「灯火親しむべし」の読書の秋に文学女子に本を紹介

このところ突然めっきり涼しくなり、あっという間に夏から秋に季節が変わったことに慌てて、買ったのに着ていない半袖Tシャツをファッションショーのように次々と着用してそそくさと散歩に出たりしております。いつになったら制約無く外出できるようになるのか不透明な中、短い秋のために今年は秋服をどれだけ買うべきか、本当に悩ましい。

秋といえば、「○○の秋」が浮かびますが、いくつかアンケート結果をみてみると圧倒的に支持されているのが「食欲の秋」で日本人の6割以上が先ずはこれをイメージするようです。それに続くのが紅葉、行楽、実り、芸術、スポーツなどですが、「読書の秋」もバラつきは有るものの2位とか4位には食い込んでいます。そもそもなぜ読書の秋かというと、まとまった時間の取れる秋の夜長に、季節が良くなって高まった集中力を以て読書しましょう、ということのようで、8世紀中国の韓愈という人の符読書城南詩という漢詩に由来しており、「灯火親しむべし」(秋は夜が長くなったので明かりをともして読書にいそしもう)という句があるそうです。

ということで、突然秋になったので突然ではありますが、恒例の文学女子への本の紹介企画読書の秋編をやろうと思います。まぁ金次郎も読書の弟子の文学女子ABさん(中2)も本の虫ですので、盛夏だろうが秋だろうが正月だろうが本は読むわけですが(笑)。この企画もなんと第8弾となりますが、小学生から中学生となり、中2の夏も越えて成長するにつれ読書の趣味もどんどん変わっていると思われる弟子たちのニーズに応えられているか相当不安では有ります。また、この企画で紹介した本、ブログに載せた本、E美容師に紹介して美容室図書として並んでいる本を合わせるとかなりの量になるので、自分でも正直どの本が紹介済みなのかについてやや混乱してしまっているところもありますが、とりあえず開き直って面白かった本を以下に並べてみようと思います。

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「琥珀の夏」(辻村深月著 文芸春秋):辻村先生の最新長編である本作は、大人がいかに子供と向き合うべきかという答えの無いテーマに挑んだなかなかに考えさせられる作品です。内容はやや重いですが、著者にしては珍しく子供の視点が中心の作品なので、ABさんは金次郎とは違う読み方をするのではないかと期待を込めて推薦しました。作中に登場する幼稚園児が大人過ぎると思うのですが、イマドキの園児はそんな感じなのでしょうか?

「白いしるし」(西加奈子著 新潮社):少し大人の恋愛小説ですが、芸術家同士の恋愛の感性が鋭過ぎてもはや異次元の世界の話であり、よく理解できないという意味では金次郎も中学生も同レベルかと思います(笑)。そんなにお互いの気持ちを分析しまくって、やたらと言葉にしてしまったら辛くてたまらなくなると思うのですが、どんなに傷ついても目の前の現実を魂で感じて自分なりのやり方で表現するのが芸術家の業なのだとしたら本当に凡人でよかったなと思います(笑)。

「砂漠」(伊坂幸太郎著 実業之日本社):金次郎が最初に読んだ伊坂作品であり、今に至るまでずっと一番好きな伊坂作品であり続けている本作は、5人の大学生の成長を描いた青春小説です。社会という砂漠を目前にした大学生の不安定な心の内を理解するのは中学生にはやや難易度高いようにも思いますが、とにかくぶれない西嶋の生き様など心に残る場面の多い名作です。

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