金次郎、不朽の名作「釣りキチ三平」に思いを馳せる

先日、「釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝」(藤澤志穂子著 世界文化社)を読み、久々に不朽の名作である「釣りキチ三平」のことを思い出しました。小学生の頃にアニメの再放送を何度も観て、床屋さんに置いてあったコミックスを繰り返し読んで影響を受けまくり、友人と夢中になって近くの川や池で三平になりきって釣りに興じたのが思い出されます。釣りキチ三平のヒットを契機として急速に広まった当時の釣りブームは日本中を席巻していたと言っても過言ではなく、この作品によって釣りを普及させ文化として定着させた矢口先生の功績は計り知れないと感じます。気持ち悪い話で恐縮ですが、

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金次郎、懐かしの東京西部在住時代を振り返る

1991年の3月末に故郷の福岡を離れ上京してから既に32年が経過してしまっていて、そのスピードに慄然としますが、今回は金次郎がこの32年間に住んできた場所について振り返ってみることにいたします。何度か書いておりますが、金次郎が東京暮らしをスタートさせたのは渋谷区笹塚という京王線沿線の町でした。

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金次郎、超高性能な漢方入浴剤に出会う

中年になってから特に身体をしっかり温めたり、一日の疲れを取ってリラックスする目的でお風呂に入る際に入浴剤を使うことが多いのですが、これまではバスクリン社の〈きき湯〉のポカポカ効果が気に入ってしばらく使っておりました。それはそれで満足しているのですが、最近すすめられて使い始めた漢方入浴剤の効果がすごいので少し紹介してみたいと思います。それは〈御陰湯(おかげゆ)〉という商品で、ひと風呂浴びて約800円とべらぼうに高額なのですが、配合されている10種類の生薬の効き目なのか、身体が芯から温まりその効果が入浴後も長時間持続するのが、これまで使っていたものとは比べ物にならないレベルですごいです。

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金次郎、中学時代の恐怖体験を思い出す(後編)

前回のブログでは中学時代に情けないえせ半端ヤンキーであった金次郎が何の罪も無い真面目な友人T君を巻き添えにしながらチンピラ2名が運転する怪しげな改造車に乗せられたところまで書きました。続きが気になるとの感想を複数いただきありがたい限りです。この事件を思い出そうとしたことで、かなり喪失してしまったと思っていた中学時代の記憶が若干甦り、体育祭のクラス対抗リレーのメンバーであったT君が直前に腕を骨折してしまったにも関わらず、金次郎チームのアンカーは君しかいないとギブスをしたまま走ってもらったことを思い出し、T君には迷惑を掛けっぱなしであったと改めて申し訳ない気分でいっぱいになりました。さて、お待ちかねの拉致事件です(笑)。

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金次郎、謎のペルー在住アメリカ人メディシンマンと会話する

いつも英会話講師の話で恐縮です。ブログのネタ探しのためにレッスンを受け続けていると言っても過言ではないと自分でも薄々気づき始めておりますが(笑)、先日レッスンを受けたアメリカ人は現在ペルーのアマゾン川流域のジャングルに在住しており、そこでシャーマン(現地ではメディシンマンと呼称)をやっていると言っていました。彼はアメリカにいた当時金融関係の仕事をしており、特にリーマンショック前後の混乱期に強いストレスを受けたためPTSDを発症してしまい、抗鬱剤の過剰使用で精神的に非常に不安定な状態になってしまったそうです。

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金次郎、ダイムストアのドストエフスキーと称されるジム・トンプスン大先生に出会う

先日英会話のレッスンを受けたフィリピンのミンダナオ島在住アメリカ人の先生が週末に買ってきた新しい子犬が可愛いとご満悦の様子でした。ブリーダーのいる少し離れたダバオ市まで家族揃って子犬を買いにお出かけされたようで、うちの子は数万ペソだったが、別の犬種ならいくら、一番高いものは10万ペソ以上と、恐らく仕入れたばかりの情報を非常にテンション高く説明してくれました。お国柄なのか、そこはかとなくワンちゃんが粗雑に扱われている雰囲気を感じ悲しい気分となりましたが、更に突っ込んで何故新たに子犬を買うことになったかについて聞いてみたところ、悲しいだけでは済まされないホラーな現実を突きつけられる結果となりました。

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今回は、思い出深い「大草原の小さな家」づくし

福岡の田舎の公立高校に通っていた金次郎は、高3の春先に部活を引退した後に大学受験に向けた勉強を本格的に開始したのですが、色々と間に合っていなかったためにしばらく模試の成績も振るわずE判定を連発し、その遅れを取り戻すべく帰宅後にかなりの長時間自宅で勉強する生活を送っておりました。当時は精神的に頑丈だったのか、自ら定めた一日のノルマを終えるまでは眠らないという過酷な状況に自分を追い込んでおり、文字通り寸暇を惜しんで机に向かっていた記憶が有ります。そんな何の楽しみも無い苦行の日々を送る受験生金次郎の唯一の息抜きタイムが当時NHKで再放送をしていたドラマシリーズの「大草原の小さな家」をじっくり観て思う存分泣く、というものでした(笑)。

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金次郎、無趣味と思いきや意外と多趣味なことに気付く

読書をヘビーな趣味としている金次郎はなかなか他の趣味に手が出せずコロナで趣味と呼べそうなカラオケのハードルが上がった昨今では、テレビドラマやアニメ観賞、美味しい食事やスイーツ食べ歩きを軽めに楽しむというシンプルな暮らしをしております。いずれの活動もオタクの域には到底及ばず空き時間にちょこちょこやっているレベルですが、その程度の力の入れ方でも趣味認定できるなら、そういえばかれこれ30年ほど地味に競馬を楽しんでいることに改めて気づきました。1991年の上京当時は正に第二次競馬ブーム真っ盛りの頃で、スターホースのオグリキャップと武豊のコンビが第35回有馬記念を〈奇跡の復活劇〉で制した直後ということもあって、東京の流行には全く疎い福岡のおばちゃんであった母親から、東京では競馬の話ができないと話題についていけないらしいから勉強しなさい、と謎のアドバイスを何度もされたことを思い出しました。少し前のブログに登場したゼミ仲間のS君と勉強そっちのけで馬の話をしたことや、やや荒んでいた(笑)若手社会人時代に週末の度に朝から晩まで水道橋の馬券売り場や中山競馬場に入りびたっていたことが懐かしく思い出されます。下手の横好きレベルで馬券はあまり当たらないのに何がそんなに楽しいのかを考えてみると、与えられた膨大なデータを読み込んで自分なりに解釈し、それに多数の変動要因を重みづけしながら加味して仮説を作った上で、そこから導き出される予想と、世の中一般の予想を代表しているオッズとのギャップを機会と捉えてそのギャップに賭けるリスク・リターンが妥当かどうかを判断する、というプロセスそのものが好きなようです(笑)。こうして書き並べてみると、ビジネスにおける思考プロセスと非常に似通っている部分が有り、仕事が趣味を侵食しているのか、はたまた昔からの趣味である競馬が金次郎のビジネス思考の基盤となっているのか(不謹慎)微妙ですが、やっぱりあれこれと考え思いを巡らせるのは楽しく、楽しんでいるという意味では、色々と考えなくてはならないことが多く面倒な仕事も趣味的な活動の一つと言えるのかもしれず(?)、意外と多趣味な金次郎でした(笑)。ちなみに金次郎が重要視している競馬のデータは、それぞれの馬がどのぐらい強い相手とどういう勝負を過去にしているか、負けたレースに明確な敗因は有るか(道悪、出遅れなど)、斤量(=馬が背負う重さで騎手の体重も含む)において目立った有利不利は無いか、馬の能力の絶対値を示す過去レースでの走破タイム実績、競馬場との相性(右回り、左回り、最後の直線が長いなど)、などでしょうか。その他にも、体重の増減、調教の様子や厩舎情報から判断する調子の良し悪し、想定されるレース展開と脚質の相性、馬の血統的背景(これ好きな人多い)などなど考慮すべき要素は無限に有りますので、全てのデータを集めることも、ましてや予想を〈的中〉させることは絶対にできません(笑)。また、確率的にも胴元であるJRA様に3割を上納した後に残額を当たった人で分け合う仕組みですので期待値は低く、理論的には馬券を買い続ける程損をする構造になっており、金次郎も30年に亘る競馬人生でそれなりのマイナスを被っておりますが、それを代償としてたくさんの変動要素を含む事象をまかりなりにも腰を据えて分析する訓練を積むことができ、あらゆる情報が反映され市場メカニズムが働いた結果であるマーケット(競馬の場合はオッズ)に対し、自分の予想が正しく市場参加者は間違っているといった類の傲慢さを排して謙虚かつニュートラルに向き合えるようになったということで差し引きプラスと考えたいと思います。どんなことでも長年やっていると何某か役に立つものですね。

さて、前段がかなり長くなってしまいましたが(これでも相当削りました)、本題の本の紹介です。「蒼穹の昴」(浅田次郎著 講談社 )は中国の清朝末期を舞台に繰り広げられる西太后派と光緒帝派との政争や、清朝が西洋列強に日本を加えた外圧への対応に苦心する様子を描いた歴史小説です。物語は自ら宦官となり西太后に使える李春雲と、難関とされる科挙にトップ合格し光緒帝の改革を支える官僚となった梁文秀という運命のいたずらで敵味方に分かれる義兄弟を軸に展開していきますが、守旧派である筈の春雲が従うべき天命に必死に抗い、逆に改革派である文秀が天命を受けた皇帝に尽くすというねじれた構造になっていることが、それぞれの葛藤を深めストーリーに味わいを加えていると感じました。また、一般的な歴史認識では権力に執着し国家財政を私物化した残虐非道な悪女とされる西太后慈禧が実は周囲の皇族が頼りないが故に清朝を守るべくやりたくもない政治に取り組まざるを得なかったとの設定となっており、「当時清朝宮廷に男は西太后しかいなかった」という外交官コメントにも結構リアリティが有ってなかなか興味深いです。この機会に「西太后秘録 近代中国の創始者」(ユン・チアン著 講談社 )を再読してみましたが、強まる外圧に対抗するために義和団に頼ってしまった失政はさておいても、西太后は細やかな気遣いもできる辣腕政治家との評価で、20世紀に入った統治終盤では議会制度を取り入れた立憲君主制を導入しようとする程の開明的人物との歴史認識が提示されており、初読の際に意外で驚いたことを思い出しました。忘れていたのが悲しいですが(涙)。一方、「蒼穹の~」では日清戦争後の下関会議全権として伊藤博文公と渡り合った教科書でもお馴染みの李鴻章が、文武に秀で海外からも尊敬を集めるスーパーマンであり、かつ非常にロマンチックな人物として描写されているのに対し、「西太后~」では主体性の無い典型的な官僚として登場していて違いが結構面白いです。袁世凱はどちらの作品にも狡猾な小物として描かれていて歴史認識通りでした。「蒼穹の~」は続編のシリーズ作品が有るようなので、こちらも読まねばです。

「此の世の果ての殺人」(荒木あかね著 講談社)は満場一致で江戸川乱歩賞を受賞したミステリーの秀作です。小惑星テロスが間もなく地球に、しかも日本の熊本付近に衝突すると発表され全世界が大混乱に陥る中で、大宰府在住(懐かしい)の主人公小春が、勿論誰も免許など交付してくれないにも関わらず、自動車教習所に通い元刑事の変人教官イサガワに淡々と真面目に運転の指導を受けている状況が非現実シチュエーションの中での更に有り得なさそうな行動という一周回った不思議な感覚でいきなり物語に引き込まれました。その後二人は大多数の人が希望を失くして荒んでしまった世界で、連続殺人事件の謎を追うことになるのですが、どうせもうすぐ皆死んでしまう世界で何故敢えて殺人を犯さねばならないのか、何故その殺人を更にわざわざ捜査しなければならないのか、登場人物それぞれの動機が非現実的な世界で巧い具合に説得力を持って成立しているところが絶妙だなと感じました。

以前ドラマでの清原果耶さん演じる城塚翡翠がイメージと違うとこのブログで書きましたが、続けて観ているうちにイラっとさせる彼女のおとぼけキャラがクセになりつつあります。脇を固める小芝風花さんの演技が意外といい味を出していてこちらも気に入っております。


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金次郎、大学時代のゼミ仲間と旧交を温め20代に戻る

先週、数年ぶりで大学時代のゼミの仲間4人で集まる機会が有りました。公務員、銀行員、商社、自営業というメンバーで、ゼミの研究テーマも国際金融だったことから、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する世界的なインフレと久方ぶりの金利上昇局面への対応、不動産不調などに起因する中国経済停滞懸念、暗号通貨大手FTX破綻のグローバル金融市場への影響等マクロ経済のダイナミクスについて語り合ったかと思いきや、最初の話題は自営業O君の相続税対策はどうなっているの?という非常にミクロなものでした(笑)。その後、医学部志望の息子が私立に入ったら3千万かかるけどどうしようという銀行員S君に、下の娘さんも私大の医学部に行きたがったら併せて6千万円で破産だねと他人事なのをいいことに茶化したり、娘が駅まで車で送ってもらう時しか自分の顔を見ないとこぼす公務員のI君にそれはアッシーだと言って古過ぎると突っ込まれたり、あと約10年で定年だ、いや銀行員はもっと早くて大変だ、公務員は天下りができて羨ましい、いや最近はそういうのはあまり無い等と非常にしょーもないオヤジ話を連発いたしました(苦笑)。そしてその後は、武道の型のように毎回必ず定型で繰り返される学生時代の思い出話をネタ1からネタ10まで話終えて国際金融のコの字にも触れることなく、あっという間だったねー、と等と言いながら皆満足して帰路に着くいつもの展開でした。そのネタというのも、他大学とのインゼミ発表会に出てきたK大のあいつはちゃんと勉強していてムカついたとか、銀行に就職しますとゼミの先生に報告したら、これから銀行は大変なことになりますけど大丈夫ですかと言われその通りになって先生は凄いと思ったがもっと早く教えて欲しかったとか、ゼミの勉強もせずに通い詰め鼻から割り箸をぶら下げて遊んだカラオケボックスまだ有るかなぁ、いや絶対無いからとか、卒論不要のゼミなのがいいところなのに卒論を書いたあいつは異常だ等の非常にくだらない話でここで書いていてやや恥ずかしくなってきました(汗)。言いたかったことは、どんなに間が空いていても、再会すると一瞬で20代の気分に戻って、毎回同じくだらないことを繰り返し話すだけで楽しい時間を共に過ごすことのできる友人の存在は、これが死ぬまで続けられるんだろうなというイメージが湧くようになった最近特に貴重だなと感じている、というしみじみ感です。20代の頃に想像していた風格、財力、落ち着きを兼ね備えた50代像とかけ離れている点は、このまま死ぬまで円熟すること無くチャラく生き続ける軽めの人生を想起させやや情けないですがまぁ仕方無いですね(笑)。ところで今回の会合は久々の訪問となった名店いわ瀬で開催したのですが、改装がされていたり、元々美味しかったお料理に更に工夫が凝らされていたりと、コロナに負けないポジティブな気概を感じ元気をもらいました。マダムもお元気で相変わらず何かと世話を焼いていただき、こちらでも変わらず在り続けるものの有難みを感じ嬉しかったです。ちなみに金次郎が年齢を伝えた際にマダムが必ずしてくださる、うちの娘と同じじゃないのー、という鉄板のリアクションに心が和みました(笑)。

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金次郎、かつてお世話になった方も五十肩だったのではとの閃きに打たれる

五十歳になったからというわけではないのでしょうが、半年ほど前から五十肩が私の左肩をむしばんでおり、この病が全くバカにできない辛さで苦しんでおります。とにかく寝ている間も容赦なく痛みが襲ってくるために、特に眠りが浅くなった時は目が覚めがちでなかなか熟睡できません。また、左を下にして寝るのは以ての外ですが、痛くない右を下にする場合にも微妙な左肩の位置調整が必要で寝返りのフレキシビリティが極端に落ち、棺桶の中の死体のようにまっすぐな状態で横になり続けねばならず全然リラックスできず眠っても疲れが取れません。起きている間も、髪を洗っている時、洗顔している時、お風呂掃除をしている時、タクシーでお金を払おうとする時、電車でつり革につかまろうとする時、会社執務室に入る際に社員証をセンサーにかざそうとする時、などなど生活のふとした場面で想定外かつ30秒ほど持続する激痛に襲われうずくまりたくなることもしばしばで、もうだいぶ慣れたとはいえなかなかに厳しい状況です。数年前の右の五十肩の際は人生50年弱にして初のレフトハンドお尻拭きという事態となり、足の指にペンを挟んで字を書くレベルの不便を味わいましたが、今回その点だけは影響出ず良かったなと思っております(苦笑)。妻と共に通っている整体での施術、その先生の薦めで毎晩やっているお灸、耐えられない程痛くなった際の最後の手段である整形外科での注射を組み合わせてなんとか早く治そうと頑張っている今日この頃です。そんな中、ある朝スーツのズボンをはこうとしていた際にどうにも右側のシャツがズボンに上手くインできず、このままではだらしない中年になってしまうと焦っていたのですが、ふと20代の頃にお世話になったお客さんでいつもシャツがはみ出していたO部長のことを思い出しました。駆け出しの金次郎を可愛がっていただきましたし、尊敬もしていたものの、正直心の中でこの人いつもよれよれだなぁ、と思いながら打ち合わせなどに臨んでいたのですが、まさかOさんは、五十肩が痛すぎてシャツをインできなかっただけなのでは、という突然の閃きに打たれ、自らの浅はかさを呪いました。Oさん、申し訳ございませんでした。でも、よくよく思い出してみると、Oさんはシャツをインできない重症五十肩の患者にはイメージするだけで激痛が走るゴルフを頻繁にプレイされていた記憶が蘇り、やっぱりだらしないだけだった可能性が非常に高いと思い直しほっといたしました(笑)。会社や町中で通常でない行為をしている人がいるぞ、と思っても、そのような隠れた事情をお持ちの可能性も有り、危ない人がいるから逃げろ!と決めつける前にもう少し想像力を働かせる必要が有るなと気づいた朝でした。

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金次郎、エリザベス女王陛下を追悼する

英国のエリザベス女王が96歳で亡くなりました。国民への献身を誓い、70年間その誓いを守り続けてこられた、一国の君主として尊敬に値する存在であったと思います。気難しい印象も無いわけではないですが、実際はとてもチャーミングな方だったようで、長年護衛を務めたSPと共に別荘の近くを散策されていた時に、米国人旅行者のハイカーと遭遇した際のエピソードがネット記事で紹介されていました。普通にお互い挨拶を交わした後、米国人がこのあたりにお住まいですかと尋ねたところ、山の向こうの別荘に80年ほど通っていますと女王。それではこの辺にお住まいのエリザベス女王に会ったことが有るのでは、と米国人が全く気付かずに尋ねると、私は有りませんがこの人(護衛官)は有るようですよ、としれっと答える女王。女王はどんな方でしたかと問われた護衛官は如才無く、ユーモアのセンスたっぷりな方でした、と返答したとの由。この旅行者は事も有ろうに、記念に女王陛下に会ったことの有る護衛官との写真を撮ってくれ、とエリザベス女王自身に頼むというウルトラKYの展開になったそうで背筋が凍りますね(笑)。おばあちゃんもついでに、ということで女王も一緒に写真に納まり別れた後、護衛官に、おまけの写真に写っている自分が女王だとあの人たちが気付くところを見たくてたまらない、と仰ったとのことで、茶目っ気たっぷりで非常に可愛らしい一面だと感じました。

エリザベス女王は、歴史的にみて偉大な王に贈られる〈大王=The Great〉の称号にふさわしい存在とされているようですが、歴史上でもヨーロッパで大王や大帝と呼ばれているのはアレクサンダー大王やフリードリッヒ大王、カール大帝やイヴァン、ピョートル、エカテリーナのロシア皇帝など数える程しかいません。ブリテン島という意味では、太陽の沈まぬ帝国を統治したヴィクトリア女王でさえ大王とは呼ばれていない中、仮にそういう認識が定着すれば9世紀のウェセックス王であったアルフレッド大王以来史上2人目の〈エリザベス大王〉ということになり、征服者に与えられがちなこの称号を、君臨すれども統治せずでたいした権力を持たなかった彼女が平和への希求と国民への献身のみによって手にするというのは、なかなかいい話だなと思いました。女王にはチャールズ、アンドリュー、エドワード、アンという4人の子女、更に8人の孫と12人のひ孫がおり、日本の皇室とは違いなかなかの安定感で羨ましい限りです。チャールズ皇太子は即位してチャールズ3世となり、ウィリアム王子は皇太子としてコンウォル・ケンブリッジ侯を名乗ると同時にPrince of Walesの地位を新国王から与えられたとのことです。知りませんでしたが、この地位は王位継承順位1位に自動的に与えられるものではないとのこと。そして、新たにQueen Consort(王妃)となったカミラ夫人がこれまで遠慮して名乗っていなかったPrincess of Walesの称号がキャサリン妃に与えられ、ダイアナ妃以来久々に英国にこの肩書が登場することになります。ちなみに2位以降はジョージ王子(9歳)、シャーロット王女(7)、ルイ王子(3)とウィリアム家の子女が続き、その後は意外にもまだサセックス公であるハリー王子(37)とその子女のアーチー王子(3)、リリベット王女(1)と続いていきます。リリベットはエリザベスに因んで名づけられていると思うので、彼らの確執を考えるとなかなかに意味深なネーミングと感じました。

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金次郎、はじめましての高校同級生と銀座でおでんを食べる

先日、高校時代の友人M君と、そのM君の知り合いで、金次郎が高校時代に一度も話したことの無かった同じく高校同学年のKさんと3人で飲むというなかなか珍しい会が有りました。高校は一応共学だったのですが、金次郎は3年間男子クラスという運命のいたずらにより、今回はじめましてと挨拶を交わしたKさんは勿論、在学中ほぼ女子と会話をしない青春時代を送るという悲しい高校生活でございました。その悲しみ故か当時の記憶がかなり薄く、M君からは成績のことにしか興味が無かった薄情者とのレッテルを貼られ未だにイジられておりますが(苦笑)、当日はそんな記憶の空白を埋めるべく同級生や先生たちの様々な情報を教えていただき、自分が如何にマイナーな存在であったかを再認識して悲しくなりつつも、大変有意義な会となりました。中でも、英語のK先生がそんなにモテモテだったとは大変意外で驚きましたし、最近ご結婚されたお相手が金次郎の印象にも残っている同級生の女子と聞かされ二度びっくりいたしました。

銀座の雑居ビルの地下に有る謎のおでん屋ゆうゆうじてきというお店のカウンターで日本酒をちびちび飲みながらお互いの近況などを取り留めなく話していたのですが、金次郎同様M君もやっているオンライン英会話レッスンについて話していたところ、同じくカウンターで近くに座っていた常連っぽいお客さんが自分も英語が上手くなりたい、とかなりの勢いで会話に参加してこられました。なんとその方は10年以上外資系の半導体関連の会社にお勤めのようなのですが、その間ずっと英語での社内会議の内容が殆ど分からない状態を継続しているという鋼メンタルの持ち主で、いったいどうやって乗り切っているのかと尋ねたところ、タイミングを見計らってアイシー、アンダストゥッドを適当に繰り出してお茶を濁してやり過ごしているそうで、中途半端に勉強している我々からすると寧ろリスペクトしたくなるような強者ぶりに驚愕しました。それで10数年やってこられたのなら今更勉強せずとももう大丈夫なのでは?と聞いたところ、いや最近さすがに厳しくなってきてストレスだ、とのことで、その辺の微妙な線引きの基準が全く理解できなかったものの、金次郎のやっているDMM英会話はとてもフレキシブルだしレッスンマテリアルも充実しているのでいいですよ、とお薦めしておきました。そんなマテリアルの中にちょっと面白いものが有ったので紹介します。ネットでよく使うwwwを英語のスラングではLOL(laugh out loud)と表現する話は以前このブログでも書きましたが、他の言語バージョンも最近解説されていました。フランス語ではMDRとなるようで、これは笑い死にしたという意味のmort de rireの省略形、ポルトガル語では、笑う・笑い声を意味するrisosの略でRSを使うようです。ペルシャ語圏のイランでは、私は笑っている、という意味のman khandeh mikonam」の省略のMKM、スウェーデン語では激しく笑うを意味するasgarvの省略形であるASGを使うとのこと。また、笑い声を表すhahahaはスペイン語ではじぇじぇじぇ風のjajajaとなり、なんとタイ語ではその発音から555と書くとのことで、当然ですがwww以外のどれを見ても全く面白い気がしないのに外国人はそれらの省略形を見てニヤっとするのかと想像するとちょっと笑えるなと思いました。

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金次郎、「峠」(司馬遼太郎著)を読んで新潟に出陣

先週機会が有り人生で初めて新潟県を訪問いたしました。浅学で恥ずかしいのですが、新潟については田中角栄元首相、上杉謙信、米どころ、ぐらいしか知識が無く、そもそも上越新幹線で東京駅からわずか2時間で新潟駅までたどり着ける距離感に驚かされるところから始まる素人丸出しの旅となりました。新潟に行くならと、会社の先輩に薦めていただいた司馬遼太郎大先生の「峠」(新潮社 )を事前に読んでいたおかげで、辛うじてこの新幹線が進んでいるあたりを主人公河井継之助が歩いていたのかなとイメージすることぐらいはできましたが、それ以上何かを考えて掘り下げる取っ掛かりも無く、間抜けのように東京駅のホームで買った駅弁を食べ、ぼーっとしながら越後湯沢、燕三条、長岡といった途中の駅の風景を眺めつつ、長岡から新潟は意外と遠いなというようなことを道中考えておりました。

そういえば、「峠」も幕末の長岡藩で下級武士から筆頭家老へと異例の出世を遂げ、戊辰戦争最大の激戦とも言われる北越戦争において新政府軍との闘いを指揮した異才河井継之助の人生を描いた物語で、越後の話ではあるものの微妙に新潟ではないな、と準備の不備にやや悲しくなったりもしました(苦笑)。勿論そんな金次郎の落胆とこの名作の価値は無関係で、発想や思想の幅は同時代人随一と呼べるほど開明的であったにも関わらず、信奉する陽明学の影響からか、重要な局面で継之助が見せる自らの長岡藩士という立場に拘る頑迷固陋ぶりはそれと非常に対照的で、坂本龍馬のようにシンプル&ストレートでないこの人物の複雑な多面性が伺え、それを苦心して描いている司馬先生のイメージも浮かんできて非常に面白く読めました。継之助がかなり偏屈で面倒臭い天才であったことは間違いなく、周囲の人はさぞや苦労しただろうと同情しますし、お墓が作られては壊されるというのを何度も繰り返しているエピソードが彼に対する賛否両論の激しさをよく表していて、そんな個性的なキャラの人に会ってみたかったような絶対に関わりたくないような少し不思議な気分にさせられる読後感でもありました。

若干話がそれましたが、いや読書ブログなのでそれてないのですが(笑)、旅の話に戻りますと、新潟と長岡は新幹線で20分ぐらい離れているちょっと違う場所だぞと最後に気づいた金次郎の絶望は結果的に杞憂となり、奇跡的にクライアントが長岡出身の方で、この本を読んでいたことが奏功したのか(先輩、ありがとうございます)、仕事の話はスムーズに進み、その後の飲み会も盛り上がった楽しいものとなりました。新潟は冬は寒く年中風が強く吹く土地柄で、女性が気もお酒も強くしっかりされていることから、〈新潟の杉と男は育たない〉、というのが新潟の特徴を端的に示す有名な表現だというようなお話をうかがいながら地元の特産品や美味しい日本酒をたらふく食べて飲んだのですが、中でも名物の油揚げは美味でしたし、北雪酒造の純米大吟醸YK35というお酒は芳醇かつフルーティーで、たくさん日本酒を飲んだ一週間にあっても最高の逸品だったと思います。そして、何の変哲も無くさらりと供される締めの白飯の旨いことといったらなく、普通の牛丼チェーン店でも米が不味いとすぐ潰れるという米どころ新潟の底力を垣間見た気分でした。唯一の心残りは、名物茶豆の季節に少しだけ早かった点で、何とか近いうちにまた機会を作って再訪したいところです。

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金次郎、「幸村を討て」で真田家ものに初挑戦

6月に入り出社する回数が増え、会食の機会もそれなりに増えてきました。同僚は海外出張をどんどん再開していますし、逆に海外から日本に出張に来られる方も急激に増えているように思います。そんな中、最近何だか分からないが苦しくて仕方が無いというような、原因不明のストレスを感じどうしたものかと思っておりましたが、ある時ふとその理由に気づきました。このブログを書き始めたのが2019年の12月で、最初の頃は書き溜めていたネタや読書感想を活用してちょっと短めの投稿をしていたのですが、次第に感想のストックが尽きる一方で、誌面を埋めようと書き始めた読書と関係の無い思い出や過去の面白体験、折に触れての雑感などを適当に並べたよもやま話のボリュームがどんどん増えるという迷走が始まりました(苦笑)。ところが、色々と感想を聞いてみると、なんとそのよもやま部分しか読まないという謎の読者が結構多いことが判明し、それら読者への忖度から意外と書くのに時間を要するよもやま部分を捻りだすのに四苦八苦するという本末転倒の状態に陥り迷走の度を強めておりました。それなりの読書もしながらこのブログの定期的な発信が続けてこられたのは、ひとえにコロナ禍での在宅勤務と会食件数の激減で身支度+通勤時間と夜の時間を読書とブログにフルに活用できていたためだったわけですが、それに気付かず通常モードに戻りつつある中でもこれまでの読書&ブログ更新ペースを維持しようとした結果、どうにも時間が捻出できず、自分の生活がなんだか回っていないぞという焦りがストレスに繋がっていたと漸く自覚したという次第です。とりあえず読書量を減らすと時間に余裕は出るのですが、そうするとブログに書ける読書感想のネタも減るのでそれは避けたい、かと言って毎週読んで下さっている有難い読者の方のことを考えると頻度も落としたくない、と出口の見えない袋小路にはまり込んだ気分で地味に悩んでおります。思いつく解決策としては、①奇跡的に英語が上達して英会話レッスンの頻度を減らせる、②妻の股関節が更によくなってやや遠方の治療院に付き添う回数が減る、③睡眠時間を削る、④夜の会食を通じ刺激的なネタが大量に入ってきて悩むことなくよもやま話を短時間で仕上げられる、⑤ここで紹介したくなるような面白い本を注意深く厳選して読む、などが有りますが、体に悪いのでなるべく③は避け①②④が起こるよう天恵を待とうと思います。(笑)

ところで海外からの訪問者ということで、久々にシンガポール在住の友人と会い、以前ちょっとここで紹介した銀座の鮨わたなべにて旧交を温めました。さすがは寿司の神様の最後の弟子、〆アジに始まりアナゴで締める伝統的な仕事は勿論申し分無い上に、子持ち昆布のウニソースがけという創作スペシャリテが絶品で、還暦を過ぎても弛まぬチャレンジを続けられている親方の姿勢に感銘を受けました。もっと色々書きたいのですが、あまり書き過ぎると寿司ブログとなってしまうのでこの辺でやめておきます。我々が食事をしている間にうちの妻と彼の奥様はオンライン飲み会をして盛り上がっており、粋に寿司を食べてさっと帰宅したところ、帰ってくるのが早すぎると非難ごうごうでした。近いうちに心置きなく四人で集まりたいところです。

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金次郎、リアル「ハトの撃退法」を研究する

半年ほど前でしたか、うちのマンションでハトの害が発生していると住人の方から聞き、慌ててベランダとエアコン室外機置場の2か所を確認したのですが、その際は特段ハトの痕跡は有りませんでした。ハトは人の出入りが少なく、薄汚れて散らかっているところを安全と認識してお気に入りの場所とするようで、以前このブログで紹介したように、特にベランダは金次郎が趣味で頻繁に掃除しており、ハトに付け込まれる隙は無く、申し訳無きも他の住人の方は掃除をサボっていたところをハトに狙われた自業自得であろう、とかなりの上から目線で余裕をかましておりました。数か月前に確認した際もベランダは全く問題無く、室外機置場も若干の木の枝とごく少量の糞が確認されるのみで別段問題は無いように見え、妻の股関節痛のことも有り具体的な対策は取らず放置しておりました。

これを読まれている皆さん、絶対に木の枝と糞を見つけたら放置せず、即座に対策を取られることを心の底からお薦めいたします。もうお気づきとは思いますが、金次郎家は無知だったが故に少し油断した僅かの期間でかなりヤバい状況に陥ってしまっております(涙)。そもそも第一に、ハトは空飛ぶネズミと呼ばれるほど不潔かつ寄生虫、細菌、ウイルスの温床で、鳥アレルギーからサルモネラ中毒、オウム病やクリプトコックス症などの危険な病気を羽毛や糞を通じて媒介することが知られており(金次郎は知りませんでしたが)、糞のせいで美観を損ねたり悪臭の被害が出ることもさることながら健康への影響が懸念される侮れぬ存在で、平和の象徴などと崇めたててばかりではいられないその恐るべき真の姿を認識する必要が有ります。そして厄介なことにハトは他の鳥と比較して強い帰巣本能を有しており、自分の巣だと見定めたお気に入りの場所には執着してしつこく戻ろうとする習性が有り、とにかくこの習性が発動する前にお気に入りの場所を嫌いな場所に変える対策を取ることが非常に重要となるようです。お気に入り度レベルとしては①休憩ハト、②待機ハト、③ねぐらハト、④営巣ハトという順番となり、この順番に滞在時間と糞の量が増えるのですが、④まで進行してしまうとハトの並々ならぬ執着心により、ハトが嫌いなニオイを発する市販の忌避剤では全く役に立たず、かなりのケースではマンションの外壁を傷つけることになる防鳥ネットを張り巡らすしか対策が無いという人類の敗北状態となりますので本当に本当に早めの対応が重要です。金次郎家は現在ハトが常駐しているわけではなく糞の量もそれ程多くはないものの、ハトが集めてきた20本程度の木の枝を片付けても直ぐに元の状態に戻してしまうという比較的強い執着心を示されており、やや希望的に評価して②と③の間ぐらいの状況と思われ、慌てて購入した忌避剤(固形タイプ)を置きまくり、1時間おきに姿を見せ、ここは人間がいつもうろうろする危険な場所であることをハトにアピールしている悲しい状況です。前日に撤去した木の枝が翌朝には完全復活し、その巣らしきものの上でほくほくしてくつろいでいるハトを目の当たりにした妻は呆然としながら「ショック・・・。」とつぶやいておりました。ネットを見ると、ハトと闘っている同志の皆さんはかなりの確率で前日の作業が無になる衝撃を経験されているようで、この闘いの厳しさを痛感する次第です。とにかく数か月前は①の状態だったと思いますので、あそこできちんと対策をしていれば、という後悔先に立たずの日々を過ごしております(涙)。

また、こちらも反省ですが、ハトは自分の糞が存在していることでその場所が安全と判断しているらしいので、とにかく糞は僅かであっても見つけ次第徹底的に取り除く対策が有効だそうです。その際、感染対策をしっかりやっておかないと上述の感染症に罹患するリスクが有るため、マスク、ゴーグル、ゴム手袋等の準備を怠らぬようくれぐれもお気をつけ下さい。うちはまだ④となって卵が孵化したような形跡は無く、現在定期的に訪問してくるヤツが死んでしまえば一件落着なのだろうと思いハトの寿命を調べたところ、なんと10年生きると知り愕然といたしました。ちなみに卵を産み付けられてしまうと、それを勝手に処分すると鳥獣保護法違反に問われるリスクが有りますのでご注意下さい。なぜ危険な感染症をまき散らすハトがそんなにも保護されているのかやや理解に苦しみますね。なんとなく、以前紹介した「鳩の撃退法」(佐藤正午著)には実際のハト対策には1ミリも触れられていなかったな、と今更思い返しております。

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沖縄返還から50年、金次郎生誕からも50年

日本語には音読みと訓読みが有るのは知っていましたが、音読みの中にも呉音、漢音、唐音などの種類が有ると最近知りましたので紹介します。これらは、同じ漢字でも中国から伝わった時代によって発音が違ったことに起因した差異のようで、「明」という漢字の読みのうち「みょう」は呉音、「めい」は漢音、「みん」は唐音となるようです。伝わった元となる中国語の発音が時代と共に変化したことが日本語の漢字の音読みが複数存在する背景ということですね。そして、日本語の熟語の読み方のならいとして基本的には全て呉音なら呉音で、漢音なら漢音で統一する、というルールが有るそうで、「男女」は「なんにょ」(呉音・呉音)、あるいは「だんじょ」(漢音・漢音)とは読んでも、「だんにょ」や「なんじょ」とは気持ち悪くて読めそうにないということからもご理解いただけると思います。ここで紹介したいのは、この法則に当てはまっていない奇妙な日本語が有る、という話なのですが、その言葉とはなんと我が国の首都を表す「東京=とうきょう」!「東」の読みが漢音の「とう」しか無いため本来「東京」は「とうけい」(漢音・漢音)と読まれるべきで、確かに「京王=けいおう」や「京浜=けいひん」では「けい」と読まれています。これは、江戸を新たに東の京都という意味の東京に改名するにあたり、あまりにも庶民の間に「京の都=きょうのみやこ」という読みが定着してしまっていたために、「とうけい」ではなく「とうきょう」と読まざるを得なくなり、当時日本語にうるさい知識階級の方々は発音がどうにも気持ち悪くてご不満だったとのことでなかなか面白いエピソードだと思います。言われてみると東京はかなり新しい地名であり、その知名度の低さゆえに東京駅の呼称はぎりぎりまで中央駅が優勢だったそうです。当然のことながら金次郎がこんなことを知っている程博学なわけではなく、「東京の謎(ミステリー) この街をつくった先駆者たち」(門井慶喜著 文藝春秋)からの受け売りです(笑)。他にも我々の良く知る東京の色々な場所について、あまり考えたことの無い切り口で解説されていて大変面白い本なので是非読まれることをおすすめします。

日本語うんちくつながりでもう一つ。気付くと2019年の5月に元号が令和に変わってからはや3年が経過しましたが、この元号にも日本語の持つリズムの法則が有るという話です。過去250以上存在する元号は漢字二文字の組み合わせですが、うち7割が「平成」、「大正」、「慶応」のような①2拍+2拍のパターンで、2割強が「昭和」、「明治」のような②2拍+1拍の組み合わせ、「和銅」や「治承」のような③1拍+2拍の元号はわずか7%程度しか無いとのことです。しかも9割強を占める①と②の場合の語感は上記の例でも分かる通り「強弱強弱」あるいは「強弱強」といった日本語としてなんとなく心地よいリズムに従っているとの法則も見いだせるようです。日本語のリズムとして発音し易いというのは赤ちゃん言葉に「まんま」、「ねんね」、「ばぁば」、「じぃじ」のような「強弱強」のパターンが多いことからも分かりますが、赤ちゃんが「強強弱」の「ばばぁ」、「じじぃ」としゃべったらちょっと怖いですね(笑)。これらを踏まえると、初めて万葉集から選ばれた画期的な元号と取り沙汰された「令和=れいわ」でしたが、見事に②のパターンで「強弱強」となっており、しかも近代に入り「文久」から「平成」まではずっと①と②が交互に繰り返されてきており次が②の順番であったことから、言葉の響きとしては過去のルールを完全に踏襲した保守的な選択であったことが分かり面白いです。そしてこれも「日本語の大疑問」(国立国語研究所著 幻冬舎)からの完璧な受け売りです(苦笑)。この本では、「わかりみ」や「やばみ」、「うれしみ」などの若者ことばを真面目に研究したりしていてこちらも興味深い内容となっております。

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金次郎、GWに近所の有名パティスリーを訪問

せっかくのゴールデンウィークでもあり、妻の股関節の状態も少しずつ改善してきておりましたので、うちの近所に美味しいケーキ屋さんが有るとの会社先輩情報を頼りにそのお店まで久々に少し散歩してみました。天気も良く行楽日和であったためか普段より人が多く出ている印象で、パワースポット小網神社や親子丼の玉ひではいつにもまして長蛇の列となっておりました。兜町の方に歩きますと、昨年オープンしたKABUTO ONEの1FにできたおしゃれカフェのKNAGが賑わいを見せておりこちらも訪問せねばと頭の中にメモりつつ、お目当てのPatisserie easeに到着。11時のオープンを目指して家を出たのですが、行列こそできていなかったものの店内のイートインスペース(6席)は全て埋まっており、フロア内もケーキや焼き菓子を求めるお客さんが次々と来店しかなり混み合っておりました。これは期待できるぞと初心者らしくショートケーキと和栗のモンブラン、そしてこのお店のスペシャリテであるアマゾンカカオシュークリームを購入いたしました。近くの渋沢栄一邸跡地にオープンした姉妹店tealはアジアのトップショコラティエである真砂翔平さんによるチョコレート&アイスクリームのお店ということでこちらも捨てがたかったのですが、さすがに一度に両方食べるのは欲張り過ぎだろうということで今回は諦め次回の散歩の楽しみといたしました。ということで早速帰宅してコーヒーを入れわくわくしながら食べてみたところ、ショートケーキはイチゴがふんだんに詰め込まれているにもかかわらず酸っぱさは感じず程よいコンデンスミルク的な何かの風味がまろやかで上品な甘さを醸し出し非常に美味しくいただくことができました。和栗のモンブランは少し控えめで繊細な和栗クリームと和のイメージからなのか綿菓子を連想させる台の部分が程よく調和しており、付け合わせのベルガモットソースもいい感じのアクセントになっていて、さすがは素材の繊細なハーモニーを得意とするイデミ・スギノで修行された大山恵介パティシエならではの技と感服いたしました。アマゾンカカオシュークリームもかなり複雑な味で技巧が凝らされていることは理解できましたが、ルビーチョコが入っているのかはたまた何らかの柑橘類が使われているのかかなり酸味が強く感じられ、甘々クリームが好きな金次郎夫婦は少し苦手かなという感想でした。お店が混んでいることに焦ってしまいじっくり商品を選べない小心者夫婦の我々ですので、次回はもっとよく事前に調べた上でイデミ仕込みのムースなどをきっちり購入したいと思います。

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金次郎、未体験指圧の激痛にあわや落涙

最近は歳のせいか首、肩のこりがひどく、それが頭痛につながることもしばしばで、何か良い対処法は無いものかと常々考えておりました。そんな折にたまたま付き添っていましたので妻の股関節痛でお世話になっている整体の先生に相談したところ快く治療を引き受けて下さいました。初回の施術は割と一般的な骨盤の歪み調整などで身体のバランスを整える感じで終始し、それはそれで全身がリラックスできて良かったのですが、首や肩の頑固なこりは改善せず、やはり歳には勝てぬのかとなかば諦めかけておりました。ところがそこで先生から、一度治療をした感触と身体の反応から金次郎の治療ポイントがクリアになり、非常に痛いが効果が見込める治療を試すのが良かろうとの提案をいただきました。金次郎は学生時代に運動をやっていたこともあり、様々なマッサージや鍼灸の治療を受けた経験はそれなりに多く、施術時の痛みや心地よさの感覚はある程度持っております。なかでも亀戸の先生の骨がバラバラになりそうなこれでもかという激痛の指圧や、シンガポールの通称〈指圧の魔術師〉ソー先生による気体の収縮を利用して背中の肉をカップに吸い取るカッピング治療の痛みはかなりのものでした。さらにソー先生の上級テクであるそのカップを背中の上で縦横無尽に動かす拷問的な手技を経験している金次郎ですので、何とか耐えられるだろうと痛みに激弱な性格上きっちりビビリはしたものの、心を決めて治療を受けることといたしました。

一体どんな治療が始まるのかと全身を硬直させて待つこと数分、先生は指に滅菌サックを装着し、これから口の中のマッサージをします、と軽やかに宣言されました。その後に起きる状況が全くイメージできず呆然としながら言われるがままに口を開けると、先生が頬骨、ほっぺた、下歯茎の部分を口の内側から外側に向けて思い切り押し始めるではないですか。横で見ていた妻が、ほっぺたから先生の指の形が分かる、という程ぐいぐい押されたことに伴う痛みは全く未体験のこれまでとは種類の違うもので、少しでも気を緩めると涙がこぼれ落ちてしまいそうで、何とか恥ずかしいことにならぬよう必死でこらえねばならない恐るべき体験でした。これでもまだマックスの三分の一ですよと施術後に言われて先が思いやられましたが、気づけばなんと首、肩から頭皮まで相当リラックスしたゆるゆるの状態になっており、かなりこり症状が改善する驚きの効果で、確かに体の内側と外側の両方から治療ポイントにアプローチできるのは口の中だけであり、これはもう少し耐えてみようと前向きな気分になりました。またどこかで経過をご報告させていただきます。

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【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2022予想対決の結果を発表!

早速ですが、4月6日(水)の15:30に発表となりました今年の本屋大賞作品は逢坂冬馬先生のデビュー作「同志少女よ、敵を撃て」早川書房)となりました!逢坂先生のウクライナ戦争に対する深い悲しみ、プーチンでなくロシア国民が平和を願う気持ちを信じたいという強い思いが伝わってくる真摯な受賞スピーチが印象的でした。2位に100点以上の大差をつけての文句無しの受賞、逢坂先生おめでとうございます!

金次郎はロシアのウクライナ侵攻のプラスの影響は認識しつつも、侵攻(2月24日)と投票締め切り(2月28日)のリードタイムの短さから多くの書店員さんは投票に反映させられなかったと見て5位としたのですが、候補作10冊を全部読んで全作品への書評を添えないと投票が有効とならないルールが(我々もほぼ同じことをしていますw)、忙しい合間を縫っての作業となる書店員さんの重荷となり、必然的に投票がぎりぎりになった結果より多くの得票に繋がったものと分析しました。よく考えると、直前まで各候補作の売れ行きを睨みながら最終盤まで投票を引っ張り、その時点で一番売り上げアップが狙える作品に投票するのも商業的には合理的とも思えますので、次回は投票締め切り直前の時事ネタや各種ランキングなども加味して予想しようとノートに書き留めました。

一方のMは戦地となってしまったウクライナにも近いドイツ在住であり、この危機を直接肌で感じて心を痛め、戦争を題材として描いているとはいえエンタメ要素も盛り込んだことに起因する不充分なリアリティへのネガティブな印象が影響し9位としてしまい予想対決という観点では大きなダメージを負うこととなりやや気の毒ではありました。

2位は「赤と青とエスキース」(青山美智子著 PHP研究所)で金次郎もMも構成の難から6位としたのですが、よくよく考えると勿論昨年2位の著者への期待もさることながら、候補作中唯一の恋愛を中心テーマとした作品であり、この点をやや過小評価してしまっていた感は否めません。とMに伝えたところ、いやいや「残月記」にも恋愛要素在りましたよ、と大賞に推して7位に沈んだ作品への執着を滲ませるあたりに彼の悔しさを感じました。

3位となったのは「スモールワールズ」(一穂ミチ著 講談社)で金次郎は大賞、Mは3位と予想しましたのでほぼ想定通りの結果でした。今回3位と渋い順位にとどまったことで、著者が後続作品をどんどん世に出していることから、次回記念すべき第20回本屋大賞の獲得も狙えるポジショニングかと思います。こういう先入観は予想外しのもとなのですが(苦笑)。

さて、金次郎の溢れる喜びに読者の皆さんはもう薄々気づかれていると思いますが、はい、予想対決は金次郎の勝利となり戦績を2勝2敗のタイに持ち込みました。次回20回記念大会は勝ち越しを賭けた天王山となります。

ところで、本ブログの最初の読者であり校閲担当でもある妻ですら全く理解しておりませんので、よもや読者の皆さんの中にこの順位予想対決のルールをご存知な方はおられないと思います。折角ですので結果発表のついでに簡単に説明しますと、作品の予想順位と実際の順位の差の絶対値に(11-順位)を掛け合わせたものを合計し、合計点が少ない方が勝ちということになっております。具体的には、大賞となった「同志少女~」は金次郎が5位と予想したので|1―5|×10=40、一方Mは9位としてしまっており|1-9|×10=80となります。2位の「赤と青と~」はどちらも6位としたので|2-6|×9=36という具合ですね。これを全作品について計算し合計するわけですが、今回金次郎は148点、Mが207点となり、点数の少ない=特に上位の予想のずれが相手より少なかった金次郎の勝利!ということになります。ちなみにこのルールでの最高点は0点(大賞から10位まで全部当てるケース)、最低点は298点(どういうパターンか考えてみて下さいw)ということで200点越えのMはまずまず外した格好となっております(笑)。

以下、4位以降の順位と簡単なコメントです。

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【アフター4読書恒例企画】本屋大賞2022順位予想対決!

今年もこの日がやって参りました。4月6日(水)の本屋大賞2022結果発表を前にその順位を予想するという何ひとつ世の中の役に立たない本企画ですが、そんな無駄なことに全力を傾けるというその青春性に悦に入っている金次郎と宿敵Mの対決に、半ばあきれつつで結構ですのでしばしお付き合いいただけますと嬉しいです。

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【金次郎の総評】

今年で4回目となり年々候補作読み込みの質と量が上がった結果、もはや公私問わず一年で最も労力をかけるイベントとなった本順位予想対決、人生の優先順位として正しいのかとの耳の痛い問いは無視し、直近の2連敗という汚名を雪ぐべく今年も全力で臨みました。

いざ候補作を前にすると、昨年ワンツーの町田、青山両先生の揃い踏みに予想外しのトラウマから心をかき乱され、評価の難しいミステリー作品が4作も入っていることに悩み、前回痛い目に遭った待望プレミアムが見込まれる寡作作家の久々の新刊に怯え、ビッグネーム渾身の長編や王様のブランチBOOK大賞受賞作といった読む前から上位を意識させる作品を前に必至で冷静になろうとするなど、無駄に頭でっかちとなってしまった金次郎は内容を吟味する前から混乱の極みでした。

それでも、過去候補作全部読みプロジェクトを通じた気付きや全18回の実績検証の結果も参考にどうにか順番を付け、今回大賞としたのが「スモールワールズ」(一穂ミチ著)です。6作の各短編が全く違う空気感の世界に読者を誘う物語の宝箱ぶりは群を抜いており、この小さいけれどどこまでも深い世界を一般小説ではほぼ無名の著者が描いたとあれば書店員の玄人気質を刺激せぬ筈がなく、背水の金次郎も安心して読書家のプライドを預けられる一冊でした。

次点は「黒牢城」(米澤穂信著)です。金次郎イチ推しの米澤先生に大賞をとのファン心理を割り引いても、歴史ミステリー、人間ドラマ何れの角度からも最高ランクの内容であり、迷いましたがやはり直木賞受賞はマイナスに作用するだろうとの辛うじての冷静さから涙を呑んで2位としました。

3位は社会派の旗手と伏線の狙撃手の対決となりましたが、フレッシュな次世代感と毎年強いBOOK大賞を評価しつつ、自分の好みで「正欲」(朝井リョウ著)を推すと外すとの勘に従い「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成著)を選出しました。

【Mの総評】

コロナが流行し始めてから気が付けば2年、ようやく世の中がそれを克服し元の生活に戻っていこうかというところで今度はロシアによるウクライナ侵略が発生、益々不透明感を増していく世の中において具体的に生き方の処方箋になりうる作品が世間に求められる(=本屋としても売っていきたい)傾向と理解しています。

とはいえ、まずは完成度が高く個人的に推したい「残月記」「スモールワールズ」「正欲」「夜が明ける」「黒牢城」を1-5位群としました。中でも、今を生きることについての名状しがたい難しさを作品という形を通して世へ問おうとしている朝井リョウ「正欲」、SFファンタジーながら現代を生きる我々へ生きること・愛することについてのヒントを与えてくれている小田雅久仁「残月記」のどちらを大賞と予想。朝井作品は結構既に売れている一方、寡作の小田雅久仁がスターダムにのし上がることを多くの書店員が願っていることに賭して「残月記」を1位と予想しました。

その後は、本当は「夜が明ける」「黒牢城」「スモールワールズ」の順としたいところですが、既に名声を得ている「黒牢城」については本屋大賞で売り出すインセンティブが低いため劣後、逆に一穂ミチへは逆の力が働くと予想し「スモールワールズ」を3位に据えました。

「赤と青とエスキース」は個人的には平凡と思いましたが、昨年この作者は2位に入ったこと、また生き方の指針を示すタイプの作品ではあるので、6位まで押し上げました。毎度下位に予想して少し申し訳なさもある知念先生の「硝子の塔の殺人」は面白かったですが、本格ミステリーで上位入賞は聊か苦しいかと。「星を掬う」は個人的には6位ですが、昨年大賞を受賞したことが当然向かい風になると予想。「同志少女よ、敵を撃て」は(既に売れてはいるものの)なんだかんだ上位に食い込む予感もしており、今年の本屋大賞予想対決に分水嶺がとあるとするとこの作品かなと思っています。

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