金次郎、ワクチン副反応に苦しみつつ「白鳥とコウモリ」(東野圭吾著)を読む

実に成人の75%が37.5℃以上の発熱をするとされる恐怖のモデルナワクチン2回目接種がとうとうやってきました。このブログでも書きましたが、7月1日に受けた1回目接種で早くも副反応の洗礼を受けた金次郎は戦々恐々としつつ当日とぼとぼと会社に向かいました。会社では、既に2回目接種後副反応が出た同僚の話がちらほら聞かれ、そうしている間にも近くに座っていた前日接種を受けた後輩が悪寒を発症するなど緊迫感は高まります。自分は副反応体質と諦めて翌日は休暇を取得しつつも25%の確率に望みをつないで7月29日(木)14時45分に無事接種を完了しました。

前回は接種後に若干運動してしまったのがまずかったかと今回は運動も控え、腕の腫れもたいしたことなく、当日は何事も無く、選ばれし25%に入ったかと期待しつつ普通に9時頃就寝いたしました。しかし、翌朝5時頃目覚めてみると、残念ながら身体の背中側というか後ろ半分に認めざるを得ない違和感を確認し、確率はウソをつかないと思い知り絶望的な気分になりました。その後の経過は以下の通りです。今後2回目を受けられる方の心の準備に役立てばと思います。

7月30日(金)午前7時(接種後約16時間):体温は37.4℃。まだ辛いというほどではないものの身体の後ろ半分に痛み有り、軽い全身倦怠感。若干の食欲減退で朝食はいつもの半分程度しか食べられず。

午前10時(接種後約19時間):体温は38.3℃。体温の上昇が始まり、背中、腰、ふくらはぎの痛みが悪化、頭はまだ働いておりぎりぎり読書は可能な状況。血迷って「白鳥とコウモリ」(東野圭吾著 幻冬舎)を読み始める。ポカリやOS-1を飲むために起き上がるのも一苦労。

午後0時(接種後約21時間):体温は38.2℃。昼食は全く取れず、とにかく全身倦怠感と痛みがピークの辛さ。さすがに読書はもう無理でひたすら横になっている状態が継続。何より眠れないのが辛く、当然寝ている間にいつの間にか回復する、という奇跡は起こらず。ダンゴ虫のように丸まって耐える。

午後4時(接種後約25時間):体温は38.7℃。少し発汗し一瞬楽になったと思い喜んで体温を測ったところこの最高体温を見て唖然とする。その後身体が急激に重くなり全く力が入らずダウン。しかるべき筋で言われている接種後24時間がピークという情報を実感する時間帯。

午後6時(接種後約27時間):体温は38.7℃。まだ身体がだるく起き上がるのも厳しい状況。うっすら聞こえる6時のNHKニュースがいつまでも終わらない、時間が経過しないもやもやする感覚。インフルエンザ感染の際に時間の流れが遅く感じるのと同じ症状で脈拍が速くなることと関係していると思われる。NHKニュース7が始まったところで意識が途切れる。

午後10時(接種後約31時間):体温は37.4℃。午後7時頃からようやくまとまった睡眠が取れ、起きてみると身体がかなり楽になっていて非常に嬉しい。急激な回復と同時にワクチン接種完了による強い達成感と万能感有り。30分おきに体温は37.1℃、36.9℃、36.6℃とみるみる低下。調子に乗って12時まで読書した後就寝。翌朝起きた段階ではほぼ完治しており万能感継続。

普通の病気と違う点は、終わりがはっきり見えているところで、精神力の弱い金次郎もそういう状況なら頑張れることを実感しました。ブログでありのままの症状を紹介するためにあえて解熱剤を服用しなかった金次郎は真面目なのかアホなのか。。。ちなみに妻はまさに金次郎が苦しんでいるその日にファイザーの2回目接種を完了し、しっかり翌日に自身初の副反応を経験していました。体温は38.3℃程度まで上がったようですが、我が家ではモデルナの方が副反応は重篤という結果となりました。

さて「白鳥とコウモリ」について。なぜ俺の最高傑作を朦朧としながら読むのか、と東野先生に怒られそうですが、逆に身体は辛いのに読まずにはいられない作品だったとも言えるかと思います。正直、最初の100ページほどは、もしかしてこの本つまらない?という疑念が浮かんでは消えする動きの無い展開でややドキドキしましたが、中盤からは小さな疑念が物語を大きく動かす驚きもあり、恋愛的要素も小出しにしつつ、多くは語れず残念ですが性格の違う様々などんでん返しが組み合わさって結末のカタルシスを演出しており、著者が今後の目標はこの作品を越えること、と言うだけのことはある充実した内容となっております。

全ての謎のきっかけとなる人権派弁護士殺害事件の現場がいつも散歩をしている隅田川テラスでイメージが湧きまくり、ポイントとなる居酒屋がこれまた近所の門前仲町ということで、人形町が舞台の「新参者シリーズ」、水天宮前のロイヤルパークホテルが舞台の「マスカレード・ホテル」シリーズ同様東野作品は人形町在住の金次郎にとって5割増しぐらいのプレミアム感で楽しめます。隅田川テラスや人形町商店街で大先生とすれ違っている可能性を考えたりしてかなり興奮しました。

時には名作を読まなければと「二都物語」(チャールズ・ディケンズ著 光文社 )に挑戦してみました。18世紀末のロンドン・パリを舞台にした歴史小説で、フランス革命時の民衆の異常な熱狂が感じられて興味深いです。謎の主人公シドニーが何故そこまでルーシーを愛するようになったのかについては若干判然としない部分もありますが、物語の筋がよく練られていて演劇的な盛り上げ方の妙が印象的な作品でした。ちょっとだけ「風邪と共に去りぬ」や「罪と罰」的な雰囲気を感じましたが、時系列としてはそれら作品が影響を受けた方ということですね。

もう一冊、「スイッチ 悪意の実験」(潮谷験著 講談社)も読了しました。スマホ上のスイッチを押せば無関係な家族の生活を崩壊させられるという設定で、そんなスイッチを押させる無差別殺人的な〈純粋な悪〉の存在という視点に立ち苦悩する中で、様々な悩みを抱える登場人物たちが人生についての示唆を得て行く、ミステリーの枠を越えた意外と深い作品でおすすめです。スイッチを押しても押さなくてもバイト代は支払われるというルールになっていて、そんなの悪だろうが何だろうが押すわけないじゃんと思うわけですが。。。後半は宗教とかも絡んできてなかなかハードな展開となりますので乞うご期待です。

先週は他にも直木賞候補になった「高瀬庄左衛門御留書」(砂原浩太郎著 講談社)を読んで、主人公の地味過ぎる中年下級武士と自分を重ねてみたり、「さるのこしかけ」(さくらももこ著 集英社)を読んで本当に惜しい才能を亡くしたと落胆したり、色々な読書を楽しんだ週でした。今回新井賞の発表が無くて読書界が悲しんでいますが、さくら先生とカリスマ書店員&踊り子である新井見枝香さんのイメージが少し被ります。


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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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