どうにかこのブログも半年続きました(感謝)

意を決して昨年12月から始めたこのブログもはや半年以上続いており、意外と頑張っている自分を少しだけほめている今日この頃ですが、更新ペースもやや落ち気味となり、更に続けていくにはやり方を少し変える必要が有るのかな、と思ったりもしています。仕事も少しだけ忙しくなりましたし、毎回の分量がそれなりに多いのがやや重荷になっているところも有るので、今回はちょっとショートバージョンを試してみます。

先日も書きましたが、小説には視点という物が有り、この視点をぶれさせないことが、読者が物語世界に没頭し続けるための重要な条件となります。最近読んだ本の中では、「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎著 集英社)は小学生が主役の短編集で、後書きでも触れられている通り、視点が子供なので難しい言葉や大人しか使わない表現抜きでの描写が求められるという制約の中で、深い人生の機微を伝えようとする著者の試みはなかなか見上げたものだと思います。それぞれの短編の表題に〈逆〉とか〈非〉や〈アン〉のような否定を表す言葉が配されていて、無意識に流してしまう思い込みを鮮やかに反転させられるストーリー展開になっており、独特の伊坂流が遺憾なく発揮されていて最近の作品の中では好きな方に入る一冊でした。短くてすぐ読めるのでおすすめです。

 

ちょっと古い作品ですが、「パーフェクト・ブルー」(宮部みゆき著 東京創元社)は元警察犬の目線で物語が語られるという突飛な設定のミステリーです。非常に中立的な間合いでバランス良く登場人物を描写する効果を生んでおり、他の誰の視点をメインにしても、完全な三人称複数視点にしても、この作品のジャズバンド感は出せなかったのではないかと著者の工夫に感服いたしました。また、犬が実際に出来事を見聞きできるポジションにいないと物語を進められないのですが、非常に自然に犬が同伴できる状況を作っているところに著者の苦心と巧さが感じられ、唸らされっぱなしで読みました。ちょっとした不祥事で直ぐに大会出場を辞退する高校野球の異常な雰囲気に若かりし金次郎が違和感を感じていたちょうどその頃にまさに出版されたこの本を読んで、当時の気分を思い出しました。

全く話は変わりますが、現役医師の作家さんと言うと「神様のカルテ」シリーズの草川先生が思い浮かぶところですが、金次郎は久坂部羊先生が結構好きでよく読みます。医療ものは死生観をつきつけられるので苦しい時も有りますが、日ごろ目を背けがちな老いや病について強制的に考えさせられるので時々読むようにしています。

「悪医」(朝日新聞出版)と「祝葬」(講談社)はガン治療の功罪を医師ならではの視点で描いている秀作で、特に「祝葬」の方は短命医者一族の死の謎に迫るというサスペンス要素も有り面白いです。「破裂」(幻冬舎)と「テロリストの処方」(集英社)は治療中の事故や病院経営、終身制になっている医師免許の信頼性など、医療現場の課題に光を当てるミステリーです。「怖い患者」(集英社)は医療にまつわる医師や患者の狂気を描いた短編集で本当に怖い気分でぞくぞくできるホラー作品。「無痛」(幻冬舎)はドラマ化もされたサスペンスミステリーで先天性無痛症の役柄を中村蒼さんが熱演、今かなり来ている浜辺美波ちゃんも金髪姿で登場していました。

いつもの半分ぐらいですが、これぐらいならさすがに負担は少ないです。内容が薄くなっていたらすみません。。。

 

 

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA