金次郎、「破天荒」(高杉良著)を読み破天荒なレジェンドについて回想する

金次郎は入社以来化学品業界でお世話になっておりますが、石油化学新聞記者から経済小説の大家となった高杉良先生の自伝的小説である「破天荒」(新潮社)を読み、日本の石油化学産業の勃興期の雰囲気を感じなんだか嬉しくなりました。本名の杉田亮平として実際に書かれた署名記事の引用などを通じて臨場感いっぱいに描かれる日本合成ゴムの工場建設から民営化までの流れは、現在の業界地図との対比という視点で読むと業界構造の大きな変化に改めて驚かされますし、エチレン不況カルテルのスクープ記事に関する様々な反応の生々しい描写からは当時の石化産業の苦境が伺えると同時に、これも現在との比較において官民の関係の変容に改めて思いを致す契機ともなりました。エチレン不況カルテルといえば、金次郎が入社した当時にもその残滓のようなものが存在していたな、と思い出して懐かしくなる一方で、自分も随分長くこの業界にいるものだ、となかなかに感慨深いものが有りました。また、これまで「炎の経営者」(文芸春秋)などの高杉作品を読んで感じていた小説的でないジャーナリスティックな文体のルーツを垣間見ることができた読書体験だったとも言えると思います。

一瞬ご自身のことを破天荒と言ってしまうセンスは若干どうなのだろうか、と感じる一方で、金次郎が社会人となった約30年前ですらこの業界には社内外問わず破天荒な方がたくさんいらっしゃったことを思い出し、いわんや高杉先生は更に一世代前の方ですので、このタイトルにも納得した次第です。噂で聞いたものも含めですが、若かりし頃の金次郎の記憶に鮮烈に残っている破天荒例を挙げますと、会社の給湯室でママレモン(最近あまり見ないキッチン洗剤)で颯爽と洗髪される方、朝まで飲んで出社後すぐにトイレの個室に入って寝たら便座にお尻がはまって抜けなくなった方、「あれがあれでそれがなにして」と指示代名詞的な言葉でほぼ会話を成立させる強者、その後大変なことになるとも知らずに酔っぱらって反社の方の家の立派な外壁に立ち小便をしてしまう豪傑、交通事故に遭われ顔面を負傷された際にさる有名俳優の写真を示し、「この顔に戻してほしい」とピンチをチャンスに変えようとされた胆力の持ち主など枚挙にいとまが有りません。そんな雲の上の先輩方の中でも、特に印象に残っている極めつけは、何と言っても飲み会の芸でガラスのコップを食べる技を披露される超人の方の話です。いや本当に、こういうレジェンドに思いを馳せると、常識や世間体に縛られている自分の人間の小ささがいたたまれなくなりますが、どうにか頑張って定年までにできる限り後輩たちの心に何らかの爪痕を遺さねば、と決意を新たにいたしました(笑)。

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金次郎、万人受けは有り得ない「法医昆虫学捜査官」シリーズにはまる

金次郎の中学校の同級生で同じ陸上部に所属していた友人のS君(あだ名はブーヤン)が中学卒業と同時にお相撲さんになりました。そんな進路が有るのかと当時とても驚いたのを覚えていますが、そういうことが大好きだった母と共に新聞の地元力士の星取表を見たり、時にはテレビ観戦で声援を送ったりと、他人にあまり興味が無かった自分としては珍しく気にして応援したりしておりました。しかし、残念ながら彼は関取にはなれず20代前半で惜しくも引退されたのですが、入門以来ずっと場所の度に番付表を、そして年末には大相撲カレンダーをかれこれ30年以上律義に送り続けてくれていました。いつも宛名も手書きで丁寧に書いてくれていて、相撲界の背負っている伝統もさることながら彼の真面目な人となりを想い、その間一度も会いに行っていない自分の不義理を反省しきりでした。すると最近になって、彼の所属していた部屋の師匠である尾車親方(元大関琴風)が65歳の定年を迎えられるにあたり、番付表とカレンダーの送付は初場所で最後となる旨のこれまた丁寧な手書きの封書をいただき、遂に何もお返しすることができなかった後悔と合わせ、卒業間近の3月に我が中学校まではるばる彼を迎えにきた尾車親方の大きさと迫力が鮮やかに思い出され、万感胸に迫るものが有りました。人生の残り時間が潤沢というわけでもない年になってきましたので、こういう後悔をしないようにどんどん思い立って果たすべき義理を全うしたり、伝えきれていない感謝の思いを伝えたりしなければな、と感じた出来事でございました。S君、いやブーヤン、長い間どうもありがとうございました。

最近売れている本に「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」(福井県立図書館 講談社)というものが有りまして、福井県立図書館の司書さんが実際にレファレンスで遭遇した笑えるタイトルの覚え違いを一冊にまとめた内容となっています。有り得ないようなものも含まれてはいますが、確かにそれは間違えるかも、と思える納得感の高いものも多くなかなか楽しめました。例えば、ドラマにもなった「下町ロケット」を「下町のロボット」と間違えていたり、朝井先生の出世作である「霧島、部活やめるってよ」を「おい霧島、お前部活やめるのか」と空気の読めない先輩ふうのタイトルで探してみたりと本当に人間の記憶というのは不確かなものだなと思いました(笑)。中でも印象に残ったのは、コンマリ先生の大ベストセラーである「人生がときめく片づけの魔法」を、特に具体的には何も生み出さなそうな無意味タイトルの「人生が片づくときめきの魔法」と間違っていた例と、敗戦後の日本人を描いた名著であるジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」を「大木を抱きしめて」と環境保護活動家を意味するtree huggers的な感じに間違っていた例ですかね。ボリュームも少な目で一瞬で読めるのでご興味の有る方はぜひ。

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いよいよ本屋大賞2022ノミネート作品発表!

相変わらず書くことが浮かばず、前回のブログではややネタを大盤振る舞いし過ぎたと後悔したりもしていますが、金次郎さん本当にトラックにひかれたの?、うちの息子もやんちゃですが金次郎さんの幼少期は相当ヤバい、などの反響をいただき、トラウマ1も2もそれなりに楽しんでいただけた様子ですので、全力投球してやっぱり良かったと思い直しております。

人生を振り返ると、金次郎は眼に疾患が有り、小さい頃から眼科にはずっとお世話になっていて、あまり楽しい話は無いですが眼科での場面の記憶は結構断片的に思い出されることが多いです。眼底検査のために散瞳効果の有る目薬を差すと半日ほど視界がぼやけて読書ができなくなりますが、小学生の金次郎はそのことでいつも泣きわめいておりましたし(不思議と祖母の老眼鏡をかけるとちょっと見えるようになるw)、ヤバ少年金次郎は長い待ち時間に全く耐えきれず毎回病院の周囲を徘徊しまくりで、とにかくいつも母親に迷惑をかけ通しだったことに今更ながら反省しております。恩返ししたくなった時には母は亡し、ですが(涙)。

最近も眼圧がやや高くなってしまいわりと頻繁に大学病院に通院しておりますが、いつも気になるのがお決まりの眼圧計測の検査です。皆さんも眼科検診などでご経験が有るかと思いますが、目玉にプシュっと空気を当てて眼圧を測定するあれですね。時々ちゃんと目玉に当たっていない気もするし、結構まつ毛でエアがブロックされているようにも感じるし、どうしてあんなやり方で測れるのだろうといつも不思議に思っていたのに調べていない自分を恥じ、この機会に確認いたしました。仮説としてはあのプシュっという空気が目玉に当たって跳ね返ってくるまでの時間を基に跳ね返す力として眼圧を計測しているのではないかと考えましたが、結果はなんと、あのプシュっという空気を当てることで目玉を変形させ、その変形度合いによって眼の中の圧力を推定しているとのことで、若干アナログな印象と共に直接的でない計測法に大丈夫なのか?という気分になりました。やはりこの非接触型測定法では誤差が大きいそうで、確かにその後診察室で先生に直接目玉に器具を当てて(ゴールドマン眼圧計というそうです)測定していただくことが多いなと思い出しなるほどと思いました。経験的にはゴールドマンの方が2mmhg程度数値が低く出る気がします。眼圧の話をもう少し引っ張りますと、眼圧を下げる目的で、ルミガンという点眼薬が処方されるのですが、この目薬は副作用としてまつ毛をつけまギャルのようにバサバサにしてくれる効果がございます(笑)。日本では当然治療薬として医師の処方が無いと買えず、保険がきかないとかなり高価になる代物なのですが、海外では簡単にドラッグストア等で購入可能な国が有り、そこから大量に仕入れてまつ育にいそしんでいる方もいらっしゃるようです。一説には頭髪にも効くとの話も有り、自分のまつ毛が実際にバサバサになった経験から確実に頭髪にもイケる気がしますので、そういう方への横流し懸念からか、調剤薬局では割と細かくどれだけ使っているかや前回の処方からの期間と今回処方された薬量の整合性などを問いただされ、やましくないのに悪いことをしている気持ちになります。それと同時にすっかり薄毛になった父の頭に塗布してみようかな、といういたずら心も芽生えます(笑)。点眼薬の話となりましたが、①複数の目薬を使う場合は5分以上間隔を空ける、②目薬が鼻の方に抜けないよう点眼後はしっかりと目頭を押さえる、③点眼後にまばたきをするとやはり薬剤が流れてしまうので、まばたきはせずじっと目をつぶっておく、が効果的なやり方だそうです。眼科通いのプロからの豆知識でした。

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金次郎、新年早々箱根駅伝も見ずに自転車レースにはまる

少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。年末年始は妻の股関節痛のため帰省や親戚への挨拶はおろか、ほぼどこにも行かずデリバリー食材を活用しての引きこもり生活となり、徹底的に家でのんびりした結果、旧年中の疲れも抜けてなかなか良い休息となりました。そんな年末にラストスパートできたこともあって、2021年の読了数は381冊と昨年に続き自己最高を更新いたしました。ただ、今後は出社頻度や会食、もしかしたら出張も増えるやもしれず、次の自己記録更新は退職後になりそうです。でもそんなに先じゃないのが怖い。

さて、昨年末に王様のブランチBOOK大賞が発表となり、2021年はこのブログでも紹介したミステリー「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成著 KADOKAWA)がその栄誉に輝きました。以下に並べた通り、毎回ブランチBOOK大賞受賞作は本屋大賞レースでも上位に食い込む一方(ここ10年で大賞4回、トップ3以上8回)、ミステリー作品はファン層がやや限定されるためか前評判は高くともトップ3に入らないケースも多く、まだ本屋大賞ノミネート作品発表前ですが「六人の嘘つきな大学生」を何位にするか早くも予想に悩み始めております(笑)。

2011年 「マザーズ」(金原ひとみ著 新潮社)→本屋大賞選外

2012年 「楽園のカンヴァス」(原田マハ著 新潮社)→同3位

2013年 「昨夜のカレー、明日のパン」(木皿泉著 河出書房新社)→同2位

2014年 「かたづの!」(中島京子著 集英社)→同選外

2015年 「羊と鋼の森」(宮下奈都著 文藝春秋)→同大賞

2016年 「みかづき」(森絵都著 集英社)→同2位 

2017年 「かがみの孤城」(辻村深月著 ポプラ社)→同大賞

2018年 「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ著 文芸春秋)→同大賞

2019年 「線は、僕を描く」(砥上裕将著 講談社)→同3位

2020年 「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ著 中央公論新社)→同大賞

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【アフター4読書二周年】今年の人気記事ランキング発表!

先日会社の若者から、前半のよもやま話の引き出しが多くて驚きます、とお褒めの言葉をいただきました。読めばそれなりに書ける本の紹介と違って、よもやま話は自分の中に有るもののうちからネタを絞り出して書かねばならず、この作業は自分の薄っぺらさと向き合うことを余儀なくされるので、内容の緩さにそぐわぬ必死の形相になりながら毎回どうにかこうにか紙面を埋めており(涙)、これまでも多くの方に面白いと言っていただきましたが、やっぱり何度褒められても嬉しいですね。

そうこうしながら、このブログを始めてからはや丸2年が過ぎました。たまたまですが、コロナ禍で飲み会が激減したタイミングと完全に期間が被っていたことがどうにかここまで続けられた大きな要因だと思います。今後少しずつ生活が通常モードに戻っていくと想定される中、読書&ブログの時間をどう捻出するか2022年はチャレンジの年になりそうです。いい区切りなので、振り返りも兼ね前回のランキング発表からの約1年間(2020年12月~2021年12月)に読んでいただいた回数が多かった記事のランキングをまとめてみました。(カッコ内は前回の順位です。)

第10位(-) 瀬尾先生の新作長編「夜明けのすべて」とやはり犬は泣ける伊吹先生の「犬がいた季節」を読む(2020年12月22日):この記事はまだ一回の充電で走行できる距離が100km程度だった10年前のEVドライブ珍道中の完結編で、結構たくさんの方に面白かったと褒められて嬉しかった記憶が有ります。読書と無関係な部分の分量が多すぎるのが少しだけ気になりますね(笑)。

第9位(-) 金次郎、福岡県出身のブレイディー・ミカコ先輩を再認識+30年前の思い出を語る(2021年1月13日):30年前の若気の至りのエピソードは非常にしょうもない話なのですがやっぱり懐かしくて自分でもたまに読み返してニヤニヤしています。後半の新自由主義がもたらしたイギリス社会の歪についての真面目な感想とのギャップがゴーストライターがいるのではと疑われかねない激しさで笑えます。

第8位(-) いよいよ本屋大賞2021ノミネート作品発表!(2021年1月26日):やはり人気の高い本屋大賞関連投稿です。読み返してみると、本当に自分がこれを書いたのかと一瞬自信が無くなるぐらいなかなか簡潔に候補作を紹介していてちょっと自画自賛してしまいました(笑)。

第7位(-) 期待通り面白かった染井為人先生の「正体」を紹介!(2020年12月8日):10位にも入ったEV珍道中の第一回(全3回)ですが、存外金次郎の昔の面白い思い出は人気が高いことが分かります。引き続き記憶を絞りに絞って思い出シリーズを充実させてビューを稼ぐことを検討してみたいと思います。人生50年の区切りとして自分史的な感じにしてもいいかもしれません。かすんでしまっていますが、「正体」も面白い本ですのでぜひご一読下さい。

第6位(-) 文学女子とその母上に冬休みにじっくり読める本を紹介(2020年12月28日):引き続き人気のこの本紹介企画ですが、最近お薦め本リストが枯渇気味という難題に直面しております(笑)。文学女子ABさんも来年は受験生ですので面白い本を紹介し過ぎるのもどうなのかと悩みつつ今後のこの企画の在り方について考える今日この頃です。

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金次郎、長らく積読であった話題作、「人新世の『資本論』」を遂に読了

いよいよ冬が本格化してきた感じですが、気温の低下もさることながら空気の乾燥がひどくなっていることにも非常に気が重い今日この頃です。なぜかと言いますと、ただでさえルーチンでやらねばならないことが多い日常生活に乾燥対応のケアが加わるためで本当に面倒臭い。ということで、読者の皆さんにとって、心の底からどうでもいいことだとは分かりつつも、あまりにも書くことが無いために、金次郎の身体のケアについて書かせていただきたいと思います。すみません。

先ず起きてから最初にやるのは当然洗顔です。その後化粧水、乳液、クリームとフルに塗り込むのですが、気分によって妻の化粧品の中から安価なものとそれなりに高価なものを選んで使わせていただきます。出社する際には今や当然の日常ではなくなった出勤への気持ちを高めるために更に高品質なものを妻の目を盗んでこっそり使う場合も有るのですが、ちなみにそれはノエビア化粧品の最高級ラインの商品でお値段はとても恐ろしくて口に出せません(苦笑)。これまたどうでもいい話ですが、匂いフェチな金次郎はその日の気分でメゾン・フランシス・クルジャンのアクアユニベルサリスかジェントルフルイディティゴールドのいずれかのフレグランスを選びます。前者は爽やか、後者は甘いバニラの香りでかなり気分が上がります。ただ、会社でそれをいい匂いと言ってくれたのが、同じく中年のおじさん同僚(通称ミッツ・マングローブさん)ただ一人というのが気にはなりますが。。。

そして、朝のルーチンの最難関は点眼薬3本の時間配分で、目薬を差した後は1分ほど目を閉じてじっとしていないといけないし、それぞれの点眼の間も少なくとも5分は空けねばならないことから、朝の時間の無い時にちょっとでもミスるとそれなりにリカバリーに時間を要するので本当に面倒です。夜は夜で、洗顔からクリームまでのプロセスは同様ですし、時々妻から毛穴が汚いとクレンジングやパックをさせられるケースも有りこれはかなり手間と時間を要します。更に頭皮のマッサージにヘアオイルの塗り込みと続いた上に、なんと夜は点眼薬が4本となり更に煩わしさが増し増しとなります(涙)。これに加えて冬になると乾燥のために二の腕の発疹とかかとのガサガサが発生するため、これまたノエビアのクリーム1(薬用SDローション)とクリーム2(薬用SDクリーム)を塗り込む必要が生じ、特に足はクリーム後素足でベタベタ歩けないので、クリーム1・2と靴下を持って家の中をうろうろせねばならず、自分は何をやっているのだろうという気分になります(苦笑)。ただ、このクリームは一体どんな謎成分が配合されているのだろうと疑念が湧くほどに効果てきめんで、ガビガビになったかかとや足の裏、親指の側面などが塗り始めてから数日で赤ちゃんのお肌のような状態に戻り、かなり達成感が有るのは事実です。仕事ではいつもルートコーズ(根本原因)を見極めて対処しなさいと指導している立場としては、本来は床暖房をやめて足の裏を乾燥させ過ぎない、ちゃんとした加湿器を購入して室内の湿度を適切に保つ、などの対応をすべきなんだろうと思いつつ行動に移せていない言行不一致のダメ人間です(涙)。

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金次郎、たそがれ研修を受け定年後について考える

先日会社で研修を受け、一日半みっちりグループワークなどを通じて色々と考える良い機会となりました。どんな研修かと言いますと、あなたこのまま何も考えずに定年を迎えたらヤバいことになりますよ、という内容で、会社員生活の終わりがぼんやりと見え始める50歳前後で受けるため〈たそがれ研修〉と社内では呼ばれております(笑)。定年後あなたはだいたい17年生きる、あなたが死んでから奥さんは更に10年以上生きる、よっていくら必要になるが年金だけだとこういう感じになってゆとりの有る生活を送るにはこれだけ足りない、というようなシビアな話を突き付けられます。少し前に話題となった退職時に2000万円貯金が必要か否かという問題と基本的には同じような話なのですが、そもそも金次郎家が毎月どれくらい支出しているのかよく分かっていない体たらくにてスタートラインにすら立てていない不安感は否めません。

そして、ちょうど先日電話した際に父親も言っていたのですが、うまい具合にビンゴ的にきれいに金を使いきって死ぬのは不可能なために、常に預金が減っていくことへの恐怖と向き合わねばならず、それを避けるためにはやっぱりぎりぎりまで収入を得続けた方が良い、という当然の帰結となり、悠々自適の読書&ブログで余生を過ごそうと思っていた金次郎にはやや暗雲の切ない内容となりました。60歳過ぎでの再就職のハードルが高いというほぼ脅迫(笑)の説明を受け、将来を見据えた学び直しや準備を計画的に少しずつでも意識して実際に動き始めるべきタイミングと実感いたしました。ただ、働き続けるにしても、今の会社で40年前後がむしゃらに勤務した後の選択ということもあり、少しくらいは自分のやりたいことに寄せたいなと思い、研修でもさんざん問われましたので、改めて自分がハッピーだと感じるのはどういう瞬間かと自らを振り返ってみることとしました。こっ恥ずかしい自分探し作業でしたが、あれこれ考えているうちにこれまでの人生を通じて公私問わず仕事でも遊びでもオリジナリティのある金次郎らしい発信をして、それに対し面白かったやためになったなどのポジティブなフィードバックをもらった際にとても嬉しい気分になることを再確認することができ、そういうことならと、難易度は非常に高いと理解しつつも、現段階の夢として、このブログあるいはそれに類する発信を皆さんに楽しく読んでいただき、そこで僅かばかりでも稼げればいいな、とパイプドリームを掲げてみることにしました。研修では更に一歩進んで、その実現に向けた具体的なアクションも設定せねばならないということで、①ブログのみならず今後発信プラットフォームとなり得るsocial mediaについて行ってこれを活用できるようデジタルリテラシーを上げる、②このブログの文章をより分かり易く、読み易くてかつ面白いものにすべく心掛ける、③できるだけたくさんのことを経験すべく妻と色々なところに出かける、④もっと幅広く、かつ深い読書を意識する、そして⑤定年までの限られた時間にできるだけ密度の濃い経験を積めるよう、全力かつより広い視野で仕事を頑張る、という当たり前のステップを設定しました。先ずはとにかく妻の治療が最優先ですが、暫く時間が経過しても①~⑤ができていないぞ、とお気づきの際は是非叱咤激励いただけますようお願いいたします(笑)。

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金次郎、海外の文学賞についても少しだけ調べてみる

前回のブログに妻のことを少し書きましたが、読んでいただいた皆さんからたくさんの有用な情報をいただきました。お心遣いに大変感謝しております。どうもありがとうございました。できるだけ早くポジティブなご報告ができるよう夫婦二人で治療を頑張って参ります。

さて、海外の作品を読もうとして候補作の紹介文を眺めていると、○○賞受賞!という記載をよく目にします。そういった賞がたくさんあって何が何だか分からなくなりがちなので、思い立ってここで軽く整理してみたいと思います。(日本の文学賞についての説明はこちらで)

ノーベル文学賞は作品でなく作家に贈られるため奥が深すぎてここでの説明から除外しますが(苦笑)、その他の賞で最も目にする機会が多い印象なのはやはりブッカー賞でしょうか。イギリス連邦+アメリカの作家による長編小説が対象となるこの賞は厳正な審査が有名で様々な分野から選出された選考委員が多数のロングリスト作品を全部読んで、ショートリストした6作品の中から最終的に受賞作を選ぶ流れとなっているようです。賞金は5万ポンドとなかなか高額で、優れた作品を選ぶというコンセプトから芥川賞や直木賞と違って複数回受賞する作家も存在しています。金次郎は少なくとも以下の受賞作を読んでおり、いずれ劣らぬ面白い作品ばかりですので今後もこの賞は信頼して翻訳が出たらなるべく早めに読みたいと思います。

「日の名残り」(カズオ・イシグロ著 中央公論新社)1989年/「昏き目の暗殺者」(マーガレット・アトウッド著 早川書房)2000年/「パイの物語」(ヤン・マーテル著 竹書房)2002年/「グローバリズム出づる処の殺人者より」(アラヴィンド・アディガ著 文芸春秋)2008年/「七つの殺人に関する簡潔な記録」(マーロン・ジェームス著 早川書房)2015年(本ブログで紹介済み)

珍しいところを簡単に紹介しますと、「パイの物語」は本賞を取ったからか映画化もされています。16歳のインド人少年ピシル・モリトール・パテルが3歳のベンガルトラと7か月以上太平洋を漂流するという奇想天外なストーリーで、何と言っても狭いボートの上でのトラとの共生が生み出す極限の緊張状態がこれまでのサバイバル小説と一線を画していて新鮮です。漂流は第二部で描かれているのですが、一見意味の無さそうな第一部の内容が後になって非常に重要になってくる構造はなかなか手が込んでおり、クライマックスの第三部では人間性の限界が見事に描かれています。

「グローバリズム出づる処の殺人者より」はインド社会の現実と闇を、なんともリアルに描き出している秀作です。語り手の、淡々と皮肉っぽく悟ったような語り口が究極の格差社会の壮絶さを際立たせていて本賞受賞も納得です。気持ち悪いところも有りますが、読み始めたら止まりません。とある人がインド出張中に肥溜めに落ちたという話を思い出してぞっとしました(笑)。

このブッカー賞がお手本にしたというか、真似をしたとされるのがフランスのコンクール賞でフランスの作家による独創的な小説に贈られる賞です。こちらは賞金が10ユーロというのが笑えます。金次郎は、「地図と領土」(ミシェル・ウェルベック著 筑摩書房)2010年(本ブログで紹介済み)「天国でまた会おう」(ピエール・ルメートル著 早川書房)2013年、を読んでおり、どちらも独特の雰囲気の有る作品で印象に残っておりました。「天国で~」は戦争で下顎を失った悲しい男の物語です。

この他にもよく話題になるのはアメリカの報道、写真、小説、音楽など21部門で選出されるピューリッツァー賞かと思います。色々なメディアでこの賞のことを目にする機会が多いのはやはり21部門も有って濫発されているからでしょうか(笑)。電気屋さんなどでよく見かけるグッドデザイン賞が応募数の約30%に授与されるというのを少し思い出しました。ピューリッツァー賞のフィクション部門にはあまり縁が無く、調べた最近の作品では「地下鉄道」(コルソン・ホワイトヘッド著)2017年(本ブログで紹介済み)しか読んでおりませんでした。一方、ノンフィクション部門にはなかなか興味深い作品が多く、「石油の世紀」(ダニエル・ヤーギン著 日本放送出版協会 )1992年(本ブログで紹介済み)、「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド著 草思社 )1998年、「病の皇帝〈ガン〉に挑む 人類4000年の苦闘」(シッダールタ・ムカジー著 早川書房 )2011年(本ブログで紹介済み)「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」(スティーブン・グリーブラッド著 柏書房)2012年と読んでおりました。中でも「一四一七年~」は、馴染みの無い年号が気になって読んだだけだったのですが、古代ローマの詩人ルクレティウスによって紀元前に著され、1000年の行方不明期間を経てブックハンターによってドイツの修道院でたまたま〈発見〉された「物の本質について」が世界に与えた影響を描くという笑えるほど壮大な内容でした。この〈発見〉がその後に起きる宗教改革、ルネッサンス、自然科学の進歩と深く結びついていたと知って、歴史の運命的なつながりはやはり奥が深いと思いました。トマス・ジェファーソンも愛読していたようで、独立宣言の〈幸福の追求を支援~〉の部分はこの本の影響だそうです。

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衝撃タイトル「まだ人を殺していません」で新感覚カタルシスを堪能

突然で恐縮ですが、実はこのところ金次郎夫婦にちょっと辛い出来事が発生しており、家族ファーストということで読書はややお留守となっております。それでもこれまでが読みすぎだっただけで、日本人の平均ぐらいは読んでいるかなと思いますが、しばらくの間少し紹介ペースが落ちたり、ブログの中身のクオリティがやや低下するかもしれない点、ご容赦いただければと思います。詳細には触れませんが、妻が股関節の不調に起因する痛みや全身のしびれ症状に苦しんでおり、もしそういう症状の治療に明るい整形外科医院や整体・鍼灸治療院などご存知の方がいらっしゃいましたら情報を共有いただけますと大変助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。しかし、自分の知識の範囲外のものを全てストレスやメンタルのせいにして片付けようとする反知性主義の整形外科医にはうんざりしますね。

さて、そんな金次郎夫婦が気晴らしも兼ねてはまっているドラマが日テレ日曜夜の「真犯人フラグ」です。秋元康企画のドラマで、家族円満、マイホーム建設中と幸せいっぱいだった相良凌介(西島秀俊)ですが、突然妻真帆(宮沢りえ)と子供二人が謎の失踪を遂げ、その後も長期に亘り行方不明になるという不幸に見舞われる展開で、お定まりの周囲の誰もが疑わしく見えるというパターンの中にも、めまぐるしく攻撃対象を変えるネット世論や陰謀論を語る動画生配信チャンネルなど現代的な要素がかなり盛り込まれていて目が離せません。相良が入りびたるバー「至上の時」は金次郎の未踏地帯である中上健次先生の「地の果て 至上の時」(インスクリプト)に由来すると第一話で明かされ、相良も読書好きであることから、読書うんちくが鏤められる展開を大いに期待しましたが、その後読書ネタはほぼ登場せず、この点は少しがっかりしています。

第七話終了現在、「真犯人フラグ」を立てられてしまった相良以外の全員が怪しい状況ですが、第一話で明らかにこれ以上無い幸せ家族演出で所謂「死亡フラグ」が立った状態となった妻真帆がフラグ通り帰らぬ人となるのか、フラグの常識を覆しハピエンとなるのか、はたまたこれまたドラマで定番の最終話に詰め込み過ぎ、つまらないセミナー後のアンケートのように回収されず残る伏線に納得感ゼロの結末となるのか、過度には期待せずこのまま観続けようと思います。

役者陣では、あのクールで強そうな西島さんがちょっと抜けていてずれている頼りないおっさん相良を好演されているのが目につきますし、若干関西弁は厳しいところもありますが、演技に定評のある芳根京子さんも相良を完璧にサポートするスーパー女子でいい味を出されていますし(今後はどうなるか微妙)、元乃木坂の生駒里奈さんもヤバい人を怪演されていてイメチェン気味でなかなか面白いです。謎のキャラが香里奈さんではないかとの疑惑の審議も気になります。ちなみに、うちの妻は佐野勇斗さんが好みだそうです(笑)。

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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」の大人の事情を考える

突然ですが、Oxford dictionaryが選ぶ2021年のword of the yearはvaxとなりました。名詞の場合の意味はvaccineと同じでそのままワクチン、動詞として使う場合はvaccinateと同じ意味でワクチンを接種する、という感じになります。2020年は様々なcovid-19関連の言葉が使われ過ぎてword of the yearが絞り切れず選べなかったことを考えると、良くも悪くも今年は世界中こぞってワクチン打ってコロナに勝つ!というトレンド一色の年だったということになるでしょうか。ちなみに2019年はグレタさんの影響でclimate emergency、2018年はtoxic、2017年はyouthquakeがそれぞれword of the yearとして選出されていたようです。今年は日本の流行語大賞もワクチンになるかと思いきや、新語でないということで既に発表された30件の候補には入らず、金次郎としてはこのブログで取り上げた〈うっせぇわ〉〈ゴン攻め〉〈副反応〉にぜひ頑張ってもらいたいところです(笑)。余談ですが、中国駐在から帰任された方と本日久々にお会いしお昼をご一緒したのですが、現地でSinovacを2回接種され、帰国後にもファイザーを2回打たれるとのことでブースター越えの4回接種には無敵マリオオーラを感じました(笑)。

さて、無理くり英語のword of the yearを持ち出したのは以下の本の紹介をする前振りです(笑)。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」(ブレイディー・ミカコ著 新潮社)はノンフィクション書大賞を取って売れまくった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(同)の続編です。金次郎は、以前このブログでも紹介した通り「ぼくイエ1」を大いに感動しながら読み終えたので、発売直後からずっとランキング上位を維持しているこの続編も非常に楽しみにしておりました。

ところがいざ読了してみると、例の続編はオリジナルを越えられないの法則以上の違和感が残り、このやるせなさはどこから来るものかとちょっと悩んで考えざるを得ない気分となりました。相変わらず元底辺中学における日本と違う教育システムの仕組みは非常に興味深いですし、ミカコ先生のエスプリや音楽うんちくも健在ですし、我が故郷の福岡ネタも盛り込まれていますし、アイルランド系トラック野郎の配偶者の方はじじいなのに鉄板にファンキーですし、そのあたりには不満は全く有りません。そして何より日本より圧倒的に多様なイギリス社会において、そういう社会で避けられない人種や階級や主義信条の違いによって生じる複雑な問題を思いもよらない柔軟なメタ視点で乗り越えていく息子くんの成長ぶりが、遠からず訪れる親離れの予感を頼もしくも淋しく受け入れようとしているかぁちゃんの目線で愛情いっぱいに描かれていてこれは感動無しには読めません。

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金次郎、COPについての恥ずかしい無知をあえて告白

非常に恥ずかしいことを告白しますが、世の中の流れで徐々に仕事での環境関連の会話が増えてきているにも関わらず、金次郎はこともあろうに正式名称を知らぬまま流行に呑まれCOPという略語を思考停止で使い続けておりました。グラスゴーでのCOP26は期待外れの内容で終わってしまいましたが、このままではいけないと日本語では気候変動枠組み条約締約国会議となるCOPが何の略なのかうんうん唸って考えてみました。当然気候が入っているので最初のCはClimateではないかと考えるもOPがどうにも分かりません。Oceanかな、Planetかな、などとモスバーガー的なイメージをしてみるもしっくりこず、OはともかくPは排出〈禁止〉でProhibition?、二酸化炭素が〈充満〉するからPervasion?、〈周期〉的に会議するからPeriod?とか無知なりに悩んでみたものの、結局力尽きあえ無く考えるのを断念してググることに。すると驚いたことに、なんと正解はConference Of the Parties!え?!ちょっと待ってよ、気候も変動も枠組みも条約も入ってないじゃないですか!あまりにも一般的かつシンプルな表現にかなり肩透かしな気分となりましたが、普通に辞書的に訳すと目的や行動を共にする団体の会議、ということで、そんなことなら結構様々な会議が全部COPとなってしまうのでは。。。町内会の集まりもCOP、部活の会議もCOP(笑)。どうやら、ある条約を批准した当事者(国)が参加する会議を一般的にCOPと呼ぶようで、例えば生物多様性条約締約国会議もCOP+回数で記載するのが慣わしだそうです。でも、このthe Partiesを締約国とは到底訳す自信は無く、英語って難しいなとつくづく思いました。ちなみに金融界でCOPというとコロンビアペソのことになります(笑)。

他にも、ATMがAutomated Teller Machine、USBがUniversal Serial Bus(busがそもそもomnibusの略)、PDFがPortable Document Format、MOTHERSがMarket Of The High-growth and EmeRging Stocks(かなりこじつけ)、LaserがLight Amplification by stimulated Emission of Radiationなど結構正式名称を知らない略語が多いなと反省です。こちらは日本語の略語ですが、食パンは主食用パン、教科書は教科用図書、経済は経世済民、合コンは合同コンパでそのコンパはcompany(交際)が縮まったものなど結構無意識に使っているものがかなり略されていて驚きます。確かにパンは基本食べるのでよく考えるとわざわざ〈食〉を前に付けるのは変ですね。また、ピアノはクラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(強い音や弱い音を出せるチェンバロ)の略とのことで、え?ピアノってチェンバロなの??、とかなり困惑いたしました。まだまだ知らないこと多数で道のりは険しい。

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金次郎、谷崎潤一郎先生の代表作「細雪」を読了

9月までのかなり長い間ほとんど在宅勤務をしていたのに、先週は突然4日も出社してしまい非常に疲労困憊した一週間でした。一方で引きこもり在宅勤務の副作用で49年の人生で最も口下手な状態に陥っていたものが、客先訪問での営業トークやオフィスでのコーヒーを飲みながらのちょっとした雑談を通じて中学時代レベルまで回復してきた実感が有り、少しほっとしました。これからもリハビリを頑張って、見ず知らずの人たちで満員のエレベーターに笑いの渦を起こしたり、喫茶店での友人との会話で笑いの総数がやけに多いと思っていたら喫茶店のマスターがカウンターの向こうに隠れてげらげら笑っていたりした、かつての実力を何とか取り戻したいと思います。職業不詳ですね(笑)。

前回のブログでは「はしご」のダーローダンダン麺を食べたパターンを紹介しましたが、出社の一つの楽しみは客先訪問のついでにいつもと違うランチを味わえる点かと思います。先日も、珍しく青山エリアを訪問し面談を終えた後お昼時となり(決して意図的ではございません)、ずっと行かなければならないと思っていた念願の「とんかつ七井戸」に伺うことができました。ここは金次郎の勝負店である「焼鳥今井」の今井さんが自らとんかつを揚げているお店で、当然の如くチキンカツが評判となっているお店です。しかし当日は、あの素材にこだわり抜く今井さんが選んだ豚肉とはどういうものかとの期待から、やや高価ではあったものの、これまで外食せずに貯め込んでいたお小遣いをはたいて一番値の張る特製ロースカツ定食的なものを注文しました(メニュー名を忘れてしまいました、すみません)。今井さんとの久々の会話で旧交を温めつつ待ちに待った後、出来上がったロースカツにソースをかけずお塩のみでいただきましたが、脂身の有り得ないほどさわやかな味わいとコク、ジューシーで柔らかく、かつクセの無い肉の旨味が素晴らしいさすがの逸品でした。悲しいことに霜降りのような脂身の多い肉をたくさんは食べられなくなってしまった中年の金次郎なのですが、全く胃もたれすることなく夕食もきちんと食べられたという若返ったかのような体験で大満足なランチとなりました。ちなみに、別の物を注文した後輩に端切れカツを食べさせたところ、自分が注文したカツも相当旨いと思ったが、わずかな端切れ肉を食べただけにもかかわらずその上を行く旨さと感嘆しておりました。

とんかつと言えば、湯島の「蘭亭ぽん多」や秋葉原の「丸五」がお気に入りでしたが、これらの名店に勝るとも劣らないクオリティで、今後青山・外苑前方面の顧客を重点的に開拓すべくビジネス戦略の修正を検討しようと一瞬血迷いそうになるほど美味しいお店ですので、ちょっと並ぶリスクは有りますが皆さん是非一度お試しいただければと思います。殆ど関係有りませんが、ちょうど読み終わった「カラ売り屋、日本上陸」(黒木亮著 KADOKAWA)の主役であるカラ売りファンドのパンゲア&カンパニーの事務所が「とんかつ七井戸」や「焼鳥今井」と同じ渋谷区神宮前でちょっとシンクロ感有りました。勿論この本はこの本で、今ひとつよく分かっていなかった借株からのカラ売りの仕組みやコストなどがクリアに理解でき、株価操作のパターンのイメージも湧いたので、なかなか興味深い内容でおすすめです。

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金次郎、妻と共に隅田川に架かる橋を渡る

最近は健康増進の目的で妻と共に家の近所をよく散歩しています。この地域に越してきてからもう15年になりますが、まだまだ歩いたことの無い路地がたくさんあったり、少し歩いているうちに意外な町に辿り着いていたりと結構新しい発見が多くて楽しいです。散歩ルートとしてはやはり近くを流れる隅田川近辺が解放感が有り、両岸に隅田川テラスも整備されていて歩きやすいのでよく行きますが、気合を入れて歩く際は隅田川に架かっている橋を渡ってどんどん進み、疲れてしまって帰りは地下鉄、ということもよく有ります(笑)。隅田川にはたくさんの橋が架かっていて、その日の気分と体調でどの橋を目指すかを相談するのですが、ちょっと我が家から徒歩圏内の橋について整理して書いてみたいと思います。興味の無い方には恐縮です。

上流から行きますと、中央区日本橋馬喰長で川を渡る浅草橋は隅田川でなく神田川に架かっており、この橋もよく渡るのですが今回は除外。ちなみに神田川は井の頭恩賜公園の井の頭池が源流でこの浅草橋を越えた直後に隅田川と合流して終わる全長24.6kmの一級河川です。井の頭池も小さくはないですが、神田川は水量も多いので枯れずに水をたたえ続けているのが不思議ではあります。

さて、先ず最初は新大橋(170メートル)です。中央区日本橋浜町から橋を渡ると江東区森下で新しいマンション群に混じって昭和っぽいお店も立ち並んでいて懐かしい雰囲気のエリアです。先日歩いた際は清澄通りとの交差点にある町の鶏から揚げ屋さんで買い食いをしてテンション上がりました。その次の橋は清洲橋(186メートル)になります。中央区日本橋中洲と江東区清澄を結ぶ橋であり、なんと清澄と中洲からそれぞれ一文字ずつ取って清洲橋というネーミングになったようです。てっきり織田信長の清洲城と関係が有るのかと思っていましたが、よく考えるとそんな筈無いですね。清洲橋の中央区側の袂は「白鳥とコウモリ」(東野圭吾著)の殺人現場となっており(笑)、一方で江東区側の袂にはケーキ店アンテノールの工場が甘いニオイを振りまいていて、デパ地下などで買える通常のケーキに加え、規格外製品を安く売っていてオトクです。少し歩くと四季の移ろいを感じられる清澄庭園も有り風情が楽しめます。その次の橋は人形町通りから水天宮の交差点を越えた先の隅田川大橋(385メートル)で東岸は中央区日本橋箱崎町、西岸は江東区佐賀となります。橋の上層部は高速道路になっていて全体の構造も大きく橋長も他の橋と比較して長めで、高さも有って非常に見晴らしの良い立派な橋です。橋の両側に有る歩道も広くて歩きやすいので散歩ルートには好適でお気に入りの橋です。

更に下流に進むと永代橋(185メートル)で、中央区新川と江東区佐賀/永代を繋いでおり、その名に由来する永代通りが通っています。オリンピック期間中は五輪色にライトアップされていて写真を撮っている人が結構いました。直木賞作の「星落ちて、なお」(澤田瞳子著)に豪商鹿嶋家当主鹿嶋清兵衛の本宅が有ったということで永代橋の袂の描写がよく出てきていたのを思い出しました。江東区側は門前仲町で商店街には謎の演歌が流れるなど、森下同様昭和の雰囲気が残る地域になっています。次は中央大橋(211メートル)で、八重洲通を通しており、東岸は中央区新川、西岸は中央区佃となり、ここから両岸共に中央区となっています。なんと隅田川はフランスのセーヌ川と友好河川になっているようで、1993年に中央大橋が竣工した際に当時パリ市長であったジャック・シラク氏(のちに大統領)より記念の彫像が贈られたとのことです。今度探してみよう。ここから先はちょっと徒歩では辿り着けない距離なのですが、次は佃大橋(476メートル)となり、隅田川右岸は北が中央区湊、南が中央区明石町、左岸は中央区佃、南が中央区月島となります。近辺は高低差が大きく、東京マラソンの難所の一つともなっています。そして、勝鬨橋(246メートル)、築地大橋(245メートル)と続いています。折角なのでいつかこれらの橋も徒歩で渡って制覇してみよう。

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知念実希人先生の最高傑作ミステリー「硝子の塔の殺人」を堪能

今週定期健診で大学病院へ行った際に、次々と呼ばれる患者さんの名前を聞いていて、最近気づいた歴史についての情けない認識違いを思い出したのでそれについて書こうと思います。

その誤解とは、明治時代まで武家や公家、一部の有力農民を除いて日本人には名字が無かったというものです。なんとなく、そのように歴史の授業で習ったとの記憶をそのまま無批判に受け入れていたのですが、それが事実だとすると、明治になって一斉に人口の大半を占める農民が名乗り始めた名字の、一説には30万種有るとされる多様性に説明がつきません。

また、いかに日本最強の一族とはいえ公家であり人数的には限られている藤原氏関連の名字とされる佐藤さん、伊藤さん、加藤さんなどが名字ランキング上位に入るのはやはりおかしく、ボリュームゾーンを構成すると思われる農業関連とおぼしき小田さんとか山田さん、上田さんなどが日本中に溢れているはずです。

以前よりこの点は若干気になってはいたのですが、とりあえず名字ランキングワンツーを占める佐藤さん、鈴木さんについては、佐藤さんは「藤」原氏を補「佐」したことに由来するので数が多い、鈴木さんは、鈴木=ススキ、で稲穂や農機具に由来しており、よって農民層が明治になってこぞって鈴木姓を名乗った、との勝手な整理でぎりぎり辻褄が有っているということにして深掘りせずに済ませてしまっておりました。

ところが、ふと思い立ち調べてみると、佐藤さんは藤原氏そのものが左衛門尉などの官職名や佐渡や佐野などの任地名と合わせて名乗ったものとされていて、鈴木さんは稲穂に神が宿った状態を表すススキ(=鈴木)に由来していて熊野神社とその分社に関連する人々が名乗った名字とあり(本家は稲穂を積み上げた様子を表す穂積さんだそうです)、だいぶニュアンスが違っていることが分かりよく調べなかったことを反省しました。ちなみに伊藤さんは伊勢の藤原氏、加藤さんは加賀の藤原氏というのがその由来だそうです。

ただ、由来が明らかになっても、依然多数を占めている名字と農民の関係がいまひとつ整合的でないので、これは、もしかしてそもそもの前提がおかしいのではないかと思い更に調べてみると、やはり明治になるまで一部の特権階級を除いて日本人に名字が無かったわけではなく、名字的なものはあったがそれを公に名乗ることが許されていなかった、というのが正しいと分かり、間違っていたのは恥ずかしかったものの、ようやくすっきりと納得することができました。

(しかも禁止されていたのは1801~1870年の69年間のみでした!)

その名字的なものは、自らの領民の一部に領主が自分と同じ名字を名乗ることを許す習慣や、佐藤荘の太郎のように荘園名+名前で呼称していたものの荘園名の部分が名字化するなどのプロセスを通じて定着していったようで、荘園時代にその原型が構築されたとすると、佐藤さんや伊藤さんの上位進出も頷けます。ちなみにランキング上位の高橋さんは神様の世界に繋がる高い梯子に由来しており、大きくくくると鈴木さんと同じ成り立ちになるようです。

この大きな構造に、細かい地名や職業に由来する少数名字が加わって30万種を構成しているのだと思いますが、鍛冶屋を表すSmithさん、粉屋のMillerさん、仕立て屋のTaylorさん、目や髪が茶色でBrownさん、のような職業や見た目重視の名字が多い英米との違いを感じます。Johnsonさん(Johnの息子)、Jonesさん(Johnの息子)、Williamsさん(Williamの息子)、Davisさん(Davidの息子)、Wilsonさん(Williamの息子)のように~の息子を意味する父称が名字になっているのも欧米の特徴で、これはヒョードルビッチやイワノビッチでお馴染みのロシアの父称と同じ構造ですね。

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「灯火親しむべし」の読書の秋に文学女子に本を紹介

このところ突然めっきり涼しくなり、あっという間に夏から秋に季節が変わったことに慌てて、買ったのに着ていない半袖Tシャツをファッションショーのように次々と着用してそそくさと散歩に出たりしております。いつになったら制約無く外出できるようになるのか不透明な中、短い秋のために今年は秋服をどれだけ買うべきか、本当に悩ましい。

秋といえば、「○○の秋」が浮かびますが、いくつかアンケート結果をみてみると圧倒的に支持されているのが「食欲の秋」で日本人の6割以上が先ずはこれをイメージするようです。それに続くのが紅葉、行楽、実り、芸術、スポーツなどですが、「読書の秋」もバラつきは有るものの2位とか4位には食い込んでいます。そもそもなぜ読書の秋かというと、まとまった時間の取れる秋の夜長に、季節が良くなって高まった集中力を以て読書しましょう、ということのようで、8世紀中国の韓愈という人の符読書城南詩という漢詩に由来しており、「灯火親しむべし」(秋は夜が長くなったので明かりをともして読書にいそしもう)という句があるそうです。

ということで、突然秋になったので突然ではありますが、恒例の文学女子への本の紹介企画読書の秋編をやろうと思います。まぁ金次郎も読書の弟子の文学女子ABさん(中2)も本の虫ですので、盛夏だろうが秋だろうが正月だろうが本は読むわけですが(笑)。この企画もなんと第8弾となりますが、小学生から中学生となり、中2の夏も越えて成長するにつれ読書の趣味もどんどん変わっていると思われる弟子たちのニーズに応えられているか相当不安では有ります。また、この企画で紹介した本、ブログに載せた本、E美容師に紹介して美容室図書として並んでいる本を合わせるとかなりの量になるので、自分でも正直どの本が紹介済みなのかについてやや混乱してしまっているところもありますが、とりあえず開き直って面白かった本を以下に並べてみようと思います。

(最近のバックナンバーはこちら)

いつの間にか読書の秋が始まり、慌てて文学女子に本を紹介

文学女子とその母上に冬休みにじっくり読める本を紹介

金次郎、文学女子に緊急事態GWを楽しく過ごすための本を紹介

【文学女子ABさんへの2021秋の紹介本10選】

「琥珀の夏」(辻村深月著 文芸春秋):辻村先生の最新長編である本作は、大人がいかに子供と向き合うべきかという答えの無いテーマに挑んだなかなかに考えさせられる作品です。内容はやや重いですが、著者にしては珍しく子供の視点が中心の作品なので、ABさんは金次郎とは違う読み方をするのではないかと期待を込めて推薦しました。作中に登場する幼稚園児が大人過ぎると思うのですが、イマドキの園児はそんな感じなのでしょうか?

「白いしるし」(西加奈子著 新潮社):少し大人の恋愛小説ですが、芸術家同士の恋愛の感性が鋭過ぎてもはや異次元の世界の話であり、よく理解できないという意味では金次郎も中学生も同レベルかと思います(笑)。そんなにお互いの気持ちを分析しまくって、やたらと言葉にしてしまったら辛くてたまらなくなると思うのですが、どんなに傷ついても目の前の現実を魂で感じて自分なりのやり方で表現するのが芸術家の業なのだとしたら本当に凡人でよかったなと思います(笑)。

「砂漠」(伊坂幸太郎著 実業之日本社):金次郎が最初に読んだ伊坂作品であり、今に至るまでずっと一番好きな伊坂作品であり続けている本作は、5人の大学生の成長を描いた青春小説です。社会という砂漠を目前にした大学生の不安定な心の内を理解するのは中学生にはやや難易度高いようにも思いますが、とにかくぶれない西嶋の生き様など心に残る場面の多い名作です。

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金次郎、「アンダーグラウンド」(村上春樹著)のリアルと自らの無知に驚愕する

8月といえば帰省の季節です。コロナ禍のため金次郎は故郷福岡にしばらく帰れておりません。先日中山七里先生の人気シリーズである御子柴弁護士ものの最新刊「復讐の協奏曲」(講談社)を読んだ際に、主人公御子柴の故郷が金次郎と同じ福岡市南区で、いつも使っていた西鉄大牟田線の大橋駅が頻繁に出てきたために、郷愁の思いが募りました。

帰省して父親や妹家族と会うのは勿論楽しみではあるのですが、懐かしい地元フードを食べるのがやはり重要なイベントですので、郷愁ついでに今回は金次郎が帰省したら絶対に食べたい福岡の地元グルメをご紹介させていただきます。

先ずは何と言っても吉塚うなぎ屋ですね。ふっくらと蒸してある上品な東京のうなぎも良いのですが、やはり西日本のパリッと焼いた上に若干ジャンキーな甘しょっぱいタレをたっぷりかけた蒲焼は最高です。そんな中でもこの店のうなぎは群を抜いて美味でコロナ前は中国人観光客が押しかけて入店が相当困難だったようです。今なら予約も取れるのにコロナのせいで帰省できない・・・、なんとも忸怩たる思いです。ただこれを書くためにネットを観たらお取り寄せ可能とのことなので、ちょっと妻と交渉してみようと思います。ちなみに東京ではひつまぶし名古屋備長で比較的近い味が楽しめます。

次に帰省したら確実に食べたいものが回転焼き(東京では今川焼)の蜂楽饅頭です。亡くなった母が若い頃に西新本店でよく食べていたそうなので歴史は相当古いこのお店は、たかが回転焼きと侮れぬ信じられないクオリティの美味スイーツです。皮も旨いし黒あんも白あんも甲乙つけがたい旨さです。金次郎家ではいつも東京に戻る直前に天神岩田屋店で数十個を購入し(黒あんと白あんの比率をどうするかでいつも10分程悩みます)、腕がちぎれそうになりながら有り得ない回転焼き臭をただよわせつつそれらを飛行機内に持ち込み、羽田到着後は脇目も振らずに自宅に戻り即行で冷凍保存にします。そうするとレンジで表を1分、裏を0.5分チンすることでかなりしばらくこの美味を楽しめるという幸福な時間が続きます。冷凍庫のキャパを食いつぶしてしまうためにその他の冷凍食品はあまり入らなくなってしまいますが(笑)。

最近行けていないので味がどうなっているか未確認ですが、機会が有れば食べたいのが一九ラーメン老司本店です。実家の近所ということもあり、とにかく上京するまでの十数年間食べ続けたお店で、濃厚なとんこつスープ、真っ直ぐな細麺と白ごまのバランスが最高の一品だと思います。こうして書いていると耐えられない程食べたくなってきました(涙)。

あと、あまりにもジャンクなソースと脂マヨネーズのかたまり過ぎて、妻からダメ出しをされるケースが殆どですが、やはりソウルフードとしてお好み焼きのふきやは外せないと思います。確かに美味しいかどうかは賛否の分かれるところかとは思いますが、若かりし頃の舌の記憶がどうしてもあの味を求めてしまいます。あー食べたい。しかも大橋店できてる!

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金次郎、ワクチン副反応に苦しみつつ「白鳥とコウモリ」(東野圭吾著)を読む

実に成人の75%が37.5℃以上の発熱をするとされる恐怖のモデルナワクチン2回目接種がとうとうやってきました。このブログでも書きましたが、7月1日に受けた1回目接種で早くも副反応の洗礼を受けた金次郎は戦々恐々としつつ当日とぼとぼと会社に向かいました。会社では、既に2回目接種後副反応が出た同僚の話がちらほら聞かれ、そうしている間にも近くに座っていた前日接種を受けた後輩が悪寒を発症するなど緊迫感は高まります。自分は副反応体質と諦めて翌日は休暇を取得しつつも25%の確率に望みをつないで7月29日(木)14時45分に無事接種を完了しました。

前回は接種後に若干運動してしまったのがまずかったかと今回は運動も控え、腕の腫れもたいしたことなく、当日は何事も無く、選ばれし25%に入ったかと期待しつつ普通に9時頃就寝いたしました。しかし、翌朝5時頃目覚めてみると、残念ながら身体の背中側というか後ろ半分に認めざるを得ない違和感を確認し、確率はウソをつかないと思い知り絶望的な気分になりました。その後の経過は以下の通りです。今後2回目を受けられる方の心の準備に役立てばと思います。

7月30日(金)午前7時(接種後約16時間):体温は37.4℃。まだ辛いというほどではないものの身体の後ろ半分に痛み有り、軽い全身倦怠感。若干の食欲減退で朝食はいつもの半分程度しか食べられず。

午前10時(接種後約19時間):体温は38.3℃。体温の上昇が始まり、背中、腰、ふくらはぎの痛みが悪化、頭はまだ働いておりぎりぎり読書は可能な状況。血迷って「白鳥とコウモリ」(東野圭吾著 幻冬舎)を読み始める。ポカリやOS-1を飲むために起き上がるのも一苦労。

午後0時(接種後約21時間):体温は38.2℃。昼食は全く取れず、とにかく全身倦怠感と痛みがピークの辛さ。さすがに読書はもう無理でひたすら横になっている状態が継続。何より眠れないのが辛く、当然寝ている間にいつの間にか回復する、という奇跡は起こらず。ダンゴ虫のように丸まって耐える。

午後4時(接種後約25時間):体温は38.7℃。少し発汗し一瞬楽になったと思い喜んで体温を測ったところこの最高体温を見て唖然とする。その後身体が急激に重くなり全く力が入らずダウン。しかるべき筋で言われている接種後24時間がピークという情報を実感する時間帯。

午後6時(接種後約27時間):体温は38.7℃。まだ身体がだるく起き上がるのも厳しい状況。うっすら聞こえる6時のNHKニュースがいつまでも終わらない、時間が経過しないもやもやする感覚。インフルエンザ感染の際に時間の流れが遅く感じるのと同じ症状で脈拍が速くなることと関係していると思われる。NHKニュース7が始まったところで意識が途切れる。

午後10時(接種後約31時間):体温は37.4℃。午後7時頃からようやくまとまった睡眠が取れ、起きてみると身体がかなり楽になっていて非常に嬉しい。急激な回復と同時にワクチン接種完了による強い達成感と万能感有り。30分おきに体温は37.1℃、36.9℃、36.6℃とみるみる低下。調子に乗って12時まで読書した後就寝。翌朝起きた段階ではほぼ完治しており万能感継続。

普通の病気と違う点は、終わりがはっきり見えているところで、精神力の弱い金次郎もそういう状況なら頑張れることを実感しました。ブログでありのままの症状を紹介するためにあえて解熱剤を服用しなかった金次郎は真面目なのかアホなのか。。。ちなみに妻はまさに金次郎が苦しんでいるその日にファイザーの2回目接種を完了し、しっかり翌日に自身初の副反応を経験していました。体温は38.3℃程度まで上がったようですが、我が家ではモデルナの方が副反応は重篤という結果となりました。

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金次郎、佐藤正午作品にはまりつつ英語スラングに興味を持つ

まともな英語もおぼつかないのに、英会話の授業や教材ではスラングや省略語が題材になることがそれなりにあります。外国人のインスタやFBを観たり、SMSでの会話を頻繁にしているとそういった表現に触れる機会が増えて慣れるのでしょうが、金次郎は引きこもって本ばかり読んでいるためになかなか上手く使いこなすことができません。ということで今回はよく出てくる英語の省略語を中心に(正確か自信無いですが)紹介してみたいと思います。

先ずは王道のOMG。これは説明するまでもなくoh my god!の略ですが、日本人にはどういう場面で使うのが適切かイマイチよく分からない言葉ではありますね。ちょっと似た感じの軽い表現にSMH=shaking my headがあります。これは頭を左右に振って、やれやれ、あきれた、などの気持ちを表す言葉ですね。ジョジョ的に言うなら、「SMHだぜ。」となります。

こういう表現はSNS上のカジュアルなやり取りで使われることが多く、結果として友達関連の語彙が多くなります。メジャーなものではBFF=best friend foreverで一番の親友、があり、略語ではないですがFAMも大親友を意味します。最近の流行ではbefore anyone elseの略で、大親友や最愛の人を意味するBAE(読み方はベイ)もよく使われているようです。これもしかして間違ってバエとローマ字読みした日本人がいて、それがインスタ映えのバエと繋がって普及しているのだろうか、と一瞬邪推しました。あ、ちなみにSNSという言葉は日本でしか通用せず、海外ではほぼsocial mediaという表現で統一されているとの話です。英会話の授業ではこのSNSが伝わらずかなり困った記憶があります。

我々の業界ではIMOといえばInternational Maritime Organization(国際海事機関)ですが、スラング界ではin my opinionすなわち、私の考えでは、個人的には、というような意味で使われます。もう少しびびっておずおずと言い出す場合は、謙虚のhumbleをつけて、IMHO=in my humble opinionと切り出すようです。外国人は自分の意見をとにかく主張する、と刷り込まれてきた我々世代には、外国人のそういうおずおず感は俄かにはピンと来ませんが。

最近は(笑)と使うと即オジサン扱いのようですが、だいたいそんな意味で用いられているのがLOL。これはlaughing out loudの略でloudという言葉から連想する爆笑のイメージよりは(笑)に近い感覚で使われるようです。もう少し爆笑的な表現がROFLで、これはrolling on the floor laughingの略となり直訳すると笑いながら床を転げまわる、となりニュアンスは伝わるかと思います。なんと、このROFLはroflとして通常の英単語化しているようで、愉しみながら時間が過ぎている様子を表すようですね。just rofling on You-Tubeみたいな感じでしょうか。

ネットっぽい表現ではIRLというのがよく使われていて、これはin real lifeでネット上でないリアルな生活では、という意味になります。またハッシュタグでも使われているのがTBTで、これはthraw back Thursdayの略で過去を回想する際の用語で、昔の写真などと一緒に記載されますね。

ばらばらと書いてしまいましたが、この他にもJKは女子高生ではなく冗談だよのjust kidding、be right backですぐ戻るを意味するBRB、すごい!のgreatはGR8(あまり省略されてない)、I don’t knowはIDK、let me knowはLMKなどなど無数に有ります。若者しか使ってはいけない言葉のようですが、金次郎はYOLOが気に入ったのでどこかでこの表現を使いたいと思います。You only live once(人生一度きり)。

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「寿司屋のかみさん さよなら大将」を読み、改めて会ったことの無い大将を偲ぶ

前回のブログでワクチン接種副反応について書いたところ、複数の方からご心配のメッセージをいただきました。どうもありがとうございます。一般に出回っているデータ通り約2日経過後は若干胃の違和感が残っている以外はすっかり回復いたしました。これから2発目に向けメンタルを整えていきたいと思います(涙)。

「寿司屋のかみさん」シリーズを読んで2019年12月に高校時代の友人と東中野の寿司の名店である名登利寿司を訪問した話はこのブログを始めた頃に書きましたが、最新刊「寿司屋のかみさん さよなら大将」(佐川芳枝著 講談社)が出ていたので読んでみました。もうあのお店でお寿司をいただいてから1年7か月も経っているのかと思うと恐ろしいですが、うかがった際もエッセイの中で大変魅力的にいい味を出されていた初代大将が前年に亡くなったと聞き、本シリーズを愛読し過ぎてすっかり知り合い気分になっていたためとても悲しい気持ちになったのを改めて思い出す、大将とのお別れを中心に綴られている一冊です。

いつもの日常が突然奪われる当惑、闘病中の家族の不安と負担、大将の職人魂、亡くなった後の喪失感、が淡々とした文章から伝わってきて、寂しくてたまらないけど大将のことを書いて思い出を形に残そうという著者である女将さんの強い思いが溢れています。そして、これを書けるようになるまでにはたくさんの気持ちを整理されたのだと思いますが、その辿り着いた前向きさが読者にも伝わるからなのか、ただ悲嘆にくれるというのではなくて、寧ろこのコロナ禍に立ち向かおうという元気をもらえるほっこりとした読後感で何かと刺々しいこのご時世におすすめの本でもあります。季節の移り変わりと共に旬のタネを提供し続けるというお寿司屋さんの営みが否応も無く気持ちを前に向かせる部分はあるのかな、と少し思いました。

勿論、常連さんを中心としたお客さんとの関りも大きな力になっていて、金次郎も早くワクチン接種を終わらせて末席ながらその輪に加わりたいと意を強くいたしました。ただ、故橋本元首相が「寿司屋のかみさん」シリーズを読んで読者カードはがきを送ったのをきっかけに通い始め、その後常連になったとのエピソードが紹介されており、若輩者の常連への道は果てしなく遠く険しいですが。。。お店のHPを見ると緊急事態宣言下でも頑張って営業されているようなので、前回また来ますと言ってお店を出たのを有言実行すべく、できればシンコがある間に伺いたいところです。これを書いていると有り得ないほどお寿司が食べたくなり非常に辛いです(笑)。

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いま読書界で噂の「スモールワールズ」(一穂ミチ著)を読み感想を紹介

 

仕事はオンライン中心のご時世となり、金次郎の会社ではMicrosoft Teamsを使ったコミュニケーションが急速に普及していますが、そんな中やたらと使われるようになった言葉にメンションがあります。勿論英語の~の名を挙げるという意味のmentionからきておりますが、なんとなくカタカナで表記すると情けない感じになるなと思っているのは金次郎だけでしょうか。

さて、このメンションと切っても切れないのがご存知@(アットマーク)です。これまではメールアドレス上や@渋谷のような形で場所を表す意味で使われたり、金次郎@悲しいや金次郎@陸上部のように状態や所属団体を表したり、また、(@o@)のように絵文字でつぶらな瞳を表現するというのがメインだったように思います。更に、面白いところでは、@30分、@5人のように〈あと〉の代わりに制限の意味でつかわれたり、@=なると=なるほど、ということで〈なるほど〉の代わりに使われたりもするそうです。

そんな@ですが、今やチームにメンションで@Team、Aさんにメンションで@Aさんのように使う機会も急増し、非常に頻繁に使う記号に成長していることから当然万国共通だろうと思い込み、何かのはずみで英会話の講師に対して使ってみたところアットマークではちょっと通じていない雰囲気でした。まさかと思い調べてみると、なんとこの記号の正式名称はcommercial at(コマーシャルアット)またはat sign(アットサイン)というそうで、英語圏ではat symbol(アットシンボル)と呼ばれることもあるようです!しかも、他の国では、以下のような全く違う呼ばれ方をしているとのことで、@はどう観ても誰が見てもアットマークだろう、と信じて疑わなかった金次郎は目からウロコの発見でした。しかし、思い込みとは恐ろしい。

@の呼称:かたつむり(イタリア語)、エスペラント(ウクライナ語)、サザエ(朝鮮語)、ねずみ(台湾の中国語)、小さな犬(ロシア語)、ゆれる猿(オランダ語)、猿の尻尾(ドイツ語)、ミャウ(猫の鳴き声(フィンランド語)、シナモンロール(スウェーデン語)

Adという言葉が合体して@になった説をはじめ、由来には諸説あるようですが、一般には16世紀から普及し始めたと言われている、古いような新しいようなこの記号@について、引き続き注目していこうと思います。というか、新しい使い方を考えてみました。@驚く(あっとおどろく)、@u間(あっというま)、な@う(なっとう)、などどうでしょう。ただのオヤジギャグですね(笑)。

さて、予告通り今回は直木賞候補作であり、早くも本屋大賞2022での上位進出が噂される「スモールワールズ」(一穂ミチ著 講談社)を紹介します。連作短編というほどではないのですが、微妙に関係する六つのお話が世間は狭い=スモールワールズ的な感じで展開していきます。どれも力作なので、珍しく1話ずつ観て行くことにします。

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