ブログのネタが尽きてきて、いよいよ取っておきのリーサルウェポンを投入

今週は、金次郎の甥っ子が志望大学に合格するという嬉しいニュースが有りました。おめでとう、K太郎!

いよいよブログのネタに窮してしまい、本当にネタに困ったらこの箱を開けなさい的な最終手段を投入することとなってしまいました。金次郎は2002年から2006年までシンガポールに駐在しておりましたが、この期間は仕事も充実していましたし、多くの得難い知己を得る機会にも恵まれ、ついでに新婚生活がスタートした時期でもあり、正に三十にして立つを地で行く人生のターニングポイントでありました。そんな楽しかったシンガポール生活に彩りを添えてくれたのが社用車の運転手であるPさんでした。マレー系が多い運転手の中で唯一の中華系であった彼は、故宅八郎さんくりそつの容姿もあいまって際立つ存在感を醸し出しており、しかもその見た目に違わぬ数多くの武勇伝を創造し続けるレジェンドでした。

まず第一に、運転手にあるまじきことですが、彼の運転はすこぶる荒く、慣れていないお客さんなどを乗せると結構な確率で車酔いが発症してしまいます。今にして思うと彼は少し視野狭窄だったのではないかという気がするのですが、運転しながら上下左右に体を大きく動かすクセが有り、これが不安定な運転に拍車をかけるという悪循環で、よく彼の運転する車を使っていて慣れていた金次郎でもマレーシア往復など長距離行の場合は何度も吐きそうになりました。また、シーブリーズの偽物のような謎の液体を常に顔や首に塗りたくっており、最初は清潔感の演出かとも思いましたが、どうやら年がら年中の眠気覚ましだったようで、彼の運転中はいつ事故るかとなかなかの緊張感だったことを思い出します。更に、赤道直下に位置するシンガポールですので、車の窓は締め切り冷房をガンガン効かせているわけですが、彼はそんな密室で素知らぬ顔でおならを連発することを文字通り屁とも思わぬ強靭な精神の持ち主で、頻繁に金次郎や同乗したお客さんを悶絶させる毒ガス専門のテロリストでもありました。

彼の奇行は車中にとどまりません。命知らずな彼は何故だか40代でローラーブレードにハマってしまい、シンガポールによく有る低層階が駐車場になっているビル内で仕事の空き時間にローラーブレードを装着し、各階を繋いでいる車が通るスペースをグルグル回りながら9階から地上まで猛スピードで駆け降りるという危険行為を繰り返し、ビル側から苦情を受けた総務部から激しく叱責される事態となり、彼のアグレッシブインラインスケーター時代は数日で幕を閉じました。今でもガリガリに痩せて鋭い目つきの宅八郎似の男がヘルメット、ヒジとヒザのプロテクターを装着して飛ぶように駐車場を駆け降りる姿を思い出すと、あれは夢だったのではないかという気分にすらなります。

小さな事故を頻繁に起こしたり、休日に社用車を勝手に乗り回したり、挙句に社用車で白タクをしているのが会社にバレたりととにかく破天荒なPさんでしたが、何くれと無く金次郎夫婦の世話は焼いてくれましたし、ちょっと奇怪なものも含め美味しいローカルフードをたくさん紹介してくれましたし、懐に余裕は無い筈なのに本帰国の際は記念品まで用意してくれて、総合的にはいい人だったなと今では良い思い出です。その後彼がたどった数奇な人生については、また別の機会に書こうと思います。

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金次郎、引き続き出版社の歴史に興味深々

東京では雪が積もる積もる詐欺に騙されまくった先週でしたが、大雪といえば、金次郎の父方の里は福岡県西部のそれなりの山の中で、正月に挨拶に行くとかなり積雪していて、金次郎の父親が雪道でハンドル操作を誤りスリップ&脱輪して大変なことになったのを思い出しました。しかし、山の中ということで子供時代はアクティビティーには事欠かず、家族で遊びに行くのが当時は本当に楽しみだった記憶が有ります。春はフキ、ワラビ、ゼンマイなどの山菜を取ったり、モウソウダケ、ハチク、マダケと順を追って出てくるそれぞれ味わいの違うタケノコを掘ったり、秋になると柿をもいだり栗を拾ったりと、とにかく山の幸が盛りだくさんでした。タケノコの掘り方が下手だと勿体ないと厳格な祖父に小言を言われるという恐怖は有ったものの、足の裏の感覚で出たばかりのモウソウダケを見つけ、周囲を鍬で掘ってタケノコの向きを見定め、反っている内側の根本に鍬を入れて掘るあの感覚が懐かしい。(ちなみにハチクとマダケは鍬ではなく鉈で切り取ります。)そこから包丁で切れ目を入れて外側の皮をむき、内側の薄皮を削り取って米のとぎ汁で湯がいてアクを取るのですが、掘りたてを食べるまでのあの一連のプロセスにはいつも非常にわくわくしておりました。

また、秋が旬の自然薯は、遠くから見て杉の木に絡んで黄色くなった葉っぱを見つけ、その根元を目指して山中に分け入り、ツルを探して歩き回り、見つけたところから真下に向けて1メートル程穴を掘ってようやく手に入るという大変な収穫作業なのですが、自然薯一本を折らずに掘りだせれば一人前という子供心をくすぐる父親の言葉に踊らされ、いたいけな金次郎少年はいつも一生懸命に掘っておりました。家に持ち帰って摺り下ろし、とろろにして食べるのですが、天然もののせいかかなり粘りが強い上に土臭く、しかも食べた後確実に口の周りが痒くなるので別にどうしても食べたいという代物ではなかったものの、大人の階段を上りたい盛りの少年にとっては毎年愉しみなイベントでした。その他にも冬の餅つきや、隣のゴルフ場から飛んでくるきれいなOBボールを拾い集めるなど思い出がたくさんある本家ですが、最近全くうかがえておらず気になっております。ちなみに、この一族は名前に権(ごん)の字を代々受け継いでおり(権助、権太郎など)、世が世なら金次郎も権次郎となるところでしたが父の代でこの字は使われなくなり本当に良かったです(笑)。一周回ってイケてる感じになるのかもしれませんが。

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金次郎、過去18回の本屋大賞ノミネート作品全部読みプロジェクトを開始

興味の無い方には本当にどうでもいい話だと思いますが、本屋大賞2022のノミネート作品が発表されたことを受け、予想の参考とすべく過去18回のデータをじっくり調べてみました。過去18回で上位3作に最も多くランクインした出版社は新潮社で9作(16.7%)、これにKADOKAWAの7作(13.0%)、講談社の6作(11.1%)と続いております。ただ、子会社である光文社の2作も合わせると講談社系音羽グループが8作(14.8%)で2番目となります。出版社の規模としては講談社(従業員数920名、光文社は291名)、集英社(同764名)、小学館(同710名)が三強ですので講談社は順当と言えます。規模はそこまで大きくないですが歴史も古く文芸に強くて意外とエッジが立っている新潮社(同346名)、エンタメに強い印象のKADOKAWA(出版関連の従業員数は不明)もそれなりに妥当なところと感じます。新潮社のエッジ度合いは週刊新潮の記事のせいでよく訴訟になっていることからも分かりますね(笑)。ただ、この新潮社とKADOKAWAの2社が本屋大賞を席巻したのは2015年度までで、なんとその後の6回ではトップ3に全く食い込めておりません。読書家として大変不本意ながら、2015年以降この2社にいかなる出版戦略や編集方針の変更が有ったのか、あるいは何も変化が無くただ書店員さんに推されなくなっただけなのかについては調べられておらず、追々この謎は解明していきたいと思います。

この2社の本屋大賞レースでの低迷期において、そのポジションにどこかの出版社が上手く取って代わったのかというと必ずしもそういうわけでもなく、どちらかというと群雄割拠の様相を呈しておりますが、強いて挙げるなら、一流ブランドである講談社の3作に従業員数250名のポプラ社が同じく3作で拮抗しており健闘している構図が印象的です。元々ポプラ社は小学校の図書室で目にした名探偵ホームズシリーズ、かいけつゾロリ、機関車トーマス関連書籍、ズッコケ三人組シリーズなどに代表される児童書出版を主な活動領域としていましたが、近年は大人向けの小説にも進出し、こどもと、昔こどもだったすべての人のための「本」をつくる出版社、をモットーに大成功を収めています。この他にも創元推理文庫が有名でミステリーに強い東京創元社(同50名)、漫画(アクション)やエンタメ(週刊大衆)に強く社員の質が高いと評判の双葉社(同157名)なども最近の本屋大賞では上位に作品を送り出しています。大正デモクラシー時代に文壇をリードした中央公論で知られる中央公論社は1880年代創業の老舗でしたが、1990年代に経営不振から読売新聞本社グループの傘下に入り中央公論新社(同150名)として再スタートを切っており、近年本屋大賞でも上位に食い込むケースが増えております。さて、これら最近の傾向から本屋大賞2022の上位作品を予想すると、「残月記」(小田雅久仁著 双葉社)、「スモールワールズ」(一穂ミチ著 講談社)、「星を掬う」(町田その子著 中央公論新社)となりそうですが、そんなくだらない予想をしているとまた外して宿敵Mに負けることになるので改めて作品をしっかり吟味しようと思います。当たらずとも遠からずのような気がするところが微妙ですが(笑)。

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金次郎、「破天荒」(高杉良著)を読み破天荒なレジェンドについて回想する

金次郎は入社以来化学品業界でお世話になっておりますが、石油化学新聞記者から経済小説の大家となった高杉良先生の自伝的小説である「破天荒」(新潮社)を読み、日本の石油化学産業の勃興期の雰囲気を感じなんだか嬉しくなりました。本名の杉田亮平として実際に書かれた署名記事の引用などを通じて臨場感いっぱいに描かれる日本合成ゴムの工場建設から民営化までの流れは、現在の業界地図との対比という視点で読むと業界構造の大きな変化に改めて驚かされますし、エチレン不況カルテルのスクープ記事に関する様々な反応の生々しい描写からは当時の石化産業の苦境が伺えると同時に、これも現在との比較において官民の関係の変容に改めて思いを致す契機ともなりました。エチレン不況カルテルといえば、金次郎が入社した当時にもその残滓のようなものが存在していたな、と思い出して懐かしくなる一方で、自分も随分長くこの業界にいるものだ、となかなかに感慨深いものが有りました。また、これまで「炎の経営者」(文芸春秋)などの高杉作品を読んで感じていた小説的でないジャーナリスティックな文体のルーツを垣間見ることができた読書体験だったとも言えると思います。

一瞬ご自身のことを破天荒と言ってしまうセンスは若干どうなのだろうか、と感じる一方で、金次郎が社会人となった約30年前ですらこの業界には社内外問わず破天荒な方がたくさんいらっしゃったことを思い出し、いわんや高杉先生は更に一世代前の方ですので、このタイトルにも納得した次第です。噂で聞いたものも含めですが、若かりし頃の金次郎の記憶に鮮烈に残っている破天荒例を挙げますと、会社の給湯室でママレモン(最近あまり見ないキッチン洗剤)で颯爽と洗髪される方、朝まで飲んで出社後すぐにトイレの個室に入って寝たら便座にお尻がはまって抜けなくなった方、「あれがあれでそれがなにして」と指示代名詞的な言葉でほぼ会話を成立させる強者、その後大変なことになるとも知らずに酔っぱらって反社の方の家の立派な外壁に立ち小便をしてしまう豪傑、交通事故に遭われ顔面を負傷された際にさる有名俳優の写真を示し、「この顔に戻してほしい」とピンチをチャンスに変えようとされた胆力の持ち主など枚挙にいとまが有りません。そんな雲の上の先輩方の中でも、特に印象に残っている極めつけは、何と言っても飲み会の芸でガラスのコップを食べる技を披露される超人の方の話です。いや本当に、こういうレジェンドに思いを馳せると、常識や世間体に縛られている自分の人間の小ささがいたたまれなくなりますが、どうにか頑張って定年までにできる限り後輩たちの心に何らかの爪痕を遺さねば、と決意を新たにいたしました(笑)。

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金次郎、万人受けは有り得ない「法医昆虫学捜査官」シリーズにはまる

金次郎の中学校の同級生で同じ陸上部に所属していた友人のS君(あだ名はブーヤン)が中学卒業と同時にお相撲さんになりました。そんな進路が有るのかと当時とても驚いたのを覚えていますが、そういうことが大好きだった母と共に新聞の地元力士の星取表を見たり、時にはテレビ観戦で声援を送ったりと、他人にあまり興味が無かった自分としては珍しく気にして応援したりしておりました。しかし、残念ながら彼は関取にはなれず20代前半で惜しくも引退されたのですが、入門以来ずっと場所の度に番付表を、そして年末には大相撲カレンダーをかれこれ30年以上律義に送り続けてくれていました。いつも宛名も手書きで丁寧に書いてくれていて、相撲界の背負っている伝統もさることながら彼の真面目な人となりを想い、その間一度も会いに行っていない自分の不義理を反省しきりでした。すると最近になって、彼の所属していた部屋の師匠である尾車親方(元大関琴風)が65歳の定年を迎えられるにあたり、番付表とカレンダーの送付は初場所で最後となる旨のこれまた丁寧な手書きの封書をいただき、遂に何もお返しすることができなかった後悔と合わせ、卒業間近の3月に我が中学校まではるばる彼を迎えにきた尾車親方の大きさと迫力が鮮やかに思い出され、万感胸に迫るものが有りました。人生の残り時間が潤沢というわけでもない年になってきましたので、こういう後悔をしないようにどんどん思い立って果たすべき義理を全うしたり、伝えきれていない感謝の思いを伝えたりしなければな、と感じた出来事でございました。S君、いやブーヤン、長い間どうもありがとうございました。

最近売れている本に「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」(福井県立図書館 講談社)というものが有りまして、福井県立図書館の司書さんが実際にレファレンスで遭遇した笑えるタイトルの覚え違いを一冊にまとめた内容となっています。有り得ないようなものも含まれてはいますが、確かにそれは間違えるかも、と思える納得感の高いものも多くなかなか楽しめました。例えば、ドラマにもなった「下町ロケット」を「下町のロボット」と間違えていたり、朝井先生の出世作である「霧島、部活やめるってよ」を「おい霧島、お前部活やめるのか」と空気の読めない先輩ふうのタイトルで探してみたりと本当に人間の記憶というのは不確かなものだなと思いました(笑)。中でも印象に残ったのは、コンマリ先生の大ベストセラーである「人生がときめく片づけの魔法」を、特に具体的には何も生み出さなそうな無意味タイトルの「人生が片づくときめきの魔法」と間違っていた例と、敗戦後の日本人を描いた名著であるジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」を「大木を抱きしめて」と環境保護活動家を意味するtree huggers的な感じに間違っていた例ですかね。ボリュームも少な目で一瞬で読めるのでご興味の有る方はぜひ。

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いよいよ本屋大賞2022ノミネート作品発表!

相変わらず書くことが浮かばず、前回のブログではややネタを大盤振る舞いし過ぎたと後悔したりもしていますが、金次郎さん本当にトラックにひかれたの?、うちの息子もやんちゃですが金次郎さんの幼少期は相当ヤバい、などの反響をいただき、トラウマ1も2もそれなりに楽しんでいただけた様子ですので、全力投球してやっぱり良かったと思い直しております。

人生を振り返ると、金次郎は眼に疾患が有り、小さい頃から眼科にはずっとお世話になっていて、あまり楽しい話は無いですが眼科での場面の記憶は結構断片的に思い出されることが多いです。眼底検査のために散瞳効果の有る目薬を差すと半日ほど視界がぼやけて読書ができなくなりますが、小学生の金次郎はそのことでいつも泣きわめいておりましたし(不思議と祖母の老眼鏡をかけるとちょっと見えるようになるw)、ヤバ少年金次郎は長い待ち時間に全く耐えきれず毎回病院の周囲を徘徊しまくりで、とにかくいつも母親に迷惑をかけ通しだったことに今更ながら反省しております。恩返ししたくなった時には母は亡し、ですが(涙)。

最近も眼圧がやや高くなってしまいわりと頻繁に大学病院に通院しておりますが、いつも気になるのがお決まりの眼圧計測の検査です。皆さんも眼科検診などでご経験が有るかと思いますが、目玉にプシュっと空気を当てて眼圧を測定するあれですね。時々ちゃんと目玉に当たっていない気もするし、結構まつ毛でエアがブロックされているようにも感じるし、どうしてあんなやり方で測れるのだろうといつも不思議に思っていたのに調べていない自分を恥じ、この機会に確認いたしました。仮説としてはあのプシュっという空気が目玉に当たって跳ね返ってくるまでの時間を基に跳ね返す力として眼圧を計測しているのではないかと考えましたが、結果はなんと、あのプシュっという空気を当てることで目玉を変形させ、その変形度合いによって眼の中の圧力を推定しているとのことで、若干アナログな印象と共に直接的でない計測法に大丈夫なのか?という気分になりました。やはりこの非接触型測定法では誤差が大きいそうで、確かにその後診察室で先生に直接目玉に器具を当てて(ゴールドマン眼圧計というそうです)測定していただくことが多いなと思い出しなるほどと思いました。経験的にはゴールドマンの方が2mmhg程度数値が低く出る気がします。眼圧の話をもう少し引っ張りますと、眼圧を下げる目的で、ルミガンという点眼薬が処方されるのですが、この目薬は副作用としてまつ毛をつけまギャルのようにバサバサにしてくれる効果がございます(笑)。日本では当然治療薬として医師の処方が無いと買えず、保険がきかないとかなり高価になる代物なのですが、海外では簡単にドラッグストア等で購入可能な国が有り、そこから大量に仕入れてまつ育にいそしんでいる方もいらっしゃるようです。一説には頭髪にも効くとの話も有り、自分のまつ毛が実際にバサバサになった経験から確実に頭髪にもイケる気がしますので、そういう方への横流し懸念からか、調剤薬局では割と細かくどれだけ使っているかや前回の処方からの期間と今回処方された薬量の整合性などを問いただされ、やましくないのに悪いことをしている気持ちになります。それと同時にすっかり薄毛になった父の頭に塗布してみようかな、といういたずら心も芽生えます(笑)。点眼薬の話となりましたが、①複数の目薬を使う場合は5分以上間隔を空ける、②目薬が鼻の方に抜けないよう点眼後はしっかりと目頭を押さえる、③点眼後にまばたきをするとやはり薬剤が流れてしまうので、まばたきはせずじっと目をつぶっておく、が効果的なやり方だそうです。眼科通いのプロからの豆知識でした。

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金次郎、ブログの人気取りのためにトラウマ記憶をさらす

先日のランキングでは金次郎の過去の思い出シリーズが意外にも人気を集め上位に食い込みました。今年で50歳、結婚20周年と節目の年でもありますので、自分史作りのつもりで古い記憶を掬い上げてみる一年にしようと思いますのでお付き合いいただけますと嬉しいです。

と言ってはみたものの、読者の皆さんに楽しんでいただけそうな面白い場面がなかなか思い浮かばず、それなりに充実していた筈の自分の人生はもしかして結構つまらないものだったのかと悲しい気持ちになったりもしております(涙)。

更に真っ先に頭に浮かんでくる思い出が、幼少期に車がどこまで近づいてから道路を横断できるかに挑戦してトラックにはねられた、たまたま手が離せない時に家に遊びに来た友人を用事を済ませてから追いかけたら近所の倉庫がその友人の火遊びで丸焼けになっていた、大学時代に住んでいた学生ハイツで彼女と電話するために部屋に立てこもった友人を邪魔しようとスパイダーマンのようにベランダも無い8Fの彼の部屋に隣室の窓から壁伝いに侵入した、などなど冷静に振り返るとぞっとするような話ばかりで、自分のダメ人間ぶりに嫌気がさすと同時に、まかりなりにも普通に仕事をしている今の自分はだいぶ更正したなと変に感心したりもしております(笑)。

そんなダメ人間ながらも色々なことを比較的そつ無くこなしてきた金次郎ではありますが、本当に全くどうしようもなく結果が出せなかったのが小学生の時に習っていた剣道でした。2年生から両親の勤めていた銀行の同僚だった方が師範をされている道場に通い始めたのですが、全く鳴かず飛ばずで剣道カーストの底辺の地位を5年間守り続けました(笑)。そんな不遇時代についてあれこれ思い出しているうちに、期せずして辛いことづくめの思い出の中でも極めつけのトラウマ記憶の蓋を無駄に開けてしまい後悔先に立たずの状態ですが、せっかくの自分史なので目を背けずに精神力の許す限りその内容について書いてみようと思います。

トラウマ①:剣道には昇級審査というのがあり、大きな体育館で打ち合いをしているところを審査され合否が決まる仕組みになっているのですが、5年生だった金次郎少年は3級審査当日に不合格を言い渡され、結構落胆しながら審査会場を後にしました。ところが、数日が経過して道場に行ってみると、先生から点数の計算違いが有り合格でしたと免状を渡され、とりあえずほっとして帰宅しました。それから何事も無く1年が過ぎ、6年生で2級の昇級審査に臨んだ金次郎少年は見事その場で合格となり、それなりに喜びつつ両親に結果を報告しました。その時の父のコメントがなんと「初めて自分の力で合格したな。」!それは言っちゃだめでしょという母の表情から全てを悟った金次郎少年は1年前に計算違いを告げられた際の道場のちょっと不穏だった雰囲気を思い出し、汚れた大人の世界の洗礼を受けた衝撃で暫く涙に暮れました。

トラウマ②:その道場には師範の先生のお父上である大先生というおじいさんがおられ、とにかく怖いし声がつぶれていて何を言っているか全く分からないということで道場に通う小学生からは非常に怖れられる存在でした。その大先生に目を付けられて稽古をつけてもらうはめになると、唸り声を上げながらボコボコに打たれるというホラー状態になるためメリットが見いだせず金次郎少年はなんとかそれをかわすべく細心の注意を払っておりました。そんなことだから強くなれないわけですが(苦笑)。ところがある日のこと、注意不足により大先生につかまってしまい残念ながらエセ3級VS剣豪8段の対決となってしまったのですが、途中からこちらの攻撃が面白いようにヒットするようになり伝説の剣豪は防戦一方に。僕ちょっと強くなった?という自信と日ごろの鬱憤から非力ながらも全力で大先生に打ち込みまくったのですが、なんと、その数分後に大先生は倒れられ救急車で運ばれる事態となりました。勿論金次郎少年のしょぼい打ち込みのせいではなく何らかの発作を起こされていたようなのですが、その後回復されたとはいえ、思い出すと心が鈍く痛んでどんよりした気分になる記憶です。

何の示唆も教訓も無いエピソードで恐縮でしたが、それなりに頑張っても結果が出せない人がいるという事実を自分で経験していたにも関わらずすっかり忘れてしまっており、今後は後輩の指導の際はもっと優しくせねばと今更ながら反省いたしました。でもやっぱりトラウマになる恐れが有るので正当な評価は歪めてはいけませんね(苦笑)。

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金次郎、新年早々箱根駅伝も見ずに自転車レースにはまる

少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。年末年始は妻の股関節痛のため帰省や親戚への挨拶はおろか、ほぼどこにも行かずデリバリー食材を活用しての引きこもり生活となり、徹底的に家でのんびりした結果、旧年中の疲れも抜けてなかなか良い休息となりました。そんな年末にラストスパートできたこともあって、2021年の読了数は381冊と昨年に続き自己最高を更新いたしました。ただ、今後は出社頻度や会食、もしかしたら出張も増えるやもしれず、次の自己記録更新は退職後になりそうです。でもそんなに先じゃないのが怖い。

さて、昨年末に王様のブランチBOOK大賞が発表となり、2021年はこのブログでも紹介したミステリー「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成著 KADOKAWA)がその栄誉に輝きました。以下に並べた通り、毎回ブランチBOOK大賞受賞作は本屋大賞レースでも上位に食い込む一方(ここ10年で大賞4回、トップ3以上8回)、ミステリー作品はファン層がやや限定されるためか前評判は高くともトップ3に入らないケースも多く、まだ本屋大賞ノミネート作品発表前ですが「六人の嘘つきな大学生」を何位にするか早くも予想に悩み始めております(笑)。

2011年 「マザーズ」(金原ひとみ著 新潮社)→本屋大賞選外

2012年 「楽園のカンヴァス」(原田マハ著 新潮社)→同3位

2013年 「昨夜のカレー、明日のパン」(木皿泉著 河出書房新社)→同2位

2014年 「かたづの!」(中島京子著 集英社)→同選外

2015年 「羊と鋼の森」(宮下奈都著 文藝春秋)→同大賞

2016年 「みかづき」(森絵都著 集英社)→同2位 

2017年 「かがみの孤城」(辻村深月著 ポプラ社)→同大賞

2018年 「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ著 文芸春秋)→同大賞

2019年 「線は、僕を描く」(砥上裕将著 講談社)→同3位

2020年 「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ著 中央公論新社)→同大賞

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【アフター4読書二周年】今年の人気記事ランキング発表!

先日会社の若者から、前半のよもやま話の引き出しが多くて驚きます、とお褒めの言葉をいただきました。読めばそれなりに書ける本の紹介と違って、よもやま話は自分の中に有るもののうちからネタを絞り出して書かねばならず、この作業は自分の薄っぺらさと向き合うことを余儀なくされるので、内容の緩さにそぐわぬ必死の形相になりながら毎回どうにかこうにか紙面を埋めており(涙)、これまでも多くの方に面白いと言っていただきましたが、やっぱり何度褒められても嬉しいですね。

そうこうしながら、このブログを始めてからはや丸2年が過ぎました。たまたまですが、コロナ禍で飲み会が激減したタイミングと完全に期間が被っていたことがどうにかここまで続けられた大きな要因だと思います。今後少しずつ生活が通常モードに戻っていくと想定される中、読書&ブログの時間をどう捻出するか2022年はチャレンジの年になりそうです。いい区切りなので、振り返りも兼ね前回のランキング発表からの約1年間(2020年12月~2021年12月)に読んでいただいた回数が多かった記事のランキングをまとめてみました。(カッコ内は前回の順位です。)

第10位(-) 瀬尾先生の新作長編「夜明けのすべて」とやはり犬は泣ける伊吹先生の「犬がいた季節」を読む(2020年12月22日):この記事はまだ一回の充電で走行できる距離が100km程度だった10年前のEVドライブ珍道中の完結編で、結構たくさんの方に面白かったと褒められて嬉しかった記憶が有ります。読書と無関係な部分の分量が多すぎるのが少しだけ気になりますね(笑)。

第9位(-) 金次郎、福岡県出身のブレイディー・ミカコ先輩を再認識+30年前の思い出を語る(2021年1月13日):30年前の若気の至りのエピソードは非常にしょうもない話なのですがやっぱり懐かしくて自分でもたまに読み返してニヤニヤしています。後半の新自由主義がもたらしたイギリス社会の歪についての真面目な感想とのギャップがゴーストライターがいるのではと疑われかねない激しさで笑えます。

第8位(-) いよいよ本屋大賞2021ノミネート作品発表!(2021年1月26日):やはり人気の高い本屋大賞関連投稿です。読み返してみると、本当に自分がこれを書いたのかと一瞬自信が無くなるぐらいなかなか簡潔に候補作を紹介していてちょっと自画自賛してしまいました(笑)。

第7位(-) 期待通り面白かった染井為人先生の「正体」を紹介!(2020年12月8日):10位にも入ったEV珍道中の第一回(全3回)ですが、存外金次郎の昔の面白い思い出は人気が高いことが分かります。引き続き記憶を絞りに絞って思い出シリーズを充実させてビューを稼ぐことを検討してみたいと思います。人生50年の区切りとして自分史的な感じにしてもいいかもしれません。かすんでしまっていますが、「正体」も面白い本ですのでぜひご一読下さい。

第6位(-) 文学女子とその母上に冬休みにじっくり読める本を紹介(2020年12月28日):引き続き人気のこの本紹介企画ですが、最近お薦め本リストが枯渇気味という難題に直面しております(笑)。文学女子ABさんも来年は受験生ですので面白い本を紹介し過ぎるのもどうなのかと悩みつつ今後のこの企画の在り方について考える今日この頃です。

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金次郎、長らく積読であった話題作、「人新世の『資本論』」を遂に読了

いよいよ冬が本格化してきた感じですが、気温の低下もさることながら空気の乾燥がひどくなっていることにも非常に気が重い今日この頃です。なぜかと言いますと、ただでさえルーチンでやらねばならないことが多い日常生活に乾燥対応のケアが加わるためで本当に面倒臭い。ということで、読者の皆さんにとって、心の底からどうでもいいことだとは分かりつつも、あまりにも書くことが無いために、金次郎の身体のケアについて書かせていただきたいと思います。すみません。

先ず起きてから最初にやるのは当然洗顔です。その後化粧水、乳液、クリームとフルに塗り込むのですが、気分によって妻の化粧品の中から安価なものとそれなりに高価なものを選んで使わせていただきます。出社する際には今や当然の日常ではなくなった出勤への気持ちを高めるために更に高品質なものを妻の目を盗んでこっそり使う場合も有るのですが、ちなみにそれはノエビア化粧品の最高級ラインの商品でお値段はとても恐ろしくて口に出せません(苦笑)。これまたどうでもいい話ですが、匂いフェチな金次郎はその日の気分でメゾン・フランシス・クルジャンのアクアユニベルサリスかジェントルフルイディティゴールドのいずれかのフレグランスを選びます。前者は爽やか、後者は甘いバニラの香りでかなり気分が上がります。ただ、会社でそれをいい匂いと言ってくれたのが、同じく中年のおじさん同僚(通称ミッツ・マングローブさん)ただ一人というのが気にはなりますが。。。

そして、朝のルーチンの最難関は点眼薬3本の時間配分で、目薬を差した後は1分ほど目を閉じてじっとしていないといけないし、それぞれの点眼の間も少なくとも5分は空けねばならないことから、朝の時間の無い時にちょっとでもミスるとそれなりにリカバリーに時間を要するので本当に面倒です。夜は夜で、洗顔からクリームまでのプロセスは同様ですし、時々妻から毛穴が汚いとクレンジングやパックをさせられるケースも有りこれはかなり手間と時間を要します。更に頭皮のマッサージにヘアオイルの塗り込みと続いた上に、なんと夜は点眼薬が4本となり更に煩わしさが増し増しとなります(涙)。これに加えて冬になると乾燥のために二の腕の発疹とかかとのガサガサが発生するため、これまたノエビアのクリーム1(薬用SDローション)とクリーム2(薬用SDクリーム)を塗り込む必要が生じ、特に足はクリーム後素足でベタベタ歩けないので、クリーム1・2と靴下を持って家の中をうろうろせねばならず、自分は何をやっているのだろうという気分になります(苦笑)。ただ、このクリームは一体どんな謎成分が配合されているのだろうと疑念が湧くほどに効果てきめんで、ガビガビになったかかとや足の裏、親指の側面などが塗り始めてから数日で赤ちゃんのお肌のような状態に戻り、かなり達成感が有るのは事実です。仕事ではいつもルートコーズ(根本原因)を見極めて対処しなさいと指導している立場としては、本来は床暖房をやめて足の裏を乾燥させ過ぎない、ちゃんとした加湿器を購入して室内の湿度を適切に保つ、などの対応をすべきなんだろうと思いつつ行動に移せていない言行不一致のダメ人間です(涙)。

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金次郎、たそがれ研修を受け定年後について考える

先日会社で研修を受け、一日半みっちりグループワークなどを通じて色々と考える良い機会となりました。どんな研修かと言いますと、あなたこのまま何も考えずに定年を迎えたらヤバいことになりますよ、という内容で、会社員生活の終わりがぼんやりと見え始める50歳前後で受けるため〈たそがれ研修〉と社内では呼ばれております(笑)。定年後あなたはだいたい17年生きる、あなたが死んでから奥さんは更に10年以上生きる、よっていくら必要になるが年金だけだとこういう感じになってゆとりの有る生活を送るにはこれだけ足りない、というようなシビアな話を突き付けられます。少し前に話題となった退職時に2000万円貯金が必要か否かという問題と基本的には同じような話なのですが、そもそも金次郎家が毎月どれくらい支出しているのかよく分かっていない体たらくにてスタートラインにすら立てていない不安感は否めません。

そして、ちょうど先日電話した際に父親も言っていたのですが、うまい具合にビンゴ的にきれいに金を使いきって死ぬのは不可能なために、常に預金が減っていくことへの恐怖と向き合わねばならず、それを避けるためにはやっぱりぎりぎりまで収入を得続けた方が良い、という当然の帰結となり、悠々自適の読書&ブログで余生を過ごそうと思っていた金次郎にはやや暗雲の切ない内容となりました。60歳過ぎでの再就職のハードルが高いというほぼ脅迫(笑)の説明を受け、将来を見据えた学び直しや準備を計画的に少しずつでも意識して実際に動き始めるべきタイミングと実感いたしました。ただ、働き続けるにしても、今の会社で40年前後がむしゃらに勤務した後の選択ということもあり、少しくらいは自分のやりたいことに寄せたいなと思い、研修でもさんざん問われましたので、改めて自分がハッピーだと感じるのはどういう瞬間かと自らを振り返ってみることとしました。こっ恥ずかしい自分探し作業でしたが、あれこれ考えているうちにこれまでの人生を通じて公私問わず仕事でも遊びでもオリジナリティのある金次郎らしい発信をして、それに対し面白かったやためになったなどのポジティブなフィードバックをもらった際にとても嬉しい気分になることを再確認することができ、そういうことならと、難易度は非常に高いと理解しつつも、現段階の夢として、このブログあるいはそれに類する発信を皆さんに楽しく読んでいただき、そこで僅かばかりでも稼げればいいな、とパイプドリームを掲げてみることにしました。研修では更に一歩進んで、その実現に向けた具体的なアクションも設定せねばならないということで、①ブログのみならず今後発信プラットフォームとなり得るsocial mediaについて行ってこれを活用できるようデジタルリテラシーを上げる、②このブログの文章をより分かり易く、読み易くてかつ面白いものにすべく心掛ける、③できるだけたくさんのことを経験すべく妻と色々なところに出かける、④もっと幅広く、かつ深い読書を意識する、そして⑤定年までの限られた時間にできるだけ密度の濃い経験を積めるよう、全力かつより広い視野で仕事を頑張る、という当たり前のステップを設定しました。先ずはとにかく妻の治療が最優先ですが、暫く時間が経過しても①~⑤ができていないぞ、とお気づきの際は是非叱咤激励いただけますようお願いいたします(笑)。

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金次郎、海外の文学賞についても少しだけ調べてみる

前回のブログに妻のことを少し書きましたが、読んでいただいた皆さんからたくさんの有用な情報をいただきました。お心遣いに大変感謝しております。どうもありがとうございました。できるだけ早くポジティブなご報告ができるよう夫婦二人で治療を頑張って参ります。

さて、海外の作品を読もうとして候補作の紹介文を眺めていると、○○賞受賞!という記載をよく目にします。そういった賞がたくさんあって何が何だか分からなくなりがちなので、思い立ってここで軽く整理してみたいと思います。(日本の文学賞についての説明はこちらで)

ノーベル文学賞は作品でなく作家に贈られるため奥が深すぎてここでの説明から除外しますが(苦笑)、その他の賞で最も目にする機会が多い印象なのはやはりブッカー賞でしょうか。イギリス連邦+アメリカの作家による長編小説が対象となるこの賞は厳正な審査が有名で様々な分野から選出された選考委員が多数のロングリスト作品を全部読んで、ショートリストした6作品の中から最終的に受賞作を選ぶ流れとなっているようです。賞金は5万ポンドとなかなか高額で、優れた作品を選ぶというコンセプトから芥川賞や直木賞と違って複数回受賞する作家も存在しています。金次郎は少なくとも以下の受賞作を読んでおり、いずれ劣らぬ面白い作品ばかりですので今後もこの賞は信頼して翻訳が出たらなるべく早めに読みたいと思います。

「日の名残り」(カズオ・イシグロ著 中央公論新社)1989年/「昏き目の暗殺者」(マーガレット・アトウッド著 早川書房)2000年/「パイの物語」(ヤン・マーテル著 竹書房)2002年/「グローバリズム出づる処の殺人者より」(アラヴィンド・アディガ著 文芸春秋)2008年/「七つの殺人に関する簡潔な記録」(マーロン・ジェームス著 早川書房)2015年(本ブログで紹介済み)

珍しいところを簡単に紹介しますと、「パイの物語」は本賞を取ったからか映画化もされています。16歳のインド人少年ピシル・モリトール・パテルが3歳のベンガルトラと7か月以上太平洋を漂流するという奇想天外なストーリーで、何と言っても狭いボートの上でのトラとの共生が生み出す極限の緊張状態がこれまでのサバイバル小説と一線を画していて新鮮です。漂流は第二部で描かれているのですが、一見意味の無さそうな第一部の内容が後になって非常に重要になってくる構造はなかなか手が込んでおり、クライマックスの第三部では人間性の限界が見事に描かれています。

「グローバリズム出づる処の殺人者より」はインド社会の現実と闇を、なんともリアルに描き出している秀作です。語り手の、淡々と皮肉っぽく悟ったような語り口が究極の格差社会の壮絶さを際立たせていて本賞受賞も納得です。気持ち悪いところも有りますが、読み始めたら止まりません。とある人がインド出張中に肥溜めに落ちたという話を思い出してぞっとしました(笑)。

このブッカー賞がお手本にしたというか、真似をしたとされるのがフランスのコンクール賞でフランスの作家による独創的な小説に贈られる賞です。こちらは賞金が10ユーロというのが笑えます。金次郎は、「地図と領土」(ミシェル・ウェルベック著 筑摩書房)2010年(本ブログで紹介済み)「天国でまた会おう」(ピエール・ルメートル著 早川書房)2013年、を読んでおり、どちらも独特の雰囲気の有る作品で印象に残っておりました。「天国で~」は戦争で下顎を失った悲しい男の物語です。

この他にもよく話題になるのはアメリカの報道、写真、小説、音楽など21部門で選出されるピューリッツァー賞かと思います。色々なメディアでこの賞のことを目にする機会が多いのはやはり21部門も有って濫発されているからでしょうか(笑)。電気屋さんなどでよく見かけるグッドデザイン賞が応募数の約30%に授与されるというのを少し思い出しました。ピューリッツァー賞のフィクション部門にはあまり縁が無く、調べた最近の作品では「地下鉄道」(コルソン・ホワイトヘッド著)2017年(本ブログで紹介済み)しか読んでおりませんでした。一方、ノンフィクション部門にはなかなか興味深い作品が多く、「石油の世紀」(ダニエル・ヤーギン著 日本放送出版協会 )1992年(本ブログで紹介済み)、「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド著 草思社 )1998年、「病の皇帝〈ガン〉に挑む 人類4000年の苦闘」(シッダールタ・ムカジー著 早川書房 )2011年(本ブログで紹介済み)「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」(スティーブン・グリーブラッド著 柏書房)2012年と読んでおりました。中でも「一四一七年~」は、馴染みの無い年号が気になって読んだだけだったのですが、古代ローマの詩人ルクレティウスによって紀元前に著され、1000年の行方不明期間を経てブックハンターによってドイツの修道院でたまたま〈発見〉された「物の本質について」が世界に与えた影響を描くという笑えるほど壮大な内容でした。この〈発見〉がその後に起きる宗教改革、ルネッサンス、自然科学の進歩と深く結びついていたと知って、歴史の運命的なつながりはやはり奥が深いと思いました。トマス・ジェファーソンも愛読していたようで、独立宣言の〈幸福の追求を支援~〉の部分はこの本の影響だそうです。

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衝撃タイトル「まだ人を殺していません」で新感覚カタルシスを堪能

突然で恐縮ですが、実はこのところ金次郎夫婦にちょっと辛い出来事が発生しており、家族ファーストということで読書はややお留守となっております。それでもこれまでが読みすぎだっただけで、日本人の平均ぐらいは読んでいるかなと思いますが、しばらくの間少し紹介ペースが落ちたり、ブログの中身のクオリティがやや低下するかもしれない点、ご容赦いただければと思います。詳細には触れませんが、妻が股関節の不調に起因する痛みや全身のしびれ症状に苦しんでおり、もしそういう症状の治療に明るい整形外科医院や整体・鍼灸治療院などご存知の方がいらっしゃいましたら情報を共有いただけますと大変助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。しかし、自分の知識の範囲外のものを全てストレスやメンタルのせいにして片付けようとする反知性主義の整形外科医にはうんざりしますね。

さて、そんな金次郎夫婦が気晴らしも兼ねてはまっているドラマが日テレ日曜夜の「真犯人フラグ」です。秋元康企画のドラマで、家族円満、マイホーム建設中と幸せいっぱいだった相良凌介(西島秀俊)ですが、突然妻真帆(宮沢りえ)と子供二人が謎の失踪を遂げ、その後も長期に亘り行方不明になるという不幸に見舞われる展開で、お定まりの周囲の誰もが疑わしく見えるというパターンの中にも、めまぐるしく攻撃対象を変えるネット世論や陰謀論を語る動画生配信チャンネルなど現代的な要素がかなり盛り込まれていて目が離せません。相良が入りびたるバー「至上の時」は金次郎の未踏地帯である中上健次先生の「地の果て 至上の時」(インスクリプト)に由来すると第一話で明かされ、相良も読書好きであることから、読書うんちくが鏤められる展開を大いに期待しましたが、その後読書ネタはほぼ登場せず、この点は少しがっかりしています。

第七話終了現在、「真犯人フラグ」を立てられてしまった相良以外の全員が怪しい状況ですが、第一話で明らかにこれ以上無い幸せ家族演出で所謂「死亡フラグ」が立った状態となった妻真帆がフラグ通り帰らぬ人となるのか、フラグの常識を覆しハピエンとなるのか、はたまたこれまたドラマで定番の最終話に詰め込み過ぎ、つまらないセミナー後のアンケートのように回収されず残る伏線に納得感ゼロの結末となるのか、過度には期待せずこのまま観続けようと思います。

役者陣では、あのクールで強そうな西島さんがちょっと抜けていてずれている頼りないおっさん相良を好演されているのが目につきますし、若干関西弁は厳しいところもありますが、演技に定評のある芳根京子さんも相良を完璧にサポートするスーパー女子でいい味を出されていますし(今後はどうなるか微妙)、元乃木坂の生駒里奈さんもヤバい人を怪演されていてイメチェン気味でなかなか面白いです。謎のキャラが香里奈さんではないかとの疑惑の審議も気になります。ちなみに、うちの妻は佐野勇斗さんが好みだそうです(笑)。

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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」の大人の事情を考える

突然ですが、Oxford dictionaryが選ぶ2021年のword of the yearはvaxとなりました。名詞の場合の意味はvaccineと同じでそのままワクチン、動詞として使う場合はvaccinateと同じ意味でワクチンを接種する、という感じになります。2020年は様々なcovid-19関連の言葉が使われ過ぎてword of the yearが絞り切れず選べなかったことを考えると、良くも悪くも今年は世界中こぞってワクチン打ってコロナに勝つ!というトレンド一色の年だったということになるでしょうか。ちなみに2019年はグレタさんの影響でclimate emergency、2018年はtoxic、2017年はyouthquakeがそれぞれword of the yearとして選出されていたようです。今年は日本の流行語大賞もワクチンになるかと思いきや、新語でないということで既に発表された30件の候補には入らず、金次郎としてはこのブログで取り上げた〈うっせぇわ〉〈ゴン攻め〉〈副反応〉にぜひ頑張ってもらいたいところです(笑)。余談ですが、中国駐在から帰任された方と本日久々にお会いしお昼をご一緒したのですが、現地でSinovacを2回接種され、帰国後にもファイザーを2回打たれるとのことでブースター越えの4回接種には無敵マリオオーラを感じました(笑)。

さて、無理くり英語のword of the yearを持ち出したのは以下の本の紹介をする前振りです(笑)。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」(ブレイディー・ミカコ著 新潮社)はノンフィクション書大賞を取って売れまくった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(同)の続編です。金次郎は、以前このブログでも紹介した通り「ぼくイエ1」を大いに感動しながら読み終えたので、発売直後からずっとランキング上位を維持しているこの続編も非常に楽しみにしておりました。

ところがいざ読了してみると、例の続編はオリジナルを越えられないの法則以上の違和感が残り、このやるせなさはどこから来るものかとちょっと悩んで考えざるを得ない気分となりました。相変わらず元底辺中学における日本と違う教育システムの仕組みは非常に興味深いですし、ミカコ先生のエスプリや音楽うんちくも健在ですし、我が故郷の福岡ネタも盛り込まれていますし、アイルランド系トラック野郎の配偶者の方はじじいなのに鉄板にファンキーですし、そのあたりには不満は全く有りません。そして何より日本より圧倒的に多様なイギリス社会において、そういう社会で避けられない人種や階級や主義信条の違いによって生じる複雑な問題を思いもよらない柔軟なメタ視点で乗り越えていく息子くんの成長ぶりが、遠からず訪れる親離れの予感を頼もしくも淋しく受け入れようとしているかぁちゃんの目線で愛情いっぱいに描かれていてこれは感動無しには読めません。

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金次郎、COPについての恥ずかしい無知をあえて告白

非常に恥ずかしいことを告白しますが、世の中の流れで徐々に仕事での環境関連の会話が増えてきているにも関わらず、金次郎はこともあろうに正式名称を知らぬまま流行に呑まれCOPという略語を思考停止で使い続けておりました。グラスゴーでのCOP26は期待外れの内容で終わってしまいましたが、このままではいけないと日本語では気候変動枠組み条約締約国会議となるCOPが何の略なのかうんうん唸って考えてみました。当然気候が入っているので最初のCはClimateではないかと考えるもOPがどうにも分かりません。Oceanかな、Planetかな、などとモスバーガー的なイメージをしてみるもしっくりこず、OはともかくPは排出〈禁止〉でProhibition?、二酸化炭素が〈充満〉するからPervasion?、〈周期〉的に会議するからPeriod?とか無知なりに悩んでみたものの、結局力尽きあえ無く考えるのを断念してググることに。すると驚いたことに、なんと正解はConference Of the Parties!え?!ちょっと待ってよ、気候も変動も枠組みも条約も入ってないじゃないですか!あまりにも一般的かつシンプルな表現にかなり肩透かしな気分となりましたが、普通に辞書的に訳すと目的や行動を共にする団体の会議、ということで、そんなことなら結構様々な会議が全部COPとなってしまうのでは。。。町内会の集まりもCOP、部活の会議もCOP(笑)。どうやら、ある条約を批准した当事者(国)が参加する会議を一般的にCOPと呼ぶようで、例えば生物多様性条約締約国会議もCOP+回数で記載するのが慣わしだそうです。でも、このthe Partiesを締約国とは到底訳す自信は無く、英語って難しいなとつくづく思いました。ちなみに金融界でCOPというとコロンビアペソのことになります(笑)。

他にも、ATMがAutomated Teller Machine、USBがUniversal Serial Bus(busがそもそもomnibusの略)、PDFがPortable Document Format、MOTHERSがMarket Of The High-growth and EmeRging Stocks(かなりこじつけ)、LaserがLight Amplification by stimulated Emission of Radiationなど結構正式名称を知らない略語が多いなと反省です。こちらは日本語の略語ですが、食パンは主食用パン、教科書は教科用図書、経済は経世済民、合コンは合同コンパでそのコンパはcompany(交際)が縮まったものなど結構無意識に使っているものがかなり略されていて驚きます。確かにパンは基本食べるのでよく考えるとわざわざ〈食〉を前に付けるのは変ですね。また、ピアノはクラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(強い音や弱い音を出せるチェンバロ)の略とのことで、え?ピアノってチェンバロなの??、とかなり困惑いたしました。まだまだ知らないこと多数で道のりは険しい。

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金次郎、「アジアの隼」(黒木亮著)を読み出張意欲を掻き立てられる

在宅勤務が長期間続いてずっと家に閉じこもっていることが多かった時期に、少しでも外の空気を感じたいと、妻に〈屋外〉扱いされ、薄汚れるにまかせていた自宅マンションのベランダを少しずつきれいに掃除し、快適空間となったベランダで読書をするベランダ活動(ベラ活)が小さなマイブームとなっておりました。主に、ベランダの手すり、プランターが置ける仕様となっている外壁の天板、外壁の内側、ベランダを取り囲む壁のタイル部分、掃き出し窓のガラス部分などを雑巾でごしごし拭くだけなのですが、中央区は一般道の交通量も多く、近くを高速道路が走っていることもあって、気を抜くとすぐにPM2.5的な汚れが積もって黒ずんでざらざらした感じになり不快ですので、週2回程度は活動するようにしていました。掃除あるあるで、活動しているうちにどんどんきれいにしたい場所が増え、ベランダの床部分、排水溝、ベランダ排水用のパイプ、非常脱出用の避難梯子のカバー部分もきれいにし、積年の汚れにまみれたエアコン室外機も少しは触れてもいいと思えるぐらいの状態まで持っていくことができました。

そして最後に残ったのが、室外機の向こう側のちょっと人が入り込みづらい空間のタイル部分で、風通しも悪く、日光も当たらず薄暗い場所で、そもそもそこでは絶対に活動しないために全く気が進みませんでしたが、コンプリート欲に負け、意を決して先週末に掃除に着手いたしました。長期間さぼってきたために廃屋のような頑固な汚れがこびりついており、なかなか大変な作業でしたが、どうにかあと1回死ぬ気でやれば妻の機嫌を損ねた際に室外機の陰に隠れられる程度の状態にはなったのでしめしめと思い満足して部屋に戻りました。しかし、その満足感も束の間、なんとなく違和感が有るなと思ったら、もう11月になっているというのに、なんと、今年初めて蚊(あるいはブヨ)に手首をしっかりと刺され激しいかゆみに襲われ苦しむ事態となってしまいました。いったいいつからこの数年掃除をしていないベランダの日陰に潜んで金次郎の気まぐれを待っていたのかとその執念に感服する一方、更に刺されることを恐れるあまりベラ活に躊躇するようになってしまい、かと言って殺虫剤はベランダがベトベトに汚れてしまうので撒きたくない、というジレンマにがんじがらめとなり、せっかくのマイブームに水を差される残念な結果となってしまいました。このままではいけないと、先ずはこの苦しみをプラスに転じるべく、そう言えばということで最近ネットで話題となっていた虫刺され治療法を試してみることにしました。皆さんは既にご存知なのかもしれませんが、その方法とは、ドライヤーでの熱風による解毒治療!清澄庭園の近辺でブヨにやられた妻も試して効果が有ったとしきりに薦めてきますので、その非科学的さに半信半疑な上に何となく熱で炎症になって化膿してしまうリスクが思い浮かび躊躇したものの、最悪ブログのネタになるからいいやと思い切り、サロン仕様の強力ドライヤーの最強風力で患部を繰り返し激しく加熱しました。明らかにかゆい方がマシなのではと心から思うほどの異常な熱さに数秒耐えるのが限界で、アチー!という絶叫を何度も響かせた挙句放心状態でドライヤーをオフにすると、あら不思議、それまで猛烈にイライラさせられていたかゆみを全く感じません。試しにチョイチョイと刺激を与えてみてもかゆみが復活することはなく、N数たったの2ではありますが、アレルギー反応を引き起こす蚊の毒素が43℃以上で分解するという眉唾ネット情報は金次郎夫妻による人体実験において100%実証されました。良い子は危険なので真似してはいけませんが、大人の方は、あくまで慎重に、一度トライされることをお薦めいたします。でも、こんな時期に蚊に刺される間抜けは金次郎ぐらいでしょうから、皆さんが試されるのは来年ですね(苦笑)。

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金次郎、谷崎潤一郎先生の代表作「細雪」を読了

9月までのかなり長い間ほとんど在宅勤務をしていたのに、先週は突然4日も出社してしまい非常に疲労困憊した一週間でした。一方で引きこもり在宅勤務の副作用で49年の人生で最も口下手な状態に陥っていたものが、客先訪問での営業トークやオフィスでのコーヒーを飲みながらのちょっとした雑談を通じて中学時代レベルまで回復してきた実感が有り、少しほっとしました。これからもリハビリを頑張って、見ず知らずの人たちで満員のエレベーターに笑いの渦を起こしたり、喫茶店での友人との会話で笑いの総数がやけに多いと思っていたら喫茶店のマスターがカウンターの向こうに隠れてげらげら笑っていたりした、かつての実力を何とか取り戻したいと思います。職業不詳ですね(笑)。

前回のブログでは「はしご」のダーローダンダン麺を食べたパターンを紹介しましたが、出社の一つの楽しみは客先訪問のついでにいつもと違うランチを味わえる点かと思います。先日も、珍しく青山エリアを訪問し面談を終えた後お昼時となり(決して意図的ではございません)、ずっと行かなければならないと思っていた念願の「とんかつ七井戸」に伺うことができました。ここは金次郎の勝負店である「焼鳥今井」の今井さんが自らとんかつを揚げているお店で、当然の如くチキンカツが評判となっているお店です。しかし当日は、あの素材にこだわり抜く今井さんが選んだ豚肉とはどういうものかとの期待から、やや高価ではあったものの、これまで外食せずに貯め込んでいたお小遣いをはたいて一番値の張る特製ロースカツ定食的なものを注文しました(メニュー名を忘れてしまいました、すみません)。今井さんとの久々の会話で旧交を温めつつ待ちに待った後、出来上がったロースカツにソースをかけずお塩のみでいただきましたが、脂身の有り得ないほどさわやかな味わいとコク、ジューシーで柔らかく、かつクセの無い肉の旨味が素晴らしいさすがの逸品でした。悲しいことに霜降りのような脂身の多い肉をたくさんは食べられなくなってしまった中年の金次郎なのですが、全く胃もたれすることなく夕食もきちんと食べられたという若返ったかのような体験で大満足なランチとなりました。ちなみに、別の物を注文した後輩に端切れカツを食べさせたところ、自分が注文したカツも相当旨いと思ったが、わずかな端切れ肉を食べただけにもかかわらずその上を行く旨さと感嘆しておりました。

とんかつと言えば、湯島の「蘭亭ぽん多」や秋葉原の「丸五」がお気に入りでしたが、これらの名店に勝るとも劣らないクオリティで、今後青山・外苑前方面の顧客を重点的に開拓すべくビジネス戦略の修正を検討しようと一瞬血迷いそうになるほど美味しいお店ですので、ちょっと並ぶリスクは有りますが皆さん是非一度お試しいただければと思います。殆ど関係有りませんが、ちょうど読み終わった「カラ売り屋、日本上陸」(黒木亮著 KADOKAWA)の主役であるカラ売りファンドのパンゲア&カンパニーの事務所が「とんかつ七井戸」や「焼鳥今井」と同じ渋谷区神宮前でちょっとシンクロ感有りました。勿論この本はこの本で、今ひとつよく分かっていなかった借株からのカラ売りの仕組みやコストなどがクリアに理解でき、株価操作のパターンのイメージも湧いたので、なかなか興味深い内容でおすすめです。

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会社の先輩に薦められ、有名作「冷静と情熱のあいだ」を読む

緊急事態宣言も解除となり、東京都のリバウンド防止措置期間も終了したことで、出社率上限が撤廃されたことを受け、今週からそこそこ会社に行くようにしております。そして、スーパー久しぶりにお客様とリアル面談をしたのですが、面談が終わったタイミングがちょうどランチタイムでしたのでその近所の名店「はしご(入船店)」で超久々にダーローダンダン麺を食べ心の底から感動しました。二日酔い時にこそ最強に旨いと感じる中毒性抜群のラーメンですので前日お酒を飲まなかったことをやや後悔したものの、それでも十分ダンダン麺は美味でした。そして、「はしご」の密かな楽しみである黄色い漬物も健在で、白ご飯が黄色ご飯になるほど山のようにご飯に載せて堪能することができました。ただの千切り沢庵だと思うものの、49年の人生であれ以上の飯の友に出会ったことが無いのできっと何か中国四千年の秘密が隠されているのだろうと勘ぐっております。オフィスに戻った後も興奮冷めやらず、「はしご」に行って黄色い漬物を山のように食べたと複数人に自慢し全員から羨ましがられるフィーバー状態となり、若干仕事への集中力が削がれたことは否めません。すみません。コロナが永遠に落ち着いて、全てのサラリーパーソンが愛する「はしご」のダンダン麺と黄色い漬物をいつでも食べられる平和な世の中がずっと続いてくれることを心から祈った一日でした。

前回のブログで長期間離れ離れだった男女が久々に再会するというホットな内容について書き、「流沙」と「マチネの終わりに」をそういうストーリーの小説として紹介しました。すると、そのブログを読んで下さった会社の先輩から「冷静と情熱のあいだ」もそんなお話だよと薦めていただいたので、早速週末に一気に読みました。本作は人気作家二人の合作で交互に1章ずつ連載されたものを単行本二冊にまとめたという珍しい構成となっていて、男性(阿形順正)目線で描かれた「冷静と情熱のあいだ Blu」(辻仁成著 KADOKAWA)と女性(あおい)目線の「~ Rosso」(江國香織著 同)が対になっており、どちらから読むかで印象が変わるというなかなか凝った作りの恋愛小説です。

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長い間離れていた二人は幸福になれるのか、小説に例を探してみる

最近あのお二人が話題ですが、婚約中とはいえ、3年2ヵ月も会っていないのにいきなり結婚してしまうという荒業が可能なのだろうか、とどうしても思ってしまう今日この頃です(笑)。3年といえば、中学生は高校生になり、大学新入生が上手くいけば就職が決まってしまうほどの期間ですし、企業では中期経営計画の期間として一般的で、何が言いたいかというと、だいたい物事に一区切りを付けて次の新たな展開に進んでいこう、というぐらいの長さなわけです。そんな長い間、リモートでのコミュニケーションはあったにしろ全く直接会うことなく、ちゃんと関係が維持できて上手くいく話なんてご都合主義の小説でも滅多にお目にかかれないような・・・、と思いつつ記憶を掘り起こしてみました。

時間的空間的遠距離恋愛小説として真っ先に思いつくのが、「流沙」(井上靖著 文芸春秋)です。西ドイツのボンで暮らす考古学者とパリを拠点にしているピアニストが出会って直ぐに結婚を決めるものの、若さというか未熟さゆえに、あっという間に問題が発生し、お互い海外在住ということもあり、2年半も離れ離れで暮らした後破綻寸前までこじれるものの、どういう訳かインドというかパキスタンのモヘンジョ・ダロ遺跡(インダス文明!)で奇跡的に復縁するというお話です。全体的なストーリーの雰囲気がお二人の図式と似ていると思ってしまうのは金次郎だけでしょうか。気になったので、最後のところだけ読み返してみると、エピローグ的に終章として書き込まれている恋愛を終わらせた別の登場人物女性の手紙が非常に印象的でした。その手紙の中ではちょっとネガティブな意味で〈凍れる愛〉というドキりとする表現が使われていましたが、お二人は3年前にフリーズドライして保存してきた(?)愛情をうまく溶かしてホカホカにしていただければ良いな、と思いました(意味不明)。

次に思いつくのは、なんと足掛け6年で3回しか会えなかった二人の悲しい大人の恋を描いた「マチネの終わりに」(平野啓一郎著 文芸春秋)ですね。最近映画化もされましたのでご存知の方も多いかと思います。主役は男性が天才クラシックギタリスト、女性がPTSDを抱えるジャーナリストということで共通点があるような無いようなですが、王子と王女のラブストーリーという感じでは全くなく、なんとももどかしい上にドロドロの展開も入り込んでくることに加え、必ずしも誰もが認めるハピエンというわけではないのでやはり参考文献としてはやや不適切かなとも感じました。しかし、奇しくもラストシーンはニューヨークとなっておりやっぱりちょっと奇遇かも。二作ともボリューミーではありますが面白いお話なので、今回の騒動を機に、長い間会えない二人の恋愛模様というテーマで秋の夜長に読書してみるのも一興かと思います。

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金次郎、シャインマスカットを食べつつドイツ現代史を学ぶ

今週は無事に年に一度の人間ドックを終え、コロナ禍においても体重微減、腹囲やや圧縮、悪玉コレステロール少し低下と最低レベルはクリアした結果で胸をなでおろしました。約20年前のシンガポール駐在時の美食がたたり、いつまでも脂肪肝が治らないのがノドに刺さったトゲとなっており、肝硬変などに悪化せぬようこの一年は牛豚を中心に食材から肉類を減らすと妻に宣言され、せっかく今半精肉店の近くに住んでいるのにと悲しい気分となりました。とは言え、スイーツ制限を全うしたことへのごほうびとして値段にこだわらず好きな食べものを買ってよしとのゴーサインが出ましたので、サモハン・キンポー(古い)ぐらい目玉が飛び出るほど高額のシャインマスカットを清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入いたしました@日本橋三越。

ご存知の通り一般にマスカットと呼ばれるぶどうの女王マスカット・オブ・アレキサンドリアとアメリカ栽培種のスチューベンを交配させたものに更に白南を混ぜてできあがったシャインマスカットは甘さと香りが素晴らしい人気ぶどう品種ですが、お高いイメージを裏切らぬ高額ぶりに売り場でビビって、店員さんに「その隣のやつでいいです・・・」とワンランクダウン(笑)。この高価格には、1.2006年に登録されたばかりの品種で相対的に栽培農家が少なく供給量が多くない、2.種なしにするためのジベレリン処理が他品種より大変で生産コストが高い、という背景があるようです。中でも岡山産は安定した気候がこの品種に好適なため皮が薄くエグ味も少ない出来栄えとなるようで、山梨産や長野産が高地での栽培となり気温の変化から若干皮が厚めとなる傾向のため、これらと比較してやや高値で取引されているようです。シャインマスカットは皮まで食べても美味しいのが利点ということで、気合でこれ以上のレベルダウンには踏みとどまり岡山産を購入いたしました。また、種がなく食べやすいのも無精者の金次郎には大きな魅力であるシャインマスカットですが、そもそもデラウェアに代表される種なしぶどうはそういう品種だと思い込んでいて、ぶどう農家の皆さんが植物ホルモンであるジベレリンを使って一房一房丁寧に処理して下さっていることを恥ずかしながら初めて知った金次郎は、非常に情けない気分となった一方で、舞台から飛び降りる値段を支払ったことで少しでもその手間暇に報いることができれば良いなと感じた次第です。

ただ、シャインマスカットのラグジュアリーなイメージに反し、高額ぶどうランキングではなんと第三位ということで、上には上が有るようです。気になる第二位はシャインマスカットの親品種であるマスカット・オブ・アレキサンドリアでジベレリン処理ができず種なしにならない不利にも関わらず、日本での生産が気候の関係で難しいことから、需給バランスが反映されて高額で取引されているようです。勿論、麝香(=ムスク)のような芳香と満足感の高い甘さはお値段に見合うクオリティであることは間違い無しです。とは言ったものの、金次郎が紀元前から続く由緒正しい本物のマスカット・オブ・アレキサンドリアを食したことが有るのかについては甚だ疑問ではありますが(笑)。

そして、栄えある高級ぶどう第一位は石川県の戦略商品となっていて、初セリ価格が今年は一房140万円(!)を付けたルビーロマンという品種です。ほとんどマグロの世界ですね。一房が約400グラム、中には一粒が30グラムを超えるものもあるそうで、巨大なのに味は繊細という魅力的な品種のようです。こちらも2007年登録と歴史が浅く流通量も少ないため、通常時でも一房1万円以上を支払う覚悟をしても入手が容易でないとのことで、そこまで言われるといつかどうしても食べてみたいと中年の夢が一つ増えました(笑)。

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