【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2022予想対決の結果を発表!

早速ですが、4月6日(水)の15:30に発表となりました今年の本屋大賞作品は逢坂冬馬先生のデビュー作「同志少女よ、敵を撃て」早川書房)となりました!逢坂先生のウクライナ戦争に対する深い悲しみ、プーチンでなくロシア国民が平和を願う気持ちを信じたいという強い思いが伝わってくる真摯な受賞スピーチが印象的でした。2位に100点以上の大差をつけての文句無しの受賞、逢坂先生おめでとうございます!

金次郎はロシアのウクライナ侵攻のプラスの影響は認識しつつも、侵攻(2月24日)と投票締め切り(2月28日)のリードタイムの短さから多くの書店員さんは投票に反映させられなかったと見て5位としたのですが、候補作10冊を全部読んで全作品への書評を添えないと投票が有効とならないルールが(我々もほぼ同じことをしていますw)、忙しい合間を縫っての作業となる書店員さんの重荷となり、必然的に投票がぎりぎりになった結果より多くの得票に繋がったものと分析しました。よく考えると、直前まで各候補作の売れ行きを睨みながら最終盤まで投票を引っ張り、その時点で一番売り上げアップが狙える作品に投票するのも商業的には合理的とも思えますので、次回は投票締め切り直前の時事ネタや各種ランキングなども加味して予想しようとノートに書き留めました。

一方のMは戦地となってしまったウクライナにも近いドイツ在住であり、この危機を直接肌で感じて心を痛め、戦争を題材として描いているとはいえエンタメ要素も盛り込んだことに起因する不充分なリアリティへのネガティブな印象が影響し9位としてしまい予想対決という観点では大きなダメージを負うこととなりやや気の毒ではありました。

2位は「赤と青とエスキース」(青山美智子著 PHP研究所)で金次郎もMも構成の難から6位としたのですが、よくよく考えると勿論昨年2位の著者への期待もさることながら、候補作中唯一の恋愛を中心テーマとした作品であり、この点をやや過小評価してしまっていた感は否めません。とMに伝えたところ、いやいや「残月記」にも恋愛要素在りましたよ、と大賞に推して7位に沈んだ作品への執着を滲ませるあたりに彼の悔しさを感じました。

3位となったのは「スモールワールズ」(一穂ミチ著 講談社)で金次郎は大賞、Mは3位と予想しましたのでほぼ想定通りの結果でした。今回3位と渋い順位にとどまったことで、著者が後続作品をどんどん世に出していることから、次回記念すべき第20回本屋大賞の獲得も狙えるポジショニングかと思います。こういう先入観は予想外しのもとなのですが(苦笑)。

さて、金次郎の溢れる喜びに読者の皆さんはもう薄々気づかれていると思いますが、はい、予想対決は金次郎の勝利となり戦績を2勝2敗のタイに持ち込みました。次回20回記念大会は勝ち越しを賭けた天王山となります。

ところで、本ブログの最初の読者であり校閲担当でもある妻ですら全く理解しておりませんので、よもや読者の皆さんの中にこの順位予想対決のルールをご存知な方はおられないと思います。折角ですので結果発表のついでに簡単に説明しますと、作品の予想順位と実際の順位の差の絶対値に(11-順位)を掛け合わせたものを合計し、合計点が少ない方が勝ちということになっております。具体的には、大賞となった「同志少女~」は金次郎が5位と予想したので|1―5|×10=40、一方Mは9位としてしまっており|1-9|×10=80となります。2位の「赤と青と~」はどちらも6位としたので|2-6|×9=36という具合ですね。これを全作品について計算し合計するわけですが、今回金次郎は148点、Mが207点となり、点数の少ない=特に上位の予想のずれが相手より少なかった金次郎の勝利!ということになります。ちなみにこのルールでの最高点は0点(大賞から10位まで全部当てるケース)、最低点は298点(どういうパターンか考えてみて下さいw)ということで200点越えのMはまずまず外した格好となっております(笑)。

以下、4位以降の順位と簡単なコメントです。

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【4位以降の順位】

4位(金4、M2)「正欲」(朝井リョウ著 新潮社):ダイバーシティの時流を捉えてはいるものの、更に一歩踏み込んだこのテーマで4位という結果はやはり朝井先生の底知れぬ筆力を証明していると思います。5年後に書かれていたら時代が追いついてもっと上位に入ったかもしれませんね。

5位(金3、M10)「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成著 KADOKAWA):ブランチBOOK大賞受賞作としては振るわず5位となりましたが、Mが指摘している通りややテーマが平板であったという点は正鵠を射ていると思います。リアル社会でも余りにも面接で見抜けなさ過ぎて縁故採用が微妙に復活しているようで興味深い。

6位(金9、M4)「夜が明ける」(西加奈子著 新潮社):渋い映画を盛り込んだ点や、ものまねバーでのディープな雰囲気などなかなかにチャレンジしている意欲作とは思うのですが、どうしても最後にアキがフィンランドに辿り着く展開の整合性と必然性が納得できず、二人そろってやや尻切れトンボ的な印象となりました。次はいつ長編を書いていただけるのか分かりませんが、「サラバ!」(小学館)を越える新たな代表作を期待したいところです。

7位(金10、M1)「残月記」(小田雅久仁著 双葉社):両者の予想が真っ二つに割れた今回の象徴的な作品でしたが、確かに知名度の低い作家をスターとして売り出したい書店としてのインセンティブはよく理解できるものの、あまりにも寡作過ぎてモメンタムが続いている間に次作が出ないリスクが高く推しづらいという側面は有るかとも思います。もし今年中に同様に読者を惹きつける次作が出るならば来年度は要注意になると思います。

8位(金8、M7)「硝子の塔の殺人」(知念実希人著 実業之日本社):これまでノミネートされた作品は全て8位の知念先生、普通のミステリーやファンタジーでの挑戦が奏功しておらず今回は趣向を変えて本格推理での上位進出を狙うも、やはり本格というジャンルの壁かまたもやジンクスを破れず8位となりました。妻は医師としての知念先生ファンで、何とか上位を取らせてあげたいと切望しておりますが、先生がどうやってジンクスを打破されるのか来年度が楽しみです。

9位(金2、M5)「黒牢城」(米澤穂信著 KADOKAWA):もうこれで完全に既にたくさん賞を取って売れている作品はどんなに内容が素晴らしくても上位には来ない鉄板法則確定です(笑)。よく調べていませんが、確かに直木賞と本屋大賞のダブル受賞はあまり見たことがありません。

10位(金7、M8)「星を掬う」(町田そのこ著 中央公論新社):やはり「52ヘルツ~」が素晴らしかったが故に若干の期待外れ感を否めず順位にもそれが正直に反映された結果となりました。次作には「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」(新潮社)のようなちょっとした謎で読者をどんどん引っ張る純粋に読んで面白い作品を期待いたします。

最大のイベントを終えて脱力感ですが、これからまた少し仕事が立て込んでくるので若干読書が疎かになるかもしれません。


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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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