金次郎、リアル「ハトの撃退法」を研究する

半年ほど前でしたか、うちのマンションでハトの害が発生していると住人の方から聞き、慌ててベランダとエアコン室外機置場の2か所を確認したのですが、その際は特段ハトの痕跡は有りませんでした。ハトは人の出入りが少なく、薄汚れて散らかっているところを安全と認識してお気に入りの場所とするようで、以前このブログで紹介したように、特にベランダは金次郎が趣味で頻繁に掃除しており、ハトに付け込まれる隙は無く、申し訳無きも他の住人の方は掃除をサボっていたところをハトに狙われた自業自得であろう、とかなりの上から目線で余裕をかましておりました。数か月前に確認した際もベランダは全く問題無く、室外機置場も若干の木の枝とごく少量の糞が確認されるのみで別段問題は無いように見え、妻の股関節痛のことも有り具体的な対策は取らず放置しておりました。

これを読まれている皆さん、絶対に木の枝と糞を見つけたら放置せず、即座に対策を取られることを心の底からお薦めいたします。もうお気づきとは思いますが、金次郎家は無知だったが故に少し油断した僅かの期間でかなりヤバい状況に陥ってしまっております(涙)。そもそも第一に、ハトは空飛ぶネズミと呼ばれるほど不潔かつ寄生虫、細菌、ウイルスの温床で、鳥アレルギーからサルモネラ中毒、オウム病やクリプトコックス症などの危険な病気を羽毛や糞を通じて媒介することが知られており(金次郎は知りませんでしたが)、糞のせいで美観を損ねたり悪臭の被害が出ることもさることながら健康への影響が懸念される侮れぬ存在で、平和の象徴などと崇めたててばかりではいられないその恐るべき真の姿を認識する必要が有ります。そして厄介なことにハトは他の鳥と比較して強い帰巣本能を有しており、自分の巣だと見定めたお気に入りの場所には執着してしつこく戻ろうとする習性が有り、とにかくこの習性が発動する前にお気に入りの場所を嫌いな場所に変える対策を取ることが非常に重要となるようです。お気に入り度レベルとしては①休憩ハト、②待機ハト、③ねぐらハト、④営巣ハトという順番となり、この順番に滞在時間と糞の量が増えるのですが、④まで進行してしまうとハトの並々ならぬ執着心により、ハトが嫌いなニオイを発する市販の忌避剤では全く役に立たず、かなりのケースではマンションの外壁を傷つけることになる防鳥ネットを張り巡らすしか対策が無いという人類の敗北状態となりますので本当に本当に早めの対応が重要です。金次郎家は現在ハトが常駐しているわけではなく糞の量もそれ程多くはないものの、ハトが集めてきた20本程度の木の枝を片付けても直ぐに元の状態に戻してしまうという比較的強い執着心を示されており、やや希望的に評価して②と③の間ぐらいの状況と思われ、慌てて購入した忌避剤(固形タイプ)を置きまくり、1時間おきに姿を見せ、ここは人間がいつもうろうろする危険な場所であることをハトにアピールしている悲しい状況です。前日に撤去した木の枝が翌朝には完全復活し、その巣らしきものの上でほくほくしてくつろいでいるハトを目の当たりにした妻は呆然としながら「ショック・・・。」とつぶやいておりました。ネットを見ると、ハトと闘っている同志の皆さんはかなりの確率で前日の作業が無になる衝撃を経験されているようで、この闘いの厳しさを痛感する次第です。とにかく数か月前は①の状態だったと思いますので、あそこできちんと対策をしていれば、という後悔先に立たずの日々を過ごしております(涙)。

また、こちらも反省ですが、ハトは自分の糞が存在していることでその場所が安全と判断しているらしいので、とにかく糞は僅かであっても見つけ次第徹底的に取り除く対策が有効だそうです。その際、感染対策をしっかりやっておかないと上述の感染症に罹患するリスクが有るため、マスク、ゴーグル、ゴム手袋等の準備を怠らぬようくれぐれもお気をつけ下さい。うちはまだ④となって卵が孵化したような形跡は無く、現在定期的に訪問してくるヤツが死んでしまえば一件落着なのだろうと思いハトの寿命を調べたところ、なんと10年生きると知り愕然といたしました。ちなみに卵を産み付けられてしまうと、それを勝手に処分すると鳥獣保護法違反に問われるリスクが有りますのでご注意下さい。なぜ危険な感染症をまき散らすハトがそんなにも保護されているのかやや理解に苦しみますね。なんとなく、以前紹介した「鳩の撃退法」(佐藤正午著)には実際のハト対策には1ミリも触れられていなかったな、と今更思い返しております。

さて本の紹介です。「世界を変えた14の密約」(ジャック・ペレッティ著 文藝春秋)は気鋭のジャーナリストである著者が綿密な取材を通じて得た知見を基に、よくある陰謀論的な怪しげなタッチでなく、実際に少数者の密かな合意によって世界が変わり歴史が動いた14の事例を淡々と解説する内容となっております。ペイパルマフィア達による現金を消滅させる決意はコロナ時代を経てより実現が加速し金融機関の影響力を着実に奪っていますし、BMIの基準値を下げて肥満対策の様々なビジネス機会を生み出そうとした試みは見事に成功しているように見えます。家電が定期的に故障するビジネスモデルは最初に電球の寿命を6か月と定めた1932年の時点で既に始まっていたということを知り、エレクトロニクス産業は生まれつきそんなことをやっていたのかと愕然としてしまいます。中でも、学校側の負荷を下げることも視野に、子供の様々な行動を細分化してたくさんの〈異常〉を作り出し、病名を付けて薬漬けにするというのはなかなか悲しく受け入れがたい現実だなと感じました。その他にも、〈投機リスク〉、〈租税回避のカラクリ〉、〈改革されない働き方〉、〈新自由主義の誕生〉などに関する興味深い密約の数々が紹介されていますので、怪しいと敬遠せずに先ずはご一読されることをお薦めいたします。

「海の見える理髪店」(荻原浩著 集英社)は家族をテーマにした6作が収められた短編集であり、著者が5度目の候補作入りでようやく直木賞を受賞した作品でもあります。どの短編もどことなく元気を失った主人公が絵画、手紙、時計、ビデオ動画といった時の流れや過去を感じさせる題材と向き合うことを通じて様々なものを呑みこみつつ前を向くという、人生らしい人生を描く内容で、なかなかに中年の心にじんわりと沁みてきます。短い物語の中で驚かされる衝撃も有りストーリーが二転三転する展開の妙にも唸らされる「海の見える理髪店」、娘を失った中年夫婦が気持ちの踏ん切りを付けるために若者に交じって成人式に参加する泣き笑いが秀逸な「成人式」が特に気に入りました。人生にはいいことも良くないこともそれなりに起こるのが当たり前なわけで、ハッピーでないことが起こったらそれを短絡的に心の傷や治療して取り除くべき精神的苦痛と直ぐに認識しようとする昨今の風潮に疑問を感じておりましたので、そういう意味でも共感するところ大の一冊でした。

「生き抜くためのドストエフスキー入門」(佐藤優著 新潮社)は超ロシア通の著者によるドストエフスキー五大長編の解説書です。金次郎は「罪と罰」、「白痴」、「悪霊」、「未成年」、「カラマーゾフの兄弟」の何れも読了しておりますが、ロシア正教や大地礼賛のような所謂〈ロシア的〉なものについての理解が不十分なために、当たり前ですがこの文豪の遺した歴史的傑作に込められた深いテーマを5%も読み取れていなかった事実を突き付けられ若干凹む内容でした。知の巨人佐藤先生の本を読むといつも凹むのですが(笑)。プーチンのウクライナへの執着の背景理解も深まりますし、神学部卒の佐藤先生らしいロシア正教を切り口とした解説は非常に新鮮で、宗教観を押さえた上での「カラマーゾフ~」のクライマックスである「大審問官」部分の精読はなかなか読み応えが有りました。これを機に五大長編を頭から読み直そうかなという恐ろしい考えが浮かんできて我ながらぞっとしましたが、そういえば「戦争と平和」も読もうと思っていたんだった。。。

ハトとの闘いは続いていますが、ここ数日姿を見ていません。でも雨天の際は行動パターンが違うようなので、早めの梅雨入りをしたお天気のせいかもしれず、まだまだ油断はできません。


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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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