いよいよ本屋大賞2021ノミネート作品発表!

このブログもそうですが、仕事でメールを書いていても、どうも自分の文章が長たらしくてイケていない、と思うことが多いです。実際、ブログのタイポをチェックしてもらっている妻にも一文が長すぎて分かりづらいと頻繁に指摘されて修正を余儀なくされています(苦笑)。そんな時に見つけたのが、「動物農場」や「1984年」でお馴染みのジョージ・オーウェルが文章を書く際に悪文とならぬよう留意していた以下の6つの質問と6つの規則、です。ここに共有して、自らの戒めとしますので違反事例ございましたらコメント頂戴できればと思います(笑)。先ずは、次回から文章がどう変わるか乞うご期待!

【オーウェル6つの質問】

○私は何を言おうとしているのか?:一般論でなく自分自身の見解を自分の言葉で、ということだと思います。

○どんな言葉で表現するか?:伝えたいことが定まれば、自ずと使う言葉も一般的な使い古されたものでなくなりオリジナリティが出てくる、ようです。

○どのような表現やイディオムを使えば明確になるか?:ありきたりでなく新鮮なものを選ぶように、との教えです。

○この表現は効果を発揮するのに十分な新鮮さがあるか?:ちょっと上の質問と似ていますね。

○もっと短く言えるだろうか?・回避できるはずの見苦しいことを、何か言っていないだろうか?:この最後の問は、かなり耳が痛い。。。

【オーウェル6つの規則】

○印刷物で見慣れた比喩を使ってはならない:残念ながら比喩を使えるほど文才有りません(苦笑)。

○短い言葉で用が足りる時に、長い言葉を使ってはならない・ある言葉を削れるならば、常にけずるべきである:結構気にしているつもりですが、まだまだですね。

○能動態を使える時に受動態を使ってはならない:これはやっている気がしますね。英語を話す際にも無意味な受動態を使っていると反省。

○相当する日常的な日本語が思い浮かぶ時に、外国語や学術用語、専門用語を使ってはならない:これも結構誤魔化しでやっているかも、ダサい。。。

○あからさまに野蛮な文章を書くぐらいなら、これら5つの規則を破る方がまだ良い:そもそも野蛮な文章の意味が分かりません(笑)。

さて本題です。1月21日に本屋大賞2021の候補作品が発表され、いよいよこのブログにおける年に一度の大イベントである宿敵Mとの本屋大賞予想対決がスタートいたしました。ルールは昨年通り(詳細はこちら→本屋大賞2020ノミネート作品発表!)、Mが現在ドイツ在住という点を若干考慮して、Mによる予想提出締め切りは4月5日(日)24:00(日本時間)といたしました。大賞の発表は4月14日(水)ですが、それまでしばらくの間楽しめそうです。前回は非常に悔しい惨敗で、金の栞(@結構高額)を購入させられましたので、今回は勝って金次郎の金栞を手に入れたいと思います。

ノミネート10作品のうち7作が既読でしたが、何となく読まず嫌いにしていたNEWS加藤先生を遂に読むことになるので、アイドルが書いた小説という先入観をどこまで抑えて客観的に予想できるかが一つのポイントと思います。また、前回9位とあさっての予想をしてしまった凪良先生をどこに位置付けるか、常連だが上位に来ない伊坂作品の評価をどうするか、こちらも常連の深緑先生のファンタジー挑戦を正しく消化できるか、など悩みどころ満載です。ともあれ、以下ノミネート作品の簡単な紹介です。

【本屋大賞2021ノミネート作品】

「犬がいた季節」(伊吹有喜著 双葉社):既読、ブログで紹介済み

「お探し物は図書室まで」(青山美智子著 ポプラ社):既読。人生に悩む人々が、風変わりな図書館司書さんと、その司書さんに薦められる意外な本との出会いによって、行き止まりばかりに見えた人生に、進んで行ける希望の道筋を見出すという心温まる連作短編集です。司書さんがくれる羊毛フェルトでできた謎の〈本のおまけ〉もいい味を出しています。

◆「推し、燃ゆ」(宇佐見りん著 河出書房新社):既読。まさに前回のブログで紹介しました。21歳での芥川賞受賞も話題になっており、果たして本屋大賞とのダブル受賞なるか?!

「オルタネート」(加藤シゲアキ著 新潮社):未読。大変僭越ながらどれ程のものか確りと吟味させて頂きます。

「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎著 集英社):既読。ブログで紹介済み

「この本を盗む者は」(深緑野分著 KADOKAWA):既読。ある町の古い図書室を舞台にしたファンタジー作品で、ヨーロッパ、歴史、ミステリーを得意としてきた著者の新境地への挑戦をどう評価するか悩むところです。

◆「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ著 中央公論新社):既読。こちらも前回のブログで紹介済み。ブランチBOOK大賞受賞作です。

「自転しながら公転する」(山本文緒著 新潮社):未読。山本先生の作品を一冊も読んだことが無いので全くの未知数です。この本が面白ければまた読みたい本が増えるので嬉しい。

「八月の銀の雪」(伊与原新著 新潮社):未読。伊与原作品も全く手つかずですが、本作は「オルタネート」と共に第164回直木賞候補作ということで期待大です。

「滅びの前のシャングリラ」(凪良ゆう著 中央公論新社):既読。ブログで紹介済み。著者の表現力に設定の妙が加わった本作も「流浪の月」に負けず劣らずパワフルです。

一応、最近読んだ本の感想も紹介しておきますね(笑)。「病の皇帝〈ガン〉に挑む 人類4000年の苦闘」(シッダールタ・ムカジー著 早川書房 上巻下巻)は、このブログでも紹介した「遺伝子 親密なる人類史」を書いた著者の最初の作品で、ガンと人類との長きにわたる闘いの歴史を描いた大作です。

古くはエジプト文明時代のパピルスや、ヘロドトスの「歴史」にも書き残され、近代では19世紀の結核と共に、最も忌み嫌われる病として社会全体で認識されるに至ったガンは、スーザン・ソンタグが「隠喩としての病」(みすず書房)で喝破したように、組織のガン、一族のガン、のような隠喩の対象となるほどの地位を占め、〈社会の病〉を表す一般的な記号としても使われるに至っています。

この本には、そんなガンを克服しようと文字通り死力を尽くした医師と患者の辛く厳しい歴史が、刻みつけられるように綴られていますが、改めてガン治療の可能性が拡がっている現代医学の礎となったそのような人々に感謝しなければと真に考えさせられる内容になっています。ガンと遺伝子の関係についてもかなりの紙幅を割いて紹介されていますが、ガン=細胞の異常増殖を引き起こす遺伝子上の変異が、抑制のオフと促進のオンの複雑な組み合わせでコードされていて、単純に一つの変異でガンになるというわけではないと知り少し安心すると同時に、変異が蓄積しないよう日々の色々に注意せねばとも思いました。

しかし、ムカジー先生は腫瘍医としてその過酷な治療に当たりながらこの大著を著したわけで、「遺伝子」を読んだ時同様、一体どうやって調べ物も多そうなこういう本を書きあげられたのだろう、と変な方に興味が向いてしまいます。

次回はミステリーの女王、アガサ・クリスティーについて書こうかな、と思います。

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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