金次郎、久々に出社して中途覚醒が改善

このところ苦しんできた中途覚醒不眠ですが(→金次郎、中途覚醒症状に苦しみつつ読書は継続)、色々と生活の中で対策を講じてみたり、かかりつけの鍼灸の先生に診てもらったりした結果、一進一退しながら少しずつではあるものの症状は快方に向かっておりました。

そんな中、緊急事態が解除され、会社の判断も諸々留意しながら一部出社せよということになりましたので、断続的にやって来る眠気と闘いながら3か月ぶりに会社に行って参りました。

そうしたら!今週は一度だけの出社だったのですが、その晩、次の晩とかなり長時間眠ることができ、何のことはない、金次郎の身体メカニズムが25年の社会人生活を経て、ヒューマンビーイングからサラリーマンビーイングにリプログラムされていただけだったというオチで、嬉しくもあり切なくもなる出来事でした。

とは言え、まだ完快ではないので、もっと会社に行かねばと思う一方、快適で読書にも便利な在宅勤務を離れがたいという気持ちも有り、このジレンマに悶々としましたが、とりあえず来週は2日出社でお茶を濁します(笑)。

さて、金次郎は妻と共にネコ好きで、我が家に家族としてネコちゃんを迎えるかどうか悩むことが最早趣味と言うかお約束となっていますが、なかなか決断できずにおり、その反動かついついネコをタイトルに含む本を手に取ってしまいがちです。そんなことで、今回たまたま読んだのが「おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。」(真梨幸子著 幻冬舎)で、ネコちゃんの話は後半にしか出てこないこのエッセイ集を読んでしまったために、組み立てていた読書計画が大きく狂うことになりました。

元々の計画では、「英仏百年戦争」(佐藤賢一著 集英社)、「双頭の鷲」(同 新潮社)と連続で読破して面白かったので、佐藤先生の「小説フランス革命」全12巻を冊数を稼ぐシリーズものとして、集中して読むことにしておりました。

「英仏百年~」では、当時の欧州大陸側から見た英国の位置づけが、日の沈まぬ大英帝国を経験した現代のものとは全く違う周縁的なものであった事実を改めて認識することができ、その後長らく続いて行く英仏抗争の根源に触れることができます。シェークスピアでしか歴史を学ばない英国人が、英仏戦争は英国の勝利に終わったと事実誤認しているという点は、前回のブログに書きました「すばらしい新世界」に登場した野蛮人ジョンを思い出してちょっと笑えます。

 

「双頭の鷲」は、百年戦争初期にフランス軍の傭兵から元帥に成り上がったベルトラン・デュ ゲクランの武勇と、最初の近世統治者とされ財政面(税制)・軍事面(常備軍)で絶対王政の基礎を築いたシャルル5世の知略とのコラボがストーリーの中心となる歴史小説ですが、日本人にとって非常に分かりづらい中世ヨーロッパ世界を、様々な思惑を持った癖の有る登場人物たちの駆け引きを通じて体感しながら理解できるので、面白いだけでなくためになる良書だと思います。

敵役としてエドワード3世、エドワード黒太子を要する英国の他にも、当時アヴィニヨンに分裂していた教皇庁や神聖ローマ帝国、更にはイベリア半島の抗争までしっかり描き込まれているので、その紙幅の長さもある程度やむを得ないと思わせる充実の内容です。

この佐藤ワールドに浸った勢いで「フランス革命」にも詳しくなろう、と思った矢先に読んでしまったのが「おひとり様~」で、真梨先生のちょっと悲しい生い立ちや売れない時代の貧困生活を垣間見て、どんな感じの〈嫌ミス〉売れっ子作家になったかがどうしても気になってしまい、未読であった「インタビュー・イン・セル:殺人鬼フジコの真実」(徳間書店)、「五人のジュンコ」(徳間書店)、「鸚鵡楼の惨劇」(小学館)、と立て続けに読むことに。。。

フランス革命がどんどん遠のくのは気になりつつも、嫌ミスと言えばの湊かなえ先生の上を行く後味悪さの連続で全く読後に爽快感は無いにも関わらず、人間の気持ち悪い部分にゴリゴリ触れてくる作風には、読みたくないのに読ませられる何とも言えない力が有り、ところどころにエッセイで知った真梨先生の過去が投影されていて感情移入してしまったことも加わって、ずるずると引きずられるように一気に読んでしまいました。「五人の~」はジュンコさんという名前の方には申し訳無いですが、腹の読めない五人の悪人ジュンコが登場する連作短編で、どいつもこいつも本当に悪い(笑)。かつての色町新宿を舞台にした「鸚鵡楼~」は時間的なスケールも大きく、ミステリーとしてもなかなか読み応えが有りますので、嫌ミスが嫌でない方にはおすすめです。

「インタビュー~」は真梨先生の出世作となった「殺人鬼フジコの衝動」(徳間書店)の続編的位置づけのこれまた後味の悪い作品ですが、この出世作をまだ読めていないので、近日中にこちらも読もうと思います。エッセイ中には、有楽町の書店でのポップがきっかけでこの本が売れ始めたとあり、まさかカリスマ書店員新井さんが絡んでいるのかな、と勝手に勘ぐったりしていると興味は尽きませんね。

計画からの逸脱がここで食い止められれば良かったのですが、猫エッセイの呪いの力は凄まじく(笑)、ここから更に大きく大きく横道にそれて行くことになるのですが、それはまた次回のブログで。

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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