直木賞作である「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」を読む

アンジャッシュWさんの問題で、美味しいものを食べに行くのが好き(=グルメ)と何となく胸を張って言いづらい世の中になってしまいましたが(苦笑)、かつては金次郎も無難な中の上ぐらいのグルメを自負しておりました。ただ最近はコロナ騒ぎの再燃でお気に入りのお店に行けず不義理をしてしまっており、非常に心苦しい状況です。特に仕入れのリスクが大きいお寿司屋さんはどうされているのか心配なのですが、行く予定も無いのに「調子どうですか?」と電話もかけづらく悶々としております。最近全くお小遣いを使っておらずお財布に少しだけ余裕が有りますので、感染状況が少し落ち着いたら少人数早帰りベースで週一ぐらいはひいき店巡りを始めたいと思います。なんだか先日のケーキの話もそうですが食べることばかり書いている気がします(笑)。

さて、ずっと気になっていた昨年の直木賞作である「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(大島真寿美著 文芸春秋)をようやく読みました。本作は人形浄瑠璃(文楽)作者である近松半二の人生を通して、虚実入り乱れる人間世界の形を結ばぬ曖昧さ、時空を超えて流れる魂の表出としての物語、といった著者が一貫してこだわり続けてきたテーマを描く内容になっています。文楽や歌舞伎の世界で多くの演題が伝統芸能の垣根を越えてリメイクされ続けている事実や、創作活動がゾーンに入った状態では具体的に表現せずとも共同作業の中でイメージを共有できるといった描写からは、この世界に流れている〈念〉によって作者は動かされ物語を表現させられている、という著者の思いがよく伝わってきます。主人公の半二が近松門左衛門の硯を受け継ぐ者、という設定もなかなかにくいですね。半二のライバルである弟弟子の屈託の無さや、半二が〈浄瑠璃はもっと良くなる〉の一心で素直に創作することを通じて成功する様からは、著者のクリエイティビティの源泉についての強い思いが感じられます。

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今年読んだ本の中で一番のおすすめ「遺伝子―親密なる人類史―」を紹介

先週発表された直木賞作の「少年と犬」(馳星周著 文芸春秋)を早速読んだのですが、選考委員の宮部みゆき先生も「動物ものはずるいよー」と仰っていた通り、ノアールの巨匠馳先生の作品としては若干微妙な内容だったかなと思います。犬の多聞を軸にした連作短編なのですが、それぞれに描かれる〈死〉に必然性が無く、それは大震災の犠牲者の方々が直面したであろう理不尽な〈死〉が意識されているのだろうとは思うものの、どうもつながりが見えにくい。。。犬と大震災を描く、というところから発想された物語で、上手く落とせなかったという感じですかね。「三つ編み」に続いて新井賞を取ったレティシア・コロンバニ先生の「彼女たちの部屋」(早川書房)が未読なのでこちらを楽しみにすることにします。

「遺伝子―親密なる人類史―」(シッダールタ・ムカジ著 早川書房 上巻下巻)はグレゴール・メンデルとチャールズ・ダーウィンに始まる遺伝学の歴史、現在遺伝子について解明されていることと遺伝子関連技術を使ってできるようになったこと、そしてこの技術の将来の可能性と課題について書かれた最高に面白い科学ノンフィクション作品です。これまで何冊か本を読んで断片的に頭に入れてきた遺伝子の構造や機能、それが作用する仕組みについて、統合的に理解するための軸を通してくれる内容で今年読んだ本の中で最も役に立つ一冊でした。ビル・ゲイツ絶賛というのも頷けます。と偉そうに言いつつ、よく理解できない部分も有り二度読んだのですが(苦笑)。

 

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〈心の闇〉の宇佐美まこと先生と〈こじらせ〉の寺地はるな先生を読む

妻の趣味が音楽ライブ鑑賞や関連する音楽DVD視聴ということもあり、金次郎宅のテレビは、ちょっと悲しいですがオリンピックに向けて開発されたと思われるややハイスペックモデルを奮発して設置しております。この週末はライブイベントが中止となり振替的に行われた配信ライブを夫婦で視聴してそれなりに盛り上がり、音質的にもテレビ変えて良かったなと実感したところです。このテレビにして気づいたことは、番組やCMによってサウンドの質が全くばらばらに違うという点です。正直この宣伝にそんなクオリティは不要だろうと思うようなCMの音がものすごく重厚感に溢れていたりしてギャップを感じることが結構多く驚きます。一番ビクっとするのは、NHKの「ダーウィンが来た!」で、7時のニュースが終わって気を抜いていると、突然の轟音に心臓が止まるかと思ったこともたびたび。そもそも世界中のいきものの珍しい生態を紹介するどう考えても映像中心のこの番組、オープニングの音楽やヒゲじいのダジャレを最高の音響で届ける意味がよく分かりません(笑)。

 

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スウェーデンの傑作「ミレニアム」シリーズ完結

先日、金次郎のプレ誕生日祝いということで、名店エーグルドゥース@目白のケーキを妻と共に食べまして、その美味しさにただただ二人で感動いたしました。看板モンブランはイートインのみ(たぶん)のようで、妻が買ってきてくれたのがいちごショートケーキ、チーズケーキ、チョコレートケーキなど6点!二日に分けてちびちびと味わいましたが、どれもバランス良く上品で至福の時間を過ごしました。イデミ・スギノ@宝町の方が極限までたくさんの素材の調和を追求しているという点ではエッジが立っていますが、エーグルドゥースの最高級オーソドックスも全く負けておらず甲乙つけ難い仕上がりです。

さて本の話です。2017年に一気に読んだミレニアム・シリーズは本格ミステリー、ハードボイルド、政治的陰謀、圧巻の法廷対決などなど盛りだくさんで読み応え十分の傑作でした。全編を通してかなりリベラルな内容ですが、ジャーナリズムのあるべき姿への信念、女性の強さへの敬意が溢れていて素晴らしい。主役のミカエル・ブルムクヴィストは40代のジャーナリストですが、とても若々しく活躍していて好感が持てました(笑)。残念なことに著者のスティーグ・ラーソンさんは初期三部作を世に出した後心筋梗塞で急逝されてしまったのですが(享年50)、この作品の凄いところは、別の作家が次の三部作を同じ主要登場人物、設定で引き継いだ点です。今回読んだ第二部の著者のダヴィド・ラーゲルクランツさんは元々ノンフィクション作家ということで、どんな内容になるのか少し心配でしたが、昨年完結した三部作も全く違和感無く読み進められてたいへん満足できました。ストーリーの軸足がドラゴンのタトゥーを背負ったスーパーハッカーであるリスベット・サランデルの生い立ちとその宿業に少しずつ移り、ミカエルから主役の座を奪う展開ですが、リスベットも葛藤を抱えるたいへん魅力的なキャラクターであり、これはこれで良しだと思います。六作合計で一億部を突破しているというのは本当に凄い。ミステリー好きとしては、とにかく「ドラゴン・タトゥーの女」をぜひ読んで頂きたいところです。

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どうにかこのブログも半年続きました(感謝)

意を決して昨年12月から始めたこのブログもはや半年以上続いており、意外と頑張っている自分を少しだけほめている今日この頃ですが、更新ペースもやや落ち気味となり、更に続けていくにはやり方を少し変える必要が有るのかな、と思ったりもしています。仕事も少しだけ忙しくなりましたし、毎回の分量がそれなりに多いのがやや重荷になっているところも有るので、今回はちょっとショートバージョンを試してみます。

先日も書きましたが、小説には視点という物が有り、この視点をぶれさせないことが、読者が物語世界に没頭し続けるための重要な条件となります。最近読んだ本の中では、「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎著 集英社)は小学生が主役の短編集で、後書きでも触れられている通り、視点が子供なので難しい言葉や大人しか使わない表現抜きでの描写が求められるという制約の中で、深い人生の機微を伝えようとする著者の試みはなかなか見上げたものだと思います。それぞれの短編の表題に〈逆〉とか〈非〉や〈アン〉のような否定を表す言葉が配されていて、無意識に流してしまう思い込みを鮮やかに反転させられるストーリー展開になっており、独特の伊坂流が遺憾なく発揮されていて最近の作品の中では好きな方に入る一冊でした。短くてすぐ読めるのでおすすめです。

 

ちょっと古い作品ですが、「パーフェクト・ブルー」(宮部みゆき著 東京創元社)は元警察犬の目線で物語が語られるという突飛な設定のミステリーです。非常に中立的な間合いでバランス良く登場人物を描写する効果を生んでおり、他の誰の視点をメインにしても、完全な三人称複数視点にしても、この作品のジャズバンド感は出せなかったのではないかと著者の工夫に感服いたしました。また、犬が実際に出来事を見聞きできるポジションにいないと物語を進められないのですが、非常に自然に犬が同伴できる状況を作っているところに著者の苦心と巧さが感じられ、唸らされっぱなしで読みました。ちょっとした不祥事で直ぐに大会出場を辞退する高校野球の異常な雰囲気に若かりし金次郎が違和感を感じていたちょうどその頃にまさに出版されたこの本を読んで、当時の気分を思い出しました。

全く話は変わりますが、現役医師の作家さんと言うと「神様のカルテ」シリーズの草川先生が思い浮かぶところですが、金次郎は久坂部羊先生が結構好きでよく読みます。医療ものは死生観をつきつけられるので苦しい時も有りますが、日ごろ目を背けがちな老いや病について強制的に考えさせられるので時々読むようにしています。

「悪医」(朝日新聞出版)と「祝葬」(講談社)はガン治療の功罪を医師ならではの視点で描いている秀作で、特に「祝葬」の方は短命医者一族の死の謎に迫るというサスペンス要素も有り面白いです。「破裂」(幻冬舎)と「テロリストの処方」(集英社)は治療中の事故や病院経営、終身制になっている医師免許の信頼性など、医療現場の課題に光を当てるミステリーです。「怖い患者」(集英社)は医療にまつわる医師や患者の狂気を描いた短編集で本当に怖い気分でぞくぞくできるホラー作品。「無痛」(幻冬舎)はドラマ化もされたサスペンスミステリーで先天性無痛症の役柄を中村蒼さんが熱演、今かなり来ている浜辺美波ちゃんも金髪姿で登場していました。

いつもの半分ぐらいですが、これぐらいならさすがに負担は少ないです。内容が薄くなっていたらすみません。。。

 

 

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金次郎、中学生になった文学女子への本の紹介に挑戦

先週は三日出社だったのですが、毎日会社に行って時々飲み会して、時には客先訪問をしたり出張に行ったりしていた日々が幻だったのではないか、と思うほどかなり疲労してへとへとになりました(笑)。今後徐々に慣れて行くのか、それとも加齢により元には戻れないのか、慎重に様子を見なければと真剣に思った一週間でした。

土曜日にE美容師を訪問し髪の毛をさっぱりと切り、ダイエット中というE美容師にはやや酷だったかなと後で思った「難事件カフェ」(似鳥鶏著 光文社)、「難事件カフェ2 焙煎推理」(同)を紹介しておきました。どうして酷かと言いますと、このミステリーには至る所に超美味しそうなスイーツの数々がそれにぴったりと合う珈琲や紅茶と共に登場し物語に彩を添えており、空腹に耐えながら読むのは不可能な内容になっているためです。もやし食べて頑張っているEさん、ごめん。

さて、このブログでお馴染みの文学少女への本紹介シリーズは、ありがたくも多くのviewを頂いておりますが、今回も晴れて入学式を済ませ中学生となった文学少女改め文学女子A&Bさんに僭越ながらいくつか本をお薦めいたします。東野圭吾、村上春樹といった著名作家の作品を読み漁られているということで、あまり制約無しに会社で隣に座っている同僚に紹介する感じでやってみますので忌憚のない感想を頂ければと思います。お恥ずかしながら、うちの同僚よりA&Bさんの方が読書はたくさんされていますね(苦笑)。。。

(これまでの紹介記事はこちら)

金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む

金次郎、本の紹介を頼まれてないけどまた紹介+直木賞作「熱源」を読了!

金次郎、本の紹介を頼まれる+2019年4~5月振り返り

【金次郎から文学女子ABさんへのおすすめ作品9選】

「カディスの赤い星」(逢坂剛著 講談社):初版は昭和60年ぐらいだと思うのでちょっと古い本にはなりますが、とにかくページをめくる手が止まらなくなるストーリー展開の吸引力、スペインにも飛ぶ大きなスケール、最後に驚かされるミステリーとしての完成度、とどれを取っても傑作と言って良いクオリティです。金次郎が、面白いミステリーを紹介して下さい、と頼まれた際に必ず候補になる作品で楽しめること間違い無しです。

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猫エッセイを読んだことによる道草で「新宿鮫」をほぼコンプリート

前回のブログ(金次郎、久々に出社して中途覚醒が改善)では、「おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。」(真梨幸子著 幻冬舎)を読んでしまった結果、真梨ワールドにはまってしまい予定していた読書計画が大幅に狂ってしまったというようなことを書きました。これを書いている今も「殺人鬼フジコの衝動」(真梨幸子著 徳間書店)を読んでおりますので、その影響は継続しているのですが、ここに辿り着くまでにも大きな山が有りました。

「おひとり様~」では、真梨先生も二冊持っていて参考にしているという「小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない」(大沢有正著 角川文庫)という本が紹介されており、ちょっと前のブログで物語を書く難しさを痛感した金次郎は、どうしても興味が湧いてしまいこの本も読んでみる誘惑に勝てず。

エンターテイメント小説界の大御所である大沢先生が惜しげもなく面白い小説を作り上げるための心構えと技術を提示して下さっているこの本は、悩める小説家志望の生徒へのダメ出しで溢れていて、少しだけ金次郎のサラリーマン駆け出し時代を思い出します(笑)。

力の有るキャラクターを細部の設定まで練り上げること、どのポイントで読者の心を動かそうとするのか、そのために必要な謎とトゲを物語にどう折り込むのかを考えること、主人公を苦しめてその人生に変化を与えること、破ってはならないフェアネスのルールなど、たいへん興味深い内容が盛りだくさんですし、これまで読んで面白かったと思う作品を振り返ってみると、やはりこれらの要素がきちんと充足されていたなと改めて感心したりもしました。

まぁ理屈はそれなりに理解したとしても、実際に創作しようとすると凡人の金次郎にはイケている文章は全く思いつかないわけですが、中でもとりわけ難しいと思うのが、やはり〈視点〉の問題だと思います。基本的なものとして、一人称の私小説、三人称一視点、三人称多視点という選択肢があるわけですが、物語のテーマが最も効果的に読者に伝わるものを選べと言われても、分かるのは一人称だと読者が感情移入し易い代わりに直接体験しか描けない制約が有ることぐらいで、それぞれの効果がどう違うのかを明確に区別して理解するのが難しい。更に、視点が決まったとしても、その視点をぶらさぬように矛盾を排除し客観性を保ちながら物語を進めるとなると、もはや完全にギブアップで、世の作家の皆さんは本当に凄いと脱帽いたします。

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金次郎、久々に出社して中途覚醒が改善

このところ苦しんできた中途覚醒不眠ですが(→金次郎、中途覚醒症状に苦しみつつ読書は継続)、色々と生活の中で対策を講じてみたり、かかりつけの鍼灸の先生に診てもらったりした結果、一進一退しながら少しずつではあるものの症状は快方に向かっておりました。

そんな中、緊急事態が解除され、会社の判断も諸々留意しながら一部出社せよということになりましたので、断続的にやって来る眠気と闘いながら3か月ぶりに会社に行って参りました。

そうしたら!今週は一度だけの出社だったのですが、その晩、次の晩とかなり長時間眠ることができ、何のことはない、金次郎の身体メカニズムが25年の社会人生活を経て、ヒューマンビーイングからサラリーマンビーイングにリプログラムされていただけだったというオチで、嬉しくもあり切なくもなる出来事でした。

とは言え、まだ完快ではないので、もっと会社に行かねばと思う一方、快適で読書にも便利な在宅勤務を離れがたいという気持ちも有り、このジレンマに悶々としましたが、とりあえず来週は2日出社でお茶を濁します(笑)。

さて、金次郎は妻と共にネコ好きで、我が家に家族としてネコちゃんを迎えるかどうか悩むことが最早趣味と言うかお約束となっていますが、なかなか決断できずにおり、その反動かついついネコをタイトルに含む本を手に取ってしまいがちです。そんなことで、今回たまたま読んだのが「おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。」(真梨幸子著 幻冬舎)で、ネコちゃんの話は後半にしか出てこないこのエッセイ集を読んでしまったために、組み立てていた読書計画が大きく狂うことになりました。

元々の計画では、「英仏百年戦争」(佐藤賢一著 集英社)、「双頭の鷲」(同 新潮社)と連続で読破して面白かったので、佐藤先生の「小説フランス革命」全12巻を冊数を稼ぐシリーズものとして、集中して読むことにしておりました。

「英仏百年~」では、当時の欧州大陸側から見た英国の位置づけが、日の沈まぬ大英帝国を経験した現代のものとは全く違う周縁的なものであった事実を改めて認識することができ、その後長らく続いて行く英仏抗争の根源に触れることができます。シェークスピアでしか歴史を学ばない英国人が、英仏戦争は英国の勝利に終わったと事実誤認しているという点は、前回のブログに書きました「すばらしい新世界」に登場した野蛮人ジョンを思い出してちょっと笑えます。

 

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7-9月期TVドラマはどうなるのか?+「21lessons」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読む

いよいよ6月から本格的にwithコロナを意識した生活に移行することとなりますが、ふと「ハケンの品格」や「半沢直樹」などの人気作が予定されていた4-6月期の春ドラマはどうなるのだろうと思う一方、7-9月期のドラマ撮影にあたってはコロナ有りの生活様式をベースにするのか、それとも何事も無かったように〈マスク無し〉、〈密〉の世界でリアリティ無しの作品となるのか、かなり気になってきました。そういう面倒な設定を気にしなくていい〈昭和もの〉やいっそ時代劇がたくさん製作されたりするとちょっと笑えます。この話は小説にも当てはまるわけで、作家さんたちは舞台設定に頭を悩まされていることと思います。

〈今晩は避密コンである。自宅で夕食を済ませ、自作ハイボールをいつもより数杯多く一気に飲み干して、念入りに酔っぱらった状態で午後時に家を出た。ちなみに避密コンというのは読んで字のごとく、三密を避けての〈コロナ時代の合コン〉である。店に入ると、店と言っても所謂会議室なのだが、だいぶ間隔を空けて男女名が既に着席していた。皆同様に既に酩酊状態かつマスク&フェイスシールド着用である。マスクで顔の半分以上が見えない上に、何人かはフェイスシールドも曇ってしまっているためもはや個人の識別が難しい。さすがにそれでは情報不足過ぎて相手選びに支障をきたすので、とりあえず皆ルールに従い顔写真を表示したスマホを首からストラップでぶら下げている。なんとも異様な光景である。いや、今日は特別な日、異様さにひるんでいる場合ではない。この、酒無し、食事無し、だんだん酔いが覚めて行く避密コンで半年間練りに練ったゲームプランを確実に遂行しなければならないのだ。あいつの無念を晴らすために。〉

素人的にはこんな感じのヘタクソ文章となりますが、プロの先生方がこの状況をどう乗り越えるのか、今後出版される新作が楽しみです。

さて、本日は「21 lessons 21世紀の人類のための21の思考」(ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社)のご紹介です。「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」(同)、「ホモ・デウス」(同)で一気に著名学者の仲間入りをした、〈知の巨人〉ハラリ先生による、遠い過去でも未来でもなく人類の現在とこれからに焦点を当て、それぞれが関連し合う21の重要かつ壮大なテーマについて鋭い現状分析と、我々はどう生きるべきかについてのヒントを与えてくれる作品です。

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金次郎、中途覚醒症状に苦しみつつ読書は継続

これまでもちょこちょこ書いておりますが、5月に入ったぐらいから不眠というか中途覚醒というか、まともに夜寝て朝起きる、というリズムが乱れ、2~3時間眠ってはパッチリと眼が冴えるというやや辛い状態になる日が時々発生していました。

日光に当たっていないせい?、運動不足?、知らぬ間のストレス?、などと原因に思いを巡らせて、散歩をしたり、暑いのを我慢してカーテンを開け放ったり、呼吸法を試したり、眼が冴えても頑張って布団の中で羊ではつまらないので、学生時代の部活を思い出して、走り幅跳び1本、走り幅跳び2本‥と100本ぐらいまで数えてみたりと試行錯誤してみたものの、結局徒労に終わりました。走り幅跳びカウントはなんだかとても疲れた上に眠れないので最悪でした(苦笑)。

そうこうしているうちに、5月も終盤となり、この症状がもう1か月も続いており、このまま悪化したらどうなってしまうのだろう‥とやや不安になりましたが、なんとなく最近長めに眠れるようになってきた感じなので原因は結局不明ですが一安心です。ご心配をお掛けしました。ちょうど異動の時期と重なっているので、まさか緊張?、とも思いましたが、さすがにそれはないかな。でも、自分のことはよく分からないというのがたくさんの小説で語られている事実なので、そういう自分もいるのかも、と思ってストレスをいつの間にか溜め込んでいるような事態にならぬよう気を付けます。

さて、そんな不規則な生活の中、朝の2~4時ぐらいに読書をすることが多かったのですが(苦笑)、中途覚醒と戦いながら読んだ本をいくつか紹介します。

「コンビニチェーン進化史」(梅澤聡著 イースト・プレス)は、我々の暮らしに欠かすことのできない存在となった、ビッグ3に代表されるコンビニエンスストアの起こりから現在に至る産業史をコンパクトにまとめて解説している内容で、コンビニの歴史と金次郎の人生がほぼ重なることもあり、非常に興味深く読めた一冊でした。

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「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング著)は「ハエ男の恐怖」とは違った!、そして「危機と人類」(ジャレド・ダイアモンド著)を読了

緊急事態宣言がどんどん解除される方向となり、残るは東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県そして北海道となりました。どうでもいいですが、この地名の並びで考えると、東京や神奈川に対応するのは北海道でなく北海になるべきと思いますが、そうなっていない理由は元々「北海道」で一つの地名だからなんだそうです。ネットで調べると色々書かれていますが、どうせなら北海道県にしてもらった方が統一感有って良かったのにな、と思いました。

さて本題。こちらも色々な本で引用されることの多い作品で、かねてから読もうと思っていた「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング著 集英社)をコロナ不眠症で夜中にどうにも眼が冴えて眠れないので、その機会を捉えて読んでみました。

ストーリーのイメージは映画の「The fly」だったので、全く結び付かない珊瑚礁の無人島から始まる穏やかな物語にやや当惑気味でしたが、読み進めて行くうちに、こんな夜中に何というディープな作品に取り掛かってしまったのかと後悔するはめになりました。

同じ無人島サバイバルをモチーフとしていても、小学生の頃に読んだ「十五少年漂流記」(ジューヌ・ヴェルヌ著)のような少年漫画的なプロットのハピエン話では全くなく、恐ろしいことに誰もが心の内に飼っている〈内なる悪〉を残酷に描き出す内容で、コロナストレスで世界の皆さんが正気を失ってしまわぬことを願わずにはいられなくなりました。

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海外文学について外国人と語るのは難しい

外国人と読書の話をしていてとても困ることは、「どんな本読んだの?」と聞かれて、海外有名文学作品のタイトルが直ぐに英語で浮かばないことです。映画のタイトルもそうですが、結構意訳されていることが多く、直訳して伝わらないと、内容を英語で説明するはめになり、これにはかなり手こずらされます。

前回のブログで書いた(→引きこもりのGWに「風と共に去りぬ」を読了)「風と共に去りぬ」は「Gone with the wind」なので比較的知らなくても行けそうですが、間違って「Left with wind」みたいになるとなんとなく〈風の左翼〉みたいになって意味不明となってしまうリスク有ります。

ちょうど読了して近日中に感想を上げる予定の「すばらしい新世界」(オルダス・ハクスレー著 講談社)はSFの超名作なのですが、「Wonderful new world」ではなく「Brave new world」ですし、チャールズ・ディケンズの「大いなる遺産」も「Great inheritance」ではなく「Great expectations」で、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」に至ってはもはや訳もできませんが「Wuthering heights」が正式タイトルです(苦笑)。

原題はロシア語ですがドストエフスキーの後期五大長編のうち「Crime and punishment」は分かりますが、「白痴」は「The idiot」、「悪霊」は「Demons」と微妙に会話中には直訳で正解に辿り着けなさそうなタイトルが続きます。

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引きこもりのGWに「風と共に去りぬ」を読了

唐突ですみません。先日大阪府が提示した休業要請解除の基準の中に「陽性率7%以下」が一週間継続、というのを見たのですが、この数字は何かの役に立つものなのかとちょっと疑問に思いました。

この数字が意味する、かかりつけ医などの診察の結果検査が必要と判断された人や、明らかに濃厚接触していて感染が疑われた人のうち、どのくらいの割合の陽性者がいたか、というのは、つまりは「コロったかも?(by自分)」、「あなたコロってるかもしれませんよ。(byかかりつけ医)」の見立てがたまたま正しかった割合を表しているだけで、この数字が下がるというのは1.単純にPCR検査基準を緩めた(=上記見立てをもっと適当にした)、2.コロナに似た症状のかぜ患者が増えた、ことが示されているに過ぎず、コロナウイルス感染の広がり具合とか深刻さとかを代表している数字とは思えません。

「陽性率」を指標とするなら、無差別抽出した人にPCR検査をして、そのうちどの程度がウイルス保持者か、の比率を追いかける方が実際的と思うのですが如何でしょうか?

さて、水曜日でGWの5連休は終わってしまったのですが、この「妻と共に籠りぬ」だったお休みはひたすら「風と共に去りぬ(Gone with the wind)」(マーガレット・ミッチェル著 新潮社 全5巻)を読みふけっておりました。ダジャレですみません(苦笑)。

アカデミー賞受賞作の映画も見たことがなく、合計2000ページ超という大長編であることにも尻込み気味だったのですが、とにかくこれまで読んだ多くの本の中にヒロインであるスカーレット・オハラの人となりや物語の内容がたびたび登場するので、この本を経験しておかないと今後の読書が深まらないという問題意識の下、今回覚悟を決めて挑戦してみたところ、このところ興味を持っていたアメリカ史の最重要イベントの一つに数えられる南北戦争時代の社会がしっかりと描かれており、スカーレットの過激な性格には面食らいましたが、文学作品としては勿論のこと、歴史小説としても想像以上に興味を惹かれる内容で時間的には結構かかったものの気分的にはあっという間に読了した感覚です。

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〈軟禁生活〉を軽やかにやり過ごす「モスクワの伯爵」に感銘を受ける

以前このブログで紹介しました趣味がマラソンの友人はシンガポール在住で、「人権より検疫」、「自粛しないと粛清」のお国柄の下、軟禁生活にストレスを溜めている模様です。(関連はこちら→ダイヤモンドプリンセスは呪われているのか?

日本もそこまでは厳しくないものの、それなりに不自由を強いられ、やりたいことが存分にできない環境ですので、ある意味軟禁に近い状態とも言えると思います。

そこで、世界中でマラソンレースも中止となっていて活躍の場が無く可哀そうなランナー友人(しかもありがたくもご夫婦でこのブログを読んでくれている)にエールを送る意味も込め、フィクションではあるものの、気の遠くなるような〈軟禁生活〉を大らかに、明るく、そして前向きに過ごした元ロシア貴族を描いた小説をご紹介します。

「モスクワの伯爵」(エイモア・トールズ著 早川書房)では、貴族の身分で名門ホテルであるメトロポールの最高級スイートの宿泊客であったアレキサンドル・ロストフ伯爵が、革命後に堕落した階級としてそのホテルの屋根裏部屋に押し込められ、32年にわたって軟禁生活を送るストーリーになっています。

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金次郎、懲りずに文学少女に本を紹介+楡周平作品を読む

依然としてアベノマスクが届かない我が家では、SHARPがマスクの製造・販売を始めたことが話題になり、妻が獲得競争に参戦の意を示しましたので、「SHARPのマスクは液晶でできてるらしいよ。」と言ってみたところ、「え?!かっこいい!」と真に受けられ、SHARPマスクが買えてしまう事態を恐れおののく毎日です。あ、これ読まれたらバレますね(笑)。

さて、折角の新中学生だったのに休講となり可哀そうな我が弟子文学少女ABさんに、少しでもヒマつぶしになればとまたもやおすすめの本を紹介させて頂きます。読むペースがとても速いので、紹介できる本のストックが減ってきているのは気になりますが、今回はちょっと多めの7冊です!このところ共にお世話になっているE美容師のところにも行けておらず、金次郎は髪の毛ボサボサの金田一的な感じになりつつあります。。。

(これまでの紹介記事はこちら)

金次郎、本の紹介を頼まれてないけどまた紹介+直木賞作「熱源」を読了!

金次郎、本の紹介を頼まれる+2019年4~5月振り返り

【文学少女ABさんへのおすすめ本7選】

「しゃべれどもしゃべれども」(佐藤多佳子著 新潮社)

感動作品の大家である佐藤先生による、不器用・頑固・意地っぱりと、どうにもこじらせて上手く行かなさそうな登場人物たちの何とも言えないハーモニーがぐっと来る名作です。ABさんもこれから色々悩むことも有ると思いますが、そういう時に思い出して手に取って読み返して欲しい作品です。

「夏の庭 The friends」(湯本香樹実著 徳間書店)

感動小説ランキングに常に入る名作なので既読かもしれませんが、大人が読んでも考えさせられる少年たちの成長物語です。〈身近な人の死〉に接し、それを受け入れて、なんとか消化し乗り越えて行く過程で変わってゆく少年たちの姿を通して、おぼろげにでも人生の意義について思いを馳せてもらえたら、という余りにもおじさん臭い推薦文ですみません(笑)。

「さよならドビュッシー」(中山七里著 宝島社)

前回紹介した中で「カラスの親指」が一番面白かったという程のミステリー好きで、しかもピアノもやっているということなので、それならこの作品しか無かろう、と自信を持っておすすめします。名探偵かつ名ピアニストである岬洋介シリーズは何冊か出ているので、興味が湧けばそれらも読まれるといいですね。

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アメリカで500万部売れた「ザリガニの鳴くところ」を読む

コロナで家にこもる毎日が続いており、さぞやオンライン英会話のニーズが増えて懐が潤っているだろうと思い、授業中に先生に聞いてみたところ、「私もそう思っていたんだけど、生徒以上に先生が増えてるみたいで授業の予約が減っている。」と言われてしまい、なるほど&悲しい気持ちになりました。

同じくコロナも影響して昨晩WTI原油価格がマイナス圏に突入し、世界のマーケットを騒然とさせたアメリカですが、駐在経験の有る会社の先輩が、アメリカでは日本にいると想像もできないようなことがたびたび起こる、と言っていたことを改めて思い出しました。恐るべしアメリカ、ということで、取って付けたような感じとなりましたが、本日はアメリカが舞台の小説をご紹介です。

先ずは、会社の同僚に薦められて読んだ「ザリガニの鳴くところ」(ディーリア・オーエンズ著 早川書房)です。

〈ザリガニの鳴くところ〉というのは人が足を踏み入れない原生的な湿地のことをそう呼ぶとのことで、 まさに、1952年から1969年のノースカロライナ州のそんな場所を舞台に、わずか6歳の〈湿地の少女〉カイアが、偏見や差別、そして孤独と必死に折り合いを付けるサバイバルの中で、〈孤高のヒロイン〉へと成長する生き様を描いた、全米500万部のベストセラー小説です。

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「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~後編

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディ・ミカコ著 新潮社)は今とても売れている、と言うか売れ続けているノンフィクション作品ですが、とにかく本書の主役である中学生の息子くんが最高なのです。

アイデンティティの定まらない、東洋系で時には差別の対象にもなりかねないいたいけな中学生が、日本とは比較にならない多種多様な人種や階層、価値観のるつぼであるイギリス社会で、勿論本人なりには悩んでいるのだとは思うものの、我々大人が分別くさく難しい顔で理屈をこねながら、我が身やその言動を縛ると嘆いてみせるしがらみの数々を、 いとも簡単に、屈託無く、素知らぬ様子で軽やかに飛び越えて見せる姿に、 本当に胸のすく思いがする、そして我々が暗いと思い込んでいる世界の未来に希望を持たせてくれる本です。

自分の子供の頃を振り返ると、現代イギリスほどでは無いものの、当時の小中学校には確かに色々なバックグラウンドの子供たちが通っており、勿論そんな背景は気にせず日々の生活を送っていたわけですが、そういう違いに少年金次郎がただの無知だったのに対し、この息子くんはかなり分かっている、分かっているのにひょいと前に進んでいるところが本当にすごいと思います。

著者ミカコさんは金次郎と同じ福岡出身で年代も近いので、なんとなくギャップへの戸惑いというか驚きに共感するところ大ですが、 そのポジティブな驚きが成長する息子くんの姿への〈母ちゃん〉のなんとも言えない眼差しを通じて描かれている本作は、さすが売れているだけのことはある面白さでおすすめです。

そして、前回に引き続き、「興亡の世界史」シリーズ読破記念として、以下11~20巻の感想です。 (00~10巻の感想はこちらです→「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~前編

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「興亡の世界史」シリーズ(全21巻)を遂に読了~前編

緊急事態宣言下の東京で引きこもりの生活が続いておりますが、 おかげさまで今のところ夫婦共々元気に過ごしております。コロナになると嗅覚異常が出るとのことで、二人してやたらと色々なもののニオイを嗅ぎまくるというおかしなことにはなっておりますが(笑)。

2006年にシンガポールから帰国した際、海外での食道楽と運動不足生活がたたり大きく体重を増やしていた金次郎は、妻の友人の推薦すすめで「踏み台昇降運動」(通称フミショー)によるダイエットを始めました。

フミショーは床に置いた踏み台の昇り降りを40分前後繰り返すだけの単調な運動なのですが、これが存外有効で、体重は渡星前のレベルに戻り、その後もフミショーを継続しているおかげで、それなりに不摂生もしてきましたが標準体重を維持できている状況です。

フミショーにはインナーマッスルが刺激できるとか、太腿の筋肉がついて代謝が上がるとか、科学的にも色々と利点は有ると言われているそうなのですが、金次郎が特に気に入っているのは以下のポイントです。

●思い立ったらすぐできる

ダイエットで最も重要なことの一つは継続することで、それがなかなか難しいのが人情というものですが、 フミショーは運動することのハードルが極めて低い、すなわちやりたい時にすぐできる、特別な準備やジムに行く等のプロセスが不要、 ということで継続が容易という特徴が有り優れものです。外が暑かろうが、雨が降っていようが関係無く年中いつでも簡単にできるのもいいですね。

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金次郎と宿敵Mによる本屋大賞2020予想対決、結果発表!

本日14時より待ちに待った本屋大賞2020の発表があり、金次郎もMも仲良く〈イマイち〉として9位に予想した「流浪の月」が大賞に選ばれました(苦笑)。

昨年は揃って大賞を当てたのに今年は大外し、〈この本を全国の読者に届けたい〉という気持ちがかなり足りていなかったと反省するのも何か変なので、まぁいいか。

さて、予想対決の結果ですが、、、

マイナス196点 VS マイナス142点の大差でMの圧勝となりました(涙)。

お互い1位に予想した作品は下位に沈み互角だったものの、 金次郎は「店長が~」と「ノース~」の外れのダメージが大きく、全体に手堅くまとめたMに軍配が上がる結果となりました。「ノース~」を譲位に、「店長が~」はきちんと下位に予想していて当たっています。 悔しいですが、コロナが落ち着いたところで〈金の栞〉を進呈させて頂くこととします。来年は負けません。

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コロナの時代にカミュの「ペスト」とデフォーの「ペストの記憶」を読む

毎日コロナ一色ですが、昔の人は疫病の蔓延にどう対処したのかなと思い、最近売れていると噂の1947年に出版された「ペスト」(アルベール・カミュ著 新潮社)と、1720年出版の「ペストの記憶」(ダニエル・デフォー著 研究社)を読んでみることにしました。

「ペスト」は、仏領アルジェリアのゴラン市を舞台に、 突然ふりかかったペストの災厄の凄まじさと、 その猛威に立ち向かう人々の姿を描いた実存主義小説ですが、 極度な楽観主義、現実を直視しない姿勢、形式主義のお役所が後手後手に回る様子など、 前半に記されている内容はまさに我々がここ数週間で経験した事象であり、 時代も病気も違うので物語中盤から後半にかけて描写される、為す術の無い感染の蔓延が実際に起こるとは思いたくないものの、 何とも不安にさせられます。

アルコール消毒と言いつつ酒を飲んだり、 誰彼構わず抱き着いて病気をうつそうとしたり、 自分だけは大丈夫だから感染しないと思い込んでいる人がいたり、 とこの辺の感じは現在とあまり変わらないですね。

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