊富な状態となり、結果として極めてヒエラルキー重視の上意下達型組織となっているのととても対照的で面白いと感じました。経産省は産業と市場という二つの視点で政策を考えるという日本独自の組織であり、エネルギー安全保障や重厚長大産業のみならず、中小企業支援、知財関連、IT、新規産業や事業の立ち上げなどに加え、地方創生までも手掛けている幅広さで、官僚の皆さんは相当な勉強が求められるのだろうなと想像してぞっとしました。最近では自民党の老練な実力者としてあまり印象が良くない上に、このところ裏金問題や書籍代問題で批判されている、小泉内閣や福田内閣で経産相を務めた二階俊博氏がスピーディーな決断、慣例に捉われないクリエイティブな発想、責任感と行動力、中国との太いパイプなど様々な点でベタ褒めされていて興味深く、やや著者との癒着を疑ってしまいました(笑)。この本も購入書籍に入っているのでしょうかね(笑)。

「自由研究には向かない殺人」(ホリー・ジャクソン著 東京創元社)で始まり、「優等生は探偵に向かない」(同)と続いたピップ三部作は「卒業生には向かない真実」(同)で衝撃の完結を見たわけですが、今回紹介する「受験生は謎解きに向かない」(同)という中編ではその前日譚としてシリーズの主人公であるピップが事件の捜査や推理に興味を持つようになったきっかけが描かれています。3部作ではピップの周囲の人間関係が大きく変貌を遂げることになりますが、この作品中では未だその片鱗を垣間見ることすらできない非常に平和なやり取りが繰り広げられており、微笑ましいような悲しいような微妙な気分にさせられます。ストーリーは、ピップの友人宅で行われる架空の殺人事件の犯人当てゲームを軸に展開していきますが、このゲームが非常によくできていて登場人物たちが自分が犯人なのではないかという疑念を抱きつつミステリーブックに従って配役を演じている姿にリアリティを感じました。3部作ほどのボリュームは有りませんが、動機、トリック、意外な犯人としっかりと本格ミステリー要素が盛り込まれており、勿論この一冊だけを読んでも充分楽しめるのですが、やはり3部作読了後に読まれることをおすすめいたします。

先週紹介した「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」は順調に観客動員数を伸ばしており、3月11日現在で438万人、興行収入は62億円ととどまるところを知りません。これから春休みシーズンということもありますので、100億円の大台も夢物語ではなくなってきており凄いです。

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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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