新たな天皇誕生日に古代史関連本を読む

最近ニュースはコロナ一色で面白いネタもあまり無く、録画をためていたドラマ〈相棒〉を見ていたら、途中の番宣CMで東出くんが元気に演技している姿を何度も見るハメになり、 せっかく今年から新たに祝日となった天皇誕生日というのに、何となく冴えない感じです。

非常にこじつけ的になってしまいますがw、皇室つながりということで、古代関連の本で2月になって読んだ本を紹介します。

日本史で勉強した〈白村江の戦い〉は663年に倭国・百済連合軍が唐・新羅連合軍に大敗した、古代史における重要なイベントですが、何分この辺りの歴史は資料も乏しく、残っている資料も恣意的に書き換えられているものが多いため、 この戦いの背景や帰結については様々な解釈の余地があり、小説の題材にするのになかなか適していると言えます。

ちょっと前の時代を含めた主要キャストとしては、 蘇我入鹿、中大兄皇子=葛城皇子、中臣鎌子(鎌足)、皇極(斉明)天皇、 泉蓋蘇文(高句麗)、 金春秋(新羅)、 扶余豊しょう璋、鬼質福信(百済)、などが挙げられますが、 「白村江の戦い」(三田誠広著 河出書房新書)が鎌子を半島系の渡来人として描いている以外はかなりオーソドックスな歴史観に基づいて書かれているのに対し、 「白村江」(荒山徹著 PHP研究所)では、ちょっと新しい歴史解釈がされていて面白い。

どちらの作品でも中大兄皇子がかなり冷徹な統治者として描かれている点は共通ですが、 荒山版では、倭国と新羅が秘密同盟を結んでおり、白村江では大敗を演出して百済残党の希望を挫き、有能な官吏の倭国亡命を促して当時倭国最大の課題であった律令制度の実務を担う人材不足を解消しようとした、という深謀遠慮ぶりまでが描かれます。

三田版でもこの戦いで勝利することは目的とされておらず、主に参戦した九州豪族の力をそぎつつ、唐による攻撃の危機感を煽って水城建設や防人徴用に真剣に取り組む効果を狙った、となっていますが荒山版の方がひねっていて新鮮でした。

これらを読んでから「陰謀 大化改新―仕組まれた東アジアの政変」(小林惠子著 文芸春秋)を再読してみると、初見ではチンプンカンプンだった小林歴史観のエッジが少しだけ分かるようになりました。

三田版でも荒山版でも、登場人物たちが非常にダイナミックに大陸、半島、日本列島を行き来するのがこれまでの認識と違っていて新鮮だったのですが、小林版では更に進んで、 軽皇子(孝徳天皇)と義慈王(百済)、泉蓋蘇文(高句麗)と大海人皇子が同一人物だったり、半島と列島の王位を兼務していたり、となかなか刺激的な内容です。

極めつけは日本に渡ってきた突厥王のタリシヒコが聖徳太子の正体、という異説でここまで来ると何でも在りですが、それなりに根拠が有って読ませます。いずれにせよ、東アジアを一つの地域として大局的に観る視点は現代にもつながって参考になるな、と感心しました。

聖徳太子といえば荒山先生の「神を統べる者」シリーズの〈厩戸恩子倭国追放編〉も読んだものの、まだまだ話が全く進まず続きをどんどん読みたいところです。 歴史の授業では、仏教伝来と習うだけなのですが、既存神道と新興宗教である仏教の対立は激烈を極めたのだろうな、と改めて想起させる内容で、どういう落としどころを迎えるのかかなり今後の展開が気になります。

明日もお休みで本が読めるので嬉しいです。 今回は、ちょっと毛色の違う本に挑戦しようと思っております。また近いうちに紹介しますのでお楽しみに。(楽しい本ではないのですが。。。) 本日現在2月トータル22冊読めており29日しかなくピンチだった今月も目標の25冊は達成できそうです!

投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA